『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
何故か、ここに呼ばれているような気がした
今となってはもう何もない軍港。数年前まで
はもう少し賑やかだったはずだ。軍人がいて、
軍船があった。
此処より数里離れた海の底でかつてのバディ
は眠る。自分の首から下がる、相棒の認識票が
ざわめく。
* #海の底 No.11
海の底から『おいで』と誘う声がする。
未知の世界だ。
恐怖に自分が飲み込まれる。
底に行けば希望があるかもしれない。
行って見なければわからない景色がある。
いつか底に、目的地に到達できると信じて
足を動かす。
おとぎ話のように
金銀財宝がある訳でもないし、
人魚がいる訳もない。
でも、
綺麗な青い世界の中で
自由に泳ぐ魚は
とても神秘的に見える。
写真やテレビに映る世界は
地上と比べると
圧倒的に人工物が少ない。
自然に囲まれた世界が
新鮮に感じるからかな。
『海の底』
沈んで、沈んで、海の底の奥深くまで沈んでいったこの思い。真っ暗な水底に埋まり、いつだって光は来ない。嗚呼、このままずっと埋まっていたら良かったのに。光など差し込んでこなければ、こんなに惨めな思いはしなくてすんだろうに。期待なんてしなければよかったのに。
期待したのは私だった。
この気持ちを知りたいと思ったのは私だった。
太陽に照らされたいと思ったのは私だった。
この身を焦がされたいと思ったのは私だった。
あなたが好きだったのは私では無かった。
どうか、誰か私に教えてください。あなたと、お姫様を祝福するための詞を。
「海の底」
海の底は沈んでいくほど暗くて、怖い世界になっていく。
だから、海の底に沈む事が怖くなって、ずっと、浅くて明るいところにいるんだ。
もちろん明るく幸せなところの方がいい。
けれど、気分が沈んだりする事もいいじゃない!
新しい発見に出会えるかもよ?
息を潜めて毛布にくるまる時間だけ、わたしは深海魚になれる。
#海の底
「海の底って、きっと優しいよね」
「そうだといいな」
「鯨の骨とか見たいな。すごくおっきいの」
「あったらな」
「ね、一緒に見に行かない?」
隣のヤツが突然ドライブに誘ったかと思えば、急にそんな話を振った。本当に突発だったが話を聞く分には面白そうなので、車を出した。
「うん、そこで止まって」
水族館か博物館に行って古びた骨の展示を見るかと思えば、ヤツは少し遠くの、海が見える展望台を所望した。
潮風で錆びついた手すりに趣きがある。
シーズンが過ぎ、人の影も見えない。
当たり前だ。
海を堪能するには寒すぎた。
「寒いね」
「嗚呼」
風が強い。
音も物凄い。
しかしヤツの声はよく聞こえた。
「…ここで心中しようだなんて、駄目かな」
海風が皮膚を刺す。
夏はもう終わるらしい。
やけに長く伸びた影を見て地軸が23.4℃傾いていることを思い知った。
「………………駄目だろ」
「えー」
「駄目だ」
「ほんと?」
「なんだって、急に…」
「え、疲れちゃった?から、」
だから、と言葉少なになって俯く。
ヤツが俺を誘う時は大体なにかに追い詰められているときだ。
表情もぎこちない上、視線が虚ろになる。
「…なにに」
「なんだろ、わかんない、もうなんか全部。全部やんなっちゃった」
たくさんの人に心を砕いて接するからその分精神的負担が大きいらしい。らしい、というのは本人から直接聞いたことがないからだ。このように具体的に発露されることはこれまでに無かった。
「……………」
「…鯨はね、死んだら海の底に沈んでって、みんなに食べられるんだって。私は海の底まで沈んでって、鯨の肋骨の間に引っかかって、鯨みたいにみんなに食べられて、役に立つの」
「………馬鹿か、おまえ」
「うん、そうなりたい…」
「…………」
「ね、いいでしょ。一緒に行かない?」
