『手ぶくろ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
手ぶくろ
お父さんの黒い手ぶくろを、
こっそりはめてみる。
大きい。
指が余ってるし、手のひらだってぶかぶかで、
全然合わない。
やっぱりお父さんの手は大きいんだ。
合わないことが嬉しかった、小さいわたし。
#132
そういえばいつかのクリスマスプレゼントで手袋貰ったな
今年の正月はあったかいからいらんかな。
「某値段以上だか異常だかの家具屋と……今は某無印なブランドにも、どこでも結構『着る毛布』って普及してきたじゃん」
手ぶくろ。手袋か。某所在住物書きは一度、ため息を小さく吐いてスマホの通知文を見た。
「その生地で、『着る毛布』の手ぶくろ版とかインナーコート版とか、あったら需要あると思うんだ」
今年は暖冬とのことだが、それでも何でも、冬の手足は冷えやすい。
某〼ウォーム級の保温性を持つ手ぶくろは、どこかに需要があるのでは。それが物書きの持論であった。
「理由?」
ぽつり。物書きがひざ掛けのズレを直しながら言う。
「だって寒いもん」
――――――
例年より、比較的、ある程度、そこそこ微妙に暖かいらしい年末の昨今、いかがお過ごしでしょうか。
「手ぶくろ」がお題ということで、都内の稲荷神社に住む子狐と、手ぶくろの童話にまつわるこんなおはなしを、ご用意しました。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、そのうち末っ子の子狐は、まだまだホントの、ガキんちょ子狐。
いっちょまえの化け狐、善良な御狐となるべく、不思議なお餅を作って売って、人間の世を学んでいる真っ最中です。
そんなコンコン子狐は、お花や、お星さま、キラキラしたものにフワフワあったかいものが大好き。
人間の世界でそういうキラキラフワフワしたものを見つけては、しっかりお耳と尻尾を隠して、ばっちり人間の姿に化けて、餅売りで貯めたお駄賃握りしめ、これください、と集めておったのでした。
あるいはマナー悪い人間が神社に捨てていくのを、ちょいと失敬しておったのでした。
そんなガキんちょなコンコン子狐、お家の本棚の蔵書で、気になっている絵本がありました。
狐童話の傑作のひとつ、『手袋を買いに』です。
雪積もった森に住む子狐が、夜の町にやってきて、人間からあったかい手袋を買うおはなしです。
「手袋、手ぶくろ、ほしいなぁ」
子狐コンコン、自分の小ちゃい小ちゃい前足をまじまじ見つめて、ポツリ言いました。
子狐は都内から出たことが一度もありません。
深い深い積雪も、しもやけの冷たさや痛さも、あんまりよく知らないのです。
「きっと、フワフワで、あったかいんだろうな」
でも子狐、絵本の中の子狐の、町で買い求めた温かい手ぶくろが、羨ましくて羨ましくてたまりません。
「まねっこしたら、売ってくれるかな」
幸福な嫉妬、善良な羨望が積もりに積もって、とうとう我慢が限界突破の完凸な子狐。
いつもお餅を買ってくれるお得意様な人間に、「『手袋を買いに』ごっこ」を敢行しようと、
トテトテ、ちてちて。移動を開始しました。
小ちゃい子供って、「自分は◯◯だ!」と思ってごっこ遊びの世界に入り込むこと、ありますよね。
この子狐も結局はガキんちょ。いっちょまえの子供だったのです。
――で、困ったのがこのコンコン子狐に、「手袋を売ってくれる人間」の役を勝手に割り振られてしまった人間です。
「……こぎつね?」
ピンポンピンポン。
コンコン子狐の稲荷神社の近く、某アパートの一室の、インターホンが鳴りました。
「何がしたい?何を私に期待している?」
モニターを見ると、いつもの、例の不思議な餅売り子狐が、ちょこん、カメラの前におりましたので、
ドアを開けてやりますと、
何故かそのドアの後ろに、ピョイッ!すっかり隠れてしまって、
小ちゃな小ちゃな右手だけ、すなわち子狐の肉球かわいらしい右前足だけ、部屋の主に見せるのです。
「このお手々に、」
コンコン子狐、絵本で覚えたセリフを言います。
「ちょうどいい手袋ください!」
部屋の主、ここでやっと、ピンときました。
アレだ。自分が小学生の頃、たしか国語の教科書に掲載されていた。『手ぶくろを買いに』だ。
何故手袋を売る帽子屋役をやらされているのだろう。
チラリ。ドアの向こうの、隠れているつもりな子狐を、部屋の主が確認します。
