春爛漫』の作文集

Open App

春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

4/10/2024, 1:29:59 PM

春爛漫

「キエエエッ! キエエエッ!」
 柴田は教室に入ってくるなり奇声をあげ、川崎に蹴りを入れた。柴田の机に腰かけて談笑していた川崎はというと、まともに蹴りを食らい机と椅子をなぎ倒して床に転がる。女子たちの悲鳴が廊下まで響いた。
「キエエエッ! キャッキャッキャッアー! キエエエッ!」
「アァアーッ! アァアーッ!」
 すぐさま態勢を整えた川崎が柴田に掴みかかった。長い腕で柴田の胸ぐらをつかみ、小さな柴田の体を放り投げた。勢いよく壁に叩きつけられた柴田が痛みに悲鳴をあげ、両手両足を使って脱兎のごとく逃げ出した。
 縄張り争いに勝利した川崎が両腕を振り上げ「キーッ!」と雄叫びをあげた。周りの腰巾着たちもキィキィと一緒になって騒ぎ、一帯が祭りの場と化す。
 その様子を友香は教室の隅で見ていた。猿たちの狂騒はいまに始まったことではなく、日常茶飯事であったし、友達の麻衣も冷めた目で猿たちを見ていた。
「ホーホケキョ! ケキョケキョケキョ!」
「だよね」
 麻衣がせわしくグルーミングを行いながら猿たちへ文句を言った。友香はまったく麻衣の言う通りだと思い、いつまで経っても成長のない猿たちに苛立ちをおぼえる。もう三年生にもなるというのに猿たちは毎日毎日マウンティングしてばかりだし、ひたすらにやかましい。食い散らかした果物で床を汚すから虫がわいて不潔になった。それを掃除するのは清掃委員の友香で、先生に抗議したこともあったが聞き入れてもらえなかった。
 連中のリンゴに毒でも仕込んでやろうか――ハブの守口をちらりと盗み見る。守口は日向にある机の上でうとうととまどろんでいた。冷淡な態度の守口に頼み事をするのは億劫で、友香はため息をつく。
「カァーッ! カァーッ! カァーッ!」
 騒ぎを聞きつけた担任の木下がめんどくさそうに翼をばたつかせながらやってきて、川崎と柴田に机を元通りにするよう叫んだ。猿ふたりはそれぞれ相手に責任をなすりつけあっていたが、木下に尻を突かれると渋々机を並べ出した。
 ――あたしの青春ってホント、灰色だわ。
 友香は爪も羽根もないやわらかな人類の手で己の顔を触る。脆弱で毛皮もない貧相な体では彼氏もできず、麻衣の彼氏自慢にうんざりしながらも頷くことしかできない。
 ホームルームが始まる。木下が出席番号順に点呼をとり、友香もまた返事をする。毎日つまらない日常の繰り返し。ゆううつなルーチンを繰り返して貴重な青春が終わっていく。
「ガー、カー、カー、コーアッ! コーアッ!」
 ほう、転校生――教室が色めき立つ。
 三年生にもなって転校とはめずらしい。家の事情か、はたまたいじめられて追い出されたか。麻衣のさえずりに友香も頬が緩む。
「ナァーオ」
 転校生は黒く艷やかな毛皮をした猫だった。気品あるしぐさでするりと教室に入ってくると、黒板の前にしゃなりと座り、自己紹介をする。ンニャーオ。
 そのきれいな緑の瞳といったら!
 友香はしばし転校生の美しさに見惚れ、彼がなぜ転校してきたのかを右から左に聞き流した。するすると音もなく机の合間を縫って歩き、友香の斜め前の席についた転校生の背をぼうっと見つめる。四月の朝の日差しが転校生の毛皮を縁取り、金のヴェールがうっすら彼を覆っているようだった。
 ――あたしの春、きたかも!
 友香の机に桜の花びらが落ちる。まぶしいほどの陽を受けて机たちが輝き、学校は春色に染まっていく。
 新学期だった。

4/10/2024, 1:27:58 PM

この季節がまたやってきた
春爛漫と咲き誇る桜はまるで、
私たちの新しい始まりを応援しているかのよう
そんな桜が好きだ
それでも桜を見ると切なくなる思いが
心の片隅にある

4/10/2024, 1:26:16 PM

四季の中で1番春が好き
春はお花が綺麗それ以外ももっとあるかもしれないけどとにかくお花が綺麗!お花を見てると何も考えないで居れる。例えばどんな悲しいことが起きて落ち込んでいてもお花をみてたら何もかも忘れてお花に集中出来る!だから私は春が好き

4/10/2024, 1:24:17 PM

春爛漫である。
桜がちょうど盛りを迎え始めた日、私の祖母が天に還った。
ああせっかく、春が好きになりそうだったのに。
学生時代はずっと嫌いだった春。
やっと解放されて、桜の色を心から楽しんで、今年もそのつもりだったのに。
病院へ向かう自転車を漕ぎながら見た桜並木が美しかった。斎場の周りは桜で埋め尽くされていた。そして、桜が散る頃に祖母は荼毘に付される。
思い出がまた増えてしまった。春爛漫の祖母よ。

