星座』の作文集

Open App

星座』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/5/2023, 12:32:32 PM

『星座』
ススキが揺れる夜の田んぼ道を歩きながら
空を見つめていた。
秋口だと言うのにまだ暑さが残っている。
「今年は本当に暑いよな」
先輩が手で仰ぎながら僕に話しかけてきた。
「本当に今年はずっと暑いですよね」
そこで会話は終わってしまった。
僕は自分のコミュニケーション能力の無さに
表情を暗くした。
それを先輩は見過ごさなかったようで
「知ってるか?あっちの方角見てみろ」
と空の方を指さした。
「ペガスス座とケフェウス座の間にうっすらとギザギザの星たちがあるだろ?」
「そうですね…目をこらすと見えますね」
「あれ、とかげ座って言うんだってさ。どんなに薄くても星と星で集まれば88星座として名前残せるんだ。凄いよな」
僕はとかげ座から目が離せずに返事をするのを忘れていた。
そんな僕の頭を雑に大きな手で撫でながら先輩は
「少し良い顔になったな!明日からまた頑張ろぜ!」
「はい、ありがとうございます!」
先輩の言葉と知識で僕は勇気づけられてまた明日へと
時間を進めた。

10/5/2023, 12:27:00 PM

『星座』2023.10.05


 昔から星を見ることが好きだった。故郷から見えるのは南十字星座、みずがめ座、みなみのうお座、はくちょう座も見える。宝石を散りばめたという表現がふさわしいぐらいに美しい星々が見ることができる。
 見るだけでも楽しかった。あれはなになにという星で、と勉強するのも好きだった。だから、オレは宇宙飛行士になった。
 宇宙飛行士になったのは単純に星が好きだからという理由と、地上で見ているだけだった星座を近くで見たかったから。
「子どもの頃、星座は星座の形をしていると思ってたんですよ」
 そう音楽家と同じ名前を持つ先輩宇宙飛行士に話かける。
「線で結ばれてて、わかりやすい形をしてるのだと思ってました」
「それはなかなかメルヘンだなぁ」
 彼は微笑ましそうに笑って、計器の数値をチェックしている。今は、火星への航海の真っ最中だ。他のクルーたちはすっかり眠ってしまっていて、今起きているのは自分たち二人だけだ。
「ということは、土星もサークルがあると思ってたりしたクチだな?」
「イエス。天体望遠鏡で見るまで知らなかった」
 彼はオレの言葉にそうかそうかと頷いて、すっと指を指した。
「あれは何に見える?」
 彼の指した方向には、火星とは違う赤い星と、明るい星が三つ並んでいた。
「オリオン座ですね」
「そう、オリオン座。大きく見えても火星より遠くにあるんだ。それでも星座と認識できている。なぜだかわかるかな」
「知識として知っているからですか?」
 オレがそう言うと、彼はおおげざに肩を竦めて、ハズレとでも言いたそうな顔をした。
「ロマンを忘れたら宇宙飛行士失格だよ。いいかい、なんであの星たちを星座と認識できるか。それは簡単なことだ。俺たち宇宙飛行士は生粋の星座オタクだからだ」
 得意げに彼は言って、目じりの皺を深くした。
 おそらく渾身のジョークのつもりなのだろうが、残念ながらオレは彼と同じ宇宙飛行士だ。それはそうかも、と頷くことしかできない。
 窓の外に広がる星々。あれはふたご座、あれはおうし座、あれはぎょしゃ座。
 一つひとつ指を差していき、無いはずの線を結んでそこに星座を作った。

10/5/2023, 12:26:31 PM

生まれてから分けられる、十二。
それ以外にも、いくつもあって、逸話もそれぞれで。
アニメで避難されたり、性別でからかわれたり。
そんな、身近で、でもあんまり重要視されてなくて、なのにあるあるで。

”星座”はあくまでそういう感じでいいのかもしれない。

ガチガチに決めつけられたら、逸話の意味がなくなっちゃうからね。




星座

10/5/2023, 12:23:37 PM

結局 自信を持って見つけられるのは

オリオン座だけで

2人で笑いながら帰った塾の帰り道

今は都会で頑張っている友

今度帰ってきたらまた一緒に探そう

きっとあの頃と変わらない

オリオン座をさ



~星座~

どうしてもオリオン座しか見つけられない

10/5/2023, 12:23:02 PM

俺が星座に興味がないのには理由がある。
俺も小さい頃は、星が大好きでよく望遠鏡を覗いたもんさ。
将来は星を研究する博士になるのが夢だった。

あれは七歳の頃だったか、妖怪に出会った。
出会ってしまったんだ。
その妖怪は言った。
「お前の夢、美味そうだな。食ってやる。寄越せ」
そう言ってあいつが手をかざすと、俺の胸から小さな光の玉が出たんだ。
その光の玉は、ゆっくり妖怪のほうに飛んでいって、そのまま食べてしまったんだ。
妖怪は満足したのか、そのままどっかに行っちまった。

