『神様へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
神様に聞けるならば、自分の信者たちが、自分の預言を持ち出して、自分の名の下で他教徒を殺戮している状況をどうお考えなのか。
全知全能の神が複数いるのだとして、どうしてその神同士が共存できず、しかも神同士で解決するのでもなく、人間に殺し合いをさせることで覇権など取ろうとするのか。そもそもそんな覇権がほしいのか、聞いてみたい。
どちらも全知全能ならば共存できるはずだし、そこに優劣はないでしょう。
そして、もしもこれが人間の欲望が生み出した、神の名を騙って正当化している争いにすぎないのならば、大量の人々を殺害している人々をなぜ諭したり、警告したり、罰したりしないのか。
このままでは、誹られるのは神とその教えではないか。
そして聖典では、邪な人々は過剰なまでに粛清したり殲滅したりして、罰していたではないですか。
「睦月《むつき》。ここに座れ」
どこか険しい顔をした冬玄《かずとら》に呼ばれ、睦月は戸惑いながらも指示された椅子に座る。
何故呼ばれたのか。睦月には心当たりがなかった。
正確には、呼ばれ叱られるほどのことはなかったと思っている。
しかし、と。睦月は落ち着きなく視線を彷徨わせながら不安に思う。
もしも、これ以上一緒には暮らせないと言われたとしたら。
睦月は元々ここではない、雪深い村の出身だ。燈里《あかり》たちの好意でこの家に世話になっているだけでしかない。
冬玄の隣に座る燈里を見る。いつもの微笑みが浮かんでいないことがさらに不安を煽り、睦月は膝に置かれた手を強く握りしめた。
「睦月」
普段は呼ばない名を冬玄が呼ぶ。
せめて目は逸らさないようにと、睦月は真っ直ぐに冬玄の目を見返した。
「ヒガタのことを、何故黙っていた?」
ぱちりと、睦月の目が瞬く。
首を傾げ冬玄を見つめ、そして困ったように燈里を見た。
「ヒガタのことは、話したよ……?」
ヒガタとは、睦月の生まれ育った村に伝わる来訪神のことだ。
泣かない子供を連れていく。その話の詳細を聞きに燈里たちは睦月の村を訪れ、最後には来訪神の概念と神仏習合した地蔵菩薩を解放した。
その時に、睦月は自身が知る限りのヒガタの知識を伝えていた。黙っていることはないはずであった。
「睦月」
燈里もまた困ったように、あるいは戸惑った様子で睦月の目を見返す。
暫しの沈黙。それを破ったのは冬玄の重苦しい溜息だった。
「最初から近いとは思っていた。血筋によるものと、お前自身がヒガタに引かれていたことが原因だろうと然程気にも留めていなかったが、前回、お前を守るためにヒガタは現れた……地蔵菩薩から来訪神の概念を切り離したにも関わらずに、だ」
前回。それは鬼となった神から身を隠すため逃げ込んだ蔵にヒガタが現れたことを指しているのだろう。
睦月の眉が寄る。確かに、ヒガタは来訪神としての在り方からは解放された。しかしヒガタはヒガタでしかないのだと、睦月は思っている。
「そして今回。お前は俺たちが屋敷に入った後で、同じように屋敷に入り込んできた……まるで来訪神のように、入ってくることに誰にも違和感を覚えさせずに」
全てを見透かすかのような冬玄の静かな視線に、睦月は落ち着かなくなる。
睦月には冬玄が何を言いたいのかが分からなかった。ただ、先日の繩手《なわて》の祖父の屋敷に行った際、待てと指示されたことを守らなかったことが原因なのだろうかと落ち込んだ。
