『眠れないほど』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたの腕が好きです
いくら屈強でも
私を包む時は柔らかくなるその腕が好きです
あなたの胸が好きです
頼りがいがあって
泣きつく先はここと決めるほどその胸が好きです
あなたの吐息が好きです
聞こえるほど近くにいると
私に気を許していると実感できるその吐息が好きです
あなたが好きです
想うだけで安らぎ眠れるほど
もう あなた無しでは
【眠れないほど】
窓を開ける。
深夜。全てが眠る丑三つ時。
それでも遠く見える灯りは、いつまでも潰える事はなく。
不意にどこかで、声が聞こえた。
楽しそうに、夜を歌っている。
寂しそうに、誰かを求めて啼いている。
それに惹かれるようにして、窓から外へと飛び出した。
「あ、夜更かしさんだ」
くすくすと背後から笑い声。
振り返れば、にんまり笑う子供が一人。木の枝に腰掛けて、足を揺らしながらこちらを見下ろしていた。
「安眠妨害しておいて、何を言う」
睨み付けるが、特に堪える様子はなく。
「こんな遠くまで来ておいて、よく言う」
笑いながら返された言葉に、思い切り顔を顰めてみせた。
「キミはいつも優しい。こんな遠くで啼いていても、必ず駆けつけてくれる」
「偶々、だよ。偶々、寝ようとした時に声が聞こえたから。気になってしまっただけの事」
子供に手を引かれて進む、獣道。
純粋な好意の言葉に、そんな事はない、と否定する。
ただ遠くの灯りが、今夜は何故か気になってしまっただけ。
窓を開けたら、偶然啼く声が聞こえただけ。
聞こえないふりも出来た。けれども聞こえぬふりをするには、あまりにも必死に啼いているものだから。
決して子供のためではないのだと、素直になれない言葉は、それでも、と笑う声に静かに解けていく。
「こうして来てくれたのだから。優しい事に、変わりはない」
ありがとう、と感謝を告げられて、それ以上何も言えず。
まぁ、うん、と。間の抜けた自分の声に、何とも言えない気持ちになった。
「今回は、何に啼いていたの?」
気まずい心境に耐えられず、話題を変える。
それに気づいたのだろう。ふふ、と漏れる声に、見えてはいないと分かっていても、熱くなる頬を誤魔化すように俯いた。
「夜が明るくなってしまったからね」
歌うように子供は囁く。
「人間は気づかなくなってしまったね。暗闇を怖れなくなった。遠くない先に、ボクらは皆消えてしまうのだろう」
声は酷く穏やかだ。変わらず笑っているのか、それとも泣いているのか。
手を引かれている今、声だけでは子供が何を思っているのか察する事は出来ない。
「だから昔を思い出していた。暗い暖かな夜を懐かしんで、歌っていたんだよ」
受け入れてしまっているのか。終わりを。
夜に在るモノ達にとって、それは悲しい事ではないのだろう。必然だと、最初から理解してしまっている。
しかし人である自分にとって。
その終わりは、どうしようもなく寂しい事だと思ってしまった。
立ち止まる。引かれていた手を解いた。
「優しい子。不快にさせてしまったかな」
振り返る子供の表情は、声と同じく穏やかで。
少しだけ視線を逸らして、馬鹿、と呟く。拗ねて見せれば、小さな手が宥めるように離した手を包み込んだ。
「ここに啼く声を聞いて姿を見れるのがいるのに、いないように話をしないでほしい」
「そんなつもりではなかったのだけれど。でも、そうだね。キミの前で話してはいけない事だったね」
ごめん、と。謝罪の言葉を口にして。
「行こうか」
静かな声に促され、小さく頷いた。
手を引かれ、再び歩き出す。
話題を振ったのは自分の方であるのに、謝らせてしまった事を心苦しく思いながらも。
今は何も言う気にはなれず、俯いてただ促されるままに暗い道を歩いていた。
「ほら、着いたよ」
立ち止まりかけられた声に、同じように立ち止まり顔を上げる。