いつも不思議なお餅を売りにくる不思議な子狐は、それはそれは幸せにお耳をペッタンして、尻尾をブンブン振り回しておるのでした――
「子狐。非常に申し訳ないが私に手芸スキルは無い」
「おかね、有ります」
「……ペットショップの子犬用既製品は許容範囲か」
「やだ」
自分の手袋で「サイズピッタリだ!」と思ったものは、30年生きてきてただ一回だけだ。
スキーグローブのインナーとして買った、SSSサイズの手袋。
私の指でも余らない、たった一双の手袋だ。
好きな人が寒いね手が冷たい触ってみてって聞いてきたから触った私はびっくりしたけどすぐに手を触った。そしてすぐに離して手袋を貸した…
小学校の低学年かな、その頃の話。
教室に入ると普段会話したこともない子が急に話しかけてきて
「てぶくろを逆さまから言って」
と言われたので仕方なく「ろくぶて」と答えると
ゲラゲラ笑って、いきなり肩を6回バシバシ叩いてきた。
「6ぶてっていったじゃーん」
その後も教室に入ってくる子みんなに同じことをしてた。
今になって、強心臓とはああいう子のことを言うんだなと思った。
褒め言葉かどうかは知らんが。
(手ぶくろ)
《手ぶくろ》
決闘——当事者双方の合意の下、予め定めた規則に従い行われる闘争。
そして、左手の手ぶくろを投げ付けたらそれは、決闘の申し込みだ。
「……なんの真似だ、これは」
肩に当たり地面に落ちた手ぶくろを見て、レオンハルトは困惑の声を漏らした。
「あら、この行為の意味もご存知ないのかしら?」
「わかっているからこそ、聞いているんだ」
飛んで来た方に視線を向けると、フィーネがいた。
彼女はこの王国中の貴族達が通う王立学園で、入学時からトップの成績を維持している公爵令嬢だ。
対するレオンハルトは、身分こそ王族と最高権力を誇るが、一年間二位の座に留まり続けていた。
「でしたらどうぞ、拾って下さる?」
「それでは貴女の決闘の申し込みを受けることになってしまうのだが」
「ええ、そうですわ。受けろと言っているの」
「何故そんなことを?」
フィーネが学年一の才女であることくらい、誰でも知っている。わざわざ決闘で勝敗を示す必要はあるのだろうか。
そう思い口にした言葉に、
「殿下が私に勝ちを譲っているのではないか、と噂されることはご存知でしょう?」
「いや、そんなことは……」
「ない、と殿下が言ったところで噂は消えません。それだけではなく、私が殿下に色目を使っているから殿下は私に甘い……という下衆な噂も広まっている様で」
なるほど、道理で最近よく視線を集める訳だ。
レオンハルトは王族だからと注目されることが多々あったし、フィーネも才色兼備の公爵令嬢とあって注目されることが多かった。
それ故に、その二人の関係性を勘繰る者がいると。
「状況はわかった。つまり、決闘の結果を新たな噂の火種として、過去の噂を打ち消すのか」
「そういうことです。十分な話題でしょう?」
「十分過ぎるほどにな」
噂を打ち消す為に、もっと食いつき易い餌を与えてやるのは有効だろう。
今立っている噂がレオンハルトを貶めるだけならば問題ないが、フィーネまでも印象を悪くされている。
己の努力の賜物に対し、不正を疑われ続けるのも業腹だろう。
少し考えてレオンハルトは、足元に落ちた手ぶくろを拾った。
「……仕方ない。名誉の為だ、受ける他ないだろう」
「ふふ。決闘を受け入れて下さったこと、感謝致します、殿下」
丁寧にお辞儀をして、フィーネは微笑んだ。
「ただし、条件がある」
「なんでしょう?」
フィーネに向かって指を三本立てる。
「一つは、周囲に誰もいない場所で行うこと。他者の目線があるとやりにくいからだ。二つは、フィーネ嬢の勝利を宣言すること。そして三つは、決闘の内容を他者に漏らさないこと。四つは、規則は全てフィーネ嬢が決めることだ」
「……そのくらいなら構いませんわ」
不思議そうに承諾したフィーネは思案して、
「でしたら規則は、制服着用の上、剣と魔法の双方を用いて戦うこと。全力を出すこと。そして、相手の首に剣を沿わせた場合のみ勝利とすること」
「待て、最後だけは呑めない。それでは多少の怪我を厭わないということだろう。学園内で認められているのは、服だけでも攻撃が通れば勝利とする決闘だけだ」
「ええ、ですからこれは学園内で行いませんわ」
「ならどこで……まさか、公爵家でするのか」
公爵家ならば場所には困らないだろう。
