『最初から決まってた』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ここは雲の上…だと思う。
住人の数は多く、皆思い思い暮らしている。
住人は人型だけではない。様々な生き物の形をしていて、皆一様に薄ぼんやり光る発光体だ。
形は違えど皆穏やかで、ここに争い事は無い。
いつまでもここにいたいような気もするが、ここには決まりがある。次の行き先を毎日1回は探さなければならないこと、行き先が見つかったら必ず一両日中に出立しなければならないことだ。
行き先を見つけるには、遠眼鏡を使って下界を見るしかなく、遠眼鏡には数に限りがあるから、毎日順番待ちの列が出来る。
今日も順番待ちの列に並ぶ。先頭を見ると遠眼鏡を使っているのは猫型と人型と…熊型?
猫型の発光体が強く光った。行き先が見つかった印だ。
遠眼鏡を次へ渡し、雲の門へ歩いて行く。門番と一言二言会話し、開いた門から差し込む眩い光の中へ溶け込んで行った。
周りが少しざわついたが、すぐに元に戻る。これが日常の風景なのだ。
自分の順番が回ってきた。遠眼鏡で雲の隙間から下界を見る。
下界に何が見える訳でもない。ただ霧がかかったような霞んだ景色が見えるだけ。皆も同じらしい。飽きるまで眺めて、何も変化がなければそのまま遠眼鏡を次に回して終わるだけ。
しかし今回はいつもと違った。景色が霞んでない。驚いてあちこち見てみると、1つの家が光っているのを見付けた。行き先が見付かったのだ。自分が光っていることに気付いた。とうとう出立の時が来たのだ。
門へ歩いて行く。門番と目が合う。"行っておいで。どうかお幸せに"と餞の言葉を贈られた。ありがとうと微笑むと、光の中へ駆け出した。
―――旅立ち[生]
#35【最初から決まってた】
随分と悩んでいるみたいだね。
君を見ていると清らかで、真っ白で、純粋過ぎて心配になる。
君は汚いものを知らなさ過ぎる。
人を簡単に信じてはいけないし、
人は簡単に嘘をつくって事を知らないといけない。
君は人の痛みに敏感で、すべてを当事者として受け取ってしまう、それは考えものだ。
君の力ではどうしようもない事が、世の中には沢山あるよ。
戦争もその一つだ、分かるかい?
君がこの平和な時代に生まれ、平穏に暮らしているのに、何ら罪はない。
もっと、楽に生きていいんだよ。
そりゃ、食べ物を残したり、物を簡単に捨てたりするのはよくない。
だけどね、美味しい物を食べたり、おしゃれしたり、友だちと笑い合うのは君の生きる権利でもあるんだよ。
それを罪として捉えない。
いいかい、戦争で苦しい思いをした先人たちはこの平和な世の中を喜んでいるよ。
羨ましがって、当たり前にある君たちを恨んだりしない。
君のおじいさん、おばあさんは君が幸せで怒ったりするだろうか、恨んだりするだろうか。
しないよね。
君がこの平和な時代に生きて、自分の好きな事をしている事にとても喜びを感じているはずだ。
君が幸せで心底喜んでいるはずさ。
僕も君には笑っていてほしいよ。
同じ事をあの人にも言われたんだろ?
あの人は君に笑えって、言ったんだろ?
