『眠りにつく前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私は眠りにつく前に、明日の学校が無くなればいいのにと切実に願っている。学校生活は楽しい。友達がいて、勉強も普通の人よりは出来て、運動は得意ではないけれど、下手でもない。それに、下校の時は「また明日ね!」と笑顔で友達に別れを告げている。それでも家に着くと、明日の学校をとてつもなく憂鬱だと感じる。
家族は私が「本当に行きたくない」と涙を流しながらでも言えば、多分休ませてくれる。けれど本当に行きたくないわけじゃない。学校に着けば、なんやかんやでいつも楽しい。だから、なにか理由があればいいのにと思う。「いじめられている」とか。
明日学校に行ったら、誰かが靴をめちゃめちゃにしてないかな、誰かが私の机の上に花でも置いといてくれたりしないかな、クラスメイト皆で私を無視してくれないかな。そんな期待は叶うはずがないけれど。
「おはよう、◯◯!」「宿題見せてくれ、頼む!!」「はぁー!?小テストとか聞いてないんだけどー」「やばい、△△先輩かっこよくない?」「ホームルーム始めるぞー!」「早く座れよ、女子ー」
いつもの日常、いつもの風景。
あーあ、明日が何か少しでも非日常なことが起きればいいのに。
「おやすみなさい」
昼食を食べた後の、昼1時からの授業。
私は猛烈な睡魔に襲われていた。
ぽかぽか暖かい気温、古文の朗読という心地良いBGM。
午前中の体育も効いている。
眠りたいという誘惑に負けそうになる。
授業も頭に入らない
そうだ。眠いのなら、いっそ寝てしまえばいい。
しかし寝る前の準備がいる
準備が全てを決めるって誰かが言ってた。
最初に気づかれないように机の上を片付ける。
物があると邪魔な上、落として音を立てる可能性があるからだ
そのまま寝ると丸見えなので、教科書を立てて、目隠しにする。
そして満を持してマイまくらも取り出す。
完璧な寝床だ
では夢の世界へ出発
パアアンという音と供に、頭に衝撃が走る。
「こら寝るな、授業中だぞ」
顔をあげると古文の教師の顔があった。
よくも私の眠りを妨げたな
永遠の眠りにつかせてやろうか
「若返った?」と周りに最近よく言われる。
真緒と同棲を始めてから目の下の濃いクマがほとんどなくなった
彼女はいつも夜更かししたがるから、早寝になった訳じゃない
大学の教授になってから昼まで寝ることがなくなってむしろ睡眠時間は減ったはずなんだけどな、
そんなことを考えながらいつものように真緒がくつろいでるソファーに一緒にもたれかかる
「キングオブコントだよ!今から!」
「そっか今日か、一応予約しとこうか」「うん頼んだ!コーヒー紅茶どっち??」テレビに張り切っている彼女を見ていて思う、幸せだなぁと、この先もずっと、傍に居たいと
表情、思想、発言、行動、魅了する才能、きっとどの世界でも頂点に登り詰める人だ。見ていて飽きることがない。真緒は与える人だから、俺が独占するべきじゃないと分かってる
膝枕
質
居心地
「永遠に」「眠りにつく前に」
日々何となく過ごしているだけでも、徐々に「死」に向かっている。
永遠の眠りにつく前に、楽しく充実した人生を送るためには、如何に時間を有効活用するかが重要である。
最近の学びにより、感じたことを以下の通りメモする。
●やりたいと思ったことは早く始める。
●身に付けたいスキルは、アウトプット中心に鍛えていく。
●無駄な時間、無駄な物、無駄な家事はどんどん省く。
●やらなければならないタスクは、シングルタスクを心がけてひとつずつ取り組む。
※毎日更新を続けていましたが、昨日投稿できなかったため、テーマを融合させました。
白い壁を無言で引っ掻いてた
特別やる事が無かったから引っ掻いてた
ベッドに繋がった拘束具がカシカシと鳴る
自分の心音以外に鳴る音がソレと
壁を引っ掻く度にゴリゴリと指先に響くモノだけ
