『物憂げな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
昼過ぎに起床した朝和は、起きるとすぐに隣町の映画館に向かった。映画マニアにはよく知られている北欧の映画監督の作品が上映されるのだ。駅までは歩いて3分、電車到着まで4分。電車に間に合うよう少し走った。電車到着と同時に駅に着き、電車に乗ると思いの外中は混んでいた。遠足に行く小学生が乗っていたのだ。車窓から物憂げな空が見えた。今日の運勢を物語っているような空だった。
映画は想像以上によく出来ていた。ハリウッド映画を思わせるような派手さはなく、昔の日本映画を思わせるようなしんみりした作品。朝和はそんな作品が好きなのだ。
映画館内の喫茶室で1時間半余韻に浸った。時計を見るとすでに4時。映画の中から現実に引き戻される。
映画館を出て商店街に向かった。朝和は商店街を好んだ。あの活気が自分に力を与えてくれる気がする。
夕間暮れの商店街はいつものように活気があった。
空は曇天。晴れ間のない日が続いている。あの大厄災の日からずっと。
今にも降り出しそうだと見上げては溜め息を吐いた。
今日も夫は帰ってこない。当然だ、先日戦死公報を受け取って安置所までお別れに行ってきたのだから。
遺体があるだけまだ増しなのかもしれない。鬼に食われて遺品すら残っていない人もいた。
だけど他と比べても何をしても変わらない……私の日常は、幸せは消えてしまった。
『愛してるよ』
結婚する前から毎日言ってくれていたなと思い出す。馬鹿みたいに飽きもせず私に構って、幸せそうに笑う夫。
ずっと一緒に居たかった。今更こんなことを願うなんて。
「また泣いてるのか──母さん」
息子だった。夫とは違うところで戦っていた息子は、負傷はしたが帰ってきた。
夫の面影のある顔で、視線を合わせてくる。
──ああ、私たちの宝。
「私たちは、ずっと傍にいるから」
「一人じゃないよ、お母さん」
嫁いだ娘二人も来ていた。
四人で身を寄せ合い肩を抱いて泣いた。
今はまだ立ち直れない、前なんて向いて歩けない。それ程に夫の、子供たちにとって父の存在は大きいものだった。
いつかまた顔を上げて笑うから、愛しいあなた。
今はもう少しだけ、物憂げな空の下で雨催いに悼ませてください。
【物憂げな空】
物憂げな空
湿気で重くなった空気が肩にのしかかる。
身体が重く感じるのは自分だけじゃ
ないよね。悪天候のせいだよね。
どんよりとした空の中
腕を回しもがいてみる。
物憂げな空
「もう真っ赤ね」
彼女はそう呟く。
「何がだい?」
「お空よ、お空。さっきまで真っ青だったじゃない。」
唇を尖らせ不満そうに言う。
「あたし青いお空のほうが好きなのよ。」
「そうかい?僕はこの日が沈みきらない
物憂げな空が、好きだよ。」
空気を少し吸う。
友達と言い合いして別れた翌朝
物憂げの空が私を待っていた。
いつもは登校も一緒に行っている時間だけど
自分は1本電車を遅らせた。
こうしてるとなんだか
意地を張ってるみたいで
まだ子供だななんて思ったりもする。
でも電車1本遅らせたくらいでは
あの子と顔を合わせないといけない。
だって同じクラスで隣の席なんだから。
こうなるくらいなら
早く謝ればよかった。
なんでこんなことになったんだろう
なんて色々考える。
そんな考えもう遅いって分かってるのに。
物憂げの空が今も私の心情を表していた。
─────『物憂げの空』
ふと物憂げな空だと思った
ああ空も同じだ、と思った
物憂げに見上げた空は同じように物憂げそうだと
ふと見渡せた部分だけ
自分の味方のように見えた
見えない部分は見えていないので
そこがどうなのかわからない
ほんの一部分
同じだと思った
ただそれだけ
「物憂げな空」
灰色がかった空が
いつのまにかほぼ白に近い空に変わる
もうまもなく白い雪が降る
空を見上げていつも思う
なんとも物憂げな空だと
物憂げな空
何やら小説にでも出てきそうな表現だ。
普段使うことはまずない。
思うに、
曇りがかっていて雨が降りそうな空模様なのだろう。
と、私は解釈する。
解釈は人それぞれだ。
例えば、これを英語で外国人にどう説明すればいいのだろう?
と考えてみたりした。
ググるのは、なしで。
うーん、難しい。
英語が苦手な私には無理だ。。
一般的に日本語の表現は、他の言語に比べて「豊か」だと言われている。
あと日本語の習得は、最難関の部類に入るらしい。
そう聞くと、英語に苦手意識のある私には多少の慰めにはなる。
むしろそんな難しい言語を話せてるんだったら、英語を習得するのはそんな難しくないのでは?
なんて手前勝手な思いが出てきて、一丁英語でも勉強してみるか?
