『理想のあなた』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
理想の私は今とは真逆の私。
顔も可愛くて、賢くて、お金持ちで、ポジティブで…
沢山愛されてる私。
いつになったら理想通りになるんだろう。
私はもっと変わりたい。
イライラしない。
いつも笑顔。
さりげない気配り。
穏やかな人間性。
ちょっと変わったところもあり。
魅力的な人だねって言われる。
信頼される。
自分のこと大好き。
人のことも大好き。
自然が好きで自然も私が好き。
未来はいつも明るいと希望を無くさない。
いっぱいあるけど、今の自分も好きだなぁ。
理想のあなたをどう訳そう。
あなたをもし、君として。
大好きな君と訳して書くのなら、
私はそのまんまでいてほしい。
泣かないで、ずっと笑って。
そのままでいてほしい。
でも、もし私と、自分自身と訳すのなら
理想は、この世に生まれなかったこと。
君の、守護霊になること。
君を一生守る存在でありたかった。
あなたに認知されなくてもいい。
一生を共に添い遂げたかった。
大好きを胸に秘めて。
テーマ:「理想のあなた」
近代の発展は恐怖と不安との克服の歴史であった、と言えば異論を挟む余地はさして無いだろう。
近代人にとっての恐れの象徴はまずもって暗闇であり、暗黒の支配する異郷として、山と森、それから深甚たる海原とを多くモチーフとしていた。翠微を極め、古森を切り開いていく過程はまさに産業の発展史とパラレルであっただろう。
さて、陸上からは見透せぬ海の深みへと、啓蒙の眼光が炳焉と差し込んだのは、潜水装置の補助によってだったことは周知の通りだ。
その古きは17世紀初頭にまで遡ることになるが、ここでは我邦に伝わる奇怪な逸話をひとつ取り上げることとしよう。
潜水装置にも各種あって、潜水艦をその最大なるもとして、潜水艇から潜水服へと至る巨から矮への階梯がある。
ここで登場するのはこれらの中間に位置する潜水球なる鋼鉄の球である。1928年に米国で生まれたこの空洞をもつ球体――バチスフィアは、数年の間に有人潜水を試みるとたちまち潜水深度の世界記録を生むこととなった。
この報は言うまでもなく、ただちに此地の帝国海軍にも知れることとなり、兵器開発の一環として秘匿裡にテストが行われることとなった。『日本の潜水史』にも引かれている一次資料『球形潜水挺開発ノ記』なる文書では、残念ながら、試験が行われた場所は黒塗りにされているうえ、何処とも特定しがたい記述となっているのだが、近年の研究では千葉県那古周辺ではないかと推定されている。
さはあれ、この試作機――球が完全性の象徴であるならば形容矛盾のようだが――に乗り込むこととなったのは、当時、なんらかの軍規を犯した廉で軍法会議に掛けられていたとされる一兵卒であった。
この人物のプロフィールは詳らかではないのだが、差し詰め往時の西欧社会における漕役刑というわけだろう。なお、ここでは縷述は避けるけれど、後に某寺の住職となったという説もあるにはあり、とは言えこれから述べる出来事を加味しても、少しく判断に迷うところだ。
以下に記すのは、前記の資料等から再構成したものであることを予め断っておく。
本家と同じように設えられた石英硝子の円窓が開けられると、一人の青年が球の中へと乗り込んでいく。この時、青年は目の前の球体を棺桶に見立て「あぁ、自分は死ぬのだな」と思った後に証言している。或いは青年にブレーやルドゥーといった建築家と同じい精神があれば、〈完全なるもの〉への思慕を以てこの不吉な予感を霧消してくれただろう。
さりながら、外から分厚な蓋が閉まった時の恐怖には凄まじいものがあっただろう。
船は既に沖である。クレーンで吊るされた潜水球は、水深800メートルを目標として、傍目には何の感慨もなく沈められた。
青年の覗く窓からは、自分のやつれた表情の向こう側を泳ぐ生き物たちが見えた。だが、球の中はあっという間に暗くなった。生物の観察など目的ではなかったから、照明装置の類は一切積んでいなかったのである。
青年は強まる恐怖に呼吸を乱した。二酸化炭素を処理するための化学装置こそ置いてあったものの、暗室への封じ込めは正しく拷問であった。
もう何メートル潜ったのだろうか。急拵えの試験機とは言え、電話線すら装備していなかったのは不十分だっただろう。青年は、郷里の家族を思った。それと同じくらいの強さで、死と同義の暗闇の中、己の詰まらない非行を――凡庸極まる愚昧を呪った。
