『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
辛い時にツライと言えて
泣きたい時に泣けること
なんでも独りで抱えずに
困ったら助けを呼ぶこと
恥ずかしくなんかないよ
もっと頼っていいんだよ
そうやって生きるんだよ
誰かが困っているときは
どうしたのと声を掛けて
そうやって生きるんだよ
難しく考えなくていいの
もっと自分を労るんだよ
大人になると忘れるんだ
今夜の雨が語りかけてる
『柔らかい雨』
大地や森をうるおす柔らかい雨は、ヒナの眠る小鳥の巣を濡らしはしない
うっかり落とした小さな雫は、木々の葉がやさしくはねのけるから
信号待ち交差点 街路樹の傘で
相合傘 ふたりぼっち
【柔らかい雨】
君がいなくなった日もこんな天気
ポツリと何かを呟いた
その場で立ち尽くすしかなく
僕の悲しみ
雨が癒やしてくれたなら
雨が流してくれたなら
嬉しいのにな
瞼を閉じる
笑う君が見えるのです
あの日…何故いなくなってしまったの?
一緒にいれば、事故に巻き込まれることなんて
なかったはずなのに。
守れたのに
でも、時間は過ぎるばかり
過去の悔しさをバネに
僕は生きるよ
君の思い出を抱いて
ちゃんと、頑張って生き抜くよ。
この世界を
【柔らかい雨】
ぽつりと頬に何かが当たる。
地面に模様が描かれていく。
見上げると青く澄んだ晴れ間の広がる空から、雨が降っている。
「お狐さんが嫁入りしてはんのやねぇ。」
小さい頃に、祖母がそう言っていたのを思い出した。晴れた空から雨が降ることを、狐の嫁入りと言うのは、その時祖母から教えてもらった。
どうして、狐の嫁入りというのだろうか。
昔、祖母から教えてもらった記憶を辿りながら歩いていると、着物を着た行列とすれ違った。
私は、はっと顔を上げて振り替えってみたが、行列はいなかった。
私の見間違えかと辺りを見回して、ふと思い出した。
「なんで狐の嫁入りって言うんか言うとね、お狐さんの嫁入り行列を、人に見られへんようにするためなんよ。」
小さい頃の私は、その話を祖母から聞いて、お狐さんは恥ずかしがりやなのだと思った。
もし、私がその行列を見ることが出来たなら、それはとても愉快で優美ものなのだろう。
そんな想像をしながら、私は歩き始める。
幻想的な晴れた日の雨の中を。
#柔らかい雨
柔らかい雨に打たれながら静かに涙を流した
誰にも悟られないよう
感情を押し殺したんだ
柔らかい雨には久しく出会ってない。それに、今は冬へ向かう季節で、「一雨ごとに寒くなる」冷たい雨ばかりだ。
でも「柔らかい雨」にも覚えがないでもない。暖かい季節の軽い雨模様のとき。
雨、といえば作物には日照とともに必須の日本。昔、農家をしていた知人があったんだが、雨が少なくて難儀していた年があった。畑の土が乾燥してひび割れ、家の水道からホースで長時間かけて広い畑に水を撒いてしのいでいた。ある日、やっと薄い雨雲が出て、「お湿り程度」の雨が降った。雨はすぐにやんでしまったので、知人はまた水を撒きに畑に行った。すると、わずかな雨しか降らなかったのに、畑の土からひび割れが消え、しっかりと水分を含んだ畑になっていた。
