『海へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【海へ】
海へ行く理由なんて何でもよくて、
何かにつけて電車で行った。
天気がいいから海へ。
ちょっと疲れたから海へ。
大事なものを失ったから海へ。
浜辺に打ち上げられた海洋生物の死骸を探しながらどこまでも歩くのが好きだった。
最近はちっとも海へ行かなくなった。
海へ行く理由がついになくなったのかもしれない。
海へ
海へ行こう。
静かな海へ。
誰もいない海へ。
悩みも何もかも忘れて、旅に出よう。
自分だけの世界へ。
海の旅へ。
海へ行きました
気づいたら仲間も10人ほど出来てて
腕も伸びるようになりました、
ありったけの夢かき集めて来ます。
海へ出よう、そしたらきっと本当の自分見つけれる気がする
殆どが寝静まって街の灯りも幾分か減ったころ、彼は唐突に「海、行きましょうよ」と俺に言った。
急に言われて驚いたけれど、何しろ自分も海なんて数年間行っていないから二つ返事で二人で車に乗り込んだ。
十数分車を走らせると、微かに潮風が漂ってくる。
車を降りると、ざざん、ざざん。波の音が聞こえた。
砂浜を時々倒れそうになりながら歩く。
靴と靴下を脱いで水に爪先をつける。
ちゃぷ、と微かな水音がして、冷たさがじわりと体に伝わった。
不意に水を掬う音がして、何かと思って振り向くと、手の中に水を溜めていたずらげに笑っている彼がいた。
「海来てはしゃがない奴なんていないでしょ?先生」
そう言って、彼は俺に向かって手の中に溜めていた水をぱしゃりと掛けた。
「ちょっと、」
「ほら、先生!楽しみましょうよぉ~」
そう言って笑う彼に、仕返しでまた水を掛けてやったらからからと無邪気に笑った。
大人気なく二人で数十分遊んだ後は、お互いとても疲れきっていた。
「任務では疲れないんですけどね~…これは、良い運動になりましたぁ……」
「君は触手使うから疲れないでしょそりゃ…」
他愛のない話をしながら車に乗り込んだ。
すると彼は、思い出したように言った。
「あ、またいつか、海に行きましょうよ」
想い出の海へ
灰色の空から真っ白な雪がふわふわと風に舞い散って地面を覆っていく。
「寒いいい!!」
ぶるぶる身体を震わせて笑いあいながら、砂浜に描がく足跡の相合傘に二人の名前を入れて完成させる。
「俺らってベタなカップル?」
「そうかもね」
私の顔を覗き込み目尻を下げて笑う拓海が好きだった。
「なんか足りないよね…⋯」と言って私は、ふたりで作った相合傘の相合にハートマークを書き加える。
「これでほんとに完成!」
ふと、満足気に顔をあげて拓海を見ると視線がぶつかった。
ゆっくりと顔が近づいて、そっとキスをした。
くちびるが離れると口からは白い息が漏れて風に消えていく。
じっと見つめ合ったままの時間が何だかおかしくて、ふたりして声をあげて笑った。
「なんか冬の海って暗くて濁ってて、少し寂しい感じがする。それにやっぱり寒いよ!!」
私の髪が海から吹く冷たい風に巻き上げられるのを見て拓海が自分の被っていたニット帽を被せてくれる。
「まぁ夏と違って綺麗じゃないけど、俺は寂しそうな海も寒いのも好きかな。だって、ふたりでいたら寂しくないし温かいだろ!!」
無邪気に笑って拓海が私に抱きついた。
「ほんとだね。温かい!」
ぎゅと抱き合い海を眺めて笑いあった。
何をしていても楽しい。
「ね!お腹すいた!ご飯食べに行こよ!」
「何食べたい?」
首を傾げながら聞いてくる拓海は突然、悩む私の手を取って走り出す。
「ラーメンだな!!」
「またラーメン!?」
聞いてきたクセに……。