感覚をほとんど逸した頃、独り声を上げて泣く青年の眼前が俄かに明るくなった。おもむろに顔を上げると窓の向こうがほの白いではないか。気付かぬ裡に引き揚げられたのだろうか――違った。
青年の目の前の窓には、年老いたような自分の亡霊のような姿があった。そして、その向こうには女の姿があった。まだ深海の只中である。
青年は縋るように窓に張り付く。女の顔は目睫である。青年は女の瞳に映る自分の――後に述懐するところではそれはもはや自分のものとは言い難かったという――美しい顔を、極度に理想の方へ接近した儚げな表情を見出だした。修辞が許すならば、それはむしろ理想の彼方と言うのが適当かもしれない。
青年の意識はここで途切れてしまったらしい。甲板に揚げられた時、青年は、まだ涙の条が跡付いたままながら、穏やかな顔をして一言「自分は全く生まれ変わりました」とだけ呟いた。
それから青年がどうなったのかは知らない。先ほど述べたように退役の後、出家したという話もあるし、一兵卒として太平洋に散ったという話もある。或いは戦後、靴屋を営んでいたという話もあれば、発狂したまま山奥の病院で最期を迎えたとか、大金を集めてこの潜水球を引き取ったとかいった話もある。
この逸話を近代の時代性を象徴するものと見る向きもあるし、実は完全な作り話とする指摘もある。例えば、近代特有の時代精神である垂直性によって補陀落渡海が再現されたのだという評論、或る作家の手すさびになる雑誌記事が初出だとする文献調査がある。
いずれにせよ、当の潜水球が造られたことだけは事実らしいのだが、所在は判らず、既に喪われた可能性が高い。
ところで余談になるのだが、先日、この舞台と思しき房総半島へ出掛けた折、或る寺院の隅に、打ち捨てられたような、丸みを帯びた金属製の物体が半分ほど地面に埋められているのを見つけた。
わたしがそれに近付こうとすると、陰になって見えない内奥から、こちらを睨み付けるような気配を感じた。わたしが正に蛇に睨まれた蛙のようになって立ち尽くしていると、寺の住職がやって来てそれには近付かないように、とだけ強く言う。
わたしは大人しくそのまま帰ることにしたのだが、電車に乗って帰る途中、ふと窓を見ると、そこには自分ではないような姿が映っていた、ということだけ述べて筆を擱こう。
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理想のあなた
どんな自分になりたい?
鏡に全身を写して考えてみる
筋肉を鍛えて強くなりたい?
誰もが羨む美貌を手に入れたい?
色んな人に尊敬されるような人になりたい?
思うだけならいくらでもできる。
それを踏まえて自分を見つめると、おそらく今の自分が欠点だらけに見えてきただろう。
だけど、今より若い瞬間はない。
だから自分の可能性を信じて欲しい。
あなたはどんな自分になりたい? その答えがわかったら、きっと人生が変わるはず……。
さぁ、明日の自分に胸を張って生きていこう。
お題 理想のあなた
少し気難しくて、煩わしい男が好きだ。
正確には、わたしにとってそういう人というだけで、会社や社会では気の毒になるほどの協調性を持っているし、謙虚なふりも上手にできる。
社交性があり、親切に見られるけど、頭の中ではいつも周りを斜めに見てるし、
非難するときには、皮肉なのかユーモアなのかギリギリの所を狙ってくるので
こちらも頭を使って、慎重に応戦しなければならない。
明日の夜、映画を見ようとデートに誘うのではなく
明日の朝、一緒に朝食を食べようと誘って欲しい。
自分で料理を作るくらいなら、外食のほうがマシだと言い放ったり、
たまに突然、思い出したように、いついつに食べたあの料理が美味しかったと言い出して、
内心呆れてるわたしに全く気づかずに
誇らしげに目を輝かせて、返ってくる言葉を期待して待っていて欲しい。
ときどき何気なく話す言葉を拾って、ずっと前に読んだ覚えのある小説の一節を言い始めたら、それはもう心が震えて、一生離れたくないと思うだろう。
わたしも複雑で、わりと面倒な人間だから、たまに酷く傷つけ合うかもしれないけど、
安心して一生愛されていて欲しい。
と、いうふうに理想のあなた、と妄想すると
どうしても昔の愛憎相半ばする男に寄った人物が浮かんできてしまう。
