『泣かないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
まだ私が幼いとき、空想の中に君がいた。
君は私が創造りだしたたった1人のお友だちで、友だちのいない私の寂しさを埋めてくれた。
真夜中まで一緒にお話をしたり、綺麗な夜空を眺めたり、朝が来るまで君は私の隣にいてくれた。
日が登ると君はいなくなってしまうからそれが少し不満ではあったけれど、私は君が大好きだった。
けれど君は私が歳を重ねるたびに私の前に現れることが少なくなり、私もいつしか日々の忙しさに君を忘れてしまうことが多くなってしまった。
そしてある日、君は私に別れを告げる。
顔もおぼろげになってしまったあなたに逢うのは何年ぶりだっただろうか。それでもあなたの優しい声を、私は忘れてはいなかった。
はらはらと涙を零す私にあなたは優しく触れ、あの頃と変わらぬ子どもの姿のままで私を見上げる。
「泣かないで」と言ったあなたの方が泣きそうな顔をしているのに、私を気遣う言葉に私はまた涙を流す。
私が創造った幻想のお友だち。独りの寂しさに私が生み出した幻影は、その役目を終えて消えていく。
「ありがとう。さようなら、――くん」
かつて私が呼んだあなたの名前。あなたに最初に贈ったプレゼントを…君の餞にもう一度呼ぶ。
君は少し驚いて、そして満面の笑顔を私に見せた。
その残像を抱いて、私は次の朝に目覚める。
そしてその夢を忘れないように、私はこの日記に君の記憶を記して残した。
【泣かないで】
友達の不幸を願った。
友達が志望校に落ちることを期待した。
「おめでとう」と言う言葉を吐き出す時、私はちゃんと笑えているだろうか。
弟が不登校になった。
学区内で1番頭のいい公立高校の合格を蹴って、有名大付属の私立に入ったくせに不登校になった。
私の家はシングルマザーで、金銭的余裕がなかった。
年子だったこともあって私の受験の時、母はこれでもかとプレッシャーをかけた。
普通どこかの高校には行けるようにと公立高校だけでなく私立高校に併願をかける。それすら許されなかった。
頭が良ければレベルを下げればいい、けれど私は馬鹿だったから学区内で1番頭の悪い高校もC判定だった。
面接練習を死に物狂いで頑張って、なんとかその高校に推薦で入ったけれど空気感が合わず2年になって不登校になった。
ずっと弟が羨ましかった、弟は私と違って私立の併願を何校も受けさせてもらえて、ずっと行きたいと願っていた私立高校に入れさせて貰えた。そもそも公立と私立では設備が違うのだ、私の第一志望は県内でも有数の吹奏楽強豪校だった。そこで演奏がしたかった。
それなのに、不登校になるなんて絶対に許せない
弟が不登校になってから家庭環境は劣悪だった。
誰もご飯を食べない、誰も会話をしない。
母も鬱のようになった。私も弟も腕はリスカの跡でいっぱいになった。
1度だけ、弟と殴り合いの喧嘩をした。
お互い学校にいけと言って最初に手を出したのは向こうだった。泣きながら殴ってきた。
弟が泣く姿を見たのはこれが最後だった。
学校のカウンセラーに心療内科を勧められた。
睡眠が取れず1週間の平均睡眠時間は15分だった。
家だと落ち着かずずっとベランダから夜空を眺めて本を読んでいた。眠れなかった。
一緒に無理やり弟を引きづって連れていった。
心療内科なんて行かなくていいといった母と祖母に泣きながら「弟はこのままだと死ぬ、人殺しになりたいのか」と訴えた。
弟は電車に乗れなくなっていた。
だから途中で何回もおりて休んだ。
2人とも無言だった。
診察を終えてから2人で祖父に供える花を選んだ。
毎回の恒例行事にした。少しでも外に出したかった。
2人とも体調のいい日は、駅ナカのカフェでお茶をした。
弟は紅茶を、私はシフォンケーキを頼んだ。
それから暫くして、コロナで学校が休校になり、引きこもりが合法化された。
母も落ち着いて、3人でよくご飯を食べるようになった。
それまでは3人でご飯と言ったら外食だったけれど、母がご飯を作るようになった。
皆でアニメを見ながら食卓を囲んだ。
休講期間が開けて、弟も私も学校に行くようになった。
私は大学生になった。夢の看護学生になった。
弟も大学生になった。一時期そのまま付属大への進学は難しいと言われていたけれどなんとかなった。
私は学校を留年した。医者に言われたようにメンタルがもたなかった、合わないらしい看護業界は。
弟は家に返ってこなくなった。たまに帰ってきても朝帰りで死んだように眠りにつく。夜になると女の子と電話をしている。
今、病院には1人で通っている。
通うのがしんどくなって通ったり通わなかったりを続けている。
あの時余裕がなくて見ることの出来なかった駅ビルを見に行くと、無印やLOFTなどが入った大きい施設だということに気がついた。
病院からは綺麗な景色が見える。
泣かないで、って。人に言うのは難しい。
言ったところで余計に泣かせてしまうから。
涙も乾いてしばらく経つ。雨は地に降りることを拒絶している。水は尽きている。生きとし生けるものはすべてみな水が必要、それは昔話になった。いずれ夢現のお話になる。かみさまは第二の創世記をお始めになり、その終日に「泣かないで」と仰せになったので、あらゆるものは泣くのをやめた。空も大地も赤子も老人も泣くのをやめた。悲しみも喜びも怒りも行き場をなくした。渇望、ということばを私は本で読み、辞書で引いて、時折呟くなり書いてみるなりしている。さんずい、日の匂い、亡、月の王。かつぼう。かわき。泣くとはどんなものかしら。泣くとはどんなものかしら?