いつの間にか、境界を越えていたようだ。
木の上で鳥達が久しぶり、と歌う。
獣達がこちらに駆け寄り、鼻先を押しつける。
背を押され、繋いでいた手を離して促されるままに歩き出す。
月明かりの下。白い花の咲き乱れるその中央に座る、彼女の元へと。
「また呼ばれてしまったのだね。まったく、仕方のない子らだ」
「ひいばあちゃん」
腕を伸ばして彼女に抱きつく。軽く目を見張った彼女は、それでも優しく受け入れてくれ、小さく安堵の息を吐いた。
「どうした?子らに何か言われたか?」
「別に、何も。夜に啼く声を聞いただけ。眠れないほどに啼くから来てみただけ。いつも通り」
背を撫でられて、その温もりに目を閉じる。
「現世は生き難いか?」
「分からない。もうどうでも良いのかもしれない」
「そうか。すまないな」
彼女が謝る事ではない。
この体に妖の血が流れていてもいなくても、それほど変わりはなかったのだろうから。
周りに興味を持てないのは、きっと性分だ。
「ボクらの終わる先の話をして、悲しませてしまったんだ」
「別に、大丈夫」
背後から聞こえた声に、目を開ける。
視線だけを向けて首を振り、否定した。
「いつも通り。さっきの話なんて気にしていない。大丈夫だから」
「相も変わらず、素直でない事だ」
「別に、そんな事はない。優しい子だと言われたばかりだし」
素直になれないのも性分だ。
素直であったならば、とは常に思っている。けれどどうしてもなれないのだから仕方ない。
くすり、と笑われる。
くすくす、くすり。笑い声が響く。
「笑わないで」
「笑いたくもなるさ。お前は言葉だけが素直でないのだから」
言葉以外は、とても素直だと言うのに。
笑う周りに耐えきれず、ぺちぺちと彼女の胸を何度も叩く。肩口に額を擦り寄せれば、背を撫でる手が一層優しくなった。
「すまんすまん。詫びにはならんが、可愛いひ孫に一つ言っておこう」
「…何?」
「近く、南に住まう狸が祝言を挙げるらしい。それを冷やかしに行こうと思っているのだが」
急に何を言っているのか。
顔を上げれば、愉しげに笑う彼女と目が合った。
何故か、とても嫌な予感がした。
「お前も来い。彼方よりもお前の方が美しい花嫁になるのだと、自慢させてくれ」
本当に、何を、言っているのか。
彼女から離れ、数歩下がる。背を撫でていた手が簡単に離れてしまった事が、逆に怖ろしい。
彼女はそれ以上何も言わず。ただ愉しげにこちらの反応を伺っている。
また一歩、後ろに下がりかけ。
けれど何かに背中が当たり、それ以上は下がれなかった。
恐る恐る振り返る。
虚を衝かれたように瞬く目と、視線が交わり。
今は子供の姿をしている彼が、照れたように微笑んだ。
20241206 『眠れないほど』
眠れないほど
・トラン(アーレントの組織)の新加入者のお話
「---よって、‘ ’侯爵令嬢との婚約を破棄する!」
ずっと、昔から…生まれる前から決まっていたこの婚約が破棄される日が来るとは。彼への想いも、尊敬や慈愛から生まれつつあったのに。彼が浮気していることも、結婚するまでの辛抱と思っていたのに。
彼は浮気相手の伯爵令嬢である彼女を選んだ。
彼女の妄言を信じて、私を制裁するなんてことまで言って。
周りの貴族は私を守ってくれている。彼女の妄言を信じているのは、彼女の虜になっている周囲のご令息達だ。
それは、分かっているのに。彼に突き飛ばされたこと、睨みつけられたことで私の心が折れてしまった。
能力のある素敵な女性と思われたかった一心で、眠れないほどの努力をしてきたのにもかかわらず全てが打ち砕かれた。
目の前が真っ白になってへた……と力が抜けて座り込む。
周りの方が声をかけてくれてもそれが一切聞こえない、遠くからやまびこが聞こえるような心地だ。
そんな中で更に聞こえるぼんやりとした声達が大きくなる。
「危ない、侯爵令嬢……!」
なんて危機を報せる声がやっと届いた。
でも、危ないって…?