歳が離れていたので、中年から初老に入ろうとしている今の姿を見たら、夢から覚めたような気持ちになってしまわないか、
若い女でなくなったわたしのことを、今のあなたはどう感じるのか、
ときどき想像して、真剣に考え込む。
これはもう癖に近いので、諦めて欲しい。
理想のあなたは私をとても大切にしてくれる
誰よりも甘えさせてくれて
怒ることもなくて
愛情表現だってちゃんと言葉に出してくれる
料理だって振る舞ってくれて
デートはいつもあなたから誘ってくれる
他の人なんて見向きもせず
ただわたしだけを見てくれる
一人の時間も作ってくれて
あたしの趣味にも合わせてくれる
辛い時悲しい時は静かに寄り添ってくれる
わたしにとっての理想のあなた
でも現実は全然そんなじゃなくて
あなたはわたしを蔑ろにして
わたし以外にも甘えて
何か気に入らなければすぐに怒り
愛情表現すら心なんてものはなくて
料理なんてものは作ったことも無く
デートなんてものもわたしから
他の人ばかりに目移りして
他の子ばかりを見ている
2人の時間すらもまともに作らない
あなたの趣味に合わせて
辛い時悲しい時はいつもあなたは他の子の所に居る
本当は理解っている
理想と現実は重なり合うことなんて滅多になく
これが搾取されるだけの恋だって
でも何故か惹かれて
どうしようもなく堕ちてゆく
これが現実のわたし
@理想のあなた
かっこいいでも可愛いでも言われるのが嬉しかった。
最初は街で「お兄ちゃん」って呼ばれるのが嫌だった。
でも今は呼ばれると嬉しい。
かっこいい自分になれてるんだと安心する。
男の子としてスカウトされたこともある。
断ったけど。
僕はかっこいいけど可愛いんでしょ?
みんな言ってくれるじゃん。
…みんな言ってくれるけど、君は言ってくれないね。
海が見えます。
私は白い街からそれを見て
潮風の匂いに耳を澄ませます。
ゆっくり目を閉じても
青空はまだ夢を見ています。
午前のある日の出来事でした。
真っ白な鳥が飛んでいくのを見ました。
真っ白な鳥が、とんでゆく。
理想のあなた
表参道を彼と歩く。
可愛らしいウェディングドレスがディスプレイされた
ショーウィンドウを指差して彼がニカッと笑った。
「オレの理想の花嫁」
彼が示したのはドレスじゃない。
ガラスに映ったわたし。
『理想のあなた』
自分の理想が全部詰まった人なんていない
誰にでも欠点がある
その欠点を
愛せる人と
一緒になればいい
例えば、優しい人になりたい?
例えば、賢い人になりたい?
例えば、見目麗しい人になりたい?
例え話をを並べ立てて、コラージュした理想像はまるで別々のピースを無理矢理組み上げて作ったパズルのようだ。
遠目で見れば、それは理想を描いた肖像画かも知れない。
けれど近くで見てしまえば、それはひとつひとつは意味を持たない歪な何かなのかも知れない。
どれだけ歪になっても、貴方の思う理想の僕でいたいと己を律する反面。
貴方の本心に触れるのが怖くて、決して僕の理想の貴方を崩して欲しくないと願うのは、
美しい肖像に囚われた僕の、自分勝手なエゴなのだろうか。
ただ、なにを差し引いたとしても、そばにいたかった。このままきれいな世界でふたりだけで。だから待っていた。きみはきみだから すきだった。きみがここを離れる前にふたりで遠くに出かけたことがあった。体が焼け落ちるほどにあつい愛をぶつけあった。ふたりの部屋にふたりの呼吸だけが充満して、もうこれが棺おけならいいのになんて思っていた。
⚠︎切爆
#理想の「漢」
「切島はさ〜理想の自分とかあんの?」
ある日の休み時間そう上鳴から言われた俺は柄にもなく真剣に考えてみた。
理想の自分とかよくわかんねぇけど…強いて言うなら「漢らしい奴」になりてぇと思った。その為に日々俺はトレーニングは欠かさねぇし毎朝5時に起きてランニングもしている。
それもこれも「漢らしい奴」になる為にしていること。
それを上鳴に伝えるとこう返ってきた。
「ふーん「漢らしい奴」ねぇ…でもそれって実際さぁ具体的にどういう奴なん?」
確かに、言われてみればそうかもしんねぇな…どんな奴が「漢らしい奴」の部類に入るのか少しだけ自分なりに考えてみた。
俺の中で思い浮かぶ人物は沢山いるがその中で一番に思いついた奴…それは___
「やっぱし爆豪だな…!!」
「え、マジで」
アイツも中々の漢の中の漢という感じでオレの理想の人物だ!!個性もカッケェしな!!!
