『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「雨なんて憂鬱だわ」
誰かがこぼした一言が心の中に入ってくる。
この頃気分が下向きだから上手く笑えないのが嫌になる
しとしとと降る雨で人が憂鬱になるならば
今の私の不機嫌も雨のせいだと言ってしまえるかもしれない
柔らかく降る雨を不機嫌の理由にしたらほんの少し心が軽くなる
「本当雨なんて憂鬱」
少し口角を上げながら心の中で呟いて
私はお気に入りのケーキを食べた
"柔らかい雨"
なんだか急に頭痛を覚え、窓の外に目をやる。雨粒が窓いっぱいに張り付いている。雨粒が一つ、また一つと付いているのを見ると、今雨が降っているのだと認識する。「雨か」と独りごちて少し気分が落ち込む。
けれどその雨粒はまるで窓に霧吹きをかけられたようで、とても小さく。
音も、ザー、ではなく、サワサワ…、というような音で。
今降っているのはただの雨じゃない、《霧雨》だ。
──霧雨が降るのは本当に久しぶりだ。最後に降ったのはいつだ?
自分の傘を手に取って、外に出る。ワンタッチ式の傘を、バッ、と開くと、目を閉じて雨音に耳を傾ける。
開いた傘に雨粒がぶつかり、柔らかく優しい雨音が響く。目を開けて外を見ると、柔らかなレースカーテンのフィルターがかかったような景色が広がっていて思わず「綺麗……」と呟く。まだ若干の頭痛はあるが、霧雨が作り出す柔らかな音と景色に頭痛がある事を忘れ、傘をさしながらあまりの美しさに立ち尽くす。
だがすぐに、はっ、と我に返る。
──まずい、まだ仕事中なのに。早く中に戻らなきゃ。
と、傘を閉じて傘についた雨粒を軽く振り落とし、いそいそと中に戻った。
柔らかい雨
「天気予報じゃ一日中晴れだったのに〜!」
そう独り言を言う。
私は今日傘を持ってきていなかった。学校で雨宿りをして弱くなったら帰ろう、と思っていた。
けれどその時、彼が私の独り言を聞いたのか
「傘...入る?」
と言った。
彼は私の好きな人だった。
嬉しさと同時に罪悪感もあり一瞬迷ったが、風邪をひいて彼に会えなくなることが嫌だったし、相合傘が出来る機会は今回しかないと思ったので入れてもらうことにした。
「じゃあお言葉に甘えて...ごめんね。ありがとう」
そう言い彼の傘に入らせてもらった。
帰っていると、彼が突然私に
「聞きたいことがあるんだけど。いいかな...?」
と言った。
好きな人からのお願いだし、聞かないとね
「うん、いいよ」
「あのさ...××ちゃんって好きなタイプなんだと
思う?あと彼氏とかいるのかなって思って...」
「明日、全部聞いとく!」
「ごめん!ありがとう!」
ああ、私じゃないんだ。期待した私が馬鹿みたい。
「あ!私の家すぐそこだから、またね!傘ありがとう」
彼の口から言葉が出る前に私はその場から去った。
その時、ちょうど雨が弱くなった。
私は、柔らかい雨に打たれながら涙を流した。
───────フィクション───────
失恋した。
ずっと好きだった先輩に告白した。
結果は惨敗だった。
先輩には好きな人がいて。
その人は先輩の1つ歳上で大学生らしい。
その人と同じ大学に通うために受験勉強頑張ってるらしい。
そこまで聞いたら、もう“頑張ってください”しか言えなかった。
告白する私が応援してもらう立場なのに、なんで先輩のこと応援してんだろって思った。
けど先輩は笑顔でありがとうって言ってきた。
そんな格好良い笑顔を向けられても、私を見る向こうに歳上のその人を想像してんでしょ。
それを思ったらもう、どうでも良くなった。
お疲れ様でしたって言って先輩の前から離れた。
外は雨が降っていた。
天気予報、見てくれば良かった。
今日傘持ってないよ。
こうなりゃ濡れて帰るしかないか。
でも濡れたい気分だったからちょうどいいや。
今日の雨は霧雨みたいな感じだった。
地味に濡れるけど、霧状だから水滴は大きくない。
私の目から出てくる水滴よりもずっと小さい。
「もぉやだ……」
頭も痛いし気分が悪い。全部失恋のせいだ。
今日の雨は私の涙を隠すには優しすぎる。
もっと土砂降りが良かったのに。
