『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題:病室
いつしか病室で君を待つようになった
独りでいるより、安心できる君と楽しくお喋りできることが1日の楽しみだ
2024/08/02/(金)/晴れ
①病室
思い出は窓
母は見えなくなるまで手を振ってくれたが、泣きながら見送った切ない思い出。
4歳の時、肺炎で1ヶ月入院をした。
咳は出ていたが、気持ちは元気で、点滴をされる以外は普通に過ごせる自分には、入院は退屈で寂しいものだった。
母は毎日、面会時間ギリギリまで一緒にいてくれたが、それが尚更寂しさを増した。
絵本を読んでくれたり、りんごやヤクルトをこっそり差し入れしてくれた。
母が帰る時は毎日泣いた
『もう帰るの?』
『いつお家に帰れるの?』
切ない記憶は優しい母の記憶に上書きされ、幼い頃から将来は医師か看護師になろうと決めていた。
今、私は病室の窓に子供を連れて行き、面会時間に訪れる入院中の子供の両親を看護師として迎えている
お父さん、お母さん、ありがとう
待ってたよ
病室…。
多くの人にとって、始まりの場であり、終わりの場でもある。
「病室」と一括りにいっても、その中にいる人は様々だ。生まれくる命に喜びの涙を流す人がいれば、今まさに命の炎が消えようとしている人もいる。
生と死が隣り合う場所なればこその光景だ──
無機質な部屋の中で繰り広げられるドキュメンタリーは、常人では受け止めきれないほどの感情で溢れている。
その中で「病室」は、延々と人の命の重みと儚さを受け止め続けるのだろう。
泣くことも、笑うこともせず。
弱音も吐かず。
拒みもせず。
ただ、どんな人も受け入れる部屋として。
生きることに最低限必要なものだけ揃えられた簡素な部屋。白く狭く無機質なこの部屋。物音ひとつない冷たい空気に身体が霧散していくようで、わたしは独りありもしない空想に身をすくめながらさらりとしたベットの上で身体の型を保つように丸め、浅い呼吸の中眠りについた。
#病室
206、206、、、
これが、これから会う人の住む部屋番号だったらな
いやまあ今はそこが部屋番号に違いないんだけどさ
新しく建て替えられた大きな病院の中を
心の中でそんなことを呟きながら
スリッパで進んでいく
あ、あった、、
目の前に現れた目的の部屋番号に
誤魔化していたはずの鼓動の速さが襲い掛かる
一度だけ大きく深呼吸をして
大きな扉にコン、コン、とノックをする
返事無くても入ってきていいから、と
LINEで言われていたことを何度も脳内で再生し
失礼しまーす、、、と誰にも聞こえない小さな声で呟き
静かに扉を開けてそろりと部屋の中に入る
四人部屋だが、つい最近もう一人が居なくなって
この大きな部屋を独り占めしているらしい
一番奥のベッドに居る会いたい人へ近づく
すると上半身が起こされたベッドに身体を預けて
窓の外を見ているようだった
「...こんにちは......」
少し掠れてしまった声で呼び掛けると
ゆっくりと顔をこちらへ向けながら
「......会いたかったよ、」と言った
だれとまちがえてる?なんてどうでもよかった
ここで私が正直にならないでどうする
「わたしも、会いたかったです……」
泣きそうになるのを堪えながらそう呟くと
彼は私を手招きして呼び寄せる
それに倣うと頭を撫でられた
「間違ってないからね、俺」
「ちゃんと、会いたかったんだよ」
病室
1人部屋が好みかな
快適なら寝て過ごせれる
持ち込み可能なら
ゲームとスマホさえあれば
普段の環境と大差はない
何回か入院してるけど
基本的にかなり暇