嬉しそうに言う拓海に少し呆れた顔をした私の手にきゅと力を込められ観念する。
分かったと答えるように私は手を握り返した。
振り返ると砂浜に残った相合傘の足跡は少しずつ波にさらわれ消えいくのが見えた。
寒いのが苦手なはずだったのに、寒いのも悪くないなと私は思いはじめてた。
拓海がいるだけで温かかったし、幸せだった。
ずっと、こんな日々が続くと信じてた十六歳の冬。
灰色の海も波音も雪も拓海と見る景色は全てがキラキラと輝きを増して見えていた。
*******
薄暗く濃い灰色の雲が広がる空から雪が降って目の前の景色を白く変えていく。
何年かぶりに眺める浜辺からの海はやっぱり濁っていて、お世辞にも綺麗とは言えない。
波打ち際で、空の色を飲み込んだような波はうねりをあげて荒立っていた。
「今までありがとう。俺のことは忘れて幸せになって」
目を閉じれば、今でも耳に残る声が鮮明に思い出せる。
「他の人と一緒にいて幸せになれるわけないじゃん……」
波音にかき消されそうになるほど小さな声で呟いた。
十八歳の冬。
最愛の人がこの世から居なくなって私に大きな影を落としていった。
あれから七年⋯
私は拓海の歳を追い越して二十五歳になった。
時のは流れは早い。
私の時間は十八歳で立ち止まったまま、終わりのない想いがずっと続いている。
浜辺を歩くと楽しい想い出ばかりが押し寄せてくる。
波の音を聞きながら空を見上げる。
会いたいよ⋯…もう一度、拓海に会いたい⋯
この場所に来るといつもそう思ってしまう。
頬に冷たい涙が伝い、息を吸うと冷たい空気に刺激されて鼻孔がツンと痛んだ。
何かきっかけがあればこの心は救われるのだろうかと考えたけどまだ答えは見つからないでいた。
きっと、この先も見つけられない。
だから、ここに来るのは今日が最後。
自分の気持ちにケジメをつけるために来た。
「幸せになって」と言った拓海の言葉と表情を目を閉じて思い出す。
それは私を愛してくれた人の最後の願いでもあるから⋯
私、もう幸せになるね。
「拓海。大好きだったよ」
浜辺に打ち寄せる音にかき消されながら、私はそう呟いてゆっくりと歩きだした。
いくつもの山を越え街を通り過ぎ ようやくたどり着いたのは夜明け近くだった
貝殻の中のような潮騒の音 スローモーションのように寄せては返す波が呼んでいる
ここからできるだけ遠くへ行きたいと願ったけれど 望んだ最後の地は故郷だった
波間の夢から覚める前に 朝が始まる前に
海へ いま還る
#海へ
(これから散骨をするあのひとへ)
真夏に親友の運転で「海へ」
行こうと話がまとまった…
次の日が休みの前日の夜に
2人で家を出た…
楽しく夜のドライブをしながら
海近くにたどり着いたのは
深夜だった…
「どうする?車で寝る…」
親友と話しながら朝を待とうかと
考えた時…
目の前にキラキラネオンが見えた
女2人でラブホに入るのは
なかなか勇気が必要だったが
とにかく寝たかったし…
意を決して入室し、2人で朝を
迎えて「よし!泳ぐぞ!」と
車で出発した瞬間…
目の前に、道路工事のオジサンたちの
集団が現れた…
すぐ近くに現場がある事に
昨夜は気がつかなかった…
皆、一斉に私たちに釘付けになり
完全に私と親友をただならぬ関係
だと思い込んだようだ…
そして、不敵な笑みを浮かべながら
私たちを凝視している…
「え〜!絶対誤解してるよ〜!」と
私が言えば、親友はひたすら大笑い
しながら海に向かって車を走らせた
海へ、彼女をさらわないでおくれ。
うちの大切な姉を。
私の大切な存在を。
僕の大切な人を。
俺の恩人を。
我の友人を。
助けておくれ。
助けておくれ。
願いを聞いてはくれぬか、神よ。
"その願いの代償は何だ?"
