『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
風に草木が揺れている。
水面は濁るも、水は跳ねている。
空は蒼いが曇りもする。
青虫が葉を歩けば、それを鳥が咥えとる。
蔑みも、嫉妬も、苦悩もない。
ただそこにあるだけである。
『理想郷』
空想の世界は楽しすぎて現実への絶望が大きくなるから、理想郷なんて作らない。等身大の世界の箱、これが私の手に届く範疇。与えられた選択肢を全部買って得られるならそれに優る贅沢は無い。
テレビから
ノイズのように入ってくる
胸が痛む ニュース。
親が子供を虐待…
何の罪ない 幼い純粋な命が
奪われるという現実
命に大人も子供も
重いも軽いも…
きっとないのはわかるんだけど
身勝手に奪われる
幼くて 純真無垢な命
ちゃんと 言葉にしきれないけど
深く 思わされるし
胸にずっしりと重くのしかかる。
今日もテレビでは
政治家の表面上を取り繕ってる話や
芸能人のゴシップばかり流れてる
もっと この小さな命が
尊い命が守られる
世の中に…
世界になってほしいと願う。
- 僕の理想郷 -
理想郷と聴いてあなたは
何を思い浮かべるのでしょう。
不死の世界?
それぞれが愛してやまない人や物で溢れた所?
勉強の無い世界や
平和な世界かもしれない。
けれど私はこう思う。
死にたいほど苦しい時でも、自殺を試みても死ねない。逃げられない。
愛されなければ生きていてはイケナイの?捨てられてしまうの?
学びが無いのなら私たちは会話もなく孤独だ。
戦争はいらない!…だけど全てを同じ考えにしては発展なんかしない。ロボットと同じだ。
あなたの理想郷は何ですか?
理想郷はいつもの帰り道から少し外れた小道の先
いつのまにか通り過ぎていて状態ばかり残る空洞
理想郷
晴れ渡った空.白い雲
賑やかな喧噪.舗装されたタイルをなぞる様に其処此処にいろんな商品を売る市場が
広がっていた。
「お兄ちゃん、早く早く!!」
瞳をキラキラさせて今にも駆け出さんと
足を一歩前に出して後ろを振り返り呼ぶ
三つ編みの少女と
「そんなに急がなくても、別に無くなったりしないよ!」
そんな少女を嗜める様に、ため息を吐きながら、冷静に返す少年
市場の露台には、装飾品.化粧品.食品など
多種多様な物が並んでいる。
妹は、拳をギュッと握りどんな掘り出し物に出逢えるかワクワクしていた。
兄は、そんな妹を見つめ苦笑し、
手を差し出した。
「行こう!」
兄と妹は、手を繋ぎ一気に駆け出した
少年の名前は、ユート
少女の名前はピア
今からこの兄妹の宝探しが始まる。
家を出ると木犀花の芳香がそよぐ
見上げた深い縹の空にはうっすらと碇星
いつのまにかまちはすっかり色を変えているようだ
少し肌寒い夜の空気から身を守るためお気に入りの臙脂の羽織
足元は背筋が伸びるような艶やかな濡羽色のヒールは7センチである
さて気合を入れて
仕上げに長年磨きてきた笑顔を纏う。
人前用の完璧な「私」のコスプレ
歩く姿は百合の花が背景に浮かびそうな私の裏側
誰ひとりとして気づきはしない
努力と苦悩の末得たのは「普通」のふりをする技術だった。
うつ病と歩み始めていつのまにか7年もの月日が経つ
【コスプレ】
理想郷
人生100年時代というが、80歳も超えると身体のあちこちが痛くなる。腰は曲がり、歩くと膝が悲鳴を上げる。常にどこかが悪く、食事も喉に詰まらせるといけないから、柔らかいものばかり。トイレが近くなり、気がつくと失禁している。楽しみはひ孫と会うことぐらい。
そんな私が考える理想郷。鳥が囀り、明るい光に包まれる。歩くとふわふわして、まるで宙に浮いているように身体が軽い。一年中、ポカポカと暖かく、蝶々が舞っている。人々は笑顔で、争いごともない。平和な毎日。
ん?これってもしかして天国?
いやいや、わたしゃまだ爺さんのとこには行きたくないよ。
身体痛いけど、もう少し頑張るか!
ごめんな!爺さん!
100年は無理かもしれないけど、長生きするよ!