私が泣いている時、私の方に駆け寄ってくれたのは貴方だけだった。
「泣かないで!あなたの笑ってるところ、見てみたいな」
とっても、眩しい笑顔。私は、ぎこちなく笑って見せた。
それから、私と貴方は親友になった。夢を叶えるために、互いに支え合って、時に喧嘩して、でもちゃんと仲直りして……。
そんな私と貴方が、離れ離れになった。
私だけが、夢を叶えられなかったから。
でも、ある日貴方に会いに行った時、貴方らしくない顔をしていた。
涙のあと。いつもの眩しい笑顔が無くなって、なんだかやつれているように見えた。
「私ね、夢を諦めたの。病気なんだって」
そういった貴方は、大きな涙を流してそのまま黙ってしまった。
このタイミングであんなこと言うのは、違うかもしれないけれど、私は、
「泣かないで!貴方の笑ってるところ、見てみたいな」
いつもの眩しい笑顔が、見たいから。
泣かないでと言ってあなたが去った。
別に泣く気などない。泣かないでと言われたからではなく、こうなることを知っていたから。言ってしまえば心の準備は済んでいたのだ。
どうせ、泣こうが喚こうが、こうなるのだ。
「もし、君が行かなくて良くなるなら、喜んで泣いたって言ったら、どんな顔するかな」
それは少しだけ興味が湧いた。
僅かにぼやけた視界でも君の背後だけはよく見えた。
泣かないで欲しいと思う。私は貴方が好きだから。でも、貴方の笑った顔と同じくらい貴方の泣いている顔も困っている顔もいたずらっ子な顔も全部好きなのよ。泣いていいのよ。
泣かないで
泣かないで、なんて言いたくない。
私の前ではいくらでも泣いてほしい。
あんなに大きくてごつごつした体でも、心が大きくてごつごつなわけじゃない。
いつもはぴしっと伸ばした背中を丸めて、私の膝の上で眠ってほしい。
不真面目でも頼りなくてもいいから。辛かったら仕事なんて休んでもいいから。
あなたが帰ってきた時は、いくらでも抱きしめてあげるから。
泣かないで
その涙はきっとあなたを強くする
だからその悔しい気持ちは、もっと大事な時まで取っておいてね
いつかは報われる日が来るから
冬のはじまり
一、朝、布団から出られなくなる。
二、長袖のヒートテックを着始める。
三、玄関から外に出れば、朝の冷たい空気に吐く息がほのかに白く見えた。冬がやって来たね。
四、会社の帰り、駅から家に歩き始めると指先が冷たくなってくる。まだ手袋を使うほどじゃないと、ポケットに手を入れる。
今、あなたと手を繋げればいいのにな、なんて思いながら。
#103
昨日は出先にスマホを忘れて間に合いませんでしたので、まとめて投稿します。
泣かないで
薄暗くなってから近所の公園に呼び出された。親に言い訳をして急いで向かうと、公園のベンチに従姉妹の姉ちゃんが俯いて座っている。あー、またか。ため息を一つついて、思った通りを声に出した。
「また、振られたの?」
「違う! 振ったの! 二股されてたなんて……!」
オレの遠慮のない言葉に、勢いよく顔を上げた姉ちゃんは噛み付くように言った。
まだまだ元気があるみたいだな。
「あいつ、あんまり感じ良くないって、オレ言わなかったっけ?」
「言ったけど……。優しい人だと思ったんだもの!」
四歳年上の従姉妹は、いつになったらオレの気持ちに気づいてくれるんだろう。
ずっと子ども扱いするくせに、こういう時は呼び出すなんてズルいよな。
「泣かないでよ。そんなやつと別れて正解じゃん」
自販機で買った温かいカフェオレ缶を渡して、隣に座った。姉ちゃんは鼻をすすりながら、ありがと、と呟く。白い両手が温かいカフェオレ缶を包み込んで、その手に涙が落ちた。
だから言ったのに。
腹だたしいけど、目と鼻を赤くして大粒の涙を零してる姿を見れば、やっぱり胸が痛むんだよ。オレならこんなに泣かせたりしない。