4/10/2024, 1:22:21 PM

春爛漫

 この地では、いつも雪が降っている。それは太古の昔に冬を使命づけられたあなたが、この地をずっとずっと彷徨っているから。
 わたしはそれを知っている。
 あなたが悲しいくらいバラバラになった自分の心の欠片を、世界の果てであてどなく探して回っている姿をわたしは見ている。
 寒い寒いこの地で、あなたは今日も吹雪の中を背中を丸めて歩いていく。そして、いつも降り積もった雪の中でうずくまる誰かを見つけては、立ち止まる。
「君……どうしたんだい?」
「左目を、失くしてしまったの」
 雪に埋もれた少女が、そう答える。
「そうか。だが、君にはまだ右目が残っている。君はまだ生きていかなくてはいけない。左目を失くして死ぬのならば、右目が残っている内は生きねばならない」
 少女は頷いて、雪の幕の向こうへ消えて行く。
 昨日の男の子は彼の言葉で死んでしまったから、少女が生きる道を選んだことに、わたしは嬉しくなった。
 春は命の誕生、秋は命の循環、夏は命の成長、そして冬は命の死を司る。
 わたしは秋の使命を受け継ぐもの。わたしにあなたの春は連れて来られない。あなたはまた、涙すら凍る冬の中を重すぎる雪を背負って歩き出す。
 春を遠い彼方へ攫われてしまったあなた。
 あなたの冬は、いつ明けるのかしら。

4/10/2024, 1:21:54 PM

春は傲慢だ。

なぜ春爛漫なんて言葉があるのか。まるで春が四季の中で最も輝かしく、豊かで、美しいかのように振る舞っている。

たしかに春は桜が綺麗だし、気温も過ごしやすい。でも夏の空と海は壮大だし、秋の山々の紅葉の鮮やかさは心踊るし、冬の一面の雪景色には息を飲むはずだ。それぞれの良さがあるし、それぞれが最高なんだ。

4/10/2024, 1:21:49 PM

いつみても君は綺麗だよ、ハル。
光の中に誇らしげにいる君も、暗闇でも自分を見失わずに光を湛えている君も。
もちろん、はらりはらりと踊る姿も。
上を見ると君がいるだけで、俯いても足元にそっと寄り添ってくれることも、こんなに心が動くって思わなかったんだ。
だから、ありがとうね。


:春爛漫

4/10/2024, 1:20:17 PM

「桜、満開やで!」

明るい声で起こされた。
起きる直前に何か夢を見ていた気がするが、明るい声で全てかき消された。
まだくっつきたがっている瞼を必死にこじ開けると明るい声に違わない爛漫の笑顔が目の前にあった。

「起きた?起きたな?花見行こうや」

今日が花見日和やって、明日からは雨らしいで、人混む前にサッとでええから行こうや、

覚醒しきらない俺を他所に、着ていく服やら目覚めのコーヒーやら色々と準備してくれながら急かしてくる男に笑いが洩れる。

ちょいちょい、と手で呼ぶと「なん?」と言いながら寄ってくる。

腕を掴んでぐいっと抱き寄せると男からはほんのり桜の香りがした。

「散歩行ってきたん?」

早朝目が覚めると1人で散歩をするのが日課な男に問うと、あんまり桜が綺麗やったから途中で戻ってきてん、と返された。
日課の散歩を中断するほどの桜、いや、それを俺に見せたくて戻ってきたのか。

たまらない愛おしさが込み上げてきた。
早く準備をして行こう。


スイッチが入ったようにきびきび準備をしだした俺に笑いながら、どこのルートがあんま人おらんかなぁ、とぼやく男。

10分で身支度を済ませ、今度は2人で散歩に出た。


男が慌てて起こしにきたのも頷けるほど、河川敷の桜並木は満開だった。優しく風が吹くと桜の香りが漂ってきて、思わず深呼吸した。

土手に咲く菜の花やたんぽぽの黄色に新芽の柔らかい緑、青い空、世界は美しいな、なんて柄にもなく思う。


「起こしてくれて、散歩誘ってくれて、ありがとう」


そう言うと、男はまた爛漫の笑顔を返してくれた。



【お題:春爛漫】

4/10/2024, 1:19:23 PM

「春爛漫」

ひらひら舞い踊る桜の花弁
扇子を片手に三味線の音に合わせて
舞い踊る

春爛漫なり
我がココロ
サクラの踊り子

4/10/2024, 1:11:33 PM

『元気出してこーぜ!』

付箋が貼られた缶コーヒーを持って
屋外へ一歩

「ははっ。一番安い珈琲じゃねーか」

笑って見上げた空には
透き通る青と
輝くピンクのひとひら


#春爛漫

4/10/2024, 1:08:02 PM

午前中の温かい日差し
ミモザの黄色
桜の紅茶
クロテッドクリームたっぷりつけて食べるスコーン
川辺りにいる猫の親子
満開の桜
道角に咲いてるたんぽぽ
いろんな色のラナンキュラス
こし餡いっぱい詰まった大福 
ピスタチオ色のフットネイル
リネンの香りの洗濯物
菜の花のにおい
公園の噴水
ビオラの群れ
犬がかけてく土手の道
新しくおろしたシャツ
花柄のランチョンマット
新玉ねぎのマリネ
筍の天ぷら
パステルカラーのマカロン
いちごラテ色に染めた髪
冬を乗り越えて出てきたミニバラの芽
君の楽しそうな笑顔

