病室やけに甘ったるいにおいがする。甘味や花ではない、体液なのか体臭なのか、そんなにおい。においの元である点滴を着けている彼は、時折ベッドから起き上がっては嘔吐している。食べ物を口から入れていないから、体液ばかりだ。随分と痩せた。この病室に繋がれてから2ヶ月ほど経つ。そもそも痩せていたのにもはや幽鬼のようである。もうすぐ退院だ。余命宣告が正しいならあとわずかの時間、どれほど彼と在れるのか。病室を出る日がせめて彼の好きな晴れならいいと願った。
8/2/2024, 12:37:57 PM