「………………………何故、俺が」
「君、言うこと断らないでしょ。だから、私のこと好きなのかなって。今まで迷惑かけちゃってたりしてたから、最後くらいなんかあげなきゃなって」
「は」
「だって、どうせ死ぬならあげてもいいかなって、そのくらいには好ましく思ってるんだよ、君のこと。」
「…それで心中か」
「うん」
それで。
それで、俺と心中しようと言うのか。
全て知った上で。利用して。
「今、この海の底に、鯨がいるのかも分からんぞ」
それほどなら、とヤツが必死になっている鯨について言ってやった。つい、カッとなった。
「あ。」
ヤツは弾かれたように伏せていた顔を上げた。
あどけない声だった。
赤ペンでバツをつけられた子供のようだった。
それが酷く恐ろしかった。
「そっか、」
「そうだった、」
「分かんないんだ、」
「忘れてた、」
噛み締めるように呟いて、がらんどうの瞳をゆっくりとこちらに向けた。
「………………………帰ろ。」
「……嗚呼、」
これ程まで、人が海底に無知で良かったと思う日は無かった。
海底の暗闇まで人類が把握していたら、コイツはクジラのいる海底に喜んで沈んでいく。そんな予感がした。
海の底なんて、岩と漂流物だらけで、高い水圧で細胞が圧縮される。そうしてできた死体など酷いものだ。
海の底は、肺呼吸するしか脳のない人類に優しくなどない。
それを伝えたってヤツは執着するのだろう。
それで、俺に行きずりの旅を持ちかけるのだろう。
「馬鹿だ、本当に…」
運転席の窓を少し開けた。
風は生ぬるかった。
陸風だった。
いつの間にか凪の刻が終わり、陸から海へと穏やかな風が吹いていた。夜だ。憎たらしいくらいに空は晴れ渡っており、星がよく見えた。
「はぁ、」
旅を持ちかけたら、どうしよう。
なんせ、俺は断れない。
「…海底探査の完遂は、100年後にしてもらうかな」
それまでに、ヤツも、俺も、海の底へ行く前にくたばっているはずだ。
助手席ではヤツが寝息を立てている。
それを起こさないように、速度を緩やかに落とした。
2024 1/20(土) 2 「海の底」
【海の底】
僕が子供の頃、母に寝る前の読み聞かせの絵本を読んでもらっていた。特にお気に入りだったのは「人魚姫」の本だった。小さい頃は本気で海に人魚居たり、竜宮城があったり、財宝があるものだと信じていたものだ。
今、僕はスキューバダイビングのインストラクターをしている。主にライセンス取得者の実践指導を受け持つことが多い。
海の中では、子供の頃夢見たものは見つけることは無いが、子供の頃想像していた以上の景色が拡がっている。危険は伴うが、それでも僕はこの仕事が好きだ。
今日もまた、彼らに海の素晴らしさを伝えるために海へ潜る。
「海の底」
海の底には
目が眩むように金銀財宝もあるだろうし
未知の古代文明遺産等もきっとあるだろう
また さらに底には
石油や天然ガス等もきっと存在するであろう
まだまだ わからない事が多いからこそ
海の底には期待と夢がついてくる
さて、人生に置き換えて見ましょう❣
人生のどん底には
目の眩むような下から見る美しい景色がある
未知の経験が自分の遺産・宝物にもなるだろう
また さらに底には
まだ見ぬ宝物があるはずだと
どん底の底を一度掘って見てから
這い上がっても面白いだろう
意外にわかっているようで
まだまだ わかって無いのは
自分だから そんな自分探しが出来る
人生のどん底には期待と夢しかないね❢
海の底。
実際にいる場所はそこではないけれど、相手が簡単に手を差し伸べられるわけじゃない場所、という意味においてはおんなじ場所にいる。
そもそも僕が無意識かどうかは知らないけど、望んでここに来たんだろうし。
今日も、救いようのない、救われるつもりのない僕がここにいる。