そう思った瞬間、鮮明になった視界には婚約者の彼の手が迫ってきていた。でも、もう動く気力すらないのに、避けるなんてとてもできない…
今まさに髪ごと頭を鷲掴みされそうになった瞬間、黒い何かがそれを遮った。
「ふぅ、危ないなぁ。男の子が女の子にそんなことするなん
て、いけないよ?」
人だった。迫っていた怒りの形相の婚約者の手を遮った人は、深い夜のような髪色をしていて…来ている服も彼の髪色を表現するような美しい黒だった。
「なんだお前!これは婚約者同士の問題だ!部外者が口を出
すな!!どこの家の者だ?貴様の親に言って生涯家から出
ることがないようにしてやる。
俺は公爵家の後継者だぞ!!!」
そう、彼は王室の次に地位のある公爵家の長男で権威がある。だから私を気遣えども周りの人たちは直接的に私を守ることはなかった。なのにこの方は私を守ってしまった。
どうしよう、なんて考えていると黒髪の方が笑いだす。
ああ、婚約者が完全に怒っている……止めないと、と手を伸ばした時には黒髪の方は婚約者に近付いていた。
「あはは、君は公爵家の後継者だと言ったけれど…
その肩書きに勝る者がいないと早とちりするのは良くない
ぞ〜?」
「何言って……!」
「ご挨拶をしよう。俺は遥か昔からこの国と友好関係を結ん
でいる竜帝国の皇帝をしていた前皇帝でね、
ファイリア・ロールズセンだ。よろしく頼むよ。」
凛とした声と共に彼の手をぎゅうと握り、にこにこと挨拶をする。
そこにいた者は皆唖然とするしかなかった。
公爵家に勝るどころか、この国の王にも勝る地位の者が現れたからだ。それも、国王も敬い膝をつくレベルのグランローヴァ様率いるトランの第ニのメンバーであるときた。
これには公爵家ご令息も真っ青だ。
急いで両膝を地面につけ許しを乞うように首を垂れる。
「お、お許しください!ファイリア様とは気付かずご無礼
を働きました…!!」
なんて、手のひらがクルックルの様子に問題の渦中にいた令嬢はへたり込んだまま置いてけぼりになってしまった。
そんな中後ろからもう一人落ち着いた様子で近づいてくる。
「ファイリア、そこの子よりも気にかけるべき子がいるだろ
う。お嬢さん、立てますか?」
ファイリア様と同じく夜空の様な黒にすこし夕焼けのようなオレンジがかった髪色を持つ方…呼び捨てということは同じくトランメンバーの方だろうか?
ぼーっと考えていたら、自力で立てないと思われたのか手を差し出してくれた。白の手袋をしていてとても爽やかな方だな…
「あ…お気遣いありがとうございます。」
そっと手を伸ばして立ち上がる。目眩でふら、とよろけた私をその方はしっかりと支えてくれた。あまり男性に触れられたことがないから緊張する…!
「ユリィ、ごめんごめん。お嬢さんも、ごめんね!
皆さん!この方は我が兄弟子でありユリウス・シエル・
ロールズセン様だ!トランの第一のメンバーだな。」
「俺の弟弟子が失礼致しました。
ご紹介にあずかりました、ユリウスです。よろしくお願い
します。」
明るく朗らかなファイリア様と、物腰柔らかで上品な仕草のユリウス様。トランメンバーが二人も揃うとは…異常事態ではないのか…!?
皆がその異様な光景に気付き、動揺し始めた。
トランメンバーのお二人はそれに勘付いたのか、咳払いをしてユリウス様が口を開く。
「んん…侯爵令嬢、貴女が婚約破棄を告げられたこと非常
に残念に思う。そんな状況の中でこの提案をする無礼、
お許し頂きたい。
貴女はこれから先、老いずそして死ぬこともないだろう。
そこで我らトランに加入しないか、とグランローヴァ様が
仰った。いかがだろうか。」
老いず、死なない?私が?トランに、加入?
情報量がキャパシティを超える、一体どういうことだ。
考えていると、婚約者がギャアギャアとこっちに怒鳴り声をあげている。私を思う気持ちはもう微塵も感じられない彼に、少し嫌気が差す。彼は私がどうなろうときっと気にも止めない。私がトランに加入して自分より地位が上がることに不満を持ってるだけだろう。
すごく悔しくなった。私にとって彼は大切な人だったけれど、彼にとっては添える花にもならなかったのだろう。
嫌な現実の中、こちらを真っ直ぐ見てくれる人に向き直る。
吸って……吐いて……できるだけ落ち着いて返事をしよう。
「ご提案、謹んでお受け致します。
どうかこれからよろしくお願い致します。」
完璧なカーテシーを心がけてお辞儀をする。
顔を上げれば、より一層優しい笑みを浮かべるユリウス様と目が合った。
「そうか、ありがとう…急な提案で戸惑ったろうに、
受けてくれてありがとう。直ぐにとは言わないが、早めに
この地を発ってグランローヴァ様の元に行こう。」
それからは大忙しだった。さっさと婚約破棄を済ませて両親に会って起きたことを全て報告して倒れる母を支えながら自身が不老不死者であることを伝えトランのメンバーとして旅を始めることを宣言した。両親は腰を抜かした。
だが、彼らの愛情は深く、離れた地でもいつでも想っていると、本当に大切な人を見つけられるチャンスだと送り出してくれた。
あれよあれよという内に旅の準備が終わり、両親に見送られながらも生まれ育った場所を離れた。
ファイリア様の横に並び、先を行くユリウス様について行くような旅が始まった。
にんまりと笑みを浮かべたファイリア様が私の顔を覗き込む。
「ご令嬢、君はもう自由だからどこへでも行けるんだよ。
行きたい場所を言ってくれれば連れて行こう!
