『時間よ止まれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
─時間よ止まれ─
もし、神様が居るなら。
私は今、時間を止めてほしい。
時が止まることで、目の前に居る、
名前も知らない女の子が助かるのだから。
その代わりに自分の命はなくなるけど。
家族を残して逝くのは申し訳ない。
息子が居る。妻も居る。大切な、家族が居る。
せっかく息子と仲良くなったのになぁ。
楽しい思い出ばかりだったのになぁ。
『幸せ』だったんだけどなぁ。
今だけでいいから。
自分はどうなってもいいから。
だから、時間よ止まれ。
どうも、お久しぶりの作者です。
今回の話は9月11日の話『喪失感』の原因バージョンです。
繋げて読むとより面白いと思います!
これから投稿頻度上げていけそうなので、できるだけ頑張ります!
以上、作者より。
『時間よ止まれ』
消えてしまいたい。
時々そう思ってしまう。
でも別に辛いわけじゃない。
逆に幸せすぎる。
最近、この幸せがもう続かないのでは?と思う。
だから、この幸せが崩れる前に消えてしまいたいのだ。
時間を止める?
そんな、夢みたいなこと、出来る訳無いじゃん、。
【時間よ止まれ】
手には枷を嵌められ、目は黒布に覆われ、それでも貴方は背筋を伸ばし真っ直ぐに立っていた。嘘のように青い空の下、己の死を願う民衆たちの歓声を聞きながら、悠然と。
伸ばした腕が重く痺れる。僕がこの手を振り下ろせば、貴方の首は即座に落とされるだろう。国家の末永き安寧のためには、王家の血筋は残せない。僕たち騎士団は国家の歯車。ゆえにこそ民が王政を否定するならば、僕たちは貴方を、殺すしかない。
頭ではわかっている。わかっているんだ、だけど。
「ちゃんと前を向きなさい」
囁くような声だった。気がつけば地面に落ちていた視線を、慌てて前へと向ける。美しく微笑んだ貴方の凛とした立ち姿。これから貴方を殺す僕へと助言を与えるなんて、やっぱり貴方は大馬鹿者だ。
「民の前に立つからには、どんな時でも背を伸ばさなければならないよ」
ああ、今この瞬間で時間が止まってしまえば良いのに。貴方と向かい合い、言葉を交わすこの瞬間。もう二度と訪れることはない、至福の時。
だけどそんな願いは叶わない。そんな夢物語が叶う世界ならば、そもそも貴方は罪人として捉えられることなどなかっただろう。
心臓が痛い。息が苦しい。目の奥が灼熱を持つ。それでも僕は、笑ってみせた。
満足げに笑みを深くした貴方の姿を真っ直ぐに見据えながら、ゆっくりと手を振り下ろす。
真っ赤な血飛沫に歓喜の熱狂を上げる民衆の声が、うるさいくらいに遠く反響していた。
時間よ止まれよと思っても。
時間は止まってくれない。
時間よ止まれよと考える時間があるなら、
その分先に進んだ方がいいと思う。
時間よ止まれ
君がそこから舞い降りた。
きっと地面に叩きつけられるだろう。
その前に私が助けたい。
君にいて欲しい。
時間よ止まってくれよ
時間よ止まれ
時間は止まらないのだと、誰もが知っている。
それでも時間は無情で、つい止まれと願う。
願ってしまう。止まらないと知っているのに。
仕事があとちょっと残っている。
この本を読んでしまいたい。
そろそろ出かける時間だ。
そんな葛藤と私たちは戦っている。
そして今日も。
そろそろ起きて庭木に水やりをしたいのにぼんやり眠気に襲われている。
時間よ、止まれ。
私の都合のいい時間まで、時を止めて。
#時間よ止まれ
姉が死んだ。妹が死んだ。友人が死んだ。
俺にとって大切な人がどんどん亡くなっていく。
止めてくれ、これ以上俺から大切なものを奪わないでくれ。
これ以上大切な人が居なくなるくらいなら、時間よ、止まれ。
そうすれば俺はこれ以上大切な人を見送らなくて済むから。
時間よ、止まってくれ……。
【時間よ止まれ】#4
『時間が止まったらな。』
人間誰しも、1度は思ったことがあるはず。
時間なんてそう簡単に止まるものではなく、どんどん過ぎていく。
でも、俺だけは違った。
俺は、生まれつき、
"時間よ止まれ"
と言うと、時間が止まり、
"時間よ動け"
というと、時間が動く能力を持っている。