それからはお察しの通り、星に全然興味が無くなってしまって、それっきりさ。
え、嘘だろって。
本当だよ。
というわけで、星座に興味なんてないから、俺はこのまま帰らせてもらう。
だから興味無いんだってば。
名誉?
そういうのにも興味はない。
だから、やめろ。
何回も言ってるだろ。
やめろ。
俺を星座にしようとするのをやめろ。
俺は星座になんてなりたくない。

10/5/2023, 12:21:35 PM

20231005【星座】


 星繋ぎ
 天空(そら)に描く絵空事
 88(ハチハチ)紡ぐ 神かたり


 ※ 短歌モドキ

10/5/2023, 12:17:28 PM

私は星座占いをよく見る。私の星座は魚座。今日の魚座はいいことが何も起こらない。あぁ、最悪だ。

10/5/2023, 12:16:45 PM

星座かぁ…夜空を見上げても、オリオン座ぐらいしか分からないだろうなぁ。
星占いでみると、私は獅子座だ。
昔は、星占いをよく見ていた。雑誌やネットで見ていた。
特徴的だと思うのは、良い内容は無視して、悪い内容を重視していたことだ。良いことなんて、そうそう起こらない、と思っていたからだ。期待を持つと、のちにガッカリすることになると思っていたからだ。
でもまぁ必ずそうなるわけでは無いから…と思って、見るのは止めにした。雑誌も、占いのページはとばすようになったし、ネットで検索することも無くなった。
ただ、占いを好きな人達はたくさんいると思うので、そこを悪く言う気は毛頭無い。良いことが書いてあれば嬉しいだろうし、それで前向きになれたりしたら、それはいい事だと思う。
私は最近、仕事の方面で、ちょっとした出来事があった。占いには、どんな事が書いてあったんだろう。

                   「星座」

10/5/2023, 12:15:55 PM

毎朝

なんとなく

見てしまう

星座占い。








1位だったら
ちょっと嬉しくて

最下位だったら
あーぁ
ってなる。




だからと言って

良いことも
良くないことも

起きる時は
起きるんだけど。





なのに

何で
毎朝
見ちゃうんだろう?




これから始まる

今日という1日が
 



どんな日になるのか





不安なのかな。


#星座

10/5/2023, 12:12:54 PM

星座



うわ!喧嘩してる
僕はびっくりした
帰り道、道路で殴り合ってる男2人がいたから
こんな夜遅くな上に僕はクタクタだった
割って入って仲裁する…?
でも…見てられない…

待った!!!

「誰!?」
見渡しても声の主はいない

ここだよ

「どこだよ。うわ…空から聞こえる」

君さ、喧嘩に割って入ろうとしたよね
よくないよ、絶対痛い目に合うよ

「その前に誰…?もしかして神様?」

違うよ、星座だよ

「星座!?僕に何か用でもあるの!?」

僕はね、生きてる頃に人の喧嘩に首を突っ込んじゃって
巻き添えみたいになってそのまま死んだんだ
だから、止めに来た。君は星座になりたくないだろ

「そうなんだ…でもあの人達まだ殴り合ってるよ。
誰かが止めないと…」

君は無駄に正義感が強いなあ
喧嘩に割って入ったら
破滅しか待ってないって言ってんのに

仕方ない。僕が直々にやってあげよう
星座は地上に干渉しちゃいけないけど…
まぁバレないでしょ

えいっ

どーーーーーんっ!

はるか空から巨大なハサミが隕石のように降ってきて
喧嘩してる2人の辺りをめちゃくちゃにしてしまった
もう仲裁どころじゃない

「や…やりすぎ!これ以上やると人が危ない!」

やばい。加減を間違えたかも…
もしバレたら…

あっ!ヘラさん…こんばんは…
え?うーん…何かの勘違いだと思いますよ
いやいや僕は何もしてませんよ!
えっちょっと待って!

ぼーーーーーーんっっっっ!!!

凄まじい轟音が空に響いて耳がちぎれそうになった
「うわ!うるさっ!あれ?」
空を見上げるとさっきまであった星座が一つ、
消えてるような気がした

10/5/2023, 12:12:49 PM

星を見た日はおまじないがかかるようで、悪い夢を見ないのだ。今日は雲一つない至極の天、星と星をなぞりましょ?

