『私だけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
とうとう私だけになってしまった。
連れ合いに先立たれ、とうとうこの途方もなく広い海に私だけとなってしまった。
思えば、随分長い年月を生きてきた。温かい日も冷たい日も、穏やかな日も荒れた日も。
昔はたくさんの仲間がいた。私はまだ若く、世界は輝きを放ち、未来は明るかった。
それがいつからだろう。環境破壊が進み、暮らしにくさを皆がボヤき、つまらない諍いが増えた。仲間は少しずつ減って行き、最後に残ったのが私と連れ合いだった。
連れ合いと旅に出た。どこかにまだ仲間がいないか、どこかに少しでも暮らしやすい所はないか、探して回る旅に出た。しかし結局どちらも見つけることは叶わなかった。
長い長い旅路の果てに、私たちはかつて仲間と暮らしたこの海へ帰ってきた。ここで共に静かに余生を過ごすことに決めたのだ。
そう決めたのに、幾許もしない内に連れ合いは先立ってしまった。
連れ合いを失ってしまったことへの悲しみ、約束を違えられたことへの怒り、自分だけになってしまったことへの絶望。目まぐるしく襲いかかってくる感情についに耐えきれなくなった私は、全ての感情に蓋をし、そしていつか連れ合いと一緒に見た海淵へ沈むことに決めた。光が全く届かない場所で、静かに全てを終わらせるために。
もう私だけになってしまったのだから。
―――最後の最期
#15【私だけ】
ねぇ、これからもずっと、特別なのも、恋人も、未来の嫁も、私だけにしてね。ちょっとこれって重い…かな…?でも、ずっと、私だけじゃないと、不安なの…貴方が浮気も不倫もしないの、分かってるから、それは、安心してる。これからもずっと、私だけを見て、私だけを愛して…私も、これからもずっと、貴方だけを見て、貴方だけを愛すから…私にとって、もう貴方しかいないからさ…ねぇ、貴方は、ずっと気付いてなかったんだね…貴方と初めて会ったあの日から、私の中では、ずっと、貴方に特別な感情を持ってた事も、ずっと、貴方と付き合いたいって思ってた事だって…その頃から、貴方が鈍感なの、私は、知ってたんだよ?これからもずっとラブラブでいたいなぁ…
私だけ
「お前、変だよ」
「気持ち悪い」
「こっちにくんな」
みんなが私を睨む。その眼は金色で、体は白い毛に覆われている。
水に映った私の眼は灰色で、体は緑。水辺の苔むした岩みたい。
「いたぞ、色違いだ!」
「こりゃ高く売れそうだ」
きな臭い生き物に追いかけ回され、逃げているうちに群れに戻れなくなった。
「迷子か。おいで」
立派な角を持つその生き物は、私と同じところはひとつもなかったけど、優しかった。
私達は家族になった。
「どうしていつも私だけ…?」
「そう思ってるならはまだ―――」
私だけ。
いつも私だけきつい。
そんな気になる。
それが嫌で周りを見た。
そしたら周りの人もきつそうだ。
なら、どうやったってきついみたいだ。
あぁ、もう、どうして私だけ、私ばかり。
カタカタカタとリズミカルに叩かれるキーボードの合間に、女性は理不尽を嘆く。
終わらない仕事。積み重なるストレス。
職場の同僚はせかせか動き回る彼女など見て見ぬふりで、"自分に厄が回ってこなくて良かった"と無理しないでねと励ました顔の裏側で笑っているのだ。
こんなに頑張っても給料は上がらないし、残業手当てだって雀の涙。
こちらの休みは満足に取れないくせして、上司やそれに気に入られてる連中は平気で休みを取っていく。
あぁ、どうして、自分ばかりが損をする。
私だけ、私ばかり。
けど、嫌だ嫌だと駄々をこねたところで世界は変わらない。
そんなのは理解していて、だからこそやるせないのだ。
誰かが変えてくれやしないだろうか。
例えばあの仕事が出来る彼とか、要領のいい彼女とか。
私なんかより出来る人間が頑張ってくれればいいのに。
あぁ、そんな事を言ったって仕事は終わらないけれど。
「はぁ、どうして私ばかりがこんな目に」
長い長いため息でキーボードの埃を散らしていた彼女は知らない。
彼女のいう仕事の出来るエリートの彼が、要領のいい彼女が…同じ言葉を吐いていたことを。
あぁ、どうして私が、私ばかり。
会社の外でも同じこと。
周囲に馴染めぬ子供が、育児に翻弄される母親が、家庭内で村八分にされてる父親が、フラれた女が、ギャンブルに失敗した男が、病に伏した誰かが、予期せぬ事故にあった誰かが…同じ思いを口にする。
あぁ、どうして私が、私ばかり。
結局のところこの世界は、そんな思いの集合体なのだ。
何かね
つらいこと
悲しいこと
いやだなって思うことがあると
私だけが苦しんでいるような気がする
どうにもならない
考えても考えても
答えが出ない
苦しみの中で
もがいているような気がする
私だけ?