時折上を見上げると、差し込む光が見える時がある。その光は僕にとってのものではないとわかっていても、僕のものにならないだろうかとつい期待してしまう。
海の底の完全な無音の征服の中で、たった一つ、微弱なミサイル発射口の開閉音が届いた。海中1000mをを進水する
巨大な暗黒のミサイルの横を、深海ザメが通り過ぎた。ミサイルは容赦なく海中を突き進んでいく。
深海ザメは慣れないミサイルの振動にしばし硬直したが、向こうから微かな生物的振動を探知したので、静かにそっちへ向かっていった。
数分後深海ザメはフクロウナギを捕まえた。
栄養と光の乏しい深海では、明日生きれるかがこの一食にかかっている。次いつ食べれるかなど分からないから、一度の狩りに命がかかっている。
ひとまず明日まで延命できた。深海ザメはもう何万年も、こうやって命を繋いできた。明日、また明日この繰り返しだ。深海ザメの霞んだ白い目にはそんな未来がぼんやり写っているのだろうか。
または、感覚を研ぎ澄ました彼には実際に近々訪れてしまう終焉が知覚されているのか。先程の深海の人工音は終焉の産声であったということだ。
____
海の底を研究するため、中年海洋学者は深海魚に転生することにした。
そこでまとめた研究結果を持って、彼は浅海へ上っていき、漁船の網にかかった。
打ち上げられた彼は「オジサン」なんていわれて囃し立てられた。
実際、前世の彼に似て作られていた。これは彼なりのジョークだ。業界人たちは魚に転生してやる!などと気をおかしくして自殺したあの奇人が本当に転生したんじゃないかといって笑い話にした。
その顔があんまり中年のおじさんっぽかったので写真を取られた。図鑑とかでよく見るあの写真は彼だったのだ。
あの写真は物知りな小学生から、幅広く知られているが
あの3秒後に人語で深海に関する未知の研究を語り出したことを知っているのは世界でもひと握りの要人だけだ。
初め偶然と処理されていたその奇怪な鳴き声、の内容が、実際に証明されてから彼らは目の色を変えた。
「海の底」
深海には 新種の生き物がいる
可能性が高い
なのに
可能性が低そうな
幽霊やUFOやUMA
想像上のものを信じる人が多い
かの子
お題 海の底
俺は今までに何回かは海で溺れかけた。
海水浴に行くたびに浮き輪で浮いているが、時たま浮き輪からスポッと自分が抜けてしまうことがある
泳げない俺はただ溺れ、助けを呼びたいけど呼べず、だんだん海の底へ深く深くへと沈んでいく。目の前が黒くなって意識が薄まって生きてるのか死んでいるのかもわからなくなってる時に毎回親が助けてくれた。
それ以来海は怖かった。海洋系のホラー映画も観るから海が余計に怖くなった。海の中に入るだけでも少し抵抗があるかもしれない。海の底は本当に不思議だ。本当に海の底なんてあるのかな
人の不幸は蜜の味なんて聞くけど、この話を聞いても蜜なんて言えるのかな。
あなたの
たった一言に
不規則に
締めつけられて
重たく
震えだす
胸の鼓動
苦しくて
苦しくて
上手く息ができない。
あぁ…
色が消えていく
音が消えていく
深い 深い
海の底にいるみたい…
愛される
そんな幸せの意味を
知ってしまったから
たった一人
あなたがいない…
愛した分だけ
辛くなっていく。
待って…
この唇が
繋ぎ止めるから…
さいごの言葉を探してる。
こんな時に
頭が追いついてこないよ
段々…
目の前の
あなたが霞んでいく
そっか…
私…
泣いてるんだ…。
- 涙 -
海の底
ここは暗くて寒い場所
争いもない静かな場所
みんなが息を潜めて暮らす穏やかな場所
悪意や憎悪に晒されない平和な場所
だから怖いなんてことはないんだよ
疲れたらここでゆっくりおやすみ
疲れが取れたら水面まで一緒に上がっておひさまを浴びよう
元気になったら陸まで行ってもう一度歩いてみよう
無理しなくて大丈夫
疲れたらいつでもおいで
海の底
深く
沈む
その先には