どうしても待てなかったのだ。苦しみ、泣く子供の声が聞こえた気がして、足が屋敷へと向かっていた。
冬玄たちのいた部屋で見た無数の目。どれもが無理矢理繋ぎ留められ、苦しんでいた。
だからヒガタは子供たちを連れて行ったのだが、それがいけなかったのだろうか。
「無駄だよ。自覚がないからね」
呆れた声と共に、楓《かえで》が部屋へと入ってくる。
その表情は、呆れよりも苦笑に近い。睦月の横に立つと、肩を竦めて冬玄を見た。
「それほどに馴染んでしまっているともいえる。この子にとってヒガタがいるのが当たり前なんだ。ヒガタと自分自身の境界も曖昧なんじゃないかな」
「境界?わたしはわたしで、ヒガタはヒガタだよ?」
そう言って首を振るものの、睦月は自信なく胸に手を当てた。
楓が立つのとは逆の方へ視線を向ける。いつの間にか側で佇んでいたヒガタを見つめ、睦月は自身とヒガタの間にあるだろう見えない境界線を探して目を細めた。
「――つまり、私と楓みたいなもの……かな?」
「いや多分、もっと根が深い気がするよ。鍵のかかった扉は開き、屋敷にいた人間の誰も睦月を気にかけることがない……ほぼ同化しているといってもいいんじゃないかな」
その時のことを思い出し、楓の目が遠くなる。
最初は大人しく待っていたはずの睦月が急に屋敷へと近寄り、閉ざされたはずの門扉を開けたのだ。それに驚く間もなく玄関に向かい、同じように玄関扉を開けて室内に入っていく睦月を慌てて追いかけたのだが、その後も家人の誰にも見咎められないことに、楓は次第に顔が引きつっていくのを感じていた。
「同化?わたしと、ヒガタが同じ……?」
楓の言葉が聞こえたのか、睦月はますます困惑した表情をする。
燈里や冬玄、楓を見つめ、ふと何かに気づいたのか、小さく声を上げてそういえば、と呟いた。
「一番最初に見たヒガタの夢で、ヒガタの割れた面の一部を貰ったけど、もしかしてそれかな……?」
「もしかしなくてもそれが原因だろうけど、何で渡されることになったんだか」
「えっとね……」
思い出そうと考え込む睦月に、ヒガタがそっと手を差し伸べる。目を瞬きながらその手を取り、睦月はあぁと笑みを浮かべた。
「わたしとね、咲子さんの誕生日が一日違いだったみたい。それとヒガタを作ったご先祖様のこととか、泣けなくなったこととか、色々合わさって繋がっちゃったみたい」
咲子というのは、一番初めにヒガタに連れて行かれた子供のことだ。
笑顔の睦月とは対照的に、燈里たちは何とも言えない表情をする。互いに目を合わせ、これ以上の話は意味がないと結論付けた。
「なんでこんなに危機感がないんだ。こいつは」
「仕方ないんじゃないかな?睦月はそれが普通だったみたいだし。私も、楓や冬玄と一緒にいても、そんなに危険だって感じないし」
「燈里は自覚しているんだから、もっと危機感を持ってほしいんだけどな。まあ、何かある前に僕たちが守るけどさ」
「確かに守るがな。危機感は持ってくれ」
疲れたように息を吐いて、冬玄は立ち上がり台所へと向かう。冷蔵庫から何かを取り出し居間に戻ると、それを睦月の前へと置いた。
「え?これ……?」
白の生クリームと乗せられた苺の赤。
店で売られているものに勝るとも劣らない一人用の可愛らしいショートケーキを前に、睦月は何度もケーキと冬玄を交互に見た。
「言いたいことはいくつかあるが、今回頑張っていたからな。ご褒美だ」
睦月の驚きように苦笑しつつ、冬玄は言う。