と、妙な自信が出てきた。
こんなちょっとしたことが案外人生に前向きな変化をもたらすのかも知れないね。
まずはググることから始めます。
※物憂げ…何となく憂うつな、気が晴れ晴れしない。
今の私に「物憂げ」から思いあたることは、
・15日に受けた試験結果がまだ出ていない
・4月から部署異動と業務担当が増えることは分かっているが、具体的な内容は分かっていない
の2つ。
先が見えない中で毎日やることを決めて進めていくのはモチベーションを保つことも責任感、達成感を持つことも簡単ではないと痛感している…
だからと言って、やらなくて良い事はないので、自分の好きなもの(ファッション、美容、音楽鑑賞、カフェで息抜きなど)を上手く取り入れながら乗り切ります。
「こんなに話が通じない人だとは思わなかった」
彼女が俺を睨む。
俺は何も言わずに彼女のことをじっと見つめる。
「あなたなんて嫌いよ!」
カフェのテラス席から立ち上がると、彼女はバッグを持ってそのまま行ってしまった。
しばらくぼーっとしてから、支払いを終えると、俺も立ち上がる。
物憂げな空は何か言いたそうにこちらを見下ろしている。
そんな表情で見られても。
誰にだって一つや二つ、どうしたって譲れないものがある。だから、仕方ないのだ。
今回のことは、俺も君も譲れなかった。ただそれだけのこと。
わかっている。それは、きっと君も。別々の人間だからこそ、それぞれ存在していて、一緒にいられるのだから。
そのうち空は音を立てて泣き出して、俺は近くの店の軒下に駆け込んだ。
「まだ帰ってこないつもり?」
突然の声に顔を上げると、彼女が傘を差して立っていた。
俺もその傘の中に入ると、二人で歩き出す。二人の家に向かって。
「でもたけのこは譲れないから」
「知ってる。俺もきのこは譲れない」
春の雨は暖かく、まるで俺達を包み込むようだった。
『物憂げな空』
田舎の夜空というものは、美しい星々の光に月、そしてなんとなく恐怖心をくすぐらせるものがある。
特に今日は、いつもよりいっそう綺麗で、いつもよりいっそう不気味だった。
「来てくれたのがあんたでよかった」
「待っててな」
嬉しい。けど悲しい。あんなことを言わせたのは自分だと言われているような空。
苦しい。楽しかった。心に渦巻くぐちゃぐちゃな感情がそのまま映ったような空。
この夜空が明けたら、また何も知らない顔で会えたりしないだろうか。
清々しい青空が広がって見えるような、そんな景色の中で。
_2024.2.26.「物憂げな空」
pkmn林間のあと。
自分田舎生まれなんですけど、田舎の夜空って妙に怖くないすか?
【物憂げな空】
今の、最近の私と一緒だね。
いつか綺麗な青空になる日が来るのかなぁ。
来たらいいなぁ
物憂げな空の思い出は
嫌なことに起因する
迷っている時
辛い時に眺めたものが多い
雨天、風雨、雪雨の空も
本人が行く道を決め
悩みなく過ごしていれば
なんのことやある
しかし人生はいつも
溌剌と明朗ではない
だからぼくはいつか
物憂げな空を
眺めることになるだろう
晴れ間を見る努力をしつつ
物憂げな空
何かがあったわけじゃない。なぜか陰鬱な気持ち。暗い空のせいか。
顔を上に向けた。視線を動かさずにじっと見た。身動ぎせずじっと。ゲシュタルト崩壊で空を壊してやろうと思って。
しばらくして。
鳥の姿が流れた。雲はちぎれて元の形をなくしていった。日の光はより弱々しくなっている。
さっきまでの空が崩れていく。
でもこれ、ゲシュタルト崩壊じゃないな。普通だ。空の普通。いつもの。
ずるいな。そっちはこちらの心に干渉するのに、こっちはそっちに何もできないなんて。理不尽だよ。
帰りにキムチ鍋の材料とクッキーを買った。途中のアイスクリーム屋でトリプルを買った。
これで空からの干渉にバリアを構築できる。曇天なんぞに僕の心を冒されてたまるものか。
『物憂げな空』
ボクシング部のヤンキーにも
女子先輩からの妬まれ口にも
会社の先輩の陰口や態度にも
学生のうちから煙草を吸う奴らにも
堂々とした態度で話す君が
好きだったのかもしれない
春から初夏に変わる季節に見た
あの涙と物憂げな空を僕達は忘れない
あとがき
物憂げな空という言葉をはじめて
聞きました。声に出せない鬱陶しさ
みたいなことを意味した空…ムズッ
物憂げな空
なんか私の心も、物憂げな気持ちだ。
だから物憂げな雰囲気のある空なんだ。
上を見上げると。
足早に駆ける街並みに
水色の香が立ち込めた
アスファルトに咲いた
たんぽぽが静かに唄う
彼方此方で囁くように
植物たちのハーモニー
ぽつりと咲く水玉模様
たんぽぽが静かに笑う
平等に愛を注いでいる
世界は愛に溢れている
『物憂げな空』
過去に想いを馳せ、未来に不安を抱く。
一喜一憂に疲れながらも、一喜一憂を待ち望む。
時にはゆっくりと、時には猛スピードで 物憂げな空は人生そのもの。
嫌だな 雨
どんな 空さえ
晴れた空でも 二度とあえない
死なれたら
死なれた人が 空か海か
どこに 帰るの
ただ 私へ 会いにきて
空 海 まっ海はいかない
空みて 物憂げ気分は
ついなる
時にいけないが 私を
命ある この 場所から
私を迎えにきてさえ
つい 考えてしまうから
あなた を喪い
生きてく人生 かなり
なんなり 楽しんでいても
物憂げな空…
粛々と『人間失格』読み終えて
見れば夕べの空は物憂げ