なんで自分がこうなったのかは分かってる
養護施設で首吊り自殺をして未遂に終わったからだ
なんで首吊り自殺をしようとしたかと言うと
単純に死にたかったからであって
なんで死にたかったかと言うと
周りに馴染めない自分が惨めだったから
学生に必要なのは勉学だと施設の大人が言って
14にもなって16時までの門限を守り続けて
スマホが普及した世の中で通信機器を許されなくて
クラスLINEにたまたま居なかった自分はイジメのターゲットになって
施設に居る子は親に捨てられたとか
親が犯罪者だから頭がおかしいとか
障害者の子供だからコイツもそうだろとか
比較的事実に近いものに尾鰭が付いて揺れて流れて
自分は独りになった
興味本位で近付いた子は確かに居た
施設に行く前は何処に居たのか
どんな学校に通っていたのか
趣味はあるか
どんなものが好きか
色々な事を聞いてくれたけど何一つまともに答えられなかった
自分の居た場所は分かるけど何があったのかは分からなかった
一応学校には通っていたけどまともに通えてなくて昔の友達なんて居なかったから会話も弾まなかった
趣味として胸を張って言えるものも無くて
好きなものを問われても何も浮かばなかった
本を読めば気持ち悪いと言われたから
絵を描けば下手だと言われたから
夢を語ればお前には無理だと言われたから
欲しいものなんてお前には必要ないと言われたから
何も求められなくて
自慢げにコレが好きだとか何も言えなくなって
つまらなかったんだろうな
何も無い自分が哀れだったんだろうな
せっかく話しかけてくれた子も居なくなって
結局独りで
破れたノートとか汚れた教科書とか当たり前で
すれ違えば汚いとか臭いとか言われて
辛かったんだろうな
施設に帰れば同じ施設の子が泣いてて
こんな生活は嫌だとか言ってて
そんな子を外に締め出すとか当たり前で
稀にソレに巻き込まれる事もあって
中に入れたからと言ってやる事は勉強ばかりで
ストレスを吐き出したい子が盗みをしたり
物を壊したりするのにも巻き込まれて
なんかもう嫌になったから死にたくなった
細い方が首に食い込むって本で読んだから
ワイシャツをいそいそと裂いて編んで
思いの外手間のかかるやり方で死のうとして
てこの原理ってやつなのかな
ベランダの柵に繋げて
部屋干し用の物干し竿やベッドの柵に引っ掛けて
自分の体重が乗ってもちぎれないかを軽く確認して
首に括ってた感じ
意外とちゃんと締まってきて
意外とちゃんと苦しくなってきて
声も出なくて耳とかが熱くなってきて
目が変な感じになって
ちゃんと意識が飛んだ
誰が自分を見つけたとか分かってなくて
気が付いたら病院に居て
ボーッとした意識の中で首吊り死体って汚いよなとか考えてた
舌が出たり酷い時は目が出てたり
首が重力で伸びて下からは出るもん出ちゃってて
おもらしとかしてたのかな
してたら嫌だな
次は首吊りは辞めとこって思ってた
で、精神病棟に入院してる
我ながら馬鹿だなとは思う
もっとバレない場所で死ねば良かったのになって思う
そういう話じゃないって先生が怒ってたけどさ
死にたかったんだから仕方ないじゃん
助けを求めて結局どうするの?
施設なんて空きが無くて子供がすしずめ状態なのにさ
学校でイジメを受けたからと言って転校なんて出来ないじゃん
相談すればなんとかなるって言ったってさ
自分は変わらず誰にも馴染めないし面白い事も言えないんだから結局独りになるじゃん
キッカケが趣味も何も無いつまらない施設の子だったけどさ
趣味を作る為に施設が協力してくれるの?
学生の本分は勉強ですって言ってテレビもスマホも見れない持たせない
月に貰えるお小遣いだって勉強用の参考書やノート、鉛筆とかにしか使わせない
外に自由に出してくれなければ服だって決まったもの以外着ちゃいけなくて
そんな状態で趣味なんて持てるわけないじゃん
じゃあ施設の子じゃなくなればいいの?
小学生に身売りを頼む大人の元に帰れば良かったの?
