『梅雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『梅雨』
またいつか
笑ってくれたら
それでいいから
今はただ
泣いて泣いて
眠りにつこう
土地を潤し
作物を育て
我々に栄養を与えてくれる
恵みだ
ありがとう
#梅雨
梅雨は鬱蒼とした雨が降ります。
あなたたちの体を清め、
高い次元へと導くでしょう。
今までの鬱憤や蓄積された感情を
その雨に預け、洗い流してください。
そして地球のエネルギーを吸い込みましょう。
梅雨の期間、新たな芽が控えています。
その芽吹きを待ちながら、
夏の訪れと共に生命力が開花します。
梅雨
梅の実が熟す頃だから梅雨と呼ばれる、と聞いたことがある。
夏に飲む梅ジュースは甘酸っぱくて格別旨かったから、
ばあちゃんの梅仕事をよく手伝っていた。
黙々と梅のヘソを取る僕を、あいつはニコニコ見てたっけ。
「会いたいな」
ふっと、言葉がこぼれる。
「会いに行けばいいのよ。おばあちゃん喜ぶわ。
最近、あんた顔色悪いし、気分転換してくれば。」
母さんの勘違いだ。
でも、最近、酷く疲れている。
確かに、いつも明るいばあちゃんの顔を見れば、少しは
元気になれるかもしれない。
思い出が詰まった場所だけに複雑ではあったが、久しぶりに
ばあちゃんちへ行くことにした。
「やっとこさ着いた」
「よく来たね。雨のなか大変だったろ。
おや、だいぶお疲れだね。痩せたんじゃないかい。」
「ちょっと前から色々あってね。」
「あの子は一緒じゃないのかい。
まさか愛想尽かされたんじゃ…」
血が逆流したって、こうはならないってぐらい
驚いた。
「ばあちゃん、あいつのこと覚えてるの?」
「当然でしょ。なんで、そんなに驚くかね」
あの日から初めて、あいつを覚えている人に出会えた。
幻じゃなかった。あいつは、どこかにいる。
溢れそうな涙をぐっと我慢する。
もう一度、あいつを探そう。
今日も雨。昨日も雨。明日も雨の予報だ。
梅雨の季節。ああ、今日も体育館は湿気が凄そうだ。床の感触も変な感じだろう。
部活ますます面倒だな、なんて思いながら体育館へと繋がる渡り廊下を歩く。
近い未来、梅雨の香りを感じるたびにこの日々を思い出すことも知らずに。
「梅雨」
とんがるこころがとんがって
からだのなかをあばれまわっている
よけいなぼくのくちごと
そのはりでぬいあわせてくれよ
ポタポタと滴る雫に見とれながら、
雨降る小路を歩いてく。
やがて激しくなる雨模様を思いながら、
あの子のことを思い出す。
風の先に待つ暑い日を思いながら、
あの子の瞳を思い出す。
可憐に流れるあの子の髪に、
触れてみたいと思ってしまう。
けれど、今は見つめるだけ。
触ると君は、怒るからね。
「......可愛い髪型だね」
「ケンカ売ってる?」
テーマ“梅雨”
学校の教室。
登校時は晴れていたから、傘を忘れた。
外は雨。今は放課後。
帰宅部だからさっさと帰って
ぐうたらしようと思っていたのに
傘が無いから帰れない。
迎えに来てもらうにしても、両親ともまだ仕事中。
祖父母はどちらもかなり遠距離(笑)
兄弟姉妹居ないから
途方に暮れている。
学校に自由にお使いくださいの置き傘は
あったけれど
残っていたのは、明らかに
穴が空いていたり、錆びていたり
ホコリを被っていたり、蜘蛛が巣を張っていたり
正直触りたくない。
潔癖症では無いけど、流石に無理。
教師には、親の仕事が終わるか、雨が止むまで
教室に居させてほしいと頼んである。
渋々ながらも、承諾してくれた。
田舎の学校。コンビニまで片道20分。
その間にずぶ濡れになる。
夏服に変わったばかりだから
雨に濡れたくない。
ブラウスが透けて下着が!とかそう言うのでは無く(ベストがある)
ブラウスが体に張り付くと、簡単に脱げなくなる(着替えの時)のが嫌。
ぐうたらタイムが、減る。
いや、既に減っては居るんだけど。
「あれ、えっと…」
教室の出入り口に、同じクラスでサッカー部のカナメくん(名字)がいた。
「あ、教室に用事だった?着替えとかするなら外出ていようか?」
椅子から立ち上がると
「いや、えっと、君…帰宅部だよね?帰らないの?」
陰キャでカースト最下層の私を知っているだと?