その優しい声音に、睦月は驚きから次第にぱっと輝くような笑顔を浮かべた。
「ありがとう!冬玄にぃ!」
いただきます、と丁寧に手を合わせ、フォークを手に取る。
フォークを入れた断面ですら美しいケーキにほぅと吐息を溢しながら、味わうようにゆっくりとケーキを口にする。
「おいしい!さすが神様!」
「おだてても、これ以上何もでないぞ」
そう言いながらも、冬玄は再び台所へと足を向ける。
「じゃあ次もたくさん頑張るから、今度はチョコレートケーキが食べたい!神様、どうかお願いします!」
「ちゃっかりしてんな。それから、無茶はするなよ」
呟いて、冬玄は冷蔵庫から今度は牛乳を取り出し、鍋に入れると火にかけた。チョコレートを刻みつつ、変わっていく自分自身に少しだけ呆れる。
「まあ、燈里のためにも賑やかなのは悪くはないか」
右手の薬指に嵌る指輪を撫で、一人笑う。
聞こえてくる楽しげな会話を聞きながら、チョコレートを鍋に入れた。
途端に広がる、甘やかな香り。
その濃厚さに胸焼けがしそうだと、自身が甘い自覚がないまま冬玄はぼやいた。
20260414 『神様へ』
神様へ
どうしようもなく、好きなんです。
クラス違っても、会えない時間が増えても、この想いは増していくばかりで。
付き合いたいとか、ずっと一緒にいたいとか、そういう欲張りは言わないから。
あの人と笑って過ごせる時間が、少しでも、長ければいいな。
神様へ
あの人を生まれ変わらせて
愛に満ちた家庭で育んでもらえるように
笑顔で愛を与え続け
忽然とこの世を去ったあの人に
安らぎを与えてください
神様のもとにいるだろうあの人は
自由を手に入れていますか
どうか幸せになるチャンスをもう一度
6年経った今も尚
喪失感を抱えてさまよう人々のためにも
見えますか
地上では桜の花のメッセージが天を仰ぎ見て
待ち焦がれているんです
依代のように…
『神様へ
もうじゅうぶん
もうじゅうぶん生きました
わたしは消えたいのです
誰かの何かの記憶に残ることなく
きれいさっぱりなくなりたいのです』
こんな手紙がポストに入っていた。
綺麗な文字だった。
どんな人が書いたのだろう?
どうしてボクんちのポストに入れたんだろう?
奇妙だけど、不思議と怖くはなかった。
ボクは、しばらくその手紙を眺めていたが、丁寧に折り畳んで、ポケットに入れた。そして、人のこなそうな場所を見つけて、深い穴を掘り、その手紙を埋めた。
帰り道、なんだか無性に悲しくなったけど、今日はビールでも飲むか~、と気をとりなおし、ボクはいつものコンビニへ向かった。
こんな夢を見た。友人が是非私に紹介したい相手がいるから会ってくれ、と頼んできた。そこまで言うほどの相手とはどんな人なんだろう。待ち合わせ場所に行くと、時間ぴったりに友人と男性がやって来た。
「お待たせ!」
「今日は時間ぴったりだね。それで、紹介したい人って…」
「お、興味津々。紹介するね、この人だよ」
友人に促され、前に出てきた彼は整った容姿をしていた。見惚れる私を見、目を丸くする。何か考え込むような仕草をすると、笑顔で挨拶してきた。彼は友人の友だちで、最近恋人と別れたばかりらしい。友人は落ち込む彼を元気づけようと、誰か紹介すると言った。
「何人か紹介したんだけど、駄目だったから最後にあんたの写真見せたら会いたいって」
友人はニヤニヤしながら、彼を肘で小突く。彼は恥ずかしそうに顔を背けた。こんなかっこいい人が私に…?