そうすれば少なくとも施設の子じゃないもんね
犯罪者で障害者の親の子には変わりないけど
「結局みんな助けてくれないじゃん」
「助けられる訳無いじゃん」
「助けてもらった結果がコレなんだからさ」
「助けたい救いたいなんてさ」
「出来るわけないのに一丁前に主張して」
「結局やってる事はベッドに縛り付けて薬をぶち込むだけじゃんか」
「死にたいって願ってるヤツくらい殺せば良いじゃん」
「生きたいヤツに対しては全力で応援して手を貸してる癖して」
「死にたいヤツは縛り付けて薬で朦朧としてる時に死ぬのは悪い事だって教えこんでるだけ」
「死にたい原因を何とかできるほど大人は暇じゃないんだろ」
「そんな時間も余裕も何も無いから病院に入れて薬漬けのやり方なんだろ」
「こんなのに税金を使うなら勝手に死なせてくれよ」
「長期的に金を使い続けるより楽じゃん」
「早いし手軽じゃん」
「どうせ数年経てば可哀想な生命でしたねとか」
「あぁ、あの迷惑な死に方したヤツ?で終わるわけじゃん」
「じゃあ無駄に生かさずさっさと殺してくれよ」
スライドドアから聞こえるノック音と解錠の音
若い看護婦が名前を呼びかけて薬を促す
荒い息を整えて布団を被り直す
1度出て行った看護婦は薬とガムテープを持ってきた
剥がれた白い壁紙の下に書かれた文字が埋められてく
“死にたい”
“たすけて”
“出して”
“辛い”
雑にガムテープで埋められた言葉は全部この部屋で過ごしてた人達の声で
鉛筆で書いたもの
古くなった血で書いたもの
どんなもので書いてもその時のその人の本音であり
その時のその人なりの主張なんだろうと思うと
可哀想になってくる
「やっぱり安楽死は許されるべきだよ」
自分の言葉は“寝ましょうね”の一言で終わらせられて
強めの睡眠薬で掻き消される
回らなくなった頭が心地悪さを誘うから
目を閉じて深く呼吸をする
こんなに死にたいのに生きるのに必要な行為をする
虚しくて哀れで苦しくて惨めで寂しくて悔しくて寒くて辛くて怖くて
「…ころして…」
題名:眠りにつく前に
作者:M氏
出演:
【あとがき】
漠然とした死にたいって結構来るんですよね
大人になった今はそれを行動に移す程体力も何も無いんですけど
あの頃は若かったので結構軽率に死のうとしてましたね
あの頃は未来の自分に友達が居るとか旦那が居るとか
何か悪い事があっても笑って隠せる程の力を持てるとか
何一つ分かってなかったのもあってめちゃくちゃ死にたかったです
今は案外平穏だよって言ったらどう返すんだろうとふと思います
昔の自分とはいつか対談したいですよね
タイムマシンか何か出来たらいいですね
その日の出来事を思い出す
楽しかったな
あれしとけば良かった
明日はあれをしよう!
毎日の流れが同じでも
起きてくる出来事は一緒じゃない
違うことに目を向ければ
きっと何か違うことが起きる
「前回が『永遠に』で、今回が『眠りにつく前に』だろ。……まぁ、まず死ネタひらめくわな」
お題配信されたの昨日の夜だけど、その昨晩「眠りにつく前に」何か書け、ってハナシだったら完全にタイムアップよな。
昼寝で眠るにしても遅かろう時刻、某所在住物書きは相変わらず四苦八苦して、物語を組んでは崩してまた組み崩す。
眠りにつく前に「スマホをいじる」悪癖でも書くか、眠りにつく前に「やり忘れた録画」の失態が良いか。
就寝前に食う夜食などは背徳の味であろう。
「そろそろ、書きやすいネタ、来ねぇかな」
次の題目配信まで、残り3時間をきった。
――――――
夏日、夏日、夏日。
今日も昨日も明後日も、秋にあるまじき気温続く昨今ですが、いかがお過ごしでしょうか。