理想郷
人は理想郷を求めて冒険に旅立つ
数々の困難を乗り越え、世界を変えていった
やがて手にしたものに疑問が芽生え始めた
求めていたものはこれでよかったの?
大切なものを失ったのでは?
慈愛に満ちた世界、そこには争いも諍いもない
悠然と時は流れ、悩むことも病むこともない
いつかきっと辿り着けますよう
むかし、私の国はひどい差別が行なわれていた。それは、どの国の人も口を揃えてひどいというほどだった。
その国を作り上げたのは私の父だったのだが今は亡くなり私が代わりに国を新しく作り替えたのだ。
いまは、国民の言う通り差別のない平等な国となり国民はみな楽しそうに私に仕えていた。
当然だ、私は朝昼晩と毎日食べきれないほどの食べ物を提供し全ての国民に住家を与えている。父とはちがい、差別されたものが逆上し反乱をおこそうとして戦争がおき命を落とすなどと間抜けなことにはならない。
みなが、私にひれ伏し崇拝しているのだ。
もちろん、私に逆らおうとするものもいたのだが罰則を与えるとそんなことはしなくなった。逆らおうとした愚か者だけに罰則を与えたのではない、みな平等に国民全員に罰則を与えたのだ。平等とはそういう事だ。
今日も、国民が私を慕う声が聞こえる。
これぞ国民の理想の国だ
#理想郷
人間は自分に無いものを欲す
愛されている者は1人を欲し
孤独なものは愛情を欲す
天才は平凡に憧れ
凡人は天才に憧れる
自分にあるものなど
きっと誰も欲しちゃいない
無いものを欲し
争い、憎み合い、殺し合うのが
人間の本能だ
幸福になんて誰もなれない
理想郷なんてどこにも存在しない
無題
男はゆっくりと女の子の両腕から崩れ落ちていく。
「心配しないで」
彼は精一杯の笑顔をつくって、泣きじゃくる女の子の頬を拭った。
「君が…ちゃんと天国に行けるように…先に神様にお願いしてくるから…」
女の子は肩を震わせて泣いた。両目から止めどなく涙は流れ続け、血にまみれた彼の軍服に雨粒のように降りかかる。
「だから…泣かないで。死ぬのは怖くないって、たった今から見せてあげるから…」
彼は息絶えた。
女の子は避難サイレンの鳴り響く瓦礫の街の隅で、彼の亡骸を埋葬した。
女の子は「愛してる」と呟くとオーバーコートのポケットからタバコを取り出して咥え、土砂降りの雨の中、傘も差さないで戦車のキャタピラの後を踏みつけながら避難所へと歩いて行った。
「おはよ。」
低音の心地良い声が聞こえてくる。
目を覚ますと不思議な色の天井。
シーツと枕は白い。
布団の中はとってもあたたかい。
寝返りを打つと、整った顔の男。
男はニコリと微笑みながら私を見つめる。
「よく眠れた?」
男は優しく頭を撫でる。
コクリと頷くと「良かった、」と言いながら目を細めた。
「俺もよく眠れたよ……ありがとうね。」
そう言いながら抱きしめられる。
なんだか不思議な感覚だ。
別に私は相手と恋人関係という訳では無い。
ただ、寂しくなった時に慰め合う。そんな繋がり。
でも私にとってはそんな繋がりが、有難かった。
ふと時計を見ると、時計の針は十時を指していた。
男も私につられて時計を見ると、焦った顔をする。
「やっべ、もう出なきゃ。」
バタバタとお互い準備をしてその部屋を出た。
外に出ると、空は快晴。
空気はほんのり冷たくて、私はその空気は嫌いじゃなかった。
「じゃあ、俺はこれで!!」
男が手を挙げながら走り去る。
それに返すようにゆっくり手を振った。
男が見えなくなった辺りでクルリと振り返り、男は違う方へ足を進める。
平日だからか、スーツの人が多い気がする。
それでも休みなのか、カップルも数人いる。
ふと、とある人が頭に浮かんだ。
「君って八方美人だよね。」
その人はいつも頭の中に現れては、そう切捨てて、去っていく。
かつて、私が愛した人。
こんな私を作った人。
きっと過去にも、これからもここまで愛する人はいないと思う。
そう、きっと私は 彼 に囚われたまま___。
吐き気がすると同時に、ポッケに入ってたスマホを取り出す。
連絡先をスクロールしていくと、そこには今日一緒にいた以外の男の連絡先がたくさん入ってる。
ここの人達は、私と同じように寂しい人達。
誰をどう愛そうと関係ない人達。
私が何をしても咎められない。
理想の世界の住人なのだ。
とある連絡先の通話ボタンを押す。
コール音が何回か鳴ると、「もしもし」という声が聞こえてくる。
『今日、この後会えない?』
こうして私はまた、誰かと夜を共にするのだ。
#理想郷
理想郷
美味しいものをお腹いっぱい食べて
夢中になれる仕事で人に感謝されて
たまにはお昼まで寝てゴロゴロして
貴方が隣で笑ってくれる
そんな場所
[リハビリ]
【 理想郷 】
夢見るだけなら、どんなことも自由だ。
獄中から見上げるしか無い立場では、
それが唯一の支えでもある。
なぜこんなことになったのだったか。
声高に平和を叫び、大義名分をかざして行動した結果、
周りには無数の事切れたヒトを転がすことになった。
全ての人の幸せを願い、望みのものは手に入ったのに。
捕らえられて、己の命の限りを知らされて。
この後作り上げるはずだった世の中を見ることなく、
無駄に散る。
俺の夢見た世界はどこへ行った?