あとはやっぱり鉄哲とかか?アイツもいい奴なんだよなー!
つってもやっぱり爆豪はカッケェよな!!!普段はアンナだけど優しいしダチの事には一生懸命な所とかザッ漢の中の漢!!!って感じがして俺ァ好きだぜ!!!!!!
「エ、何急にニヤニヤしだして…キモイんだけど!!?」
「オイオイ!?そりゃねぇよ…」
「ハッ間抜け面…」
「バクゴーまで!?ヒデぇじゃねぇかよ〜…」
流石にそこまでハッキリ言われっと俺だって落ち込むぜ!?
顔を俯かせ自分でも分かりやすく落ち込んでみせる。
「え!?嘘嘘ごめんって!!そんな落ち込むことないじゃん!!?」
「ケッこんだけの事で落ち込むんじゃねぇよクソ髪」
つってもよ〜やっぱり落ち込むもんは落ち込むぜ!!?好きな奴から言われたら尚更だろ!!!
しかし、爆豪は顔にすら出さないが内心少しばかりは優越感に浸っており耳もほんの少し赤くなっていた。
処方、切島から「漢の中の漢」っと褒められ(?)嬉しいのだろう___
理想のあなた
5年後の自分。
焦らなくてもいい。
時間はある。
エステに行った
顔パックして 美容液をたっぷり使った
美容系YouTube見て
メイクも勉強した
美容院に行った
ゆるふわパーマかけてトリートメント
ダイエットもした
ヘルシーメニューで ジムにも行った
派手系ネイルはキライでしょ?
ナチュラル系で さりげなく
姿勢を正しく
優雅に 立ち振る舞いに気をつけた
服だって めっちゃ考えた
数回のデート分
暑い日 涼しい日 雨の日バージョンまで
それでも
あなたにとっての
「理想のあなた」には なれなかったのね
#理想のあなた
モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~『理想のあなた』
「ほら姉さん、テイちゃんがフルトッピングのチョコチュロス全種類買ってくれたよ~、機嫌直してよ~」
オレ達怪物3姉弟、本日は遊園地に来ているというのに、一人ヘソを曲げた姉は、メリーゴーランドで、馬にも乗らず、回転床で仁王立ちになり、明るい音楽と共にクルクル回っている。
事の発端は15分前、お化け屋敷にて、100%妖怪人間の姉さん達が、自称お化け☆100%人間への反応に困惑する中、5%人間のオレがマジで怖がり、テイちゃん(兄)に抱きついた為、姉さんが“女子の反応”先越された!…と、ワケわからん理由でキレて、今に至る。
「う~わ…シャクレてる…長引くぞ、アレ」
せっかく遊園地に来たのにね、と、ため息混じりで隣のテイちゃんを見ると、姉さんに向けてチュロスを振りながら、笑いを堪えていた。
『あの顔、面白くない?』
「怒られるよ、テイちゃん…」
テイちゃんは姉さんの激しい気性に全く動じない、数百年の付き合いだからか、余裕である。
「姉さんて、昔から、ああだったの?」
テイちゃんはゆっくり首を振ってから、
『姉弟になった時、姉さんは、笑えなかった、怒れなかった、全てが恐怖でしかなかった、心がボロボロで、かわいそうだったよ』
姉さんとテイちゃんは、前世で恋人同士だったんだけど、正確にいうと、生まれ変わったのはテイちゃんだけで、姉さんは再生しただけ、つまり姉さんは覚えてたんだよね、小さな身体では到底耐えられない記憶を。
『だからね、今の姉さん見てると幸せなんだ』
生まれ変わって記憶のないテイちゃんが、発狂状態の姉さんを治療して、村の復興までやり遂げた。
『姉さんに、人並みの生活をさせるのが理想だったんだ』と、ジェスチャーで語るテイちゃん。
オレはまた、ため息が出た。
「こにょこにょテイちゃんこにょ~♡」
いつの間にか姉さんが、テイちゃんの腰に抱き付き、オデコでくすぐっていた。
「アイスも食べますか?お姉様?」