眠りにつく前にベッドの中でソシャゲして、寝落ちて電源落ちた失態を数度かました物書きが、こんなおはなしをお送りします。
最近最近の都内某所、某アパート。人間嫌いと寂しがり屋を併発した、雪国の田舎出身な捻くれ者が、ベッドの前でカリカリ首筋をかいておりました。
「おかしい。戸締まりは、していた筈なんだが」
捻くれ者は、名前を藤森といいます。
ベッドには、某あたたかいウォームな毛布に敷きパッド。まくらカバーもバッチリです。
11月なのに夏日続出な、季節感と気温設定のちゃんちゃらおかしい東京ですが、
ゆえに、6℃10℃ストンと下がる早朝などは、なんとなく、寒い気がするのです。
「かかさんが、キツネの大事な大事なざぶとん、持ってっちゃったの」
で、何故言葉を話す子狐が、ベッドのあたたかウォームな毛布の上で、狐団子になってるのでしょう。
そういうおはなしだからです。
何故藤森は、その子狐をちっとも不思議に思わず受け入れているのでしょう。
そういうフィクションだからです。
多分前回投稿分の、いわゆる続編。
細かい考察は諦めましょう。ほっときましょう。
不思議な、エキノコックス持たぬ子狐が、藤森の部屋にやってきて、ベッドの上を占領しているだけ。
団子になって、スネてるだけ。
それだけ、それだけ。
「『大事なざぶとん』とは」
「フカフカなの。モフモフなの。その上でお昼寝、サイコーなの。なのにかかさん、昨日、キツネから大事なざぶとん持ってって、バンバン叩いて、じゃぶじゃぶお洗濯しちゃったの」
「洗濯は、必要だと思うが」
「バンバン叩くんだよ。洗濯機で、じゃぶじゃぶ濡らすんだよ。酷いよ。ひどいよ」
「それでスネてるのか」
「スネてないもん。キツネ、かかさんに、イカンのイで、ゲンジューにコーギーしてるだけだもん」
「はぁ」
つまり多分、反抗期か何かか。イヤイヤ期か。
藤森カリカリ首をかいて、換毛期真っ最中のモフモフ子狐を、ちょっと抜け毛の出てきた狐団子を見下ろします。
スピスピ、スピスピ。
コンコン子狐、お鼻をピクピク動かして、お鼻の動きがゆっくりになって、段々、段々、目が閉じて、開けて、また閉じて。
もうちょっとで、寝落ちそうです。
「抜け毛をまき散らされても困るな」
藤森はため息ひとつ吐き、毛取りブラシなんて持っておりませんので、
小さめのコロコロカーペットクリーナーを持ってきて、十分に粘着力を落としてから、
コロコロ、コロコロ。お気に入りのお昼寝座布団を洗濯されてご立腹な子狐を、
「あっ、結構、抜ける……」
眠りにつく前に、ちょいと、毛づくろいしてやろうとしたのですが、
意外に大量に、柴犬の子犬ほど毛が抜けたので、
仕方なく、近くのペットショップからブラシを買ってきましたとさ。
布団に入り仰向けになる
そして照明を直視しながらリモコンで消灯する
私は眠る時は真っ暗が好ましいため
照明を見ながら消灯することで手早く視界を暗闇にする
眠いかどうかは瞼の力を抜けばわかる
力を抜いて自然に瞼が閉じれば眠いということである
閉じない時は無理に閉じない方が良い
瞼が疲れて寝づらくなるからだ
わざわざ目を閉じなくとも
暗闇を見ていればいずれは眠りにつくものだ
とはいえ人間には暗順応という機能がある
真っ暗闇にした視界もじきに光が見えてきてしまう
かといい布団に潜るのは細かい埃が心配であるし
アイマスクは紐が煩わしい
そこで私が使うのは黒いタオルだ
暗い色なら良いが黒が最も望ましい
このタオルを折って目の上にかければ暗闇をほぼ維持できる
横向きでは使いづらいのが玉に瑕だが
これなら明るい時間帯でも眠りやすい
まあ
夜には自然に眠くなり自然に早寝できる