これからは君の人生をうんと楽しむといい。」
嬉しそうな声でそんなことを言ってくれるから、今までの我慢していた感情がふつふつと溢れる。泣いてしまえば、お二人を困らせてしまう。
分かってるのに止まらなくなってしまった。
おろおろと背をさすったり手を握って宥めてくれる二人の間で、彼女はひとしきり泣いた。
あまりにも綺麗だったから。
あの人の、元婚約者に相応しくなれるようにいつのまにか空を見上げることなんてなくなっていた。
ユリウス様とファイリア様は、私を空が見える場所まで連れ出してくれた。そんな空があまりにも綺麗だったから、きっと涙が出るんだ。
もうすぐ冬が来る。澄んだ青空は傷ついた心を奥まで照らす光を運んだ。
数日かけて辿り着いた家で、彼女は新たな名をもらう。
彼女の名は「レティシア・アーベント」
蒼月・アーレント・ロールズセンの第三の弟子である。
辺りはどっぷりと闇に包まれていて何も見えない。
視界を与えているのは心許ない一つの蝋燭だけ。
風が少し強く吹けば消えてしまう熱を帯びた緋が、ちらちらと光と影とを生み出しては揺れている。
太陽が沈めば簡単には辺りを明るくなんて出来ない。今が朝なのか夜なのか、時間感覚も自分が生きているのかも何にもわからない。狂ったせいで眠る事も起きる事も奪われるなんてね。
まぁ人生なんてそんなものか。
「包み込んでくれる陽の光とまた出会えないのなら」
炎に触れると、瞬く間に身体を伝って地面を伝って、緋は全てを覆い尽くした。
『眠れないほど』
17眠れないほど
眠れないほど強く意識したことがなかった
そんな漠然とした日々に戻る機会が多くあることに
気付いたことを眠れないけど知れてよかった
眠れない
もうすぐ朝だ
目をずっと瞑っておけばきっと寝れる
そう思ってさっきからずっと瞑っている
けど寝れない
暗い部屋の中豆電球がほんのり光る
頭の中がぐるぐるしてる
寝なきゃ
寝なきゃ
寝なきゃ
そう思えば思うほど
眠れない
朝が来てしまう
怖い...
明日も
今日と
同じなのかな...
お題『眠れないほど』
「母さん、今日、父さんが帰ってくるのよね」
寧音は布団から飛び起きるとごはんの支度をしている母さんに声をかけます。
都へ仕事に出かけた父さんは秋祭りの日には帰ってくると言いました。明日は秋祭りです。父さんが帰ってくるなら、今日しかありません。
「そうね、父さんが帰ってくるまでに家の事を片付けてしまいましょう」と母さん。
午後になり寧音はまた母さんに訊ねます。
「ねぇ母さん、父さんはいつ帰ってくるのかしら?」
「いつかしらね」と母さんは答えます。
空が茜色になっても父さんは帰ってきません。
「母さん、父さんはまだかしら」と寧音は訊ねます。
「そうね、先にご飯を食べてしまいましょう」と母さん。
寧音は久しぶりに父さんと母さんと一緒に食べる食事を楽しみにしていたのに、と少し不満に思いつつ夕食を食べ終えました。
空に星が見える時間になっても父さんは帰ってきません。
「寧音はそろそろおやすみなさい。父さんが帰ってきたら、起こしてあげるから」と母さんは言います。
寧音は嫌々布団に潜り込みます。
父さんは秋祭りまでに帰ってくると約束したのに、いったい何をしているのでしょう。もしかしてもう戻ってこないのでしょうか。寧音は不安になりました。布団に入っても全く眠たくありません。
そっと外を覗くと西の空に細い月が薄く出ています。
その時、扉が開く音がしました。
寧音は布団を跳ね退けて玄関に向かいます。
そこには笑顔の父さんが立っていました。
『今来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな』
—————————-
お題:眠れないほど
「眠れないほど」
疲れた。今日もとても疲れた。
しっかり眠れないほどに、疲れてしまった。
何にも疲れるような要素なんてないのに、どうしてこんなに?