でも、乱用はできない。
一日に6回使ってしまうと、体のほとんどのエネルギーが使われて、倒れてしまう。
ある日、俺は最近使ってなかったから、今日はこの能力を沢山使っちゃおうかな。と思った。
嫌いな上司を禿げさせてみたり、
嫌な感じの取引先の人を転ばせに行ったり、
ストレス発散で都心で叫んでみたり、
色々な事をやった。
「これでもう5回か、、」
終わるのはあっという間だった。
そんな時、ある人が目に入った。
トラックに引かれそうな小学生の男の子。
とっさに、助けなきゃ、と思ったが、もう5回使っているため、もう1回使ったら倒れてしまう。
でも、目の前には引かれそうな小学生。
ええい、もう、どうにでもなれ!という気持ちで、
「時間よ止まれ!!!」
と叫んだ。
すると、時間が止まった。
いつもなら、時間は止まらず、倒れるはずだった。
「え、あ、え、なんで、、」
困惑と驚きが止まらない。
「あ、た、助けなきゃ、!!」
俺は、小学生を歩道に連れていった。
この後、どうなるのだろう、
6回目の後は初めてだ。
「時間よ、、動け、、」
怖さに目を瞑ってしまった。
次に目を開けた時は、病院のベッドだった。
「おかあ、、、さん、、?」
お母さんは怒っていた。
『あんた、6回目使ったでしょ、ほんと、何に使ったのよ、ばかねぇ。』
お母さんに言われて、自分でも行動を見返してみることにした。
小学生の頃に、トラックに絵を描いたり、
給食の苦手なものだけ戻したり、
テストで他の人の用紙をカンニングしたり、
いじめっ子を殴ってみたり、
上司、先輩、取引先に嫌がらせ、
今まで、自分のことだけを思って時間を戻してきた。
でも、今日、6回目を使った時、
あれは、人のためだった。
神様も、人のために使うなら6回目を使わせてもいいと思ったのだろう。
「俺、もう自分のためだけに時間止めない。」
『え?あんた急にどうしたのよ?』
お母さんには理解できなかったようだけど、
俺はこれから、人のためだけに時間を止める。
そう決意した。
これは小さい頃のお話。
こっくりさんって知ってる?
そう。紙に五十音を書いて、十円玉で行うあの、いわゆる降霊術ってやつ。
なんで小学生の頃って、あれ流行るんだろうね? 手軽な遊びというか占いみたいなものなのかな。
でも、私達がやっていたのはこっくりさんじゃなくて、その派生系。やってることはほぼ同じだけどね。こっくりさんじゃないから危なくないと思ったんだろう。
ある日、体育館の裏でそれをやっていたんだけど、どういう話の流れだったか、そのこっくりさん――正確にはキューピッドさんが、時間を止めると言い出した。キューピッドさんって、名前だけ聞くと恋愛関係のことを話しそうなのに、なんでそんなことになったんだろうね。
しかし、私達は大いに盛り上がった。それはそう。本当にそんなことができるのかと。止まったらどんな感じなのだろうと。
目を閉じて祈るように言われ、私達は目を閉じた。
時間よ止まれ。
時間よ止まれ。
時間よ――
さっきまで、遠くで誰かが誰かを呼ぶ声がしていた。「お――――い」と、大きな声を長く響かせていた。
その声が、突然ぴたりと止まった。
声だけじゃない。風が木々を揺らす音も、生命を感じさせる全ての音、時間が流れていることを感じさせる全ての音が、聞こえなくなった。
それはどれくらいの間だったか。
ほんの一瞬だったような、長い間だったような。
気付けば木々のざわめきも、誰かを呼んでいる声も、また戻ってきていた。
まるで、時間の流れに空白を差し込んだかのようだった。
キューピッドさんにあなだがやったのかと聞く。鉛筆(キューピッドさんは十円玉じゃなく鉛筆でやる)は「はい」へとゆっくり移動した。
この出来事で怖くなり、キューピッドさんをやることはなくなった――なんてことはなく、むしろ本物だ! と余計に盛り上がってしまい、それからもたびたび行っていた。大人になっていくにつれ、やらなくなってしまったが……。
それにしても、もしこれが本当にキューピッドさんの力で、もっともっと長い間時間を止められるとしたら。もしキューピッドさんがとても悪い存在で、時が止まった世界に閉じ込められてしまったら。私達はどうなっていたんだろう?
