あやさか

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柔らかい雨

「うわ、最悪…」
雨降ってきてるじゃん。
「傘持ってきてないなぁ…」
私は、雨が苦手である。
前髪は、濡れるし、服だってびっしょり
こんなんじゃ風邪引いちゃうわ…
毎回そうだ。私は天気の呪いにかかっている
のかというほど、天気の運が悪い。
(朝は、晴れだったはずでしょ?)
ポツリポツリと1滴1滴底へ落ちてゆく。
「どうしよ…」困っている私にトントンと
肩を優しく叩かれ、振り向くとそこには
好きな人がいた。
「あの!その…よければ」と、傘を差し出してくれた。えっ…これ逆パターンなはず…
って!その前に―「あの、いいですよ。」と
傘を返す私。(流石に…)「いや、俺傘呼び持ってるし、使ってよ。」と言う彼。
いやいや!好きな人の物とか使えるわけない
手が震える…彼の傘を今持ってる…!
私の顔は、今どうなっているのだろうか。
背中が熱く、顔が真っ赤のように感じる。
ドキドキと胸が、鳴る。
ありがとう…なんて感謝の気持ちを伝えることができない。私は、臆病者だ。
「じゃあ、俺行くね。」と、彼は傘をさし
男友達と一緒に行ってしまった。
「どうしよ…こんなの」私は、傘を見る。
水色で、可愛らしい傘だった。
(可愛いのが好きなのかな?)
でも、あのとき彼が持っていたのは
黒く、大人っぽい傘だった。
たまたまかな?
私は、そのまま彼の傘をさしながら
帰って行く。


次の日―
「あぁー!どうしよ!」廊下は騒がしく
騒がしくしていていたのは、私である。
「うぇー?!あのイケメンから傘を…?!」
私の友達、紗永が騒ぎたてる。
「しーっ!静かに…声みんなに聞こえてる」
小学生以来な感じがする。
こんなに廊下で騒いだことがない。
「ごめんごめん、彼になんていって返すわけ?」「え?」私は、何を言っているのと言うかのように、はっきりとした"え?"を出した。「は?」紗永も、私と同じことをする。
「ありがとうでしょ?!」と、驚いた顔で言う。「いや、お礼は言うよ」当たり前じゃんと私も顔で表す。「「ぷっつ」」
「「はははっ笑」」同じことをし、同じを繰り返すバカ二人組。
こんなバカなことをするのが
私はとっても楽しかった。


帰り道―
彼が見えた。曲がり角のとき
彼が見えた瞬間走り続ける。
すると、彼が走り出す。
ダッダッダッ全力疾走で走る私。
「待てぇ~!!」といい、必死に追いつこそうとするが、彼は、速すぎる。
今どういう状況なの…
これは、バカが出来ることだからやってるのか…?「つ、捕まえた!」私は、そうこう
心の中で思っているとやっとの思いで追いついた。「どうして走るの?」私は、彼に問う
「いや、別にてか、急に走ってきてなんなの」彼も相当疲れているみたいだ。
当たり前だ。帰り道から全然違う所に来てしまっているから=迷子ということである。
最悪だ。やはり運を持っていない。
天気の運だけかと思いきや道の呪いにも
かかってるなんて…ありえないわ。
そう心の中で自分に引いていると…
「あの…?」と彼の声が聞こえ私は、我にかえる。「ごめん、傘だったね。」と傘を差し出して、「ありがとう。」という。
言えた!感謝の気持ち=お礼を!
と思うと不意に雨の粒が服にポタっと落ちてきたように思った。
「「あ、雨だ。」」私達は、ハモった。
すると、だんだんと強くなっていった。
(やばい雨宿りできる所は…)
そう思った瞬時、雨が皮膚に当たった。
柔らかい感触だった。
優しく包みこんでくれている感じがする。
暖かく、心地が良かった。
その雨のおかげか、いろいろあり
付き合う事になった。
という話はまた別のお話。

良い一日を

11/6/2023, 12:15:53 PM