『桜散る』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
皆は、ピンクと言われたら何を思うのだろうか。
1番出てきやすいのは「桜」では無いだろうか。
私の通っていた学校には校門から校舎までの間が桜並木となっていた。(と、言ってもそんなに距離はない。)春の時期。新入生はドキドキ、進級生は一区切りついたという安心。新しい、出会いの季節。私が忘れられない人と会ったのはちょうど、桜が散りかけて、ところどころ葉桜となっていた頃だった。
「桜散るこの季節に」
私は、一生忘れないであろう人と出会いました。
窮屈な浴槽に携帯をはじめて持ち寄って逆上せるまで、すっと生身で、肌でそれを抱きとめては、返事を待ち続けていた。湯気をまとった指で操作すると水の足あとが点々とついて、それをタオルで擦って、そうやってしてずっと待ち続けていた。お外では、桃いろの花びらが枝たちから次々に身を投げている。それを止められるはずはない、痛みに揺さぶられて落っこちた眠りはいつも等しくやさしい。
みなちった みなちった たたかいに おもむいて
さくらちった さくらちった たびだちを みとどけて
みなった みなちった それぞれの ゆくばしょへ
お題:桜散る
桜散る
仕事に行く途中、桜並木がある。
もう桜が散っている。
風が吹き、緑の葉が見えてきた。
春の楽しみは短いものだね。。
桜散る
あの桜にのって
あなたへの想いも
運べたらいいのに。
[桜散る]
桜が散った。それはもう見事な桜吹雪として。
一際強く吹いたその風は、私の涙も散らして吹き過ぎていった。
「……はあ。失恋ってしんどい」
「保原さん、怪異に同調しすぎるのは危ないよ」
お向かいに立ってた東雲君が、さくっと私に釘を刺す。
「そうかもだけどさ。せつないんだもん。仕方ない」
私は目に残ってた涙を中指で擦りながら、失恋の余韻を吐き出す。
「東雲君は何も思わなかったの? この木がずっと、桜を咲かせ続けた想いを受け取ってさ」
「……思わなかったよ。だから“彼”は謝ったんだ」
「そっか。そうだね」
それでもしんみりしていると、東雲君は呆れたように息を吐いて背中を向けた。
「ほら。田原堂の餅グラタン食べるんでしょ。早く行かないと閉まるよ」
「あ。うん」
慌てて彼を追いかける。
追いつく直前、東雲君は私をちらっと振り返った。
「もし保原さんに好きな人できたら手伝ってあげる」
「え? なんで?」
「“彼”の気持ちは分かんなかったけど、保原さんが失恋する姿は見たくないからね」
だから安心していいよと言った東雲君の歩幅は、何故かさっきより少し大きかった。
蕩けるように滑らかな膚だった。淡く紅を溶かした背中に今を盛りと花の咲き誇り、花びらがはらはらと散り落ちた。掌に受け止めるとちりと冷たく、手の熱で儚く溶けてしまった。わずかばかり残ったしずくを戯れ舐めてみれば、芳香が鼻に抜ける。
「雪桜、と呼ぶのだそうです」
花に似て品の良い声だった。顔は知らない。室に招き入れられてこの方、こちらに背を向けたままだ。
「花が溶けてしまうので実を結ばず、種を成さず、挿し木しようにも伐られた枝は即座に枯れてしまう。おまけに宿主を選り好みするものだから、今はもうこの背に咲いているので最後なのだとか……ああ」
吐息が熱を帯びれば膚はいっそう紅く染まり、花の白さを引き立てた。紅と白と、二色の花のようじゃないか。耳元に囁きかければ、喉を鳴らして笑う。
「いけませんよ、そんなに熱い息をかけては。花が全部溶けてしまう。……それとも、あなた、この忌々しい花を散らしてくれますか。憑かれて以来、寒くて寒くて、仕方がないのです」
今までに九百九十九人と寝たのだと言う。
皆、凍えて死んだと言う。
「あなたさまで千人目、この度こそは悲願の叶う気がいたします」
成就するのは花だろう。千人目の肥やしを得て、ますます美しく咲くだろう。この身は既に凍え始めている。
嘲笑うように花吹雪が舞った。
ゆっくり
ゆっくりと
空に舞う
ひとひらの
花びら
今は
さよならだけど
かならず
戻ってくるからって
あなたの声が
聞こえたような
気がして
空耳かな..