名前は知らないようだが。
「それがですね、傘を忘れて。学校の置き傘もまともに使えそうなのは無くて」
「凄い雨だよね。台風並みって言ってた」
「台風!?」
「ああ、いや、今ここにあるのがじゃなくて…」
つまりは、物凄く豪雨が降ってる地域があるらしい。
「迎えは?」
「うちの両親、まだ仕事中で。」
「そうなんだ?…あの、良かったら、途中までかもしれないけど、一緒に帰らない?」
「え゛!?」
今まで出したことがないような声が出た。
「嫌ならいいけど、困ってる人は放っておけないし」
「駅まで行きます?」
「地下鉄?」
「そうです。」
「…地下鉄通学だったりする?」
「そうですね。」
「……俺もなんだけど」
「わぁ、何という偶然。」(棒読み)
私は知っていた。何度が同じ車両になったこともあったし、隣に立ったこともあった。(偶然)
「じゃあ、地下鉄の駅まで一緒に帰ろうか」
…本当に良いんだろうか。
私。
だが、迷わない。好意は受け取る!
「ありがとう、よろしくね。」
そう言って、カナメくんがユニフォームから
制服に着替えるのを待ち(見てはいない)
一緒に帰った(駅まで)。
陰キャが一瞬だけ
陽キャに慣れた瞬間だった。
6月といえば梅雨を連想する人が多いだろうが、
私にとって6月は最も恐ろしい月である。
理由はもちろん梅雨ではない。
雨で不機嫌になることはないし、
雨続きでも気が滅入ることはないからだ。
傘をしたところで濡れてしまうズボンの裾や、
靴に水が染み込んでぐちょぐちょになった靴下も、
ある一つの過酷な現実と比べれば些細なことだ。
どうしてだ?
どうして6月には祝日がないんだ?
~梅雨~
『梅雨』
どうしてもこの時期は苦手だ。
新生活に慣れ、疲れも溜まり始めた頃にくる
このじめじめ感。
体も心もそのなんとも言えない憂鬱に
飲み込まれてしまう。
でもふと周りを見渡すと、
雨が滴る紫陽花、カラフルな傘で溢れる街、
子どもが水溜りで跳ねるピチャピチャって音
あぁ、心の余裕って大事だなって毎回気付かされる。
憂鬱な時こそ心の余裕。
今日も一日お疲れ様。
『梅雨』
最近、天パだった君の髪が真っ直ぐになってた。
可愛いけど、どこか寂しいような気もしてて。
梅雨の湿気で髪がまた、あのくるっくるに戻って欲しいとおもう自分がいる。
テーマ:「梅雨」
目を瞑って雨の音を聞く。
しとしと ポタポタ ざぁざぁ
多分ほとんどの人が同じ音で表現しないだろう。
あなたの梅雨はどんな音ですか。
「梅雨」
梅雨の時期は、
なにかとうるさい。
蛙の鳴き声
どしゃ降りの雨の音。
そのせいで、
全然声が聞こえないじゃない。
けど、姿が見えるなら
それだけで十分だよ。
貴方は梅雨が好きって言っていたね
僕は貴方の好きなことを知れて、
嬉しいよ。
僕も、梅雨が好き。
『梅雨が好き』
雨だ。
じめじめとした季節は、心も沈みやすい。
それでも、私は梅雨が好きだ。
この頃の雨音は私をこの世界から隔離してくれるように思えるからだった。
それから、アジサイが好きだ。
わざわざ梅雨の時期に咲くなんてひねくれものだなと思うからだ。
雨だから今日は外出しないでおこうなんていう思考回路はアジサイには存在するわけがなく、
むしろ喜んで花を咲かせている。
私は梅雨が好きだ。
雨上がりの空は虹が掛かっていて、とても幸せな気分になるからだ。
ほら、今日も。
雨上がりの空にはとっても綺麗で大きな虹が掛かるんだ。
お題:《梅雨》
「梅雨」
繋いでいた手を離し
路面電車に乗る私
貴方はホームで
透明傘をさしたまま
時折、照れたように下を向き
出発するまで
いつもその場にいてくれた
雨の日は特に
見送らなくていいよって
何度も言っているのに
買い物する気もないくせに
買い物するついでだからと言う
相合い傘をしてくれた貴方の肩はいつも
片側だけ濡れていた
しとしと降る雨
アスファルトに小さな雨粒が
引き寄せられ
足元が濡れても
世の中がすさんでも
引力で出逢ったと言った貴方の
そばにいて笑っていた頃は
世界中の悲しみも苦しみも消えたかに思え
世界はきらきら輝いて見えて
全てが真新しくて
全てが優しくて、あたたかくて
寂しい涙を流した記憶は
一度もなかった
二人お腹を抱えて笑い転げ