「取り敢えず今日はさ、顔合わせってことで交流を深めようっか」
友人に引っ張られ、日が暮れるまで色んな場所で遊んだ。トイレに行ってくると言うので友人を見送り、ベンチに座った。インドア派の私にとって、一日外で遊ぶなんて重労働だったらしい。ぐったりとしていると、隣に彼が座った。
「疲れましたか?」
「え、あ、そうですね。普段はあまり外出しなくて、人に酔ったのかもしれないです」
「そうだったんですか。なら、今度遊びに行くときはあまり人がいない場所にしましょう。今日は楽しかったです」
連絡先交換しましょう、と言われるまま、連絡先を交換すると友人が戻ってきた。
「ごめん、トイレ混んでて遅くなっちゃった」
友人は苦笑しながら、私と彼が座るベンチの前に来た。
「じゃあ、帰ろっか」
友人に促され、立ち上がり遊園地の出口に向かって歩く。後ろで友人が笑いながら、彼の背を叩いている。それから、たまに彼からの連絡が来て遊ぶようになった。ほとんど、私の要望に沿ったものばかりだったが。彼は、行きたい場所とかないんだろうか。一度尋ねてみたが、ないよと即答された。
「あなたが楽しければ、それで良いんですよ」
「そう言われても…やっぱり悪いというか」
「いいから」
話を打ち切られてしまった。物腰柔らかそうに見えて、わりと強引な人らしい。数日後、友人が連絡をしてきた。何だか慌ててるみたいだ。早く来い、と言われ、友人のアパートに着いた。話を聞くと、彼は友人の隣の部屋に住んでいてさっきから女の話し声がすると言う。
「あいつ、あたしが紹介してやったのに他の女連れ込んでるよ」
「優しい人だから、断れなかったんじゃ…」
友人に睨まれ、口を噤む。
「まあいいわ。こうなったら証拠掴んで、ついでにあいつの胸倉掴むから」
とても頼もしいけど、少し怖い。壁に耳をつけ、耳を澄ます。
「…そういや、最近どうなの?」
「どうなの、って?」
「ほら、わたしと別れた後女の子紹介してもらったらしいじゃない?」
「何で知って…」
相手は元カノらしい。彼は動揺している。私も自分の話題を出され、心臓を鷲掴みされた気分になった。
「別にいいでしょ、そんなこと。それで見たんだけど、すっごく地味ねえ。話とかつまんなそう」
ズキッとトゲが刺さったような痛みが胸に走った。同時に、隣の友人が舌打ちするのが聞こえた。すぐに壁越しに何かを蹴る大きな音がして、肩が跳ね上がる。
「…お前さあ、彼女の何を知ってるわけ?」
聞いたことのない彼の低い声が聞こえる。相当怒っているみたいだ。私は覚えていなかったが、彼はかつてのクラスメイトだった。孤立した彼に私が話しかけてきたことに感激し、それをずっとお守り代わりにしていたらしい。振り向いてもらえるように自分磨きをし、そして今に至る。それから、マシンガンのような私への褒め言葉が始まった。彼いわく、私は彼にとっての女神様で私への悪口は神様への侮辱や冒涜に近いらしい。呆気にとられているのか、元カノが口を挟むことはなかった。ニヤニヤする友人と目が合い、私は羞恥で顔を覆うしかなかった。
襲いかかってくるゴブリンたちを先頭を走るギールスが切っていく。スピリット達も弱いけど数が多かった。
打ち漏らしを後ろで走るヴィルが両手のナイフで魔力を込めたカッターで打ち落としていく。
カノンはミレーヌを抱えながら、詠唱を絶やさない。
遠距離からのシーナの援護もあったからだろうか。
(みんな、こんなに強かったんだ…)
強烈な目眩で動けないミレーヌは、ぼんやりと、少しだけ逞しくなったカノンの首筋を見ていた。
激しく揺れることもある。だけど、カノンは絶対にミレーヌを離さない。
「走るよ、掴まって」
うん、と小さな子供のように頷く。
情けないな、貴方よりお姉さんなのに。
お腹のなかにあなたの子がいるなんてまだ信じられない。
村の、年のいった治療院の先生によれば、産まれるのは半年と少し後だと言っていた。
(まだ、ずっと先?それとも、すぐ?)