こんな柔らかい雨にうたれたって、もっと泣きたくなるだけじゃんか。
珍しいこともあるもんだと思った。
オレを、ベッドの上で組み敷いて、おまえは涙を流してる。
また、オレのせいだな。
「ごめん。もう言わねぇから……」
そうやって謝ると、やっとオレの上から降りた。
オレは、他人のために泣けねぇよ。
失敗して、落ち込んで、涙が流れる。
外を一歩一歩歩いていると、雨が降ってくる。
ポツポツと、一滴が体に染みていく。
涙を流してくれるような雨。
涙を目立たなくしてくれる雨。
涙と雨はなんだか不思議な関係に思える。
涙と雨は悲しみを増すシチュエーションのようなイメージがあるが、視点を変えれば、そうした良い風に捉えられる。
涙と雨は何だか不思議な関係だなと思う。
雨は時に弱く降り、時に強く降る。
涙を流している時に降る雨は、優しい雨として、悲しみを和らげてくれているのかもしれない。
ある時の雨は、悲しみを緩和してくれる柔らかい雨となるのかもしれない。
お題
『 柔らかい雨 』
気付けばもう私は立てなかった。歩けなかった。そして話す事も出来なかった。
ベットの周りでは家族と大切な恋人が私を見て泣きじゃくり私の名前を呼び続けていた。
その中で一つ、
最期の私の頬を撫でたのは彼の柔らかな雨だった。
降り注ぐ雨。
思えば人生の転機が訪れる時は雨の時が多かった。
降り注ぐ雨。
時に痛みを伴うほど強く、そしてはげしく心を揺さぶり、打ちのめす。
けれども、そんな日ばかりではないことを知った。
降り注ぐ柔らかい雨。
浄化と共に固まった心に染み込み、新たな芽吹きとなる。
20231106 柔らかい雨
しとしと、と雨があたしの肩を濡らす。
突然に降り始めた雨に憂鬱になりかけたがあたしに降り注ぐ雨は柔く、温もりさえ感じた。
なだらかな坂をくだり、高架下にもぐりこむ。いつものように雨が止むのを待つことにした。さあっと流れていく雨は遠く、現実味を帯びていない。雨音に混じりずっと耳鳴りがしていて、それはひぐらしの鳴き声に、少し似ていた。細かな雨がまるで宝石のように柔らかに落ちていった。
天気って、どうしてこんなに感情を持っているのだろうね。激しい雨は悲しみとか、雷雨は怒りとか、曇りは落ち込みとか。快晴は朗らかとか、星空は安心感とか。大抵、俗に言うマイナスの感情が雨で、プラスの感情が晴れ。けれど、小雨が温かく感じるのは、何故なんだろうね。
#柔らかい雨
テーマ:柔らかい雨 #356
柔らかい雨が降っていた。
その雨は葉に落ち、
ゆっくりと土へと潜っていった。
柔らかい雨が降っていた。
その雨は傘に落ちた。
ポタポタと音を出し、
地面へと流れ落ちた。
柔らかい雨が降っていた。
その雨は水溜まりに落ちた。
ポチャンッと跳ねる音がして
そのまま地面に溜まっていく。
柔らかい雨が降っていた。
その雨の向こうの空には
虹がかかっていた。
柔らかい雨
「うわ、最悪…」
雨降ってきてるじゃん。
「傘持ってきてないなぁ…」
私は、雨が苦手である。
前髪は、濡れるし、服だってびっしょり
こんなんじゃ風邪引いちゃうわ…
毎回そうだ。私は天気の呪いにかかっている
のかというほど、天気の運が悪い。
(朝は、晴れだったはずでしょ?)
ポツリポツリと1滴1滴底へ落ちてゆく。
「どうしよ…」困っている私にトントンと
肩を優しく叩かれ、振り向くとそこには
好きな人がいた。
「あの!その…よければ」と、傘を差し出してくれた。えっ…これ逆パターンなはず…
って!その前に―「あの、いいですよ。」と
傘を返す私。(流石に…)「いや、俺傘呼び持ってるし、使ってよ。」と言う彼。
いやいや!好きな人の物とか使えるわけない
手が震える…彼の傘を今持ってる…!
私の顔は、今どうなっているのだろうか。
背中が熱く、顔が真っ赤のように感じる。
ドキドキと胸が、鳴る。
ありがとう…なんて感謝の気持ちを伝えることができない。私は、臆病者だ。
「じゃあ、俺行くね。」と、彼は傘をさし
男友達と一緒に行ってしまった。
「どうしよ…こんなの」私は、傘を見る。
水色で、可愛らしい傘だった。
(可愛いのが好きなのかな?)
でも、あのとき彼が持っていたのは
黒く、大人っぽい傘だった。
たまたまかな?