自分でもよく分かっていない。
そんな時には自分自身に聞く。
何かあった時はこうやって、不貞腐れきったもうひとりの自分に尋ねてみる。
「何か嫌なことがあったの?」
「どうしてこんなに疲れているの?」
「その涙はなんで流れているの?」
他人事みたいに、聞いてみる。
もうひとりの自分はこっちを見ずに答える。
「分かってるくせに。なんで嫌なことほじくり返すかな。」
お互いのために聞く。だってどっちも私だから。
「疲れすぎて睡眠不足のスパイラルになってる。イライラする。」
「誰も話を聞いてくれない。」
「もはや理由もわからず泣いてる。」
こういう時は美味しいアイスとか、ハーブティーとか、好きな音楽で自分を甘やかして、ゆっくりする。
そして、好きなだけ眠る。
……いつもこんなふうに休みたいのはやまやまですが、そううまくいかないのが現実です……。
皆様も無理なさらず、寒さに負けずにお過ごしください。
『旅』
旅行の前日。何度経験しても眠れない夜。明日の旅行への期待は嫌というほどに胸を高鳴らせる。
明日の旅行の行き先は今までに何度も行った場所。記憶を辿れば、行く先々の情景はまるで目の前にあるかのように脳裏に浮かぶ。
幾度となく通った道。
幾度となく乗った電車。
幾度となく降り立った空港。
その全てに記憶に残る思い出があり、そしてまだ見たことのない景色がある。
眼を閉じても瞼の裏に映る旅の情景は、私をまだ眠らせてくれそうにない。
──お題:眠れぬほどに──
「眠れないほど」
眠れないほど、不思議な夢を見た。
起きた時、現実だと思ったほど。
とても現実的で不思議な夢。
続きが気になってもう一度眠ろうとした。
眠れない。
続きが気になって眠れない。
夢か現か。
眠れないほど
眠れないほど考え込むこの性格をどうにかしたいと思う
思うが、それを実行出来ないのが元よりの性格だと諦め始めた
「夜が明けた…」
遮光カーテンから朝日が溢れている事に気が付き、今夜も寝れなかった…とため息をついた
流石に仕事に影響が出始めて来たし、心療内科に受診しようかと思いつつ朝の支度を始めた
小6の時、図工で小さい木のイスを作り
座面を彫刻刀で彫って飾るという
使い途の分からないものが課題になった。
もたくたしてるうちに提出期限が迫り
ウチに持って帰って慌てて制作して
彫刻刀を指にぶっ刺した。
脈動とともに血が溢れてくる。
心臓より高い位置で直接止血をし
一晩中腕を上げて過ごした。
眠れないほど痛かった…と言うより
眠れようはずもない。
翌日、どす黒い朱に染まったイスに
黒い絵の具を塗ったくって、ニスを塗り
提出した。
悪くない評価だった。
(眠れないほど)
頑固なところも、切りすぎてる前髪も
大人数が苦手なところ、結構嫉妬魔、
適当で面倒くさがり、自分勝手、
でもたまに気が使える
あぁ、大好きで大好きで、仕方がなかった
憧れなんだと自分に言い聞かせてたあの頃
多分すきに近い存在ってのは気づいてた
いや依存気味だったかも
眠れないほどあなたのことを考えた時は
決まって私が空回りして、
あなたの自己中に振り回されてたね
今も眠れないほど
もう卒業したいよこんな私
眠れないほど
眠れないほど
わたしが憎いか
お門違いのその怒り
悔しければ 立ち上がり
自らの足で半歩でも進めよ
うずくまっていては
なにも変わらないぞ
『眠れないほど』
眠れない……。
ベッドの中に入って、目を固く瞑っても、今日あったことを思い返してしまう。
どうして、あの時あんなこと言っちゃったんだろう。
どうして、あの時もっと早く気付いていなかったんだろう。
嫌な気持ちにさせてしまったかもしれない。迷惑かけてしまったかもしれない。
そんな一人反省会が私の日課だった。
でも最近、ふと貴方のことを思い出すの。
朝、挨拶できたなとか……廊下で何回すれ違ったなとか。
目が合った時の貴方の表情、交わした会話を思い返してしまう。
不意に見せた貴方の微笑みが、なんだか眩しくて目に焼き付いてしまったみたい。
