漠然過ぎだぞ、そのテーマ!とは言え、作家方の自由な発想を重視した優しい使いまわしテーマ様に文句を言っても仕方がない訳で…。
湖雨の話をしよう。
湖雨は愛する人を守る為に、迷わず自分の命を捨てた者で御座います。
追い込まれて選択を迫られた時、おそらく誰でもそうするでしょう。
え?自分なら自分の命を優先するって?
御名答。その愛する者、Cさんにとってはそっちが正解でした。
むしろCさんの方が湖雨を愛していましたから。
私(C)は何とかなるから、守らなくてカッコワルいとか思わないから、とにかく生きていて欲しかった。
もし、誰かが自分の為に命を投げ出したことに、大喜びする奴がいたら、そいつヤベェ奴ですよ。
人様の命で自分の価値を測ろうとする浅ましい思考を持つ奴に、命をかけてやる価値は無いと思います。
話を戻そう。
湖雨にとって、Cさんは命をかけても良いと思える人でした。だから迷わなかった。
けれどその後、記憶を持ったまま生まれ変わった湖雨は後悔します(前日のテーマ)。
そもそも命の選択を迫られる様な状況にしてしまったこと、結果Cさんを深いかなしみに陥れた自分自身のいたらなさに。
愛の為に命の選択をするなら良く考えましょう。
いや、愛に命懸けが関わるのもどうかと思う。
現代日本で、
愛を証明する為に何でも出来る奴は、発達や道徳心に問題があるか、詐欺師だろうから。
証明しようとする事が間違っている気がする。
海と言っても、僕達モンスター姉弟の住んでる山村には山に囲まれた湖しかないんだけど…“しか”って表現では怒られそうなデカさの湖なんだけど。
そんな湖村の夜は村人も外には出ない、ゾンビ熊が出るからね。それについて説明しろと言われそうですが、この物語は“現代社会の喧騒をスルーしてレッツスローライフほのぼのエンジョイド田舎物語”なので…話を進めますね。
「はにゃび♪︎はにゃび♪︎」
今年も夜の湖の波打ち際にて、家の窓から顔を覗かせている村人を、花火で楽しませよう、という訳で僕達姉弟で花火しこたま買って来てセッティングが完了。
「だばっいくどっ」
吸って飲むタイプのアイス三本を口に咥えた姉さんが、某Dプリンセスとドンかぶり能力を発動させる。
横に長く並べて順番に上げる予定だった花火達は光る氷の粒達にまとめられ、夜空高くに舞い上げられた。
「今だ!テイちゅわん!!」
今だじゃねぇよ、何の為に並べたと思ってるんだよ、返せよ25分。
そんな姉さんと僕の様子を面白がる兄のテイちゃんが、笑いを堪えながら能力を発現させる。
夜空に散りばめられた花火が一斉に花開く!
能力による、AIで作った様な華やかな演出のオマケ付き夜空に、湖が夜とも昼とも違う明るさに照らされ、ゆっくりと元の夜と湖に戻った。
「は~…たまや」何度観てもため息が出る。
「しゃて、くしょボージュば早よ寝ろ」
「…うん」
姉さん達はこれから夜勤です、夜になると現れるゾンビ熊から村を護るお仕事です。
「テイちゅわんっ今夜のオラば…めっっっさ盛り上ぎゃりしょぅ♡」
……仕事だよな…?
君と出逢って、未来が明るく見えた。
万年生きられる君が居てくれれば、千年生きる彼女を一人にしないで済む。
のこされた者がどんな気持ちか、彼女にその思いを一度させてしまったから、今度こそ、今度こそ……。
何でも、君を食べれば俺も長命になれるらしいけど、三人仲良く暮らせれば一番だけど、可愛い君を食べるなんて到底無理だ。
この事を彼女に言えば、俺に君の指でも意地でも食べさせようとするだろうから黙っていよう。
それにしても最近の彼女はとても機嫌がワルい、君と仲良くなってもらわないと困るのに、だから彼女にそっけなくしているのに……。
ボクはダイダラボッチで、妖怪村の村長さ。
妖怪達は人間を奴隷にしたけど、どうでもいい、そうなったのは前世で誰かを奴隷にしたからでしょう?自業自得。どうでもいい。
ある時、どこだかの姫様が村に来て、子供を産んだ。子供は鬼が持ってった、姫様はお城に連れ戻された。どうでもいい。
18年くらい時が経って、あの子供を見つけた、いや、正確には存在は把握してた、でもちゃんと観たことはなかった。
子供は、美しい青年に成長していた。
鬼の慰み物となり、鬼達に愛されていた。
そのせいか人間には疎まれていた。それでも、鬼から食べ物を貰っては、骨張った子供や老人に分け与える優しい心を持っていた。
ボクはそんな紫の眼をした青年に夢中になった。
手始めに村から妖怪達(ボク以外)を追い出し、人間だけの村にした。人間共の話を聞き、住みやすい環境に整えてやった。
お気にの青年とボクは一番大きな家に同居♡
何か人間に善くしてたせいか、ダイダラボッチから地龍に出世したらしいけど、どうでもいい。
青年とボクは愛し合ってた。
でもそれは、人間達が青年を良く思わない原因でもあった。
追い出された妖怪達が、その感情を利用し、青年をボクの手の届かない場所に連れて行った。
何年か過ぎ、狛犬が人間との間に生まれた赤子を見せに来た。
その子は、紫の眼をしてた。
ボクの愛した青年は、
生まれ変わってボクの元へ、帰って来た。
「ほり、ゆくじゃんごじゃ」
姉さんが、雪を丸くしてミゾレシロップをかけた“雪団子”なるものを手渡してきた。
「あ…ありがとう」
とりあえず受け取るオレ、モンスター姉弟の可愛い末っ子です。
騒がしい正月が過ぎて、胃も心もお疲れ気味で、何だかボーっとしてしまう昼下がり。オレは庭で、姉さんのママゴト相手をしております。
「くるくんてんむすぶも食うけ?」
「あ…はい御願いします」
「あいよっ」
姉さんが、お節料理の残り物の栗きんとん(姉さん用にアレンジされた極甘のヤツ)を、雪で包んだ“栗きんとんお結び”を手渡してきた。
「あ……ありがとう」
そのお節料理を作った、兄のテイちゃんは新年の挨拶回りで村人の家に出掛けている。お喋りな人に捕まると半日以上帰って来ない為、全村人を巡るのに数日がかりなのである。
「じゃてまぐずすも食うけ?」
「…御願いします」
「あいよっ」
ほぼプリンの伊達巻きを雪にのせたお寿司。
テイちゃん早く帰って来て下さい。