やっぱり危険なことはやらない方がいいね。
もし、これを読んで興味を持ってやってみたいと思ってしまった人。
私は一切責任を持ちません。やるなら自己責任でお願いします。
『時間よ止まれ』
自由落下は知ってるか?
簡潔に言えば
空気抵抗を無いものとし、重力のみによって
物が落下することである。
私は後悔した。
この生身で、この階層で、
自由落下は出来ないのだ。
どこからともなく風はくるし、
鳥も同じ高さを飛び回っていて
今にも衝突しそうである。
ああ、こんなに長いのであれば
いっそのこと、時間よ止まってくれ。
【時間よ止まれ】#51
時間よ止まれ
すぐそこに未来はあって
振り返れば過去が手に届く
今なんて私のほんの数十センチ
周りを漂う透明な
空気みたいなもの
先に見える景色は
今の私からは未来で
進むべき道標を示す
どの方向へ向かっても
全ては未来のことだから
何を選び何を捨てるかは
今にかかっていると知る
どこからともなく聞こえる声
「時間よ止まれ」
ここにある透明を取り込んで
少なくとも今だけは
混じりけのない
純粋な思いのままで
明日を見ていたいから
「今を大事に生きて」
過去が簡単に
振り返させずに
そう背中へ伝えるから
大きく息を吸い込んで
明日となる前を見ていく
やっと訪れた
君を忘れている
刹那
時間よ止まれ
もう
思い出させないで
君のいない世界で
麻酔のように
夢も見ないまま
何も見ず
何も聞かず
何も考えず
何も思い出さず
ただ
眠りたいんだ
君のいない世界なら
眠らせてくれ
永遠に
「時間よ止まれ」
期間限定
汗をかきながら歩く
慎重に
警戒しながら
目的地まであと少し
しかし眼前には無常の大蛇
飢えた獣達の織りなす鎖
ここは戦場だった
※時間よとまれ
どんなに願っても、たぶん、願うほどに、より強く感じるんだ。
心臓が絶え間なく動いていることを。
時間よ止まれ
あなたの声が聞けるこの瞬間が一緒に笑っていられる瞬間がどれだけ大切なものなのだろうか。
未来の私は今の私を羨ましく思う日が来るのだろう。
そうなってしまうくらいなら、時間よ止まれ。
『時間よ止まれ』
疲れているときの風呂ほど嬉しいものはない、と感じることが増えた。
仕事、家事、育児に加え、最近の異常な暑さにより疲れがたまっているせいだろう。
一人でお湯に使っているときは、何も考えずボーっとしていられるし、次の休みにどこへ行こうか計画を立てることもできる。
子供のために浴室に貼っている日本地図を見ながら、まだ行ったことのない場所へ思いを馳せるのもよい。
何時間でもお湯と一体化していたいが、残念ながらのんびりもしていられない。
この後は、子供たちを風呂に入れ、着替え、ドライヤー、歯みがき、寝かしつけ、とやることは盛りだくさん。
自分だけの入浴時間はせいぜい十数分しかなく、いっそ時間が止まればいいのにと思う。
今度自分だけの休みが取れたら、銭湯にでも行って、心行くまでお湯に浸かろう。
習作
あるゲームの夢小説です
(ネタバレを含む可能性があります。)
※捏造注意
∅*。
時間よ止まれ
“時が止まればいいのに”
そう思いだしたのは何時からだっけ
でもずっと、ずっと前から思ってたこと
今はもう止まってるも同然なんだけど、そうじゃない気がする
もうとっくに忘れちゃった
何が欲しかったんだろう
でも楽しいからいっか
あなたにいつでも会えるしね
退屈しない
どんな残酷な最期も、どんな幸せな最後も
私は見てきたよ
でも、
なんとなくあなたにはあなたなりの選択をして欲しいな
時が止まれば良いと望んだ私に感謝しなきゃ
そうじゃないと、あなたにこんな気持ち沸かなかった
沸くはずもなかった、なんて思うんだよね
あなたにこの事を言うことはないと思うけど
それでいい
そうじゃなくちゃ楽しくないじゃない?