それは、私達の五感の一部をあげましょう。
"面白い。良かろう。"
うちは聴覚。
私は嗅覚。
僕は味覚。
俺は触覚。
我は視覚。
失ったものは多いものの彼女を取り戻せた。
それでいいんだ。
それで、ちっぽけな代償だって良いんだ。
約束してくれたから。
「約束事 必ず貴方達が彼女に認められれば
返して上げましょう。」
ありがとうございます。
#海へ
この波が奪ったのかと憎らしくもなり
光る水面を眺めてはその美しさに見惚れる
一瞬ですべてを洗い流す強さもあれば
穏やかな波音が優しく語りかけてくる
自然のもつあらゆる顔がそこにある
海へ、足を運ぶ。
今日の海は、とても穏やかで、凪いでいる。
あの日も、こんな海でいてくれたら。
けれど、海は突如、荒れ狂う。あの日もそうだった。
君を、海が呑み込んで連れていってしまった。
喧嘩して、仲直りも出来ないまま別れてしまった後悔が、ここへ僕を向かわせる。
もっと、一緒にいたかった。
喧嘩しても、また仲直りして、バカなことで喧嘩したねって笑い話にして。
そういうことを、積み重ねていけると、勝手に思ってた。
ねぇ、君の身体は、今どこにあるの?
記憶を喪っていても、どこかで無事でいるなら、それでもいい。
けれど、君の身体は、未だ見つかっていない。
会いたい。
僕も、海に呑み込まれれば、君と同じ場所へ辿り着けるかな?
あの夏の日、私はとても傷ついて家を飛び出した。
どこへ行けばいいかもわからなくて、ふと海を見に行こうと思いつき、西に向かう電車に乗った。
2時間ほどかけてたどり着いた白い砂浜は幸せそうな家族連れで溢れていた。
明るい日差し、輝く海、爽やかな空気。
そんな中ひとり歩く私は孤独だった。
なぜ私を傷つけるの?
こんなに大切に思っているのに。
こんなにつらいと思い知らせたい。
私がいないことで困らせたい。
でも帰る場所は家しかない。
ここに居場所はない。
夕方まで歩き回り、私はまた電車に乗って家に向かった。
あたりが暗くなった頃、ドアを開けると叱られた少年のようなあの人がいた。
結局私は許してしまうんだ。
傷口が疼くのに気づかないふりをして。
今でも、砂浜の光景を見ると心の奥がチクリと痛む。
きっとおばあさんになるまで、癒えることはないでしょう。
あなたはそれを忘れているだろうけれど。
(海へ)
潮水に
佇む姿が
目に映る
笑う君の眼
輝いていて
「海へ」
海へ連なる川を辿って、用もないのに海へ行く。
きれいな川ってわけでもないけど、魚が跳ねて、水母も浮かんで、油断してると大きな鷺が羽を休めていたりする。
てくてく歩いて行って、やがて海が現れると、ああ海だぁ……ってやっぱり思う。
川幅というものがすこーんと無くなって、突如、空虚になるくらいの広がりに不覚にも圧倒され…
ごみごみした街の果てに、淀んだ川から来た人を、裏切るようにひろがる青に、圧倒され…
別に何の用もなくやって来て、ぼーっとして、
そして川へ戻る道を折り返して帰る。
港町名物の、お弁当とお菓子を買って、
いかにもその為に来たんですよ。という顔をして帰って、海へのお散歩、終わり。
ヒトという生き物はとても弱いから、“いま”から逃避行動をとってしまうことがままある。所謂、現実逃避と呼称されるそれである。空想、過去、まだ見ぬ未来――脳みそは妙なところで器用さを発揮するから、逃げ場の行く先は枚挙に遑がない。
たとえば、彼女は過去への逃避が多かった。つらい時、いっそ死んでしまいたくなった時。そんな時、しあわせな思い出が、大切な思い入れがある場所へと行きたがるのが常だった。