「うむ♡チョロチョロにちょかすてぇ♪︎チュロスとテイちゃんにぬるぬるすでぇ~ペロペロしゅるっ♡」
「……くっ!!!」
#24 理想のあなた
うんと小さい頃、自分の容貌が気になって、鏡を覗いてみたら、期待していたほどではなくてガッカリした覚えがある。
今は前向きに受け入れている。
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理想とは、なりたい姿やあるべき生き方、これがあれば幸せだと言えるもので、言い換えれば未来への目標であり、過去に対するものである後悔とは別物である。
私は、考え方の癖や人見知りの原因を、親との関係性によるものだと思っていました。
多分、親のせいだから自分は悪くないと思いたかったのだと、今は思います。
何年も拗らせた結果、残ったのは感情のコントロールに四苦八苦している内弁慶な自分でした。
必要なのは、「これからどうするか」を考えることであり、その内容は達成可能なこと、小さな目標がよい。
何事にも冷静に対処できたらいいなと思うのです。
調べてみたり人に聞いてみたりすると、方法は色々と見つかりました。
とりあえず簡単そうな、小さいことなら。
まだまだ大丈夫、失敗は成功のもと。
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理想の『あなた』と言っても、
誰かにして欲しいことがあるときに、はたらきかけるのは結局自分だしなぁ、ということで。
アドラー心理学を参考にしました。学生時代の教科書を引っ張り出しました。そのうち時代の流れでアドラーさんじゃなくて誰某がいいとか、求められる内容は変わるんだろうな…とか思いました。
「理想のあなた」
「理想の貴方」
あなたはそうじゃないの
こうあるべきなの
お酒を飲むなら静かなバーで、食事はフレンチレストランに行ってね。コンビニ弁当なんて論外よ。
パジャマ代わりのスウェットで一日過ごすのはやめて。
アニメや特撮が好きなんて子供っぽいわ。
下世話な話題は禁止、あなたの口から聞きたくないの。
恋人はいてもいいけど極上の女を選んでくれなきゃ。
あんな普通の女じゃ誰も納得しないわ。
あなたの前から消えてもらいましょう。
ねぇ…私を幻滅させないで。
いつまでも、高いところで輝いていて。
――――――
「理想の私」
ぐずぐず考えずに行動(考えすぎちゃう)
気の利いた会話ができる(できません)
人の顔を覚えられる(有名人でもあやふや)
センスが良くてお洒落(言わずもがな)
絵が上手、手先が器用、音に敏感(芸術方面は壊滅的)
ミニマリストとまでは言わないけれど、
ちゃんと片付けられる人(床にモノ置きがち)
伸びない髪。増減も劣化もない細胞。減らない腹に排泄のない身体構造。
外側だけをそっくり写し取って私に手を伸ばす。
「触れ合いが恐ろしいと、君が言ったんだよ」
そうだ。確かにそう言った。
人間の皮膚というものは微かに産毛があったりするもので、それがどうも気味悪く感じられた。獣と同じくせに「わたしたちだけは違うのだ」と恐れ多くも君臨しているように思えて。
どうせ肉のくせに。皮袋を擦り合わせて触れるという行為は酷く嫌悪感を掻き立てる。
「わ、たしは、それでもあなたが好きだった」
「より君の好みに変化したんだ」
「それでも……それでも……」
人形の足元に縋る。初めて触れた体は冷たく見えて暖かかった。模しているのだと気づくも指先から侵食するような不快はない。
「前のあなたの方が良かった……」
「やっぱり僕らって相性が悪いんだよね。愛し合っているけれど」
膝を折って私に腕を回す。服の上でいちど止まってから徐々に抱きしめる、あなたの。
そういう優しさが好きだと伝わらなかった愛を恨んだ。