僕も君には笑ってほしいと願うよ。
君の笑顔は、周りを幸せにする。
僕は君が生きているだけで、僕の生きる希望になってる。
いいかい、君が幸せになる事は
最初から決まっていた事なんだよ。
最初から決まってた
♡「どうせだし罰ゲームしねぇ?」
♤「は? 今更かよ」
♢「えー例えば?」
♧「モノマネとか嫌だよ僕」
♡「ジュースおごるとか」
♤「面白くねぇよ」
♢「まあそのくらいなら」
♧「サイダー飲みたい」
♡「よし、決まりだな」
♤「ちっ。ほら上がり」
♡「え?」
♢「俺も引かれて終わり」
♡「ちょ、」
♧「そして僕も引いたので揃って終了〜!」
♡「嘘だろ!?」
♤「ばーか」
♢「ふっふっふ。こうなることは最初から決まっていたのさ」
下校するタイミングで雨が降ってきた。
強風で木々が激しく揺れて、地面には排水溝に収まりきらない雨水が広がっている。部活で外にいた生徒が慌てて校舎や部室棟に駆け込んでいる。
まあ夏ならではの夕立ち、ゲリラ豪雨ってやつだ。暗い色をした雲の反対側は青空が覗いているからそう長くは続かないだろう。
いきなりの気圧変化に頭が割れそうなくらい痛むけど、どうにも雨の日は嫌いになれない。なんだか自分の汚い部分も嫌なことも全部洗い流してくれるような気がしてさっぱりする。
「じゃ、帰るね。バイバイ」
「え!?こんな雨降ってるんだから止むまで待ってようよ」
「明日英語の小テストあるじゃん?風邪ひいて休めば受けなくてすむから今帰るの」
「何をバカなこといってんの。勉強しろよー」
「無理!英語だけは何しても覚えられん」
カバンに大きな袋を被せて自転車の前かごに突っ込む。引き止める友だちに手を振って駐輪場から飛び出した。
後ろから「おバカだなー」と笑い声が聞こえたけど無視した。私はあんたらと違って頭良くないの。
雨粒が叩きつけてきて痛い。目にも口にも入ってきて前も見にくいし、風のせいで進むのもつらい。
でもあんなに暑かったのが嘘みたいに消えていく。涼しいわけではないけど、暑いよりはマシだ。
家につく頃には全身びしょ濡れで、唯一出迎えてくれた愛犬がバスタオルを咥えてパタパタと尻尾を振った。
雨が降るたびにびしょ濡れで帰ってくる私と母のやり取りを覚えたのか何も言わなくてもタオルを持って玄関で待っていてくれるのだ。「ありがとう」といって身体を拭きながら靴に新聞紙を詰め込んで干す。その後風呂を洗って沸かしてすぐに入った。私にしては珍しく長風呂をしたと思う。
もう明日は風邪をひけば完璧である。そのために髪も乾かさず冷房の温度も少し下げておいた。寝るにははやいからスマホをポチポチ弄って愛犬と遊んで、いつの間にか寝落ちてた。
翌朝、見事に身体は怠く熱を測ったらバッチリ38.2℃であった。遅くに帰ってきた母には「またか」と呆れられたが完璧すぎる計画に親指を立てる。
友だちからも『おバカ』とメッセージが送られてきた。
そう、これは英語の小テストがあると告知されたときから計画されていた。この結果は最初から決まっていたことなのだ。
愛犬にドヤ顔してみせたら尻尾で叩かれた。「おバカ」とでも言っているようである。
これでいいんだ。これが青春なんだよ。
【題:最初から決まっていた】
『最初から決まってた』
人生が最初から決まってたとしたら、わたしの人生をプログラムした神はイジワルだと思ってしまいます。
「わたしは前世で何をしでかしたのだろう」と、思うほどの試練ばかりで、そろそろ心が危ういです。
・神は乗り越えられる試練しか与えない
・苦しいのは成長するとき
どこかで聞いた、よくある言葉を絆創膏にして、心に貼れたら、もっと上手に息が出来るかもしれないですね。
最初からきまってた
そうかもしれないし
そうじゃないかもしれないし
結局は自分で決めること
自分の気持ちが軽くなるならどっちでもいい
無駄に苦しむ必要はない
いつだって
その時に最善と思える選択肢を選んできたはずだから
最初から決まっていた
私が私らしく生きることも
不要な縁は途絶えていくことも
淋しくても
きっと最初から決まっていたんだ
[テーマ 最初から決まっていた]
最初から決まっていたことなのに
決まっていたのに
わからなかったことがあった
最初から決まっていたことなのに
60歳が近くなると、産まれた時から何もかもが
決まってたのかなと思う。
学校も結婚も住まいも子どもも、違う道を選びたかったけれど、無理な話で、このまま死ぬまで、
つき進むしかないのか。今からでも方向転換は、
できないものかと思ってしまう。
最初から決まってた
このことが起こるって最初から決まってたんだ。
だから仕方ない。ってことはないと思うんだよね。
今までの行動でその結果になったのだと。
行動したから上手く行った。上手くいかなかった。
【最初から決まってた】
「最初から決まってたからね、ひっくり返すのは難しいよ?」
「『できない』わけじゃないんでしょ?」
尋ねると、「あ〜」とも「う〜」とも言えない声で唸って、不味いものでも呑み込んだような顔になる。出来レースは嫌いじゃなかったの?