ミレーヌの中での時間は、小さな頃に戻ったり未来を見たりと忙しい。
ようやく、安全な場所に来たみたいだ。
ギールスがシーナに合図を出して転移が始まった。降ろされた場所は、少し前にキャンプをした場所だった。
へとへとになったシーナと、ぷんすか怒ったティーエが飛んでくる。
でもそれよりも、と。
ミレーヌはヴィルを呼んだ。
「ヴィルどうしたの…」
「はっ?なにが!」
1人でずっと何かを抱えていたんだね。
少し精悍になった幼馴染は、あちこち傷を作り、背に悪魔のような翼を生やしていた。
「なんだか、ずっとひとりぼっちで居たみたいにしてるからさー。泣くのかなと思って」
「なんでオレが泣くんだよ」
そして、触っていい?と聞く。
「いいよ」
カノンに支えられたミレーヌに近づいて、恐る恐る触れた。何の凹凸もないお腹を。
「私も実感はないんだけどね」
「まじの、まじなの」
「みたいだね…」
そしてきっ!とカノンを睨みつける。
「お前、子供に顔覚えて貰えなくなるところだったんだぞ」
「かなぁ…」
カノンも困惑している。
「おまえ、大事にしろよ、ホントに頼むよ…オレ、オレ…」
ヴィルは唇をくっと締めて、言いたいことを噛み殺したようだった。
祈るよ。どうか、君が幸せであるように。
幼馴染はとんだ唐変木で。ぬけてて頼りないけど。
ヴィルのそんな心情など誰もわからない。
「ばーか」
そういって、ヴィルは立ち上がって姿を消した。
神様へ
大人になると子供っぽいが褒め言葉に変わる時がある
『くそったれな神様へ』
拝啓、神様
どうかお願いごとを聞いてくれないでしょうか。ちっぽけな人間のお願いごとです。
あの子を、人の幸せを願えるあの子をどうか救ってください。
あの子は「私は生まれてくるべきじゃなかった」と言っていますが、私はそうは思いません。彼女も、そして彼女を産んだ母親も被害者なのです。悪いのは全てあの組織なのです。
貴方様が産んだ命。どうか最後まで守ってくださいまし。
【神様へ】
神様へ
神様に手紙書くこと初めてなので敬語とかちゃんとしてないかもしれませんがお許しください。
えっと、、まず、お賽銭って5円と15円で効果に差があったりしますか?50円までは上げられるので教えてください!
あとあと、僕たまに信号を渡るフリして渡らなかったり、歩いてる途中急に止まったりして神様を騙したつもりになってるんですけど、騙されてますか??神様だからそれすらお見通しって感じですか?
あと、僕死んだら天国行けますか?結構ゴミとか拾ってるし、バスとか電車でもおばあちゃんとかに席譲ってます!
最後に、僕は彼女のそばにずっといられるでしょうか。そんなに広い家じゃなくていいし、駅からちょっとくらい離れててもいいので、彼女の側で寝て起きてご飯が食べられる日常が欲しいです。
天国もそろそろ暖かくなる頃ですか?季節の変わり目は神様も体調崩しやすいと思うので気をつけてくださいね!!
#神様へ
神様へ。
いるのかどうかも、
正直よく分からないけれど、
こうして言葉にしてしまうくらいには、
どこかで信じているのかもしれない。
もし本当にいるのなら、
少しくらいは、
見ていてほしい。
あの人と両思いにしてください。
美味しいものたくさん食べたい!