桜散る
木の下で
忘れられない
大好きな
あなたとの
想いで涙に
ありがとう
#桜散る
あぁ、あの子ねぇ···
あの子は、物語の主人公のような女の子だった。
おうちが裕福で、子どもの頃からバレエやピアノ
お嬢様を絵に描いたような。
でも、芯は通っていても我は通さず。
誰とでもそつなく付き合っていて嫌みが無いのが
逆に嫌みみたいな子だったように思う。
わたし?
わたしはあの子の幼馴染み。
子どもの頃からの親友で、あの子に感化されて
わたしもバレエやピアノにくっついて行ったの。
あの子が輝いていたから、
地味な方なんて影で言われていたの
わたし知っていたのよ···
でもこの間、試験のラストチャンスを
わたしが掴み取ったの!
もう地味だなんて言わせない。
次に輝くのは、この私よ!!
なぁんて言う劇がこの桜散る頃に、
始まるとか始まらないとか~
またこの季節が巡ってきたんだ
窓の外を眺めると、記憶が勝手に甦った
桜散る景色、風の温度と感触
昔々に葬ったはずの気持ちが
今もまだ燻っているんだ
この想いを抱いて生きていく
それも悪くはないかと、今ではそう思えている
(桜散る)
最後の桜が散った。
もうこの木は死にかけている。そう樹医に言われていた桜が開花してから丸一年。まるで時が止まったかのように咲き続けていた花が、昨夜の嵐に耐えかねて散った。
きっともうこの木で花が咲くことはないだろうと、今朝方木を見た樹医は告げる。
だが本当にそうだろうか。
散った花びらが浮く川面を見つめながら、私は思う。最後の一本となったこの木が、そう簡単に死ぬのだろうか。この塵にまみれた世界で悠然と立つこの木が、そう簡単に命を終えるのか。ろくに日も差さぬこの世界で生き残った樹木なのだ。
人間などよりよほど強いのではないか。私なんかよりはきっと、この木は長生きするだろう。
「競争だな」
桜色の川を眺めながら私は笑う。
私はきっと来年もこの桜を見る。そしてあの樹医に言ってやるのだ。藪医者め、と。
桜散る
桜が散り 大好きだったあの人との別れ
たくさんの幸せをありがとう。
お世話になった先生との別れ
たくさんの教えをありがとうございます。
喜怒哀楽を共にした友との別れ
たくさんの笑顔をありがとう。
たくさんの涙が流れていく
それは桜の花びらが散るように
桜が散り 新しいあの人との出会い
どんな幸せをはぐくめるだろう。。
新しい友との出会い
どんな笑顔が見られるだろう。
新しい先生との出会い
どんな学びが始まるのだろう。
たくさんの期待が溢れ出して行く
それは新たな希望へと咲いていくくつぼみのように
桜散る。それは別れと出会いを告げる光
桜散る
散るたびに熱を帯びていく
そんな姿に興味も無いように
足早に去る貴方
僕の想いも散っていく
「2,000年だぞ」
「2,000年ですか」
「確かに桜の散る姿は美しい。残る桜も散る桜と歌われるように、桜の咲き誇る時間は短く、夏を前にしてすべての花は消えてゆく。
しかし、桜は樹木。樹齢が2,000年に届くものもある。桜はすべて散るが、次の年には同じように咲き誇る……そう考えると、儚さを見出すのは何か違うような気がしてこないか? むしろ、1年にいちど大盛り上がりする、そう、パリピ的な感じさえする」
「死語じゃないですか、それは」
「桜よりも言語の方が儚い」
俺は深いようで浅いことを言う先輩の横顔を見つめる。
どういう流れでこんな話になったのかは忘れてしまったけれど、先輩にしては無理に捻り出した逆張り論理、という感じが否めない。
