織川ゑトウ

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『斉一性桜(せいいつせいざくら)』

「さくら」
「なぁに?」

僕には幼なじみがいる。さくらと言う可愛らしい名前の女の子だ。
少しぐらいしか会えないけれど、会える期間は毎日話している。
学校のことや家族のこと、相談なんかも聞いてくれている。

「ねぇ、さくら」
「なぁに?」
「僕、もうすぐで死ぬかもしれない。」

さくらは何も言わず、ただ、静かに虚空を見つめていた。
「僕、いじめられてるんだよね。」
最近周りの皆が冷たくって全然僕と話してくれないの。
「なんかしちゃったかなぁ」

窓の縁に座り、満月を眺めていた。

「ねぇ、さくら」
「なぁに?」
「僕、今年は一緒にいけるかもしれない」


「ねぇ、あの子」
「あー死んだんだっけ?」
「え、誰?」
「何か花に向かって喋ってて気味悪かった」
「なんそれキモw」

君が居てくれた時は毎回楽しかった。
僕、話す相手っていなくってさ。
君だけは何も言わず、ただ聞いてくれるだけだから心地よかった。

毎年春が過ぎると寂しくなるけど、今年は一緒に逝けるね。
人間は散る時美しいのなんてごく少数だけどさ、花はいつも美しいよね。
僕も来世ではもう少し美しく散ってみたい。


お題『桜散る』

※斉一性(せいいつせい)=物事が一様であること。ととのっていること。
※虚空(こくう)=何もない空間、大空。

4/17/2023, 12:55:18 PM