『星座』
ススキが揺れる夜の田んぼ道を歩きながら
空を見つめていた。
秋口だと言うのにまだ暑さが残っている。
「今年は本当に暑いよな」
先輩が手で仰ぎながら僕に話しかけてきた。
「本当に今年はずっと暑いですよね」
そこで会話は終わってしまった。
僕は自分のコミュニケーション能力の無さに
表情を暗くした。
それを先輩は見過ごさなかったようで
「知ってるか?あっちの方角見てみろ」
と空の方を指さした。
「ペガスス座とケフェウス座の間にうっすらとギザギザの星たちがあるだろ?」
「そうですね…目をこらすと見えますね」
「あれ、とかげ座って言うんだってさ。どんなに薄くても星と星で集まれば88星座として名前残せるんだ。凄いよな」
僕はとかげ座から目が離せずに返事をするのを忘れていた。
そんな僕の頭を雑に大きな手で撫でながら先輩は
「少し良い顔になったな!明日からまた頑張ろぜ!」
「はい、ありがとうございます!」
先輩の言葉と知識で僕は勇気づけられてまた明日へと
時間を進めた。
10/5/2023, 12:32:32 PM