「察しが良くて助かりますわ。そのまさか、です。……どの時間帯であろうと学園内で私達二人が一緒に行動していれば目立ちます。第三者の目無しに行うのは殆ど不可能でしょうから」
「そう、だな。……日時は?」
「明日の午後、お待ちしております」
頭を下げたまま顔を上げないということは、話は終わったのだろう。
「期待はするなよ」と言い捨てて、レオンハルトはその場を去った。
そして迎えた翌日。
レオンハルトは馬車を使わず用事があるとだけ伝えて、従者一人を伴って公爵家に向かった。
当然、後方には護衛が付いているのだろうが気にしない。いつものことである。
「本日は当家にお越し下さり、誠にありがとうございます。ご不満かとは存じますが、従者の方には応接室でお待ち頂いてもよろしいでしょうか?」
フィーネに迎えられるとは思っていなかったが、レオンハルトは表情を変えず、
「話は付けてある。……案ずるな。護衛の奴らと応接室で待て」
「……はっ」
昨日レオンハルトが命令を下しておいて正解だったのか、従者らは特に不満を言うこともなく主に一礼し、公爵家のメイドに連れられて去った。
そこで漸くレオンハルトは表情を崩し、口元に笑みを浮かべる。
「さて、準備はできているのか? フィーネ嬢」
「もちろんです。殿下をお待ちしておりましたから」
「……なあ、その敬語を辞めないか? 同学年だろう」
「ですが殿下は王族です。敬語を外すと、侮辱しているも同然では? 学園を出ているのですから、今ここには王子殿下と公爵令嬢という肩書きしかありませんし」
「なら俺が貴女に勝ったら、敬語を外してくれ」
「随分安い頼みですわね……着きましたわ」
話しながら歩いている内に、広い庭に着いた。
花壇に囲まれ美しく、しかし訓練場なのか木の的などが立てられている。丁度、玄関の裏に当たる位置だろうか。ここなら誰にも見られないだろう。
互いに言葉を交わすこともなく庭の真ん中で向き合い、三歩下がって構える。
「攻撃するのはフィーネ嬢からでいい。好きに来い」
「ではお言葉に甘えて、失礼します」
優雅に笑んだかと思うと、瞬き一つの間にその剣先が眼前に迫っていた。
扱っている得物は両者共にレイピア。刺突による攻撃を主とする剣だ。
それこそ、刺されば致命傷を負う武器だが、この程度で当たっていれば話にならない。
左に跳んで躱し、牽制の意味で剣を横に振る。
当然致命傷とは行かなくとも当たれば痛い為、フィーネは後退し体勢を整えた。
「距離を取るだなんて、随分消極的ですこと」
「いやいや、最初から目を狙ってきたフィーネ嬢には驚きだ。積極的過ぎないか……?」
「避けられるとわかってですわ。万が一当たりそうなら直前で止めるつもりでしたから、ご安心を」
互いに会話をできる余裕があるのだから、まだ本気ではないのだろう。
だが、悪戯に長引かせるのも良くない。
「悪いが規則に則り、全力で行かせてもらうぞ」
「当然でしょう? ——火よ、万物の祖たる力を示せ」
詠唱に従い魔力が属性を得て現界し、弧を描く。
地面を深く抉る威力を持ったそれがレオンハルトに放たれた。
「水よ、命の源として厳かに在れ」
剣ではなく魔法戦かと、慌てることなく対抗属性で相殺すると大量の水蒸気が生まれた。
火で一瞬にして蒸発したのだ、触れると火傷する温度だろう。当然避けるしかない。
「——嘘だろ、馬鹿なのか」
次の瞬間、レオンハルトは絶句した。
水蒸気の中を切り裂く様に、フィーネが突きを放って来たのだ。
ある程度は剣風で捌けたのか顔などは無事だが、身体中小さな火傷ができている。それをものともしないで構えるフィーネに賞賛と、呆れを抱いた。
「はあぁぁっ!!」
気合い一閃。
気がついた時には首を剣先が掠め、浅く斬れる——
「お転婆が過ぎるだろ、この公爵令嬢」
ことはなく、レオンハルトは後方に退避し、詠唱。
「風よ、巡りて調べを掻き回せ」
風が水蒸気を吹き飛ばし、強く地面を蹴ったか宙にいるフィーネをも吹き飛ばす。
本来ならここで相手の足でも斬っておくところだが、殺傷目的ではない為それはしない。
だが、ここで畳み掛ける。
風魔法で強制的に後方に飛ばされたフィーネを追う様に駆け、体勢を立て直している所に、更に詠唱。
「水よ風よ、其は命を知りて巡りを持つ。果ての始まりを知れ!」
風によって舞う水滴で簡単な壁に近いものを造ることでフィーネの視界が狭められ、満足に狙いを定められない様にする。
