mia

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206、206、、、

これが、これから会う人の住む部屋番号だったらな

いやまあ今はそこが部屋番号に違いないんだけどさ

新しく建て替えられた大きな病院の中を
心の中でそんなことを呟きながら
スリッパで進んでいく

あ、あった、、

目の前に現れた目的の部屋番号に
誤魔化していたはずの鼓動の速さが襲い掛かる

一度だけ大きく深呼吸をして
大きな扉にコン、コン、とノックをする

返事無くても入ってきていいから、と
LINEで言われていたことを何度も脳内で再生し
失礼しまーす、、、と誰にも聞こえない小さな声で呟き
静かに扉を開けてそろりと部屋の中に入る

四人部屋だが、つい最近もう一人が居なくなって
この大きな部屋を独り占めしているらしい

一番奥のベッドに居る会いたい人へ近づく

すると上半身が起こされたベッドに身体を預けて
窓の外を見ているようだった

「...こんにちは......」

少し掠れてしまった声で呼び掛けると
ゆっくりと顔をこちらへ向けながら

「......会いたかったよ、」と言った


だれとまちがえてる?なんてどうでもよかった
ここで私が正直にならないでどうする

「わたしも、会いたかったです……」

泣きそうになるのを堪えながらそう呟くと
彼は私を手招きして呼び寄せる
それに倣うと頭を撫でられた

「間違ってないからね、俺」
「ちゃんと、会いたかったんだよ」

8/2/2024, 12:48:06 PM