家を出ると木犀花の芳香がそよぐ
見上げた深い縹の空にはうっすらと碇星
いつのまにかまちはすっかり色を変えているようだ
少し肌寒い夜の空気から身を守るためお気に入りの臙脂の羽織
足元は背筋が伸びるような艶やかな濡羽色のヒールは7センチである
さて気合を入れて
仕上げに長年磨きてきた笑顔を纏う。
人前用の完璧な「私」のコスプレ
歩く姿は百合の花が背景に浮かびそうな私の裏側
誰ひとりとして気づきはしない
努力と苦悩の末得たのは「普通」のふりをする技術だった。
うつ病と歩み始めていつのまにか7年もの月日が経つ
【コスプレ】
11/1/2023, 8:18:54 AM