誰が作り上げるつもりだ?
今ようやく気付いた。
神の世界を、俺なんぞが変えられるはずもないのだ。
完全な形に帰結したのが、この世の中だったのだ。
私たちの根底にはそれぞれの理想郷があるんだと思う。
その理想郷が私たちの生の原動力になる。
連日報道される若者の自死。理想郷と現実世界があまりにもかけ離れている、自分の生だけじゃどうにもならないと絶望した時人は死を選ぶ。
「みんなが幸せな世界」
「戦争のない世界」
教師という道を選ぼうとしている1人の大学生にすぎない私だけれど、こんな理想郷を持つ子どもたちが絶望しない世界を作らないといけないと思う。
理想郷
「ちょっといいかな?」
「うん。どうしたの〜」
「ここは、理想郷だと思うかい?」
「なにそれ〜」
「なんていうのかな、楽園みたいな?」
「えー思う思う。なんでもほぼタダで手に入り放題だもん」
「そうかい」
「孔雀ちゃんはそう思わないの?」
「わたしは心猫くんみたいに、現在過ぎている時間をありのままのものだと認識できないんだ」
「えー言ってる意味分からん」
「幸せなことがあると、何か裏があるんじゃないか、とか、そんな最悪な背景を考えながら生きているような感じなんだ。おかしい奴だと思われるかもしれないけれど…」
「なるほどねぇ。わたしは孔雀ちゃんと一緒にボーっとする時間が大好きだよ〜」
「心猫くん……」
「わたしが孔雀ちゃんを幸せにしてあげるよ〜……ぐぅ……」
「寝ながら言われてもね……ふふ」
「ありがとう。心猫くん」
自分の理想郷はとりあえず子供達が笑顔で幸せだと感じてくれる世界かな、それともっと子供達のことを第一に考えてくれる大人達かな。ウ~ン難しい
理想郷。何があったら、誰がいたら理想郷なのだろうか。
死んだ友達、無限の食料、娯楽、飽きると新しい何かが出てくるような物。
これが揃ってて幸せだとしても、いつかは飽きる。幸せを感じれなくなってしまう。不幸があるから、気に食わないことがあるから、幸せに感じれる。
そう、理想郷は、この正解かもしれない。
2023-11-01「理想郷」
「理想郷」
この世界は実につまらない
そう思って生きてきた30年、夢も何も無い。
ただただ社会の歯車として生きる日々
そんな日々の中で、私はついに見つけてしまった。
何処に続くのかわからない扉、ここを開けたら何があるのか
仕事帰りにたまたま目に入ったお店、こんなところにあったかなと勇気を振り絞って扉を開けてみた。
中にはたくさんの雑貨で埋め尽くされていた
懐かしいものから見たことないものまで、それは私が久しく感じてることのなかったワクワクする気持ちが溢れ、不思議と童心に帰ったようなそんなひと時を過ごすことができた。
何点か手に取りレジに行くと、ようこそ理想郷へ、お目当ての品はありましたかな?と老父がニヤリと笑った。
そして、商品を受け取りクスッと笑ってしまった。
あぁ、またこの理想郷に遊びにこよう。
そう思い、足取り軽く家路に着いたのだった。