真っ暗な暗闇が待つだけ
私はその暗闇にいる人たちの
たった一筋でもいいから
光になってあげたい
コポコポと音を立てて海に沈んでゆく。
一面真っ青な世界で地上に戻ろうとすればするほど身体が上手く動かなくなってダメだ。
あぁ、死んじゃうのかもなんて
遠のく意識の中まるで他人事みたいに考えていた。
ハッと目が覚めた。よかった。夢だった。
次に脳に入ってきたのは見知らぬ天井だということ。
色んなことが同時に情報として脳に入ってきて、混乱して横になっているはずなのに目眩がした。
「ぁ、せんせぃ…大丈夫ですか…?って、倒れちゃったのに大丈夫なわけないか…。心配、したんですからね…、」
「…貴方居たのね。、倒れた…あぁ、集会中かぁ。悪いことしちゃったなぁ、」
全部思い出した。
今日は校長の話がやけに長かったのだ。
暖房が効きすぎた体育館は暑くて、それに長話をずっと立って聞いてたものだから急に意識が遠くなって…。
あぁ、情けない。なんて思ったが立たせたまま長ったらしい話を展開する校長も悪くない?なんて心の中で思ってちょっぴりおかしくなった。
「…貴方は授業大丈夫?ずっと居てくれたの?」
ベッドサイドにしゃがむようにしている彼女はおれと目線を合わせようとなんとか頑張っていてその様子は愛らしい
「だって、先生呼んでも全然返事してくれなくて…っ、先に会えなくなっちゃったらどうしようって思って来ちゃいました…、」
瞳をうるうるさせて今にも泣き出してしまいそう。
あぁ、泣かないで。あなたの涙に俺は結構弱い。
普通ならサボるなんて、と怒らなくちゃいけない場面なのかもしれないが俺は結構ちょろい。
嘘でも嬉しくないなんて言えなかった。
「…そう、ありがと。ごめんね。」
それとそばに居てくれて嬉しい、今の俺には言えない言葉を手のひらに乗せた。
手を伸ばして目線ほどの彼女の頭に触れる。
何度か左右を行き来すれば、驚いたように目を見開く。
その顔はじめてみた。貴方のそんな顔が見れちゃうなら、こうして海の底に沈んでみるのもわるくない。
2024.1.20『海の底』
『海の底』
海の底といえば、私はムー大陸やアトランティスを
思い浮かべた。
ムー大陸はかつて太平洋の南中央部に存在したが
天変地異により水没した、とされている。
でも、今は海底探査などによってその存在は
否定されているらしい。
もし、ムー大陸が存在していたら
どんな場所だったのだろうか
某猫型ロボットのもしもボックスでも借りてこれば
実現できるかもしれない。
でも、本当にムー大陸が存在していたら
そこに住んでいた人たちは天変地異に巻き込まれて
生き延びることができずに大陸と一緒に沈んで…
…深く考えるのはやめよう。
『海の底』
沈む
沈む
闇深い場所へ
深く
昏く
冷たい水底へ
音が消える
心が消える
総てが泡と共に霧散する
このまま誰に気付かれることも無く
自分さえも消えていくだけだと思っていた
この何処までも暗く息苦しい世界のなかで
淡い光を放つきみは
ぼくの唯一の光になりました
海の底
あぁ、今は何時だろうか
光が届かないこの場所は地上よりも圧力が高く潰れそうだ。
重い、身体の感覚が全く感じられない。
いつになったら此処から抜け出せるのだろう水の音は聞こえるが他には甲高い耳鳴りしか聞こえないし正直辛い。
全く動けない俺の横をのそのそと横を通る深海魚は何を考えているのだろう。生きる事は当たり前だろうが何か考え事をするのだろうか…魚にならないと分からない事を長々と考えていても無駄だが、俺は他に何も出来無い
そのうち無気力になり意識も無くなり朽ち果てるのだろうか、分からない不安だけが積み重なる
「怖い。このままでは嫌だ。助けが欲しい。誰か、助けて」
と、叫んだが声が出ない。はくはくと口を動かした気がするが何も聞こえない。
この恐怖から逃れることはもう出来ないのだろうな。