『真夜中』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真夜中、家を抜け出して彼氏に会いに行ったことがある。
特に何をするでもないけれど形容し難い背徳感があった。
外はもちろん暗いので相手の顔もよくわからない。今となっては記憶も朧げで何を話したのか、どれくらいそうしていたのかも覚えていない。
最後にハグをしてくれって要求に応えていたら他人に戻ることはなかったのかもしれないね
真夜中にふと浮かんでくるのは君のこと
君ばっかりで嫌になっちゃうな
ぱたり。
物語の扉が閉じる音。
静けさ。
カチ、カチ、と小さな音が耳に届き始める。
いつの間にか針は進んでいる。
視線を落とす。
私の手がある。
文庫本がある。
それから私自身がある。
大きく伸びをする。
読み終えた本の表紙を眺める。
じんわりと胸を満たす感慨を噛み締める。
ゆっくりと息をつく。
枕元に本を置き、明かりを消す。
柔らかな夜の幕が降りる。
蘇る光景、声、言葉。
全部ないまぜになって、暗闇に溶けていく。
夢でまた会えたら。
そう願いながら眠りに落ちる。
真夜中。
静まり返った時間に
目が覚めちゃった。
人も動物もきっと寝てて
私だけが夜と友達になれる
特別な時間。
夜風に乗って聞こえる
空と会話。
それでも
人を守る蛍光灯が
夜の星を隠しちゃう。
星とはしばらく会ってない。
会うのは月と紺色の空。
自然の音に耳を傾けて
少しだけ世の中を支配した気分になって
お布団戻ってまたおやすみ。
–真夜中–
罪悪感
私にとっての真夜中とは罪悪感を抱くための時間である。
真夜中に今日1日の行動を振り返りあの時こう返していれば良かった、あの時私が1番に気づくべきだった。などの他の人ならば気にも留めないようなことについて熟考し罪悪感を抱くのだ。
そこから更に1年前、5年前、10年前にしてしまった行動についても罪悪感を抱くのである。
この行為には意味がある。
どんなに他人に可哀想だと怠惰だと言われようとも自分だけは自分がどれほど努力してきたのかを思い出せる人間になる為の行為だ。
私を1番に信じ、愛さなければいないといけないのは私だ。
恋人でも家族でも友人でも先生でもなく。
私の心を守ってやれるのも全部、私だけだ。
だから私にとっての真夜中とは罪悪感を抱き、その上で自分を知るための時間である。
今日もまた真夜中を待つ。
――真夜中――
真っ暗なやみの中で
震えながら歩いていたら
立っていた狐の子に
どうにも涙が抑えきれなくなった
全てを捨てる
その覚悟が間違いかのように
雫は真夜中を伝い続けた
真夜中
真夜中の鐘が鳴り響く。
それは、きっと、魔法がとける合図。
だから、どうかお願い。
魔法をかけるなら、12時の鐘が鳴り終わるまで待って。
夢のような一時を、たった数時間で終わらせたりなんてしないで。夢なら、どうか、醒めないで。
真夜中の静けさと闇は、自分を無制限にさらけ出せる至高の舞台。物音もせず、気配もせず、何者にも邪魔されない最も安心できる時間。濡れた葉の匂いを運ぶ冷たい夜風が心地良い時、どこか冒険に出たくなる。影の街に一人だけ生身を携えて、息を殺して進んでいく。顔の見えない人たちの視線を受けないように、ひっそり上手に避けながら、白い街頭が見下ろす道を一歩一歩と踏んでいく。角のシャッター街を覗いたら、遠くの道の真ん中で、小さな悪魔がお喋りしているかもしれない。
今日のお題:真夜中
それを私の家族は『真夜中病』と呼ぶ。
私はどれだけ疲れていても、睡眠薬を飲んでも、必ず真夜中に目が醒めてしまう。
ため息をついて、キッチンで温めた牛乳に蜂蜜を垂らして飲む。
自室のベッドに戻り、イヤホンをつけて、好きな音楽をかける。
甘い歌声を聞いているうちにもう一度、眠りに落ちてゆく。
真夜中にふと目覚めると世界でひとりきりになった気分になる。静まり返った夜の中におれただひとりだけが存在しているような不思議な感覚。誰も居ないから気楽だ。誰も居ないから寂しい。誰かを見つけたい。誰かにおれを見つけて欲しい。おれはここに居るよ、きみはどこに居ますか。誰宛にもならない言葉は壁に当たってこだまする。そんな虚しさも朝になれば、忘れてしまう。真夜中の出来事は、朝になったら全部忘れてしまうんだ。
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もしもし、聞こえますか。そうそう、君。君に話しかけてるよ。朝になったらボクが消えてみんなが帰ってくる。もしも君がボクと同じ真夜中に存在することができるのなら、ボクと遊ぼう。あそこの十字路にある販売機でラムネを買って、それを飲みながら散歩をしよう。きっと楽しいと思う。なんで楽しいかって? ひとりだとつまんないことも、ふたりになると楽しくなるんだってさ。まだ試したことはないからわかんないんだけど、子供の頃、読んだ絵本にそんなようなことが描いてあったんだ。ボクが言ってることを信じれないなら君が真夜中に遊びに来れたときに試してみようか。ボクはずっと真夜中で君のことをじっと待ってるよ。あ、朝が来る。もうお話は終わりにしなきゃ。じゃあ、まあ、とりあえず、いつかね。え? なに? だめだよ、それは。「またね」なんて言えないよ。だってボクたちまだ会ったことないもの。君は面白いなあ。これは全部、夢だよ。君の夢の中の出来事。真夜中の出来事。朝になったら全部忘れてしまうんだよ。
真夜中。
静かになった住宅街を歩く。
シーンとしていて心地よい。
誰もいない。私1人だけの道。
何もかも自由で、誰にも見られずに歩いていける。
この道は私への興味なんてないから。
「お前の苦しみは誰も知らない。月も星も見てはいない」
#真夜中
(お題:真夜中)
いつからか
必ず夜の3時に起きてしまう。
ぴったり、3時。
なんで?
