『神様へ』
罪と言うのは、一生消えない。
一度犯した罪は、自分の心にも、そして周りの人の心にも残る。一生消えない傷として。
「ねぇ、小夜先輩。目を開けてくださいよ……」
そう、俺が抱き抱えている人に言葉をかける。
先輩のお腹からは大量の血が出ていた。もう助からない、それはわかっている。
でも、そう信じたく無かった。俺の油断で、こんな事になってしまったと言う事実を。
「先輩、お願いします……俺、もっと気をつけますから……だから……」
先輩からの返答は無い。ただ、まだ目を開けている。生きているはずだ。
「煌驥……君」
俺は声がする方、自分の胸へと視線を向ける。
「先輩! 先輩!」
「ごめんね……煌驥君……私がもっと、強ければ良かったんだけど……」
「それは違う! 俺のせいだ! 先輩は何も悪く無い!」
俺の目から、涙が溢れる。自分の弱さに、情けなさに。
「ごめん……ごめんね……煌驥君……」
「先輩?! 先輩! 目を開けてください!」
何故、俺はこんなにも弱いんだ。何故、罪を消せない。後悔を消せないんだ。
なあ、神様。お願いだ。1度だけ、1度だけで良いから。
おれたち
無力な『人間』に、力を下さい。
4/16/2024, 8:30:33 AM