私は、そのまま彼の傘をさしながら
帰って行く。
次の日―
「あぁー!どうしよ!」廊下は騒がしく
騒がしくしていていたのは、私である。
「うぇー?!あのイケメンから傘を…?!」
私の友達、紗永が騒ぎたてる。
「しーっ!静かに…声みんなに聞こえてる」
小学生以来な感じがする。
こんなに廊下で騒いだことがない。
「ごめんごめん、彼になんていって返すわけ?」「え?」私は、何を言っているのと言うかのように、はっきりとした"え?"を出した。「は?」紗永も、私と同じことをする。
「ありがとうでしょ?!」と、驚いた顔で言う。「いや、お礼は言うよ」当たり前じゃんと私も顔で表す。「「ぷっつ」」
「「はははっ笑」」同じことをし、同じを繰り返すバカ二人組。
こんなバカなことをするのが
私はとっても楽しかった。
帰り道―
彼が見えた。曲がり角のとき
彼が見えた瞬間走り続ける。
すると、彼が走り出す。
ダッダッダッ全力疾走で走る私。
「待てぇ~!!」といい、必死に追いつこそうとするが、彼は、速すぎる。
今どういう状況なの…
これは、バカが出来ることだからやってるのか…?「つ、捕まえた!」私は、そうこう
心の中で思っているとやっとの思いで追いついた。「どうして走るの?」私は、彼に問う
「いや、別にてか、急に走ってきてなんなの」彼も相当疲れているみたいだ。
当たり前だ。帰り道から全然違う所に来てしまっているから=迷子ということである。
最悪だ。やはり運を持っていない。
天気の運だけかと思いきや道の呪いにも
かかってるなんて…ありえないわ。
そう心の中で自分に引いていると…
「あの…?」と彼の声が聞こえ私は、我にかえる。「ごめん、傘だったね。」と傘を差し出して、「ありがとう。」という。
言えた!感謝の気持ち=お礼を!
と思うと不意に雨の粒が服にポタっと落ちてきたように思った。
「「あ、雨だ。」」私達は、ハモった。
すると、だんだんと強くなっていった。
(やばい雨宿りできる所は…)
そう思った瞬時、雨が皮膚に当たった。
柔らかい感触だった。
優しく包みこんでくれている感じがする。
暖かく、心地が良かった。
その雨のおかげか、いろいろあり
付き合う事になった。
という話はまた別のお話。
良い一日を
柔らかい雨が私の肌から弾かれて下へ下へと滑り落ちていく。本当に今日の自分は運が尽きていると思った、と言うのもこの数時間前にも、同じような雨に降られたばかりであり、丁度、着替えを終えて帰ろうとした時に2度目の雨に降られたのである。
数時間前の雨のようにすぐ止むだろうと考えていたが、どうやらその考えはハズレたようだ。結局、私は近くのコンビニからビニール傘を買い帰路についた。
雨は、こちらの都合を伺わない。
お終い
「さぁ 起きて君の出番だよ!」
眠い目を擦り 欠伸をしながら
小さな体が立ち上がる。
大きな蓮の葉っぱを杖代わりに
最初は、野菜や植物達に
恵みの雨を
次に池や、湖に水を溜めて
動物達に 憩いの場所を
最後は、雨上がりに 反射する
虹の光を
傘を閉じて、空を見上げる
人間達に!!
優しい雨の妖精の贈り物
柔らかい雨
『心模様は豹柄』
朝焼けは深呼吸 心の具合はどうだろう? 密林の奥に本当の気持ちを隠している 整理できない感情散り散りと いつか豹に狩られてしまいそうだ こんな時は雨を浴びたい 晩秋の雲が呼び込んだ雨は こんなにも柔らかく頬を伝った
柔らかい雨
痛いなあって思う雨も、溶けて自分のものになる雨も、同じ雨なのに、周りに影響されたりして形が変わっていくんだ。柔らかい雨は涙に似てるから好き。手のひらに落ちて、誰のものでもなくなる前にせめて受け止めたいな。そしたら、案外自分が救われちゃってるんだ。
打たれながら眠る君を思う。
君に等しく幸せが降り注ぎますように。
ぽつぽつと降る雨の中歩き続ける。
どこへ行けばいいのかさえ分からないままで。
「貴方のことは、もう好きじゃないの。」
「───だから、さよなら。」
彼女の美しく冷たい声が頭の中に響いて視界が霞む。
歩いているうちに傘はどこかへ飛んで行ってしまった。
「ひぐっ、うう、ああ」
溢れ出る涙はもう止まってはくれない。
優しく柔らかい雨がまるで慰めてくれるかのように体を濡らしていく。今日は雨が降っているから涙がバレずに
済んで良かったなんてことを考えてしまう。
「これからどこに行こうかな。」
もうどこを歩いているのかなんて分からない。
ただずっと、遠くへ行くために足を進める。
雨はまだ降り続け、空も灰色に染まったままだ。
そんなふらふらと歩く彼の姿を雨は悲しむかのように
雨足を強めた。
『柔らかい雨』
夕立ちにやられて冷えた体に
あたたかなシャワーを浴びせた
お湯が降ってきたら
2度も水に当たらずに済むのだろうか
柔らかい雨
体に穴が空きそうな雨。
そんな雨が好きだという君
小さな君
横断歩道
信号無視
ブレーキ音
耳鳴り
赤赤赤赤赤赤
体に穴が空きそうな雨。
本当に体に穴が空いてしまった小さな君
また雨の日が憂鬱になる。
自覚させられてしまう。
柔らかい雨が当たり前じゃないことを