そこを後輩としてどのように反応するべきかを目を泳がせて少しの間考えて、ふと思い出す。
「そういえば、この前ネットの記事で読んだんですけど、植物ってストレスを感じると悲鳴を上げるらしいですよ。超音波で」
「超音波?」
「トマトとか、実を収穫される時なんかに特に大きく声を上げるらしくて。
樹木は一個の生命体ですけど、花も受粉して実になるわけですから、それに付随した小さい命かも知れないじゃないですか。
そう思うと、桜が散る姿も儚く……」
瞬間、脳裏に再生される散っていく桜の花たちの奏でる、超音波の大合唱。
「……ならないな、違いましたね」
「お、悲鳴を人間が聞けるように加工した音があるらしいぞ。聞いてみるか?」
俺の返事を待たずに、先輩はスマートフォンでその音を再生する。ぷちぷちと泡の弾けるような音声は、なるほど断末魔のようにも聞こえる。
カバンの中に、昼飯に買ったあんパンが入っているのを思い出して、俺は唇を曲げた。
カバンの中には桜の死体が埋まっている、というわけだ。
#桜散る
『 桜散る』
桜が散ると同時に辛いことも終わればいいのにな…
テーマ:桜散る #156
貴方は言ったよね?
桜散る広場でまた会おうって……。
君がいなくなって、
8度目の春が来た。
私は広場のベンチに座り、
ぼーっと貴方のことを考えた。
「約束、守ってよ……」
貴方のことを思うと自然と涙が溢れてくる。
泣いてもあなたは帰ってこないのに。
今年も桜が散った。
私の貴方への思いは散ることを知らない。
辛かったのなら言ってほしかった。
嫌なことがあったなら、
私も一緒にどこか遠くへ二人で逃げたって良かった。
私をおいて逝かないで。
桜は散れど、
来年になれば、また必ず咲くだろう。
桜は散れど、
青い若葉が、ぐんと生えるだろう。
何も悪いことはない。
新しい可能性が広がるだけ。
#桜散る
厳しい冬の寒さを越えて
ようやく春が訪れた
小さな薄墨桜が1番に咲く
山神様が降りていらした証
いよいよ田畑が忙しくなる
桜散るころ田畑を耕す
土のいい匂いがする
日本の一年がようやく始まった
下を向きよろよろ歩く人間さえ
必死に喜ばそうと地面に散る花びら
花というものは散ってなお
人の心を誇ろばせてくれる
「桜散る」
『斉一性桜(せいいつせいざくら)』
「さくら」
「なぁに?」
僕には幼なじみがいる。さくらと言う可愛らしい名前の女の子だ。
少しぐらいしか会えないけれど、会える期間は毎日話している。
学校のことや家族のこと、相談なんかも聞いてくれている。
「ねぇ、さくら」
「なぁに?」
「僕、もうすぐで死ぬかもしれない。」
さくらは何も言わず、ただ、静かに虚空を見つめていた。
「僕、いじめられてるんだよね。」
最近周りの皆が冷たくって全然僕と話してくれないの。
「なんかしちゃったかなぁ」
窓の縁に座り、満月を眺めていた。
「ねぇ、さくら」
「なぁに?」
「僕、今年は一緒にいけるかもしれない」
「ねぇ、あの子」
「あー死んだんだっけ?」
「え、誰?」
「何か花に向かって喋ってて気味悪かった」
「なんそれキモw」
君が居てくれた時は毎回楽しかった。
僕、話す相手っていなくってさ。
君だけは何も言わず、ただ聞いてくれるだけだから心地よかった。
毎年春が過ぎると寂しくなるけど、今年は一緒に逝けるね。
人間は散る時美しいのなんてごく少数だけどさ、花はいつも美しいよね。
僕も来世ではもう少し美しく散ってみたい。
お題『桜散る』
※斉一性(せいいつせい)=物事が一様であること。ととのっていること。
※虚空(こくう)=何もない空間、大空。