「無理だって言わなかったよね?」
「揚げ足取んないでよ。『難しい』と『無理』は同じ意味なんだよぅ。知ってるでしょ?」
「でも、できないわけじゃないよね?」
できるの知ってるからね。考え込むフリをしてもだめだよ。
しばらくして「しょうがないなぁ」のニュアンスで小さく息を吐いて、真っ直ぐこちらを見る。
「まあ、やるからには……やるけどね。あんま期待しないでよ?」
「またまた」
「もう。『またまた』じゃないよ。プレッシャーに弱いんだよ?」
「またまた〜」
「任せなさい」って言ってくれて、大丈夫だよ。
「信頼してるからね」
そう言ったら、下手くそなウィンクを一つ寄越した。
最初から決まってた。何をしても無駄と。だから最後まで宙ぶらりんなのだ。
ある日、母は私にこう言った。
「あら。いたの。」
なんの気ない一言だったと思う。実際、なんの意味もない一言だ。それでもその一言は、私の胸には黒鈍くのしかかった。
それより幾日か前、私は道端に落ちた鳩を見た。死んだそれの目は脆く、只〃そこに落ちているだけだった。しかし、そんなモノに私はどうしても惹かれてしまうのだ。
それよりずっと前、初めて人と交えた。薄く伸ばされた様な肌に手を重ね、波打つ髪を抱きしめた。
「このまま殺してくれ」 と、切に願った。
ある日は西登る竹分けの日であった。祖母の連れた小熊と一緒に、悴んだ弟の手を飲み干した。ひの屋に横たわった藁を、私はこうして首にしめている。
あぁ。なんとも。では、また。
「最初っから決まってたことさ」
てるてる坊主はそう呟いた。
たしかに、数年早くなろうと大して変わらない。
最初から決まってたんだ。この恋が実ることはないと。
だって、君が見ていたのは違う誰かなんだから。
僕に笑いかけるのと、あの男に笑いかけるのとでは目の
奥に見える感情の違いに気付いてしまった時、叫びたく
なる衝動にかられた。どうして、どうして。そう叫んでしまえたら良かった。けれどそれでどうにかなる訳では
ない。仕方がなかったのだ。そういう風に最初から決まっていたんだ。そう思うしかない。
「…ふっ、あはは。」
告白する勇気ももうない。今は早くこの恋心を忘れなければと考えるたびに虚しくて一人泣き続けた。
『最初から決まってた』
【最初から決まってた】
夜雨は、いつか春歌とは離れることになると確信している。
理由はない。けれど、ただただ確信している。
いつか、が決まっているのなら、今でもいいのではないか。
離れるべきか、まだ離れずにいるべきなのか。
終えるか、終えないか。
毎日は選択の連続で、決断したくない夜雨は、天に託してみたりする。
どちらにしようかな
神様の言うとおり
「ヨウ!」
手をぶんぶんと振りながら駆け寄ってくる春歌に、ひらりと軽く上げて返す。
今日もまた、こうして春歌と共にいる。
天が言うのだから仕方ないのだ。
──結局のところ二択なら、初めに指差した方が選ばれるのだと決まっていたとしても。
「最初から決まっていました」
紳士然とした若い男は優雅に微笑むと、傍らに抱えていた大きなバラの花束を片手に持ち直す。
「私の伴侶となるべく人は貴方です」
ゆっくりとした足取りで一人の女性の前に立った若者は、戸惑う彼女の前に堂々と跪く。
「どうか私の妻になっていただけませんか?」
バラの花束を差し出した若い紳士に、相手の女性はおずおずと視線を向け、躊躇いがちに口を開いた。
「あの・・・・・・、私と貴方は今日初めてお会いし、会話をしたばかりです。お付き合いをするくらいならともかく、貴方みたいなお方が私のような者に結婚の約束をするのはいささか早計なのでは・・・・・・?」
若者は俯きかけていた顔をあげ、にっこりと満面の笑みを浮かべた。
「貴方を一目見て、私の心は決まりました。貴方から見れば私の判断はまるで一瞬の出来事のように感じられるでしょうが、ここに至るまで私の頭脳は目まぐるしいほど途方もない演算を繰り返し、そしてようやく辿り着いた結果なのであります」
こうして人類史上稀に見るほどの天才と謳われた資産家は、彼にとっては永遠とも思えるくらいの長い数分を経て、後に語られる一世一代のプロポーズを果たしたのである。
【最初から決まってた】
甘い甘い視線、弾ける様な鼓動。
どうしようもない胸のときめきに締め付けられる。
きっと最初から決まっていた。
貴方は私を好きにならない。