いいところは邪魔が少ない
悪いところは制限が多い
風呂が特に落ち着かないかな
科にもよるんだろうけど
決まりが古いと思った
管理しきれないからって
拘束するのは良くないと思います
休みを強制されて
患者を扱い易いようにしてて
それでもあまり上手く機能してない
ある種、洗脳的だと感じた
病室は問題ないけど
個人を蔑ろにしてるよね
私は休みきれずにいた
手を借りるのが面倒
あまり関わりたくない
そのことを再確認が出来た
ほぼ他の患者と関係ないとこが
責めてもの救い
昔と比べるとかなり不自由になってた
過剰な管理は本当に不快
決まりが時代錯誤だと思うけど
一応は理由があるんだろうね
しかし見直しが必要だと思う
私にはあまりに向いてない
空調だけがかなり良かったくらい
今まで、何度か入院した…
怪我もあり病気もあり…
「病室」に横になっている時
看護師さんたちはほんとに良くしてくれた
私が寝ている間も一生懸命に働いて
私たちを守ってくれた…
病院勤務の方たちの頑張りには
感謝と同時に頭が下がる思いだ
さて、身体を壊すと言う事は
すごく辛いししんどい経験なんだけれど
元気だった時には絶対に感じ取れない
自分の感情や周りの有難さを実感する
本当に人の善し悪しが敏感にわかる…
皆、がむしゃらに働いていると
立ち止まる事を忘れてしまうけれど
身体を壊す事で止まるしかない状態に
なる事で逆に時間が出来て
自分をかえりみるいい機会になったりする
辛い時間を乗り越える事で
先の人生を良い方向に変える事が出来たりする…
だから大切なターニングポイントだと言えるだろう
病室にいる
祖父母の姿を思い出し
生きることの喜びを
噛みしめる
病室の窓からみえる白木蓮は今年も、高潔な顔で立ち続けている。
No.5【病室】
【病室】
幸いな事に
あまり縁が無かったが
数年前にとうとうお世話になる事となった
立て続けに・・・
症状が治まると
普段の生活とは違う空間に
発見も多い
歳も症状も価値観も違う同居人達
漏れ聞こえてくる話も
普段聞く話とは違って新鮮だ
ワガママな人もいる
出来の悪い生徒達の面倒を見る
先生(看護師さん)達
軽口叩いたり
ダメって言われた事やったり
無理な注文言ったり
こうしてくれるのが当然
なんて事まで言ったりする
夜中に何度もナースコールを押し
背中痒いと言ったり
喉乾いたと言ったり
セクハラ紛いな事言ったり
いやありゃ完全なセクハラか
看護師さん達はサービス業ではない
相手はお客さんではなく
患者さんだ
仮にサービス業だったとしても
如何とは思うが
それでもナースコールの度にやって来て
セクハラは軽くあしらい
優しく声を掛け
可能な限り対応し
寄り添い(身体的な事ではなくて)
有事の際にはすぐに駆け付け
大丈夫?と声を掛けながら懸命に処置をしてくれる
実際彼等の本業はそこのはずだ
ましてや
当時はコロナで大変な時期でもあった
ベッドの上から見れるのは
膨大な仕事のほんの一部だろう
それでも凄い人達だと思った
実際
自分の仕事を考えても
管轄外の事は基本やらない
当たり前のように求められれば尚更だ
自分の仕事ぶりを少し恥じた
絶食治療はつらかったけど
凄くいい経験をさせてもらった
治療してもらったのは
身体だけでは無かったかも知れない
「...あれ?」
起きてみれば白い病室
日が差す窓
複数とは言えないけど人とベッド
多分、
また失敗したんだな
私は死にたがり屋
やっと自殺出来ると思って屋上に行った
「飛び降りても死ぬとは限らない」
そのことは知ってる
でも耐えるの限界だもの
さっさと楽になりたい
ほら、心も悲鳴をあげてるの
