涙も乾いてしばらく経つ。雨は地に降りることを拒絶している。水は尽きている。生きとし生けるものはすべてみな水が必要、それは昔話になった。いずれ夢現のお話になる。かみさまは第二の創世記をお始めになり、その終日に「泣かないで」と仰せになったので、あらゆるものは泣くのをやめた。空も大地も赤子も老人も泣くのをやめた。悲しみも喜びも怒りも行き場をなくした。渇望、ということばを私は本で読み、辞書で引いて、時折呟くなり書いてみるなりしている。さんずい、日の匂い、亡、月の王。かつぼう。かわき。泣くとはどんなものかしら。泣くとはどんなものかしら?
12/1/2023, 5:53:54 AM