お金持ちになりたい。
幸せになりたい。
あの人の病気を治して。
今日も今日とて沢山の願い事が降ってくる。
それはとても煌めいて時に切実でそして苦しい。
空の上から今日も必死で生きる生きものを興味深げに寝転んで眺めていると上から声が降ってきた。
「何か面白いことあった?」
上半身だけ少し横にずらし声の方向を見上げる。
そこにはふわふわの愛らしい容姿をした同業者。
神というより天使に近い容姿をしている。
「今日も人間はいろんな願いを俺に投げつけてくるなーと見下ろしてたとこ」
「何かお願い叶えてやるの?」
寝転ぶ俺の隣りにチョコンと座り見つめてくる。
「今日も可愛いねぇお前は」
「…人の話し聞いてる?」
呆れた顔も可愛いねーお前は。
軽く柔らかな髪を撫でて宥めて、それからまた視線を地上に向ける。
「んー願いは自分で叶えるものだからなー。無闇に手を出してはいけないよ」
「でもみんな神様を求めてるよ?」
「うん、それはね」
少し間を置いて答える。
「人は誰かに縋りたいものだから」
にこりと隣りの彼に笑いかける。
「だからね、俺はみんなの依り代になるだけ」
「何もしないの?神様なのに??」
「手助けするのは簡単だけどさ、人間って案外図太いの。ダメになっちゃうときもあるんだけどさーちゃんと自分で起き上がれるんだよね」
「それじゃあ、僕たちいる意味ないじゃん」
「あるよ。困った時にはいっぱいいっぱい願ってもらう。そしてちゃんと自分で起き上がるのを見守る!」
「それが、俺たちの仕事だよー。だからさー」
たくさんたくさん俺たちにお願いして。
ちゃんと願いが叶うまで見届けるから。
それがダメだったとしても君たちの事ちゃんとずっと見守ってるからね。
(神様へ)
『神様へ』
忘れられたらどれほど楽か。
狂えてしまえたらどれほど楽か。
それなのに私はいつも、きちんと覚えている。あの日の光の角度も、あなたの声の湿度も、自分がどれだけみじめだったかも。狂うことすら許されないように、意識はいつまでも澄んだままで、私を見ている。
神様、あなたはどうしてこんなふうに作ったのですか。忘れる力を、壊れる自由を、どうして私には渡してくれなかったのですか。
痛みを知るからこそ美しいものがわかる、などという言葉は知っています。でもそれはあまりにも、遠いところからの慰めに聞こえる。今夜の私には届かない。
ただ、少しだけ眠れたらいい。少しだけ、全部を手放せたらいい。それだけを祈っています。聞こえているかどうかも、わからないけれど。
神様へ
どうか、未来をください。
―――時を奪われた女より。
神様へ
世界中のあと一歩踏み出せない人に
少しの勇気が出るようなきっかけをもたらして下さい
世界が私にはとても残酷に見える。
生き物には寿命があって、まだしたいことが多くあるのに身体が衰えて亡くなっていく者。
寿命が残っているのに心が尽きて亡くなる者。
どちらも寿命があるのに奪い合う者。
貴方の心に飼う神様にはどう映っているだろうか
〜神様へ〜
この世に、何のために生まれてきたのだろう。きっと、何か決めて出できたんだと思う。そんなこと考えないで、流れに身を任せて、淡々と生きていくこともできる。
でも、ふと立ち止まって、色々考えたりする。何のために生きているのか。ああ、生きている、こうやって生きていきたかったんだと実感したいと思う。
まだ、見つけられていない感じがしている。そうやって、過ぎていってしまうのだろうか。ただ何か動いてみると、少しは変わる気がする。
もしそれが、これだ!と思うものじゃなくても、そんなことを積み重ねていくことが、大切なんだろうか。
「神様へ」
神様どうか私を楽にしてください
生きやすい場所をお与えください
この世界で生きてることがずっと前からつらいんです。越えられない試練は与えないとか言うけれどそれは違うと思って今まで生きてきました。どんなに苦しい経験も後々活きてくる 今は踏ん張る時なんだ、そう思って耐えてきました。でも今はもう頑張れない 進めない。これは私が弱くなったのでしょうか ひとり取り残されているのでしょうか。あー神様、先の見えない暗闇にどうか光を…