10/5/2023, 12:08:57 PM

彼と家族になってはどうかと。
メルルがこの世界にたった一人になることを憂い、結婚を勧めたのは祖母だった。

祖母のなかでどんな変化があったのかは分からない。
分からないけど、人生で大きな転換期を自ら迎えることに怯えた。
「おばあ様。私、怖いんです」
「何を怖がるんだいおまえ。何も怖いことなんてありゃそんよ」
「でも…」
この世界での結婚は、民間人にとっては子供ができてからという地域も多い。王族貴族の金持ちとは違うのだ。出生死亡率も高く、大人になるまでに子が無事に生きられる保証はない。
「あの男はいい男さね」
「そうですね…」
祖母の目からみても、あの人はいい男のようだ。メルルは少しほっとする。
「男はね。同じ道を行きたいと思う男を選ぶんだ」
「同じ道…」
そう。どんな困難でも助け合い、生涯の果てを目指し同じ道を歩む相棒なのさ。一人で先に行くのも別の道に行くのもダメだという。
人にはあらかじめ決まった道筋がある。
他人と道が混じり、離れ、影響し合う。誰と行くか。どう困難を対処するか。それが方法だ。
「ごらんよこの空を」
周囲の明かりが消えた深夜。
秋の星々が天を彩っている。
「おばあ様…私、星読みは…」
星占いは専門外だ。風水師とも占星術とも違う。
「予め決まった運命がある。星は何百年経っても変わらずわたしらを見ている。それをどう読み解くかは、我々占い師の役目なんじゃないかね」
「おばあ様…」
メルルは夜風に当たりながら、目を凝らして自分の星を探した。

10/5/2023, 12:08:40 PM

#星座

2人で1つ
私と貴方

「星が綺麗ですね。」

独りで2つ
私は貴方

10/5/2023, 12:07:51 PM

目にいっぱい広がるお星様。

初めて、自分の足で地面に立って、お星様を見上げることが出来た。

あの不思議な形をしているのは、こうま座。

もう天の川を渡ってしまったお兄ちゃんが、最初に教えてくれた星座だ。

お兄ちゃんの将来の夢は、天文学者なんだって。

だから、その夢を僕が引き継ぐんだ。

一瞬で消えていった流れ星に願いを唱えた。

10/5/2023, 12:03:35 PM

星座はいつか綻び崩れるのだ。

だから我々人間のようなちっぽけな営みも、糸のほつれが始まりとなって容易に壊れる。

「詩、書いた?」

背から凛とした声がして我に帰った。長い間張り詰めた水面に雫が垂れて波紋が止まらないようで、どうにも心と頭が落ち着かない。

「‥‥‥え、えぇっと‥‥す、少しは‥‥」

振り向くとクラスメイトの真っ直ぐな視線とかちあった。虚を突かれたようで思わず逃げるように目を伏せる。後ろ手で紙を裏返した。

『ずっとずっと辛くたって永遠に輝き続けないといけないのだとしたら、わたしは星になんてなりたくないよ……』

嘘をついた。紙は端がちょっぴり折れているだけで真っ白だ。

クラスメイトはそうなの、と興味を失ったように呟くとすっくと立ち上がり友人のもとへ話しかけに行った。

教科担任から課題として出されたのは『星座』についての詩。

担任から詩のテーマを聞いてから、ある日詩家の姉がぽつりと呟いた言葉が呪いのように耳に谺して離れない。

『‥‥‥いつも見てた星なのに、どうしてかいつもより遠く見えるの。なんで、かなぁ……。希望そのものだったのに、今は見放されてるみたいなの』

姉は小学生の頃から星が好きで、よく夜空を家族みんなで一緒に見ていた。

わたしも星が好きだった。

『あの何億という星は遠い昔の光なんだって。わたしたちにメッセージを残してくれたみたいだよね!』





でもある日突然父が失踪してから、姉は壊れていくように悲観的になった。

星を、見なくなった。

『星座は一つ星が無くなったら星座じゃなくなるのかな』

『家族は一人居なくなったらこんなにも綻びがでるのに』



母は過労死寸前になって入院した。

その母は明るくて可憐なロマンチストだった。

『星は願いを叶えてくれるんだって!』

『……ねぇ、願いを叶えてくれるなら返してよ!返して!いなくなったお父さんと元気なお母さんを、そうしたらわたしの大切な妹だって、いつも看病のせいで寝不足になってクマなんかできないじゃない!返してよ!返して!返して!返して……』

