皆誰しも特別になりたいと思う。
それは勉強面か、運動面か、人気者という面か。
……きっとそれくらいの違いだけで、人気者になりたいって思いは皆一緒。
私も同じ。誰かの特別になりたい。
「ん?どうしたの、ぼーっとして」
彼女、ソファーに座った私の腰にひっついている有名デザイナーの喜楽は、私の恋人だ。
明るく元気なアイドルは、私の前では素を見せてくれる。
『んー、何か、何かしら特別になりたいなって』
「特別ねぇ……」
喜楽は考え込むと、ぱっと顔を上げた。
それは明るい笑顔。
「ボクの特別じゃあダメなの?」
こてん、と首を傾げて上目遣いで聞いてくる喜楽。
『ふは、それは嬉しいけど、喜楽は皆のアイドルなんじゃないの?』
「むぅ……じゃあ」
「“俺”の特別は?」
『!』
珍しく聞いた素の一人称。
「俺の大切な人っていう、唯一の特別……とかどう?」
皆誰しも特別になりたいと思う。
それは勉強面か、運動面か、人気者という面か。
……きっとそれくらいの違いだけで、人気者になりたいって思いは皆一緒。
私も同じだった。でも見つけた。
唯一無二の“特別”に選んでくれる人を見つけた。
また腰に抱きついてきて、にやりと笑う彼女を知ってるのは、私だけなのだろう。
ーお題:私だけー
7/18/2023, 11:03:28 PM