その悲鳴は
きっと「早く死にたい、早く楽になりたい」のはず
きっと「まだ生きてたい、生きたい」なんて思ってないはず
そう思って飛んでみた
飛んでみたら、
白い病室
白いベッド
「はぁ...」
いい加減、死なせてよ
辛いんだって
ストレスで、比べられたり
努力しても報われなかった
気分が急低下する自分
その時、病室のドアが空いた
「?!」
あーあ、また呆れるんでしょ
お母さん
そう思っていると、勢いよく抱きしめてきたお母さん
「...ごめんね、分かってあげれなくて、」
「𓏸𓏸が書いてたノート、見たよ、...」
「は、?見ないでって言ったじゃん!!」
「..ごめん、でも、」
「ッるっさい!」
「....ノートを見て分かったの、」
「どうせ、私の気持ちも分からないくせに、ノート見る必要ないよ、」
「ごめん、辛かったんだよね、ごめん」
ごめんごめんと言いながら泣いてるお母さん
やめてよ、こっちも泣きそうになるじゃん
病室
病室
やけに甘ったるいにおいがする。
甘味や花ではない、体液なのか体臭なのか、そんなにおい。
においの元である点滴を着けている彼は、時折ベッドから起き上がっては嘔吐している。食べ物を口から入れていないから、体液ばかりだ。
随分と痩せた。この病室に繋がれてから2ヶ月ほど経つ。そもそも痩せていたのにもはや幽鬼のようである。
もうすぐ退院だ。余命宣告が正しいならあとわずかの時間、どれほど彼と在れるのか。
病室を出る日がせめて彼の好きな晴れならいいと願った。
大好きな祖母
私のことはわかる
小学生の頃のわたし
どんな時も褒めてくれて
認めてくれた祖母
もう会えない
もう褒めてもらえない
だけど、大丈夫
ずっと、わたしの心にいるから
「病室」
出たくない。
ここに居たらみんな私を見てくれる。
みんな私を気にかけてくれる。
優しくしてくれて、何でもしてくれる。
これが本当に私の人生?と、疑う程には。
これが幸せなのに何故自ら手放さないといけない?
鉄の匂いや消毒の匂いが充満するこの"病室"で、
退院なんてしなくていい。
なら、ここに居れる理由を作ればいい。
はぁーっ!どうしちゃおっかな!
リスカ?OD?他の患者の子に暴力でもしようか!
これから楽しくなるぞ~!!
_________________________
あの子、また酷くなってる。
一体どんな幻覚を見てるのか...
そもそも、ここが何処か理解をしていないのか。
普通の病院?ここは"精神病院"だっての。
あの子は元々、病気を患ってる。
そんなんにも気づかず、本当哀れ。
"ミュンヒハウゼン症候群"ってね。
あの子の病名。本当、可哀想な子。
いつもに増して爽やかな彼をバス停まで送り出したのはうざったい暑さが続く8月のことだったと思う。
今思えばあの時も辛い思いを抱えて、無理して笑顔を作っていたのだろうか。
ちょうどあの時くらいからサークルに来なくなって、あんまり会わなくなったなと思ったりして、あぁそういやあれが最後かとか思い出したりもしていたけど。
2ヶ月ぶり?だよね。
彼は今でも爽やかなまま、痩せた彼はまだここにいたのに。
もっと早く来たら良かったね。ごめんね。
ううん、今日来てくれたじゃん。サークル内で一番なんだよ。嬉しいわ。
皆来ないもんねーと笑った貴方の目が輝いていて。それが涙だと分かったときには遅かった。
あぁどうして貴方はそんなにも完璧で、だからこそ寂しい思いをさせてしまっていたのだろうか。
綺麗な横顔に涙が落ちた時、私は何か力になれるのだろうか。
入院していた頃
病室に一人だったので、昼は気楽だった
薬のせいで、ずっと寝てばかりだったが…