『星が好きだったわたしも、返してよ……』

外では気丈に振る舞う椿花のような姉も、家に帰ると静かによく泣いている。高校の頃から身を粉にして働いた手は傷が多くて、消えそうなくらい儚い笑顔は見ると心が傷む。

『お姉ちゃんはあなたの笑顔が見れるだけで幸せなの』

その言葉を思い出した瞬間、揺らいだ水面がふっと静まりかえった。そろりと鉛筆を取り心のままに詩を書く。


________いつか、いつか心が癒えたら。



わたしが絶対に連れて行く。星が綺麗に見える所へ、また星が好きになれる場所へ。









「固く手を繋いで、一緒に星を見ようね」












































































『星座』

10/5/2023, 12:01:26 PM

コツン。
私の目の前にアイスコーヒーが置かれた。
いつもは声を掛けて置いてくれるのだが、
私が外を眺めてぼーっとしていたので
きっと気を利かせてくれたらしいのだ。
私はひと言、「ありがとう。」
と、いつもの可愛い女給さんに感謝を伝え、
アイスコーヒーを一口飲んだ。
ほろ苦ーい、いつもの味。
うん、美味しい。
また外を見つめる。
今日はもう帰るかぁ。
そろそろ社の休憩時間が終わる。
いつもはもうちょいゆったり出来るのだが
最近仕事が忙しい。
サボり癖のある私も最近は出社している。
コーヒーを一気に飲み干し、会計を済ませ、
店を出る。いつもどーり、店が並んでいる。
私は社の方向へ歩く。そして暫くすると足が止まる。ん?なになに?「良く当たる!星座占い」
だと?
ふーん?
私は、自然と古本屋の外に置いてある棚の方向に
方向転換して歩く。
歩きながら、その本のサブタイトルを読む。
「この本で貴方の全てが分かります!」 
嘘臭い。
いつの間にか棚に到着して、本を手に取る。
私が本を開いて自分の星座だけ見ようとすると、
新聞をまとめる紐のようなもので、止められていて、本が開けない。
最近はこんな対策されてるのか!
周りの人の目とついでに店の中に居る店員とも目があった。。
買うか。
私はちゃんと買いますよと言うように、堂々と歩いて店の中に入って、レジ前に置く。
ピッ!と、レジに通されて、代金が表示される。
2700円!?たっか!たかが占いでしょ?!
私は泣く泣く1000円札を三枚出し、300円のお釣りを貰う。
こんなことなら、社でインスタントコーヒー飲めばよかった!もったいない!
私は占いは信じない。「見るだけ」なのだ。
幽霊は信じないが怖い話は好きみたいな感じだ
私はとぼとぼと歩いて今度こそ社に向かって歩いた。
せめてこの本は同僚と楽しみながら読むとしよう。


社に付いた。
私はさっそく、その本が詐欺なのか確かめるべく、
紐をはずし、私の星座のページを開く。
ええっと?
「貴方は正義感が、人一倍優れているでしょう。
町中で困っている人がいたら、助けられずには居られない貴方!貴方は人を優先してしまうため、自分が疎かになっていませんか?そんな時は!黄色の帽子を身に付けると良いでしょう!」
……。こんな高い星座占いを買う純粋な良い子は信じてしまうかもしれないが、誰にでも当てはまるようになってるな。
他のページも見てみるか。
ちょうどそこに居た忙しそうな同僚に星座を聞いて、その星座のページを開く。
…同じようなことが書かれている
やっぱ詐欺か。
酷いなぁ。こんな高いのにさあー!
私は手を伸ばして机にへばりつく。
そんな中忙しい筈なのに、平和な会話が聞こえてきた。
「今日って蟹座が綺麗に見えるんですってねぇ!」
「へぇ!そうなんですね!」
ふーん蟹座ねぇ。
私は蟹座だ。
タイミングが良いなぁ。
なんて考えながら、星とか見るのは好きだから
今日の夜の予定が無いか思いだしていた。
そうだ。星座なんて関係ない何月生まれだからあの星だとか、今考えたら意味不明だ。

嫌な事なんて全部忘れて、
今日の夜、綺麗な星座が見られると良いな。

お題/星座

10/5/2023, 12:00:01 PM

じゃ、これは立派な片想いだね

心の中で隣に居るあなたに向けてつぶやくよ

遊び終わって家に帰ってから

Aimerのカタオモイを聴きながら

好きだよ 分かってよ 分かってよ 分かってよ

のところだけ口ずさんでるよ

これは立派な片想いだね

10/5/2023, 11:58:54 AM

星座と朝日

古代ギリシャ人のようなセンスがあれば、今日の俺が歩いた軌道に名前を付けて、神話もセットで拵えてくれるかもしれない。少なくとも俺の目には死に損ないのショウジョウバエから取り出したヘトヘトの染色体にしか見えなかった。