そんな生活が送れるのが理想的ではあるのだが……
~眠りにつく前に~
私は、永遠に輝き続ける。
眠りにつくほんの一瞬の前も、
熱烈な光を纏って、
輝き続ける。
あなたのそばで、
心の中で。
〜永遠に〜
〜眠りにつく前に〜
※BL要素がありますので苦手な方はお気をつけください。
今日はありがとう、なんてメッセージを送ったら、五分後くらいにその主から電話がかかってきた。
「どうした?」
「……どうしたって、どうもしないよ」
「うそだね。いつもはこんなメッセージ送ってこないじゃん」
ああ、やっぱりわかりやすかったか。いや、彼が鋭すぎるんだと思う。本当に、おれ自身に関してはエキスパートだから。
「いや、本当になんでもないんだ。今日は本当に楽しかったから、ふわふわした気持ちがまだ残ってるんだよ」
最近、珍しく仕事が忙しくなってしまって、職種が全然違う彼とは全く時間が合わなくなってしまった。一応電話やメッセージのやり取りはちょこちょこしていたけれど、やっぱり「生」にはかなわない。
「……ふーん。ちなみに俺は、さんざん一緒にいたのに寂しいなぁって思ってたよ」
「え」
反射的に声が漏れた。
「やっぱりお前も同じ気持ちだったね」
「え、いや……」
「まったく、いつも素直なのに変なところでバレバレの嘘つくよなぁ。やめたほうがいいよ、そのクセ」
目の前に彼はいないのに、まるで頭からつま先までじっくり見られているようだ。頬が熱くなっているのを感じる。
「だ、だって。ブレーキかけないと、わがままになっちゃうじゃないか」
なにを言ってるんだと言いたげな反応に、ムキになって続ける。
「君はおれがもっとわがままになっていいっての? 君の都合も考えずに振り回しちゃうんだぞ?」
おれなら、少しなら甘えてもらっている証拠だと思って嬉しくなるけれど、度が過ぎるとさすがに辟易する。おれや彼に限らず、一般的な感覚だろう。
「まあ、俺は嬉しいよ。そもそもお前、言うほどわがままじゃないじゃん」
まさかの返答だった。
「今日だって、寂しいから別れたくないって言ってくれたら全然泊まったし」
「い、言えないよ。おれは休みだけど君は仕事でしょ」
「俺んちに泊まるでもよかったんだけど?」
「どっちにしろおれの理性がもたない!」
軽く吹き出された。
「も、もたないって。ぶっちゃけすぎだろ」
「しょうがないでしょ恋人と一緒に寝たら!」
もう、なにやってるんだろう。こんなことならメッセージなんて送らなきゃよかった。彼の聡い性格をうっかり忘れた罰だ。
「いい加減もう寝るよ。ごめんよ、こんなくだらないことに付き合わせて」
「まあまあ、落ち着けって。おかげさんで、前から考えてた計画を実行すべきだってわかったよ」
計画? また話が読めない。
「もう俺たち一緒に住もう。そうしたら今より寂しくなくなるし、帰る場所が一緒になるしで、いいことづくめ」
あまりの大告白に返答できないまま、詳細はまた話すと言い残して通話は切れた。
「……ちょっと、ますます、寝れないじゃないか」
明日が休みで、本当によかった。
お題:眠りにつく前に
私は眠りにつく前に布団の中で考え事をします。
特に何か自分に得のあることではなく、何でもいいから自由に考えます。そうすると、いつの間にか眠りに落ちるので毎日同じようにしています。目覚めはスッキリ、気分も爽快です。
【眠りにつく前に】#75
キミが眠りにつく前から夢の中に入り込んで
ぎゅっと抱きしめたい。
たとえキミが僕を忘れようと
僕のことを思い出すまでずっと抱きしめる。
だけれど最近わからなくなるんだ。
誰の夢に入っているんだろう。
ここは何なんだろう。
俺にとって、キミはどんな存在なんだ?