夢を真剣に語っては眠り
大きな優しい腕と
ムーミンの置物と古いテレビの部屋で
全てを許してくれる
宇宙のような
大きな愛に包まれていた
あまりにも自然で
あまりにも自由で
空気のように当たり前に甘えて
全ては永遠に続くものだと思っていた
時は過ぎ
楽しかった思い出は色褪せることなく
一人泣く夜も
日々の生活の糧になっている
いつか何処かで
それはきっと次元を超えて
白髪だらけの私になって
もし、私が三途の川を渡って船を降り
迷子になったら
もし、次元を超える列車から降り
戸惑って動けなくなったら
そこに引力がなかったとしても
その時はきっと助けてね
そして「ありがとう」と言わせてね
了
ずうっと続く雨の音。あまり好きではない音だ。
僕の感性が死んでなければ、音から耽美を見出だせたのだろうか。平安貴族が羨ましい。
この時期になると、北からオホーツク海気団、南から小笠原気団が押し寄せます。
日本列島上空で両者の力は拮抗。
押し合いへし合いしして停滞前線ができ、梅雨になるわけです。
この仕組みは我が家にも適用されます。
北には家庭に興味がないパパ、南には理想の家庭にこだわるママがいます。
両者は定期的に衝突。
一度ぶつかると我が家は長期間にわたり暗雲につつまれ、彼らの真下にいる私は、長引く雨に根腐れることになるのです。
梅雨の時期の素敵な過ごし方、募集してます。
また今年も
新しいアレを揃えなくては
もう梅雨に入ったの?!
急げ急げ
毎年毎年
湿気取りが大活躍
何度も取り替えて
わたしの湿気も
吸ってくれよ
梅雨
夏に向けた水分補給
出掛けるのが面倒になる
割と嫌いではない
夏は暑くなるかなって考えたりもする
実りある全てのものに対する栄養素
それなりに雨が降ってくれないと
色々なものがバテちゃうから
本格的な夏への準備期間
雨がしとしとと、降り続いている。
この喫茶店に入って数時間。雨は降り止まず、傘を持っていない私は、ただひたすら珈琲をスプーンでかき混ぜながら晴れるのを待つしか無かった。
さすがに、珈琲一杯頼んだだけで数時間も居座るというのは図々しいにも程があるので、途中サンドイッチやオムライス、ケーキなど頼んでみたが、フードファイターでもない20代女性の胃袋にも限界がくる。もう食べ物の入る隙間はどこにもないだろう。
そもそもこの梅雨の時期に、何故傘を持たずに出歩いてしまったのか。
実は、彼女の家はこの喫茶店から徒歩10分圏内にある。
元々喫茶店の隣にある文房具屋に用事があり、済ませて帰ろうとしたところ雨に降られたのだ。
出かける時間に雨は降っておらず、すぐに帰るなら平気だろうと、彼女の油断が招いた結果だった。
小雨にでもなってくれれば走って家に帰るのだが、傘もささずに帰れるほどまだ雨脚も弱まってなかった。
退屈、と。彼女が代わり映えのしない景色に飽きてきた頃、ふと人影がこちらに近づいてくるのを目の端で捉えた。
カチャ。
小さな音。
ガラスの食器がテーブルの上に置かれた音だった。
ウェイターの格好をした、30代前半くらいの男性。
髪は少し長いのか、後ろで括っている。
紙製のマスクをつけているので、顔は上半分しか見れない。
ぱっちりとはっきりした目に、困り眉をした優しそうな顔だった。
彼が置いたガラスの皿には、クッキーが数枚。
『あの、頼んでませんが?』
そもそも、メニュー表の中にクッキーなんてあっただろうかと記憶を遡ろうとする前に、目の前の男性が答えた。
『サービスです。何も無く雨宿りするのも退屈でしょう。随分待たれているようですし。』
見た目とは裏腹に、とても低い声が店内に響く。
しかし、もう私の胃の中にこの数枚のクッキーでさえ入る隙間は全くない。
ご厚意に甘えたいところだが断ろうかと考えていると、再び男性が口を開く。
『ゆっくりでいいので。沢山頼まれていましたし、まだお腹もいっぱいでしょう。残しても構いませんから。』
そこまで言われてしまっては、さすがに断るのも忍びない。「結構です。」という言葉が喉元まで来ていたが、なんとか抑え込み、静かに「頂戴します。」と呟いた。
男性は嬉しそうに目を細め、窓の外に視線を移す。
『昼前からずっと止まないですね。予報だとそろそろなんですが。』