夜は怖かった
何度も来る救急車
突然騒がしくなるフロア
薄暗い廊下
出来ることなら、もう入院したくない
病から抗う人も待つ人も見舞いの人すら死は平等に
題-病室
私の妹絶賛反抗期だったんやけど
最近話してくれるの嬉しい
だいすき
LINEの名前
「私のかわい子ちゃん😘😘」にしてるのは内緒
僕の病室には、折り鶴がたくさんある。
もらったのでは無い。自分で折ったのだ。
正確にいえば、自分と同室のじーちゃんばーちゃんにも手伝ってもらった。
ことの発端は、僕の友達が、
「見ろよ、ガウスルート千羽鶴だぜ!」
だとか言って、31羽の折り鶴を持ってきたことだ。
僕のために鶴を折ってくれるのは嬉しいが、クラスメイトが1人1羽折るという絶妙かつわかりやすいサボりをされてしまい、複雑な気持ちだ。
いや、ふざけて木に登って、体重で枝が折れて落下からの骨折という間抜けな理由での入院だ。くれただけでもものすごくありがたいことなのだ。
それはそれとして、同室のじーちゃんばーちゃんに送られた立派な千羽鶴と比べると、「ガウスルート千羽鶴」は少々見劣りする。
だから、僕はこの「ガウスルート千羽鶴」を本物の千羽鶴にしてやろうと思って、入院中の暇な時間を折り鶴制作に使っているのだ。
一人で969羽折るのは大変なので、手伝ってもらっている。
千羽鶴になったら、クラスメイトに送り返してやろうと思うので、写経の上手いばーちゃんに折り紙に念仏みたいな呪いの言葉を書き連ねてもらった。
入院中の自分のために千羽鶴を折るだとかいう前代未聞のことを僕にさせたクラスメイトには、ばーちゃんの呪いをかけてやろう。
そう思いながら僕は168羽目の鶴を折り始めた。
僕には、大切な友達がいる。でも、その子は──。
「──では、HRはこれで終わり。日直挨拶!」
いつもとなんら変わりない帰りのHR。先生の長い話に欠伸をしながら早く終わらないかとソワソワしていた。日直の挨拶の後、僕が教室から出ようとすると後ろから声をかけられた。
「なぁ、花本〜今日こそは一緒に帰ろーぜー」
なんだ、星井か。こいつはいっつも僕と帰りたがる。星井には僕の他にも友達沢山いるし、彼女もいるのに。僕と帰って何がしたいんだかさっぱりだ。
「今日も用事あるからパス!ずっと言ってるけどお前彼女と帰れよな」
そう言い切ると悲しそうな顔をしながら分かったよ…。と呟き彼女のいる隣のクラスに向かった。
よし、もう止める奴はいないな。
僕は足早に学校を出て、自転車に跨った。向かう先は家でも塾でもない
僕の、大切な友達のところだ。
自転車を駐輪場に停めて僕は病院に入って、ある病室に向かう。
病室のネームプレートには、「高橋 レナ」と書かれている。
「レナ!見舞いに来たぞ〜!」
窓の外を見つめているレナに呼びかける。レナはこの声に気づいてこっちを見る。
「あ、ユウスケくん!今日も来てくれたんだね〜」
高橋レナ。交通事故に巻き込まれ、足の骨が折れたそうで今は入院している。レナをあの時守れていたら良かったのに…という思いと、レナと一緒にいたいという思いから僕はずっとここに通っている。
「レナ。どう?病院生活は。もうすぐ…2日後には退院出来るらしいが」
改めて、レナに聞いてみる。すると、満面の笑みで答えてくれた。
「暇だね!」
やっぱり、そうだったか。僕はその返答にふふっ、と笑いながらもレナの方を見ていた。
「でも、ユウスケくんと一緒にいる時は楽しいよ!」
急に言われたその一言に僕は少し照れつつも、また、話し始めた。
僕とレナの話し声と笑い声が微かに聞こえる病室には、
少し涼しくて、どこかの花の香りをまとった風がそよいでいた。