何か理由ががあるのかな?
思い当たることは無い。
こんな時間..だからこそ、きっと星が綺麗だろう、と期待しつつ
カーテンを開けてみる。
空は雲で覆われて、暗闇がどこまでも続いていた。
どことなく虚無感に襲われる。
雲みたいに、暗く、黒く、冷たくて、重たい虚無が私を支配しているみたい。動けない。考えられない。力が入らない。怖い。怖い。怖い。
何が怖いのかもわからない。
誰かと話して、気を紛らわせたい。
そうすればきっと、心を満たす「虚無」も打ち消されるだろう、と
おもむろにLINEを開き、片思いの相手に
「今って通話できるかな」と打つ。
既読
「なんで?」
「無理」
虚無に寂しさが混じる音がした。
皓々たる月も、上り初めよりいよいよ高く光り輝く頃、上機嫌に揺れる小さな白布が一人歩いている。
夜餐の最中、何か思い出したように箸を止めると、女は押し入れから大きな白い布を引っ張り出して来て言った。
「いけない、今日から実習の授業があるんだった」布を広げると、それをすっぽり被って子の方を向いた。「いい?お化けはこれよ。もし人間がいたら、こう」
言いながら、女は布の中で両手を揺すって見せた。
「じゃあ、おれはもう行くぞ」玄関の方から、男の声がしたかと思うと、大きな翼が羽ばたくような音がする。
「あ、もうこんな時間」女は布を被ったまま、子がとっくに済ましていた食器を片付け始める。「宿題はちゃんとやったのね」
もちろん――子は元気に答えると、母親から布を受け取る。それから仕度を終え、玄関で布を被り、快活な足取りで――いや、足はないか――とにかく家を出たのである。
そう、真夜中は、お化け達にとっては一日の始まりの時間なのだ――な~んて話があったとしたらどう?
「どうもこうもあるか!バカヤロー!」わたしは目の前の白い布を勢いよく引っ張った。「こんな夜中に呼び出して何をやっとるんじゃ」
「あぁ、ごめんって」彼女は身を竦めながらも、堪えきれず笑った。「そんなにびっくりするとは思ってなくて。あ痛っ」
そんな風に真夜中の公園で揉み合っている時だった。
園外の外を、ふわふわと楽しげに移動する白い影を、確かに見たのは。
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真夜中
日本中のどれだけの都市が、真夜中眠らないんだろう。
こんな時間に目が覚めてしまったわ
小腹が空いたから
ミネラルウォーターとナッツをかじって
お気に入りの古い外車にエンジンかけて
夜でもない朝でもない気分の
お気に入りのBGM鳴らして
流れ星を集めにゆく
✳︎真夜中✳︎
真夜中に俺は学校へ行った
屋上へ行き、深呼吸をした
心地よい風が俺の横を通り過ぎていく
そして、最後に一言言った
「幸せになりたかった」
目を閉じたら広がる暗闇。けれど意識はなかなか落ちてくれない。チクタクと聞こえる時計の音が延々、延々続いている。
目を開く。閉じたカーテンの隙間からうっすら漏れた街灯の光。時折ごおっと聞こえてくるのは国道を走る車の音。こんな時間に一体どこへ走るのだろう。考えてまた目を閉じる。
微睡みかけた意識の中でリフレインする嗤い声。にやけた瞼のその奥の瞳の、ゾッとするような冷たさ。
振り払うように寝返りを打って、身体をぎゅっと縮こめる。あの頃になんて戻れないのに。子宮で揺蕩う胎児のようだ。
眠れない。眠りたいのに、その先に待つ明日が怖い。
きっと大丈夫。明日になれば何事もなく、またいつもの日常。私はいつもの顔で、いつものように溶け込めばいい。
少し失敗してしまったけど。なあに、気にすることはない。私はうまくやれる。大丈夫、取り繕える。
目を瞑る。居ても立っても居られない口腔の渇き。起き上がって蛇口を捻って。再びまた布団にくるまる。
静けさが心を揺さぶる。誰とも分かち合えない痛みと向き合う孤独な戦い。逃げ出したい。もう眠りたい。楽になりたい。
真夜中には居たくない。けれど、明日にも行きたくない。光のないトンネルの中で、ずっと出口を探している。
私は一体、どこへ向かえばいいのだろう。
考えて、やがて、朝日が昇る。
【真夜中】
眠れない。けれど眠い、けど寝たくない。
真夜中
真夜中
午前三時の静寂は僕の相棒だ。