モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~『理想のあなた』
「ほら姉さん、テイちゃんがフルトッピングのチョコチュロス全種類買ってくれたよ~、機嫌直してよ~」
オレ達怪物3姉弟、本日は遊園地に来ているというのに、一人ヘソを曲げた姉は、メリーゴーランドで、馬にも乗らず、回転床で仁王立ちになり、明るい音楽と共にクルクル回っている。
事の発端は15分前、お化け屋敷にて、100%妖怪人間の姉さん達が、自称お化け☆100%人間への反応に困惑する中、5%人間のオレがマジで怖がり、テイちゃん(兄)に抱きついた為、姉さんが“女子の反応”先越された!…と、ワケわからん理由でキレて、今に至る。
「う~わ…シャクレてる…長引くぞ、アレ」
せっかく遊園地に来たのにね、と、ため息混じりで隣のテイちゃんを見ると、姉さんに向けてチュロスを振りながら、笑いを堪えていた。
『あの顔、面白くない?』
「怒られるよ、テイちゃん…」
テイちゃんは姉さんの激しい気性に全く動じない、数百年の付き合いだからか、余裕である。
「姉さんて、昔から、ああだったの?」
テイちゃんはゆっくり首を振ってから、
『姉弟になった時、姉さんは、笑えなかった、怒れなかった、全てが恐怖でしかなかった、心がボロボロで、かわいそうだったよ』
姉さんとテイちゃんは、前世で恋人同士だったんだけど、正確にいうと、生まれ変わったのはテイちゃんだけで、姉さんは再生しただけ、つまり姉さんは覚えてたんだよね、小さな身体では到底耐えられない記憶を。
『だからね、今の姉さん見てると幸せなんだ』
生まれ変わって記憶のないテイちゃんが、発狂状態の姉さんを治療して、村の復興までやり遂げた。
『姉さんに、人並みの生活をさせるのが理想だったんだ』と、ジェスチャーで語るテイちゃん。
オレはまた、ため息が出た。
「こにょこにょテイちゃんこにょ~♡」
いつの間にか姉さんが、テイちゃんの腰に抱き付き、オデコでくすぐっていた。
「アイスも食べますか?お姉様?」
「うむ♡チョロチョロにちょかすてぇ♪︎チュロスとテイちゃんにぬるぬるすでぇ~ペロペロしゅるっ♡」
「……くっ!!!」
5/21/2023, 1:54:24 AM