「私が人間の力で何とかしようと思って、一生懸命一日がかりで水を撒いても全然だめだったのに、ほんのちょっとの雨でこんなになるのよ。お天道様って本当にすごいわ…」と、しみじみ、なんだか厳粛な感じで言っていたのが印象深い。
私はこの知人の畑や水田の場所が好きだった。空は遮るもののひとつも無く、大きく深く、美しかった。厚い雲の隙間から太陽の光が差し込むとき、それは幾つもの「天使の階段」よろしく荘厳に光を降らせていた。育ちゆく稲穂が風の姿を教えてくれるさまは水の波打ちのようで、長いこと見ていても飽きなかった。
残念ながら知人は伴侶を亡くしてから身体を壊してしまい、農家をやめてしまったのだが、作物を育てることが好きだったから、何がしか少しずつ作っているらしい。
私の印象の中の雨は、太陽の光と稲妻と風、そして雨が生かすものといつもセットになっている。
天から降る柔らかい雨は、地の生命の求めに応えるような優しさと、絶大な力の顕れのような気がする。
うん、感謝しながらごはん食べよう。
柔らかい雨
少し温かくて、痛くもなくて
優しい雨なのかな
柔らかい雨にあたると
みんなの心が
柔らかくなるといいね
小麦が広がる丘陵に豪奢な館があった。
午後から降りだした霧雨が世界を包んでいる。
領主の息子に無理やり連れてこられて何時間経っただろう。周りには誰もいない。暗がりの部屋で、彼女の心細さは最高潮に達していた。
(このまま街に帰れなかったら…どうしたら…)
コツコツと外から壁が叩かれる。明らかに雨の音ではない。
「まさか」
窓を細く開けると、街に居たはずの彼が壁に身を潜ませていた。
「よう、囚われのお姫様」
「どうしてこんな雨のなか…」
衣服から布切れを出して彼のびしょ濡れの額を拭いてやる。
「気配が紛れる雨だからこそだぜ。泥棒の基本だろ」
「えっ」
「お前さんのことだ。迷惑が掛かるとか言って普通に連れて行こうとすると怒るだろ」
ハンカチを持つ腕が握られ、そのままふわりと身体が浮く。
「ちと乱暴にいくぜ」
「ちょっ、…待っ」
まるで小麦袋のように肩に担がれてしまった。
(うそ…!!)
「なんか楽しくなって来やがった」
ここ、2階…!!
彼は担いでいる自分の重さを物ともせず走り出した。確かに悲鳴を上げても雨がかき消してくれるのかもしれない。
「でも、こ、怖い…です!」
「スリリングで最高じゃねーか。ははっ!」
先程までの心細さはかき消えて、雨が顔を優しく濡らしてくる。
館には、窓の近くにびしょ濡れとなったハンカチが無造作に落ちていたらしい。
3月6日はセンパイの誕生日。
そして3月7日は雪降る中を、
声を上げて泣いて帰った日。
片思いのセンパイの家に初めて行ったのは、
ーーー話があるーーー
と、お誘いを受けたから。
自分の誕生日の翌日に、
私を家に招いてくれた!!
最高に嬉しい気持ち
だったのに。
卒業式を間近にして、
キチンとしておきたいから。
と、私の片思いを終わらせた。
「僕の事は忘れて、これからも頑張って」
意味不明!!
どうして告白もしていないのに、
そんな事を言われなくちゃいけない訳!
なにを自分勝手に完結させてるの?!