きっと違う
みんな大きさは違っても
それぞれが抱えているものがある
でもね
みんなが笑っているように
私も笑える時もある
私だけじゃない
みんな生きている
これは” ”だ
そう気づいてしまったら、よそ見なんてもうできない
暑いからと髪をかきあげる仕草
友達と笑い合う姿 独りぼんやり外眺める姿
あなたのなんでもないそぶりに鼓動は動く
でもね。あなたが他の女の子と話していると勝手に思ってる気持ち
やだな。こんな紅くてどろりとする羨望(きもち)
ねぇ、私はあなたの特別でしょ?
甘えちゃダメかな?
甘くないこの気持ち
#私だけ
『私だけ』
私だけなら怖くて出来なかった事でも、みんなと一緒なら勇気を出して挑戦出来るんだ!
『赤信号みんなで渡れば怖くない』
……ね?
私だけ
私だけ…、私だけ…。
なんで誰も返事くれないの?
別にかまってちゃんでもないけど誰もLINEやTwitterに返事くれないのはつらいよ…。
ねぇ、なんで私だけ無視するの?
教えてよ…
私だけ。世の中広いんだから自分だけこんなに苦しいとかこんなに頑張っているのに自分だけ報われない、みたいなことはないよね。
だからこのお題で書くことがないな。私だけってのはどういう場面で使う言葉なんだろう。考えてみるか。
考えてみると対象を広く考えすぎていたな。世の中、世界中で私だけ、みたいに考えていたけどもっと狭く考えれば私だけは成立するな。
家族の中で私だけ頭が悪いとか会社で一番稼いでいるのは俺だ、みたいな感じならいけるのか。狭いコミュニティなら私だけは成立する。
しかし狭いコミュニティと言っても俺が今属しているのは日本、バイト先、男、家族、それくらいしか思い付かない。
そのコミュニティの中で私だけというようなのがないな。結局このお題で俺が書くことはないし書きたいことはないな。
だから今日はもう終わりにしよう。しかし昨日は暑かった。暑すぎて不動産屋に電話してエアコンの買い換えを相談しようかと思ったわ。
今のエアコン全然冷えないからもう自分で金出すから新しいのに替えてくれ!そのくらい昨日は暑かったけど今日はエアコン普通に涼しいわ。
昨日は外が暑すぎたからエアコンが効かなかったんだな。というか昨日もエアコンは効いていたけどそれでも我慢できないくらい暑いだけだった。
いつも笑顔で明るいあなた。
でも、1人の時は無表情になってたり、
疲れが顔に出ていることがある。
いつも真面目なあなた。
でも、たまに授業中に本を読みながら
寝ちゃってる時があるよね。
いつもいろんな子に自分の担当じゃない教科も
教えてあげてるあなた。
陰で努力してるの知ってるよ。
誰かが質問して分からなかったら、
「放課後教えてあげる」って言って
私たちが授業受けたりしてる間に
教えられるように勉強してるよね。
私はいつもあなたのことを見てるから
大体のことを知ってる。
あなたのことはとても尊敬してる。
でも、1つだけお願いがある。
いつも何事も頑張ってるあなた。
でも、頑張りすぎて体調崩しちゃう時があるよね。
あなたが学校を休んだ日は心配で心配で
授業の内容が全く頭に入ってこない。
あなたの授業が無くなってしまうっていうのも
すごく悲しい。
そして、あなたの笑顔が見れない。
それが私にとってどんなに辛いことか分かる?
もちろん人間だから体調崩すこともあると思う。
でも、頑張りすぎないってことを意識してほしい。
それが私からのお願いです。
大好きだよ。
#私だけ
三十連勤から帰ってきた朝、ベッドで目覚めると世界が一変してしまっていた。街中にゾンビが練り歩いているのだ。映画の撮影などではない。あいつらは襲いかかってくるし、死にものぐるいで私を捕まえて喰らおうとする。
死んでたまるか。
私は包丁を手に街を走り、近づいてくるゾンビは片っ端から切り倒していった。だけどゾンビの数はどんどん増し、もはや人間は私しかいないようだ。
負けるものか。
私はゾンビどもを切り倒し、会社に行くのだから!