ベッドに入って、目を固く瞑っても、貴方の微笑みが鮮やかに瞼の奥で揺れているから、ドキドキする。
眠れない……。
早く明日になって欲しいのに、瞼の奥で貴方が笑いかけるから、眠れないほど貴方に恋しているの。
(下書きとして一時保存)
20241206.NO.112「眠れないほど」
眠れないほど
あなたが恋しくて
この鼓動が鳴り止まない
眠れないほど
あなたが愛おしくて
この涙が止まらない
たまらない私の気持ち
あなたへの想いが募る
あなたとわたし
似ているようで似てない私達
私の悩み事があなただという事
なんてあなたには
わからないでしょう
眠れない夜は私が起きている
眠る夜のあなたは何も知らずに
眠っている
でも私はあなたじゃないから
あなたが何を思っているのか
わからない
はっきりしない闇夜のような
あなたの気持ち
薄夜明けの空のように
私の悩みも晴れたらいいのに
眠れないほど
私はあなたが恋しい
眠れないほど
あなたへの想いは
募るばかりだ
眠れないほど面白い本を見つけてきた。
しかし、辞書のようにとても分厚くて、誰もが鈍器のような何かだと思う程度に重たい。
読了するには時間的効率が悪いので、こういうのは、YouTubeの動画のように、誰かに要約してもらうに限る。
「そうだ! 近所の池に超絶暇そうな浮浪者がいたじゃねーか」
鈍器のような本を引きずって、近所の公園に出向いた。
まるで死体遺棄でもするかのように、その本を池に捨てた。
すると、どこかの定番ストーリーをなぞった。
池から自称女神が出てきた。
「あなたが落としたのは、この面白い本ですか?
それとも眠れないほど面白い本ですか?」
「ふむ……」
などとしばし選択に迷う素振りをしてから、
「面白い本と言われてもな、世の中面白い本なんていくらでもあるからな」
といった。自称女神の目つきが悪くなる。
「本の装丁や表紙の色で見分けがつくかと思いますが」
「しかしなあ、見た目だけでは本というのはわからないものなのだよ。物語とはね、文字情報の住処みたいなものなのさ。そんな風に見せたところで、オレにはどちらがどっちなのか、見当もつかないのだよ――そうだ!」
と、わざとらしい提案をした。
「それぞれあらすじを言ってくれないかな。そうしたら、どちらがオレが落としたものか分かるだろう」
「人間の分際で女神に要約を頼むとは……。なんと愚かしい浅知恵。まあ、いいでしょう」
女神はパラパラと斜め読みした。時間はパラパラマンガのように数秒である。
どうやら俺が持ってきた分厚い本はミステリー小説のようだ。若い女が不審な死を遂げて、その事件は未解決事件になった。
しかし、時効が成立する三日前に、一隻のクルーズ船が日本海に飛び出した。そこで人が殺される……。
「寝るほどつまんなそうだ」
オレは女神のそばにあった本をふんだくることにした。
「なっお前! それは私の……」
「悪いが、俺の持ってきた本はつまんなそうだからさ、もう一つの本にするわ。こっちは薄い本だし、なんてったって「面白い本」っていうタイトルだからな」
女神のコレクションを強奪したオレは家に帰った。
その本は3日くらいかけて丁寧に読んだ。
嘆きの女神になったらしく、その数日は大洪水時代になったようだが、関係がない。ノアの箱舟のような沈まぬタワマンの最上階にいるのだ。
[眠れないほど]#08
╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌
すごく面白い
すごくワクワクする
眠いけど、そんなのどうだっていい
今はこの先が気になって仕方ない
すごく厚いし
読むのもまだ慣れてないし
所々、辞書で調べないと漢字が読めないし
時間がすごくかかる
でも、時間なんか忘れて
今はこの気持ちのままに紙をめくる
なんだか窓が明るい気がする…
╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌
(図書館で借りた本を朝まで読んだ時の私より)
お題 「眠れないほど」
本日はよくねむれるといいですね