これから先どんなに素敵な恋をして、愛を見つけられてもずっと呪いみたいに苦しめられる。
金に装飾された額縁に縁取られた貴方をひと撫でした。
きっと何処かにいると、信じて。
最初から決まってたんだろうな。
君とはこうなるって、ずっとはないってわかっててもそれでもまた君を求めてしまう。
最初から決まっていた
学校からの帰宅途中に個人店のケーキ屋があった。家から徒歩20分間でいくつかの道路を超えて公園の向こう側にあった。
母が甘いものが好きなのと、そのケーキ屋作るケーキは美味しく彩り豊かで、小さなイベントがあると姉と弟を連れて買いに行ったものだ。
月に3回は買っていたので向こうにとっては常連客だろう。若い夫婦が経営していたが、当時の私は、おじちゃん、おばちゃん、と呼んでいたはずだ。
母と私は季節のもの、姉はチョコレート、弟はチーズケーキを良く選び、父は甘いものが苦手なため甘さ控えめのシューばかり食べていた。
私にとってはご褒美であり、イベントがあればいつでも食べられる甘味だった。
そのうち、姉が大学ため家を出てそのまま結婚。弟は野球の強豪校に入学し寮生活のため家をでると、イベントがみるみる減ってしまった。しかし残念とは思わなかった。成長により私の味覚が変化したため甘い物よりも苦い物を好むようになったからだ。母にケーキを勧められもあまり手をつけなかった。
私は自宅から大学に通っていたが、就職をすると同時に家を出ることになった。しばらく返ってこないから、といつものケーキがでてくる。1年ぶり食べたらやはり甘かった。苦い珈琲で口を潤す。
それからあっという間に時間が経ち、私も所帯をもった。仕事の多忙に加え、実家までの距離は5つの県を越える。そのため頻繁に帰ることが出来ず、今回の帰宅は実に五年ぶりであった。
馴染みのある道を通る。あの道を曲がり、ここを真っ直ぐ進んで、公園が見えてきて、その途中にあるケーキ屋…………の看板がなくなっていた。人気はなく雑草が玄関脇に生えている。
閉店したのか、と私に衝撃走る。幼少期記憶脳裏をよぎり不意に目頭が熱くなった。とはいえ私はもう大人である。閉店をすんなり受け入れると、何事もなかったように家族を引き連れ実家へ向かった。
「ようきたね」
母が出迎えた。顔を見た時に母があのケーキ屋が好きだったことを思い出す。さぞかしガッカリしているだろうと胸が少し痛かった。
茶でも用意しよう、と台所に行った母を追う。
私は後ろ頭を掻きながら、
「あの店閉店したんだね。残念だ」
と告げると、母が冷蔵庫からホールケーキの箱を取り出した。ロゴを見て私はあわてる。閉店したはずの、あのケーキ屋だった。
「なにいっとん。移転しただぁけ」
笑いながら、母が箱をあけた。15センチのフルーツケーキが出てくる。真っ白い生クリームの上にツヤツヤしたフルーツが乗っている。
「ほら。季節のフルーツケーキ。美味しそうだなぁ」
「あーっ ケーキだー」
「おおおすっげーっ これがばーちゃんのいってたオススメケーキかーっ」
タイミング良く子供達やってきて、遅れて妻もきた。
「お義母さんありがとうございます。一度食べてみたくて。とても美味しそう」
「こちらこそいい理由ができたわ。早速切って食べましょうや」
あれ? と私が首を傾げると、母はにやっと笑った。
「ケーキがあるのはあんただけ秘密にしたんよ。移転前のケーキ屋みると思ったから、驚かせようと思ってな」
「ばーちゃん早くきってーっ」
「きってーっ」
「はいはい、まっとれ」
母がケーキを切り分けていく。
みんなグル? と聞くと妻は頷いた。私は苦笑する。
実家についたらすぐにケーキを食べること。これは最初から決まっていたそうだ。
子供達が頬張りながらケーキを食べている。妻は母と談話しながら食べている。私は苦い珈琲を片手に、懐かしい甘さと再会した。
私の人生なんて最初から決まってた
孤独で自由がなくて醜くて
最悪な人生
いじめられても誰にも相談できない
信じられる人もいない
家族は仲はよくないし
友だちになんていない
生きてる意味ってあるかな?
考えてるだけ無駄
私は今生きてる世界を
どう生きるか考えるのみ
幸せになるためにはどうすればいいか
考えても考えてもわからない
誰か教えて
わたしはどう生きればいい?
この世界で生きるには何をすればいい?
悔いのない人生にするにはどうしたらいい?