ハラがたって、頭にきて、
怒り泣きしながら帰り道を歩いた。
降ってくる雪を相手に沢山たくさん、
語りながら歩いた。
冷たかった雪は、
慰めのつもりか、細かな
柔らかい雨になっていて、
薄い夕日に背中を押されて帰宅した。
まるで
まぁまぁそんなに怒るなよ。
とでも言われるかのように。
ーーー柔らかい雨ーーー
〜柔らかい雨〜
あなたの涙が私の手の甲に落ちた
なんと優しく柔らかいのだろう
きっとあなたは雨のような暗闇に飲まれてたかもしれない
もう水分を含みきった真っ暗な雲にとざされていたかもしれない
それでもあなたの涙はやさしかった
そっと降り注いだ
その優しいあなたを包み込みたい
どしゃ降りの雨に紛れてしまわぬように
「柔らかい雨」
どんよりとした空から冷たい雨が降りかかる。
負けた。
青春すべてを懸けてきたのに。
私の3年はなんだったんだろう。
こんな惨めな思いをするために汗を流してきたのか。
当時はそう思っていた。努力は報われないと強く思った。
才能が全てだと思った。
何もかも投げ出してやろうと思った。
意味がないなら頑張る意味もないと思った。
誰のために。何のために。
真っ黒な気持ちを洗い流すように柔らかい雨が降り注いだ。
なぜだろう。
いつもは嫌いな雨が少し好きになった日だった。
柔らかい雨
こんなに雨が降ると思わなかった
こんな雨の日に
おばあちゃんが亡くなった
だから雨の日は好きじゃない
でも…
雨が降る日は、優しい気がするの
柔らかい雨のように。
霧雨がしっとりと身体を濡らしていく中、傘を持たずに佇む俺の毛先からぽとりと小さな水滴が落ちる。
もう少し強く降ってくれないと困るな、と軽く空を見上げたけれどむしろ雲の合間からは光が射してきた。
頬を伝う水滴は雨粒よりもずっと大きくて、これでは誤魔化せやしない。
あんたにこれ以上心配かけたく無いんですけど。これで俺はちゃんとやってますよ、なんて言っても信じてもらえないですかね。
聞こえない返事に苦笑して、冷たい石にそっと口付けた。
『柔らかい雨』
[柔らかい雨]
楽しいときに降ってる雨は柔らかい
悲しいときに降ってる雨は硬く感じる
子どもたちにはいつも柔らかい雨を感じながら成長していってほしい
頬をなでるのは柔らかい雨。
わたしの涙もいっしょに流れていく。
【晴天】
お題:柔らかい雨
「私ね、魔法が使えるの」
二人だけの秘密よと微笑んだ女の子に僕はなんて返したのかもう思い出せない。
魔法が使えると言った女の子は周りから好かれていて、いわゆる人気者だった。それに対して僕は友達と言えるような人はいなくていつもひとりぼっちだったらしい。らしいというのももう随分と昔のことで記憶がないからだ。じゃあなんでそんなことがあったのかわかるかといえば日記が出てきたから。自分が小学生の頃に書いてた日記だ。その日記によれば友達のいない僕が一人で公園にいたらその女の子が仲良くしてくれたというものだった。
魔法を見せてもらったとかいてあったがその魔法については詳しく書いておらずただただすごかったと。その日記には自分が描いたと思われる絵がついていて雨の中笑顔でいる女の子と男の子がいた。雨が降っていたのに公園に行くのだろうか。そんな疑問をふと抱いた。幸い日付が書いてあったからスマホで天気を調べた。天気は晴れ。雲ひとつない晴天だったらしい。もしかしたら、雨を降らすという魔法を見せてもらったのだろうか。一人でいた僕を笑顔にしてくれたのはあの女の子の気持ちがこもった柔らかい雨だったのかもしれない。
帰り道あなたと雨に打たれて笑い合う
その雨はとても優しく柔らかい雨だった
この出来事もあなたにとっては
当たり前のように過ぎる1日の中の一瞬でしかないんだろうな
雨音がこんなにも穏やかに聞こえるのはなぜなんだろう。
あなたと初めて会った日も、初めてデートした日も。
あなたとの初めてはいつも小雨だったからかな。
#柔らかい雨
二度寝から目が覚めて 少し気だるい日曜の午後
何か口に入れる必要があるはずさ 重い足を動かす
近くのスーパーにある ちらし寿司でも買おう
◇
外に出ると 空が灰色に染まっている
目を凝らすと 微かに水滴がみえた
雨音はきこえない
だから 傘はいらないだろうと判断して歩き始めた
濡れながら歩いていると
ふと
亡くなった愛犬の小さな歩幅を思い出した
◇
目当てのちらし寿司は売り切れていたし
それなりに服は濡れたけれど
しとしとと降り続ける雨は 嫌いじゃなくて
隣にあった 2割引のカツ丼を手に取った