ぜんぶぜんぶ、春爛漫

4/10/2024, 1:07:34 PM

春爛漫


桜の季節になると思い出す。
あの日、彼女から紡がれた言葉を。
ひらひらと舞い散る桜と同じように、
彼女の頬は薄く染まっていた。

あの時の僕は、その期待に応えることができなかった。
『友達』という枠から先に進むことが怖かったのかもしれない。


桜の季節なると思い出す。
あの日、彼から紡がれた言葉を。
ひらひらと舞い散る桜と重なって、
彼は凛とした声で答えた。

一年越しに発せられた彼からの気持ち。
去年は悲しみに頬を濡らしたけれど、今は違う。

ようやく2人の気持ちが交わった。
来年もこの桜の景色を2人で見たいと思う。

4/10/2024, 1:07:32 PM

暖かな日差し 花風舞うこの季節

緊張した面持ちで スーツに
手を通したあの日

通った道の桜並木 ふと見上げた

あの景色は今でも忘れる事が出来ない。

そしてまた、季節が巡り 思い出す 春爛漫

4/10/2024, 1:07:29 PM

春爛漫



桜が咲いたら愛犬と桜を見に行く。
愛犬はわかってないだろうけど何年も花見をしてるんだよ。
来年も再来年も一緒に見ようね。

4/10/2024, 1:06:03 PM

「桜は枯れないのよ」
 彼女はそう言うと、ほっそりとした冷たい手のひらを私の手の甲に重ねた。

 とある病室の一角である。彼女は窓際のベッドに座って外を眺めていた。望むは満開の桜である。
 
「散ってまた咲くの…」
 声が震えている。無理もない。彼女は——。

 「私はもう、葉桜だけど」
 「あなたと何度も過ごした春、楽しかっ…」
 私はとっさに彼女を抱きしめた。すり寄せた頬に大粒の涙が伝う。

 「まだ春だよ」
 私の声もいつしか震えていた。

 ふたりで見る最後の景色は桜花爛漫の彩であった。

4/10/2024, 1:05:12 PM

貴方が泥酔をし家に来て、抱きついてきた時に香る、鼻に残る甘ったるい香りが嫌いだった。
男絡みの愚痴を吐く貴方は面倒くさかったし、少しムカムカした。

最近は家に来なくなったな、と思っていたら どうやら事故に巻き込まれたらしい。
もう愚痴を聞く必要がないと思うと開放感があったが、やっぱり 少しムカムカした。

そうして、いつもと変わらない毎日を過ごして、
貴方が家に来なくなってだいぶ経って、ふと 前に語っていた 貴方のつけていた香水を買い、手首に一プッシュしてみたら ほのかに甘く爽やかないい香りがして、不器用な人だな、と思った。

4/10/2024, 1:00:44 PM

終わったあとは見向きもしないのに
輝いている間は褒め称える
飛び散った花びらの行先ぐらい考えたらいいのに
春爛漫と、花を眺める間も、
彼らは風とともに、次の道を彩る絨毯になっているのだから

4/10/2024, 1:00:35 PM

桜も私も成長してる

春が切なく感じてきた

#春爛漫

4/10/2024, 1:00:18 PM

春爛漫


北海道の春はもう少し先だよ
桜は4月後半から5月の頭までお預けなの

暖かくなってきて
外に出るのが嬉しい
ウキウキするの
ルンルンなの

でもまだ木々が「たわし」みたいなんだ
それがちょっと寂しくなる
早く緑が増えるといいな

今日、ふきのとうが頑張って生えてたよ
なんか春だなーって嬉しくなった
隣にいたのが君だからだったから?
余計に綺麗に見えたんだ❤︎

でも雪が溶けると
マナーの悪さが浮き彫りになるの
すごく残念…
ふきのとうが頑張って生えてきている横に
空き瓶や空き缶が転がってるのは悲しい…
人として…
この地球にせっかく産まれてこられたんだからさ…
最低限のルールは守ろうよ!

私はそんな人にだけは
これからもなりたくない!

桜に早く会いたいなー♪

今日は初めて、君からの「好き」
がもらえた特別な日になった❤︎
嬉し過ぎて、幸せ過ぎ
でも…
「ずっとずっとは側にいられない」
って言った言葉は、
やっぱりどうやったって覆せないのかな…?

今年も来年も
君と一緒に桜を見れるといいな…

4/10/2024, 12:59:28 PM

少しくもった空の中に、紫の花がポツポツと咲き始めた。花は小さいけれど、緑の草原を埋めていくように咲く花。
これこそ春爛漫

Next