『そうですね……こんなことなら、傘を持ってくれば良かったなぁ。』
苦笑いしながら、クッキーを一枚頬張った。
さくっ。
口の中に広がる、バターの香りと、チョコの甘み。
私は、___この味を知っている。
キョトンと、クッキーを見つめていると、
男性はニッコリとまた笑う。
『美味しいですか?』
『え、あ、はい。とても……』
正直、今の私にとって味の善し悪しは問題では無い。
確かにこの喫茶店に来たことはあるが、そもそもメニューにこのクッキーは存在しなかったはずだ。
とすると、サービスを以前に頂いたことになるが、さっぱり記憶にない。
『お気に召して頂けて何よりです。』
男性は一礼して、スタスタと厨房の方へ戻っていってしまった。
狐につままれたような感覚で、もう一度クッキーを一枚口へ運ぶ。
『……おいしい。』
一枚目と同じ、あたたかく優しい味がした。
_____________________
雨は嫌いだ。
雨が降る日は良くないことばかり起こる。
転んだり、交通機関が乱れたり、洗濯物が乾かなかったり。
会社が倒産した時も、雨がザーザー降っていた。
『また雨か…………』
その日も、しとしとと雨が降っていた。
職を失った後、知り合いのツテで小さな喫茶店に就職。まだ働いて一年経ってないといったところだが、ようやく仕事も板についてきた。
雨の日ということもあり、客も少なくゆるやかに時間が流れていった。
店内にいた最後の客の会計を済ませ、あとは閉店時間までゆっくりしようかと思った、その時だった。
『っ……ぐす。』
すすり泣く声が聞こえた。
思わず振り返ると、窓際の席に女性が一人、ポツンと座っていた。
先程会計した客が最後と思っていたが、どうやらまだ残っていたようだ。
(あれ、確かもう一人連れがいたような。)
思い出した。
確か昼頃、男性と二人で入ってきた女性だ。
二人とも暗い顔で入店してきて、珈琲を確か二つ頼んでずっと静かに話していた気がする。
もちろんプライバシーもあるので、あまり話は聞かないようにしていたのだが……。
(喧嘩か……もしくは別れたか?)
雨のせいで二人とも暗い顔をしていたのだろうと思っていたが、どうやら違ったようだ。
きっと、静かに話していた時に色々話をしたのだろう。
それがどんな内容かは分からないが、良い話では無さそうだ。
『ぐすっ……ひっ……くっ……』
声が店内に響き渡る。
今この空間にいるのは、女性と自分の二人。
きっと客もこの時間から来ることはほとんどないし、しかも雨の日なので閉店時間まで客はこの女性だけ。
しかし、すすり泣く女性を放ったらかして店じまいを進めるのは、何か人として欠けてるような気がした。
一店員と客に過ぎない。
何も考えずに「どうしたのか。」と聞くのも馴れ馴れしいだろうし、喫茶店の店員ができる何か良い励ましはないかと、頭を抱えてしまった。
ふと厨房を見渡した時、おやつ用に作ったクッキーが目に入った。
自分用に作ったお粗末なチョコチップクッキーだったが、そこに一筋の光が見えた気がした。
迷いはあったが、行動あるのみと自身を奮い立たせ、いそいそとお皿を準備し始める。
クッキーを数枚取り、お皿の上へ盛り付けて、そーっと彼女の座る席へと向かう。
カチャン。
クッキーをテーブルに置くと、泣いていた女性は体をビクッと震わせ、俯いていた顔を上げた。
鼻を真っ赤にして、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
目を丸くして、見つめてきた。
『サービスです。よろしければどうぞ。』
声が震える。
こんな風にするのは初めてで、正直柄では無い。
もし、断られてしまったらと内心ドキドキしていた。
女性は目をパチパチとさせた後、クッキーに視線を戻す。
一枚慎重にとって、さくっ、と頬張った。
『……』
女性はクッキーを飲み込んだあと、また一枚クッキーを取り口へ運ぶ。
口にあったのだろうか?
声をかけようとすると、女性がこちらを向いた。
『美味しい、です。』
目に涙は浮かんでいたものの、ニッコリと笑いながら女性は言った。
雨は止んだのか雨音は聞こえず、日が差してきたようで、少し明るくなっていた。
女性の顔が日差しに照らされ、不謹慎かもしれないが、
美しい、と、思ってしまった。
#梅雨