でも、泣くならオレの前だけにして。
早く大人になりたい。伸ばした手でそっと小さな背中を撫でた。
#104
『冬』
私は冬という季節が好き。
冬のおかげで暖かい部屋の中でお昼寝が
満喫出来るから。
ウトウトと船を漕ぎ、
ポカポカと暖かくなる布団の中で丸くなれば、
あっという間に夢の中。
布団が恋しく朝起きれなくなるのが難点である。
「布団、最高....」
これで蜜柑があれば完璧なのに。
ボクは冬が嫌いだ。
ポカポカとしていた心がちょっとした事で
冷えきってしまうから。
夜に吹く肌寒い風が吹く度にオマエは独りなのだと
教えられているように思える。
「あぁ、サムイナぁ〜。」
隣に君が居ればこの冬を乗り切れるのに。
泣かないで
君はみんなの前ではいつも笑顔でいるけれど
僕は君が裏では1人でずっと泣いていることを知っているよ
でも、僕には君に何もしてあげられないことが苦しい…
だって…だって僕はみんなには姿が見えないから…
君にしか見えないから…
だからそばにいることしか出来ないけれど
いつか君のその涙が晴れる日まで、僕はそばに居続ける
だから、もう泣かないで…
「そんな事、泣かなくて良い!」
あんたは悪く無い!
あんたは努力しただろ
あんたは頑張った筈だ
途中で投げ出しもせずどうしようか考えて、最善を尽くした筈だ。
あんたはめげなかった
あーすみません、わかりませんでしたー
そう言えば良い
言わなかったのはやってみようとして頑張ったからだ。
やらずに放っておくよりずっと良い
放って置けなかった
それだけで偉いだろ。
時間通りに終わらなかった?
明日やれば良いさ。
駄目なら誰かの手を借りると良い。
それも駄目ならもう君の手には負えないと言う事だ。
出来るわけがない。
君の容量はもう超えている。
それなのにまだ放り出さないのか?だろ?
泣かなくて良い。
どうみても、君はよくやってるじゃないか。
#泣かないで
泣かないで
ユウちゃんほら、ちゃんとお片付けしてね。
ユウちゃん周りに迷惑だから静かにしてね。
ユウちゃん、ママの大事なものは触らないでって言ったよね。
ユウちゃん、どうしてママの言う事聞けないの。
ユウちゃん、わかってよ。
ママもう疲れたよ。
あああ!!五月蝿い!ユウちゃん泣かないでよ!
五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!!
ねぇ!泣かないでよ!!?もう、静かにしてよ、
泣くと煩い、とぶたれた
泣くとまた泣いてる、と冷たい視線を向けられた
泣くとどうして、と母が狼狽えた
泣くとお前が悪い、と目尻を吊り上げた
泣くと大丈夫だよ、と数多の手が背中を叩いた
泣かないで、と小さなわたしが心臓を握る
泣かないで、と小さなわたしが涙を搾る
泣いてもいいよ、と大きなわたしが隣に座る
泣いてもいいよ、と大きなわたしが涙を流す
小さなわたしは泣き虫がきらいなのに
大きなわたしは泣き虫がだいすきなんだ
どうしても感情のコントロールが出来ない態度やキツい言い方顔がきつくなって言葉と顔が違う優しい笑顔と声言葉話をする事がなれなくてキツい言い方になってしまう時がある周りに気をつわせてしまっている甘える事が出来ないありがとうが言えない褒めらて嬉しいとかもそんな自分が嫌い受け入れる
わたしが居なくなったことは悲しんでしまうと思うけれど、
大好きなあなたにはずっと笑っていてほしいの。
#泣かないで
泣かないでって言われたって泣いてしまう。自分で制御できるわけじゃない。制御できるのは、出来るのは、誰もいない……かもしれない。けれど涙は人に影響を与える
きみの目から零れ落ちるもの、その涙の意味が分かれば、もっといいんだろうけれど。
それが出来ない代わりに、涙ごときみを包み込んで。それが自分に出来る唯一のこと。
だから、
◎ 泣かないで