「――本日明け方に都心に現れた通り魔は先ほど警察により逮捕されました。容疑者はゾンビが現れたなど意味不明な発言を繰り返しており、錯乱している状態とのことです。続いては全国のお天気情報です」
完
お題:私だけ
どうして、私は私なのだろうか。
私は私に、きっと誰よりも厳しくて
到底自分を愛しているとは
言えなくて。
私だけが、私を不幸にしようとしている。
本当は、誰よりも
大事にすべきだと思う。
泣くことも、笑うことだって
望んでいる。
そんな私を、私だけが知っている。
【お題:私だけ】
この関係が、近い未来、終わってしまうことを知っているのは私だけ。
僕だけかもしれない、
僕は、他人がどう感じているのか というのが、とても気になる
例えば、映画の感想一つとっても様々な感想がある
面白かった、つまらなかった、
それはいいんだけど、なぜ?そう感じたのか?が気になる
自分の感じた内容と、他人が感じた感想の差分に対して、強烈な興味があるのかもしれない
「私だけ」
なんで?
なんにも知らなかったよ
教えてくれたらいいのに
……ああ、それがみんなの答えか…。
「私だけ」
私は、独りぼっちだった。それを寂しいとは、感じなかった。
でも、ある日を境に私は一人じゃなくなった。一人の男の子が私に構うようになったのだ。その男の子は、学校中の人気者で、休み時間になると誰かしら寄ってくる系の子だった。
それからと言うもの、私に話しかけてくる人が以前よりも増えた。
ある日、彼が話しかけてこない日があった。そして、別の子達と話していた。胸の当たりがズキズキして痛かった。
その日私は気付いた。彼が、好きなのだと。彼と話している人を見るといいなと思うようになってしまった。前はこんな気持ち無かったのに…。
その次の日、私は彼に放課後屋上に来てと言った。
彼は頷いて「楽しみに待ってるよ」と言ってきた。
その日の授業の内容は、まったく入ってこなかった。
放課後
私は彼を待ちながら、どう私の気持ちを伝えるか考えていた。
キィィィ…
扉を開く音が聞こえたので、振り向いてみると、そこには私が好きになった人がいる。
彼はほんのりピンク色の唇を動かす
「お待たせ。待った?てか、話すの久しぶりだね」
と言ってきた。
そして、私に近付いてくる。私と彼の距離はもう上履き一足分。
すすすごい……近い!
私はドキドキしながら、口を開いた。
「ううん、待ってない。来てくれてありかとう。そんなに久しぶりかな?笑……じゃあ、本題に入っても良いかな」
彼はコクンと頷いた。
「あなたに、私たけを見ていて欲しい………私、一人が、好きだった。だけど、あなたが話しかけてきてくれて、周りに人が増えて、嬉しかった。私は、あなたが好きになった。あなたが、話しかけて来てくれないと寂しいし、誰かと話してると嫉妬しちゃうし……。私だけを、ずっと見ててくれませんか?」
うわぁ~!、言っちゃったよ!?
顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。
聞いていた彼の顔も真っ赤になっているのが見て取れる。
少し経って、彼がこちらを真っ直ぐ見てきた。思わず目をそらしそうになったが、頑張って首の位置を固定した。
「……すごく、嬉しい…。俺をそんな風に想ってくれて、見てくれて、ありがとう。俺も、好きだよ。君に束縛されるのが楽しだ笑」
そう言って、私に抱きついてきて、キスをしてきた。
~終わり~
ながっ!
読みづらかったり、誤字脱字があったりしたら、すみません( ̄□ ̄;)!!
皆誰しも特別になりたいと思う。
それは勉強面か、運動面か、人気者という面か。
……きっとそれくらいの違いだけで、人気者になりたいって思いは皆一緒。
私も同じ。誰かの特別になりたい。
「ん?どうしたの、ぼーっとして」
彼女、ソファーに座った私の腰にひっついている有名デザイナーの喜楽は、私の恋人だ。
明るく元気なアイドルは、私の前では素を見せてくれる。
『んー、何か、何かしら特別になりたいなって』
「特別ねぇ……」
喜楽は考え込むと、ぱっと顔を上げた。
それは明るい笑顔。
「ボクの特別じゃあダメなの?」
こてん、と首を傾げて上目遣いで聞いてくる喜楽。
『ふは、それは嬉しいけど、喜楽は皆のアイドルなんじゃないの?』
「むぅ……じゃあ」
「“俺”の特別は?」
『!』
珍しく聞いた素の一人称。
「俺の大切な人っていう、唯一の特別……とかどう?」
皆誰しも特別になりたいと思う。
それは勉強面か、運動面か、人気者という面か。
……きっとそれくらいの違いだけで、人気者になりたいって思いは皆一緒。
私も同じだった。でも見つけた。
唯一無二の“特別”に選んでくれる人を見つけた。
また腰に抱きついてきて、にやりと笑う彼女を知ってるのは、私だけなのだろう。
ーお題:私だけー
【短歌・兄弟愛】
重傷で四肢をも失い果てる君
これで兄者は俺だけのもの
-髭切・膝丸-
(私だけ)