俺は何なんだろう。
何かが変わっている気がするんだ。
キミが早く思い出してさえいれば。
欲しいのは君の声
欲しいのはぬくもり、熱
欲しいのは陽射しの中を駆けている足音
欲しいのは
欲しいのは
眠りにつく前に欲張りになってしまったのは
眠いせいだと笑う君
「眠りにつく前に」
眠りにつく前に
色々なことを考えるけど
やっぱり最後に思い出すのは
君なんだ。
明日も幸せな1日になりますように、
眠りにつく前に
ありがとうを言う
今日も一緒にいてくれてありがとう
今日も話を聞いてくれてありがとう
今日も君だけは味方でいてくれてありがとう
見捨てないでそばにいてくれてありがとう
返事はないけど
目は瞑ったままだけど
私の腕枕でゆったりとする温もり
涙で濡れて
寄り添って眠る
永遠の眠りにつくまえに
きみと抱き合って
愛を誓って
家族をふやして
世界で一番きみを幸せにするんだ。
お休みの前にホットミルクを一杯
熱が体に染み渡り、程よく体が熱ってくる。
そのまま歯を磨いてベッドへ横たわり、微睡の中へと誘われていく。
このルーティンを毎日したいけども、毎日のことだと忘れちゃうし、ミルクがない時もあるから難しい。
だけどもこれをすると、よく眠れるのだ。
スタスタと広い廊下を歩き、大きな扉の前でピタリと止まる。
扉を大きくノックすると、中から小さな声がした。
『失礼致します。』
声をかけてから、ガチャリと扉を開ける。
部屋は真っ暗なはずなのにベッドのそばのライトがついている。
あかりのそばに寄ると、主人が布団から顔を出してこちらを見ていた。
『お呼びですか、お嬢様。』
優しく声をかけると、ムスッとした顔で彼女は答える。
「どうして早く来ないのよ。あなたが来ないと眠れないじゃない。」
『代わりにメイドがホットミルクを持っていったと思うのですが……。』
「あんなのじゃ、眠れないわ。」
布団の中で、そばにあるぬいぐるみをぎゅうっとしながら主張する。ちなみに、彼女は来年から高校生だ。
『お言葉ですが、お嬢様も来年には高校生。そろそろおひとりで眠ることが出来ないと、厳しいのではないでしょうかね。』
彼女が小さい時から、ずっと寝かしつけてきた。
今日は忙しかったのでほかのメイドに頼んでしまったが、そろそろ大人になってもらいたい。
一人で眠るくらい、小学生でも出来る子はいる。
優しく諭すように伝えると、お嬢様は目を伏せた。
少し無言が続く。
やはり怒っているのだろうか。
彼女の反応を待っていると、ボソリと声がする。
「………………よ。」
『はい?』
「大人でもきっと、一人は寂しいものよ。」
そう言った彼女の瞳はどこか虚ろだった。
お嬢様は、一昨年に旦那様と奥様……お父様とお母様を亡くされている。
きっと、傷がまだ癒えないのだろう。
それが余計に寂しさを倍増させているのかもしれない。
今は旦那様の弟君が会社を経営なさっているが、そこからはお嬢様が会社の跡を継ぐそう。
そのために、普段の学業とは別に会社の勉強もされているそうだ。本当にすごいお方なのだ。
普段こうして大人っぽく過ごしているからこそ、こういう時は子供に戻りたいのかもしれない。
色々考えた結果、一息ついてお嬢様のベッドに腰かけた。
『今から昔話をしますから、聞いたら寝るんですよ。』
お嬢様は目をきらきらさせ、布団をかけ直して聞く準備を整えた。
俺はそんな彼女の頭を撫でながら、昔話を話し始める。
子供の頃に祖母から聞いた話を、ゆっくりと話していく。彼女が眠れない時はいつも、この話をするのがお決まりだった。
話し終わる頃には、彼女のスースーと寝息が聞こえてくる。
『まったく……敵わないな。』
気持ちよさそうに寝ているほっぺをふにっと掴むと、ペシペシと叩かれたが、また幸せそうな顔に戻る。
一体どんな夢を見ているのやら。
まぁでも、この笑顔が見れるのはある意味役得なのかもしれないな、とも思う。
旦那様や奥様がいない今、この笑顔を守れるのは俺ら使用人達しかいない。
絶対に守り通そうと、改めて決意を固めた。
ゆっくりベッドから離れ、ライトを消す。
真っ暗だが、何年も続けてきたため扉までは簡単にたどりつけた。
起こさぬように扉のノブを回す。
振り返るとベッドでモゾモゾしている彼女が、廊下からの明かりでほのかに見える。
『おやすみなさいませ、良い夢を。』
俺は静かに扉を閉めた。
#眠りにつく前に
眠りにつく前に
「あったかめた、ミルクちょーだい」
眠りにつく前のお約束。
君と一緒に、ホットミルク。
今夜もいい夢が見られますように。
とある夜の親子の話。
今日という1日が終わり
布団に入る
眠りにつく前に
あなたのことを想いながら目を瞑るの
あなたが夢に出て来てくれますように
そう願いながら