「波の音が好きなの。すべてが洗い流されそうで」
さざなみに呑み込まれそうなささやかな声で。
「潮の香りが好きなの。このままひとつになれそうで」
そよ風に攫われそうな、頼り無い足取りで。
「海を見るのが好きなの。どこまでも、行けそうで」
見つめていないと、今にも消えてしまいそうな儚げなひとみで。
「ねえ。――聞こえているんでしょ」
責めるような、泣いているような、――まるで、縋るような。そんな響きをもった言葉が、彼女の唇から零れ落ちた。思わず聞こえているよ、と返そうとして、嗚呼、返すための口は存在していなかったな、と思い出す。目も、鼻も、口も、手も足も、何もかも。――ぼくには存在しなかった。
ある思い出がある。あなたと、海に行った。彼は、夏生まれだから海が好きなんだと言って、頑是ないこどものようにはしゃいでいた。
追いかけては逃げる波に頬を紅潮させ、嗅ぎなれない香りに鼻をひくつかせ、その目に大海を映してひとみを煌めかせていた。
いつの日かの思い出。とても、本当にとても大切な、かけがえない記憶。色褪せてしまうことが、消えてしまうことが怖くて、気付けば足は海へ行く。そこに行けば、あのときのあなたに逢えると知っているから。
(ねえ。もう、忘れていいよ)
あいも変わらず彼女は海の一部のように、ただ、音を聞き、風に揺られ、ジッと波間を見つめている。
(ねえ。見えてないんでしょ)
存在を確信している様子で、でも、こちらは見ないきみを、ぼくはただ見ている。
(ねえ。――聞こえていないくせに)
もう交わらないとわかっているのに。もう存在しないからだなのに。全身で現実を受け止めさせられて、じわり、寂しさが心を襲う。
どうか、いまを、生きていてほしい。ささやかな願いを、届かない声で懸命に叫んだ。きっと今日も、届かない。変わらずぼくは、今日も此処で揺蕩い、そして、彼女は。
――海へ。
テーマ「海へ」
その日、私は無性に海に行きたかった。失恋したからとか、やなことかあったとか、親と喧嘩したとか。そんな理由はないけど、でも海に行きたかった。大きな道からだんだん細くなる路地を進む。だんだんと波の音が聞こえ始める。やたら生臭い匂いが濃くなっていく。近くなるたびに、足早になる。もうすぐ、もうすぐだ。今日も来てしまったと思いながらも、その景色はたしかに素晴らしかった。今日も私は、海へ。
お元気ですか。
この海をずっと行けばあなたに会えますか。
(あなたの住む街には海があるって聞きました)
題・海へ
"海へ"
彼の運転で海を目指す。
窓を全開にし、風を浴びて自然を感じる。
そして、海に入り、彼とはしゃぐ。
ほら、思い出がまたひとつ増えた。
何もかも捨ててきた。
言葉通りなにもかも。
自分の買った物も、お金も、友達も、信頼も、何もかも。もう今の自分には何も無い。
言葉通りなにもかも。
こんなにもシリアスな雰囲気でこの場所へ来たらする事はただ1つ。これは決して逃げじゃない。これは新しく生まれ変わる為の手段と言ってくれ。
さようなら。自分の全て。
『海へ』
#海へ
海のない街に来て
どれくらい経っただろう
ガラスとコンクリートに囲まれた
無機質でエキセントリックな世界を
泳いで泳いで…
ひとの波に飲まれて流されて
何処へ辿り着くと言うのだろう
ただ見つめるだけで
ただ潮騒に耳を傾けてるだけで
心が満たされてたあの頃
鄙びた街が息苦しくて逃げ出したのに
海へ 海へ帰ろう
病んだ心が叫んでる
いつも私の中にある
懐かしい海へ
悲しみも憎しみも涙に変えて
あの波に流してしまおう