少しくらい生意気じゃないと
面白くないでしょ?
ふふ
(彼女は無邪気に微笑んだ)
『時間よ止まれ』
藍から青へ、青から白へ、白から橙へ。
レンズ越しに覗いた白む空の変遷を、カシャリカシャリと軽い音を立てて、写真の中に閉じ込めていく。
瞬く間に移ろいゆくグラデーションを、ただ無心に焼き付けて。止まることのない時をせめてこの写真の中に捉えようと、私はシャッターを切り続けた。
そして今日もまた、夜が明ける。
雪が降り積もった冬のある日。
朝焼けを見に行こうと誘った君の言葉に乗って、まだ空に月が浮かんでいる時間に家を出た。マフラーに顔を埋めて寒さから身を守ろうと縮こまる君が差し出した手を握って二人でゆっくりと夜の道を歩いた。
暫く歩いて開けた河川敷に着いた。並んで草の上に腰を降ろしたのは失敗だったかもしれない。二人のズボンに雪がたくさん着いた。
くだらない事を話しながら夜明けを待つ。
「あっ!」
君が小さな驚きの声を上げた。ふと見ると、朝焼けが近づいてきたようで、空が少しずつ明るさを増していた。暫く二人でじっと水平線の彼方を見つめていた。
一瞬のうちに空の色がどんどんと変わっていった。いつもと同じ空のはずなのに、何色もの色を巧みに使い分けて造られた空は、いつもよりずっと綺麗だった。空が藍色から水色に変わって、水色から黄色に変わって、黄色から橙色に変わって、橙色から赤色に変わって、そして最後に朝が来た。
「…綺麗……!」
思わずそう零した君の横顔は数多の色の空の光に彩られていて、つられて思わず零してしまった。
「綺麗…」
ああ、カメラを持ってこなかったのは失敗だったな。カメラさえあればこの時間を永遠に残しておけるのに。ああ、このまま
「時間が止まってくれたらいいのに」
太陽が別れを告げる夕空、放課後。
その下で友人とわたしは、帰るべき場所へと向かっている。
「ねえ、時間が戻るならいつの時代に戻りたい?」
素朴な雑談のテーマといったところだろうか。友人は唐突に話し始めた。
「うーん、いつの時代か......。江戸時代かな」
日本史の小テストが明日あるので、思わず浮かんだ時代を口にする。
「それ、小テストの範囲じゃない?」
友人は吹き出しながら、私の答えに突っ込む。コンマ1秒で友人に心の中を読み取られてしまった。
ばれたかーと、頭をかきながら、友人にも聞いた。
「じゃあ、そっちはどの時代に戻りたいの?」
「私はねー......」
友人は、か細い腕で背伸びをしながら答えた。
「文化祭の日」
こうして、 交差点前についた。
「じゃ、ここから1人で戻るね」
そう言いながら友人は横断歩道を渡っていく。
「大丈夫?道わかる?」
「馬鹿にしないでよねー」
小言を言い合いながらも、友人は遠くへと消えていく。
何か言いたいのに、言葉が詰まって出てこない。
次第に歩いていく姿は、視界が滲んでよく見えなかった。
「文化祭の日」
あの日は本当に楽しかった。友達とやりたい事を全力で準備してやり切って。これ以上ない出来事だった。
でも翌日、私は救急搬送された。癌だった。手術をしても、進行が早かったので寿命は半年。
すぐ学校は行けなくなった。でも、たまに病院近くを通る友達へ会いに行くために、こっそり病室を抜け出した。
真面目で生徒会も受験も忙しい、私の友達。
もっと一緒にお出かけして、お弁当も食べて、テスト前には勉強会もして。恋バナとかもしたかったな。
交差点を渡る途中、痩せ細った体を無理矢理動かしながら、考える。でもきっと、
「文化祭が楽しかったな」
そう、戻れるなら文化祭の日がいい。友達と過ごした1番楽しかったあの日。
だけど、ちょっと違うかも。
「戻る」というよりは、あの日を永遠に。そう、いっそのこと『時間よ止まれ』。これが合っているだろう。