酒場にしか居場所がないような男だ。
行きつけの店が急に閉店してからというものの、うまい生ビールを注いでくれる店をずっと探して回っている。今日は仕事終わりに四件回ったが惨敗だった。もう帰りが遅くなっても問題なくなってしまった。ローンだけを残して家族は去っていったからだ。
今の俺には酒場しかない。その俺がうまい酒を失ってしまったら、どこに行けばいいって言うんだ?
オリオン座は見えない。大阪の空はいつも微熱を帯びていて星なんてロクに見えない。水が飲みたいしトイレに寄りたい。空にアルコール臭いため息をひとかたまり吐いて、次の店に向かった。これで最後だ。

アサヒの生ビールは悪くないし、刺身や揚げ物もうまい。店も程よく古くて近隣の会社員が昔から通い詰めているようだ。もう五件目ともなれば腹一杯だがビール2杯と三皿を注文したところで会計を頼んだ。値段を聞くと、計算と違う。どれだけフラフラになろうと、むしろフラフラになるからこそ一品毎に計算している。もちろんお通し代の有無も最初に確認する。だが50円違う。
レジを打ったご主人に「50円多いですよ」と言ったが、五件目でフラついてる俺の顔を見てため息をついた。
「それで合ってますよ」
そしてご主人は調理場に戻ってしまった。団体客が入っているらしい。もう一度計算するが、やはり50円多い。
「やっぱり50円違いますよ!」
大きめの声でご主人に呼び掛けたが、今度は無視された。バイトの店員がすぐそばで代金のトレイを持って待っている。他の客からの視線も感じる。たかだか50円の違いくらい、払ってやった方が穏便に済むかも知れない。でもそんな手段で一歩引くなんて御免だった。美味しい酒場でそんな思いをする必要なんてないはずだ。
「君、一緒に計算してくれないか。俺も酔っぱらっててさ」
そう言ってバイトの女の子に電卓を叩いてもらった。とても嫌そうな顔をしていたが付き合ってくれた。結局50円高く請求されていたことが分かった。
バイトの女の子が調理場のご主人にそのことを伝えると、苦虫を潰したような顔をしたご主人がトレイを手に出てきて「1740円です、これでいいでしょう」と言った。俺は用意していた現金をそのままトレイに乗せた。他の常連客達の視線を感じた。口の中に残るビールの後味は苦く不快だった。

店を出て裏通りに行くと、俺はぐらぐらとふらつく視界の中で立ち小便をした。そして口蓋の奥に人差し指と中指を差し入れて嘔吐した。不快な酒や揚げ物を全て降ろしたくなったのだ。くたびれた革靴と安物のスラックスの裾に吐瀉物の飛沫が引っ付いた。すっかり吐いてしまってから損した気分になり、腹が空いたので近くのコンビニでカップ麺を買った。熱湯を注いだ器を持ち、川沿いのベンチでそれをあっという間に啜ってしまうと眠くなった。明日も仕事なのに、と思いながら重い頭を横たえるように沈みこんで眠った。
気が付くと翌朝の五時過ぎになっていた。川の向こうから朝日のてっぺんが昇ってきて、湿気を帯びた街を柔らかく照らし始めた。もう明るい星も、星座の一つも見えなくなってしまっていた。俺はその時に初めて、自分が本当に失ったもののことを思った。酒場にしか居場所がないような男になってしまった。そして酒場にさえ見捨てられたのだ。

もし現代に古代ギリシャ人の末裔がいたとしたら、煙草と吐瀉物の臭いがする俺に合った星を見つけて天に上げてくれ。そして市営のプラネタリウムで俺の神話を粛々と語り継いでほしい。俺という汚い酔っぱらいの末路にふさわしい英雄譚を。
朝日はしずしずと空に昇り、街は静かに目覚めていく。俺はベンチで寝転がったまま赤星の大瓶のことを考えていた。

10/5/2023, 11:58:28 AM

お題 星座

都合のいい時だけ会いたいと言ってきて

流されるまま流されて一日が終わる

あなたにとって都合のいい女なのに

早く縁を切らなきゃいけないのに

可笑しいわ私そんなあなたに恋してる

10/5/2023, 11:55:18 AM

星には、あまり興味が無かった。

別に特別綺麗だとも思わなかった。

...けれど、星のように目を輝かせながら

夜空を眺めながめるあいつの横顔は--

---何よりも、美しいと思ったんだ。

#星座
79作目

Next