「神様へ」
ある男が捕まった。
山の中、とある少年を一人攫って画していたらしい。
保護された少年に目立った外傷は無く、ただひたすら、警察関係者を押し退けて男の元へ寄ろうとしていた。
世間は洗脳された少年を酷く哀れみ、男に対するヘイトはみるみる高まっていく。
やがて男は、勾留中に自らその命を絶った。
それを知った世間は、ある者は掌を返して男を哀れみ、またある者は罪を償わずして死んだ男を罵った。
ただ、攫われた被害者の少年だけが、酷く絶望したように、親の死を信じられない子のように泣いていた。
男は、死ぬ直前、少年へあてたものだと思われる手紙を遺している。
内容は、取り留めもないような雑談から始まって、何度も何度も謝罪の言葉が繰り返されていた。
本物の父親になれないこと、少年をまた一人にしてしまうこと、少年の両親から、彼を救うことができなかったこと。
角張った、少し乱れた字で、ただひたすらに謝罪の意が連ねられていた。
世間がこの手紙を知ると、男の手紙の意図を皆して考察し始めた。
攫われた少年も、自らの手で命を絶った誘拐犯も、顔も名前も無い世間にとっては玩具も同然。
一過性の、新しい刺激を与える話題でしかない。
それからまた数日後、今度は少年が、かつて男に攫われ、軟禁されていた山の中で自死したことが報じられた。
彼の遺体のすぐそばには、あの手紙への返信のような、それでいてどこかずれた中身が並べられていた。
あの日自分を連れて行ってくれて嬉しかったこと、毎日温かい食事が出てきて驚いたこと、頭を撫でる手のひらの感触が新鮮だったこと。
世間が予想した男の犯行と、随分食い違う手紙だった。
瞬く間に話題を呼んだこの一連の事件は、しばらくすればもっと新鮮で刺激的なニュースにすり替わり、世間はその関心を失っていく。
それからまた数週間後、あの事件の終末が、新聞の片隅でひっそり迎えられる。
男は誘拐犯であると同時に、酷い虐待家庭から少年を救い出した者であり、歪な愛情を求めた者でもあった。
少年は被害者であると同時に、異常な程の盲信を孕んだ歪んだ思想の持ち主であり、男の歪んだ求愛欲求を完璧に満たす者だった。
男が少年に宛ててしたためたあの手紙はきっと、救世主になりきれなかったことへの懺悔だった。
少年が男に宛てて遺した手紙はきっと、自分の信じる神に対する、最上級の愛の言葉だった。
世間が関心を失った、白黒の文字の世界の中で、神になりきれなかった男と、歪な神を信じた少年の物語は、密かに幕を下ろした。
テーマ:神様へ
神様へ。
地球は、太陽との距離が完璧な位置にあるので、水に恵まれ多様な生命が誕生した。
アニメでは火星に移住しているが、現実は生物の生存を拒む過酷すぎる環境だ。
つまり、地球は偶然出来たのではなく、神のような存在に創造されたと言える。
神様へ言う事は特にない。
お願いしたところで何も変わらないからだ。
願いが叶うなら、神様に1日中祈りを捧げるが残念ながらそんな事はない。
昔、熱心なキリスト教信者の子供が交通事故に遭い、信仰の為に手術で両親が輸血を拒否して子供が死亡する事件があった。
神様が存在するのなら、奇跡で助けてもいいのではと思う。
だが、何も起こらなかった。
世界で未だに戦争や紛争や事件等で多くの人が犠牲になっている。
何の罪のない人が理不尽に死んでいく。
これが現実である。
我々がアリの生涯に興味がないのと同じように、創造主も人間に興味がないのだ。
僕は宗教を否定するつもりはない。
良心的な宗教の信者になり、心穏やかに幸せな人生を歩めるのなら素晴らしい事だ。
ただ、怪しい新興宗教には気をつけた方がいい。
せっかくの人生が台無しになる。
運と才能と努力。
この3つの要素があればどんな夢も現実になる。
叶わなければどれか欠けている。
たった一度の人生、自分の為に明るく楽しく生きればいいのだ。