半円を描く様に造られたそれは、フィーネの視界を狭めるものであると同時に、レオンハルトの攻撃がどこから来るのか、予測を簡単にするものだった。
フィーネは水の壁のない方に剣を向け、気配を感じ振り返る。
「——お返しだ。これで俺の勝ちだよな」
そのフィーネの背後から、レオンハルトは首に剣を沿わせていた。少しでも横にずらせば、彼女の華奢な首から血が零れるだろう。
観念したのか、フィーネは剣を下ろす。
それを見てレオンハルトも剣を収めると、驚愕の表情をしたフィーネが問うた。
「……どうして、貴方がそこにいるのですか」
たしかに気配はそこにあったのに、と。
「単純に、一瞬でフィーネ嬢の後ろに回っただけだ」
「……殿下は、随分と速いのですね」
「それはどうも。それで? 俺の勝ちでいいんだよな」
「文句なしで、私の負けです。いつも手を抜いていたのかしら」
剣を収めレオンハルトを睨むが、それには答えずフィーネに唱えた。
「水よ、命の源なればまた、原初に戻りしこと叶わん」
治癒魔法だ。先程の無茶な攻撃による火傷が癒え、フィーネは痛みと熱が引いたのを感じた。
「……感謝致します。ありがとうございます」
「俺がやらなくとも自分で治しただろうが、原因は俺にあるからな。せめて俺に治させてくれ」
気にする必要はないのに、と呟くフィーネにレオンハルトは勝者として告げる。
「この決闘は俺の勝ちだが、先の条件通り『フィーネ嬢の勝利』を周知させてもらう」
「えっ? それは私が勝った場合の話で……」
「俺はそんなこと一言も言っていない。勝手に貴女がそう解釈しただけだろう?」
言われてみれば、そうである。
レオンハルトは最初からこの決闘をフィーネの勝利で終わらせるつもりだったのだ。
「……もし差し支えがなければ教えてくれるかしら。どうして殿下は私に勝たない様にしているの?」
「俺に兄がいるのは周知の事実だ。そして、俺の母親が王妃で兄上の母親は側妃であることも」
聡い彼女のことだ、これで理解しただろう。
「……血筋だけでなく、実力も殿下に備わっているとなれば次期国王を決める際の火種となるからですね」
「そうだ。だから俺は、公爵令嬢に勝てない万年二位の王子でいる必要がある。わかってくれるな」
「……わかりました。この決闘の真相は、私の胸の内に秘めておきます」
「……全力で決闘を受けたのは嘘ではない」
「わかっています。人払いをしたのもそれが理由だったのでしょう? ですから、お気になさらず」
優しいな、と思うレオンハルトはフィーネの手を取って歩き出す。
「ところで、敬語を外してくれる約束はどこに行ったのだ? フィーネ嬢」
「あっ……そうでし——そうだったわね」
「忘れないでくれよ? フィーネ嬢」
「今後、公共の場でなければ幾らでも敬語を外してあげるわよ。それと『フィーネ嬢』は止めて頂戴。呼び捨てでいいわ」
「わかった。なら俺も名前で呼んでくれ、フィーネ」
「どういう神経なのかしら? 王族を名前で呼ぶのと殿下が私の名前を呼ぶのとでは違うわよ!」
「フィーネ、駄目なのか?」
「……駄目とは言ってないでしょう。……わかったから少し待って。レ、レオンハルト……殿下」
「殿下は敬称だろ」
「レオンハルト……様」
「様も敬称だろ」
「うるさいわね! 人がせっかく……!」
「悪い悪い……ま、名前呼びで頑張ってくれー」
揶揄う様に笑って、レオンハルトはフィーネの耳元で囁く。
「フィーネ、ありがとうな」
王族として頭を下げることはないが、感謝を告げることはできるのだ。
決闘から始まった彼らの秘密は、明かされることはなかった。
〚手ぶくろ〛
「あ、あった。」
公園に落とした手ぶくろをやっと見つけ、安堵の息を漏らす
拾い上げると中からリスがひょっこりと顔を出したため、びっくりして手ぶくろごと落っことしそうになった
リスはガタガタと震えていて寒そうだ
私は少し考えたあと、リスに手ぶくろをあげることに決めた
そっと手ぶくろを置き、公園をあとにした
また新しい手ぶくろをおばあちゃんに編んでもらおう
京也は僕の恋人だ。
その日は雪が降っていて彼は手ぶくろをつけていた
高校生になってから学校が違うため合う日が少なかったため久しぶりのデートだった
時間はあっという間に過ぎて行き現在20時
帰らなくてはならない時刻になった。
でも僕は彼を引き止めた。
だって月に1、2回しか会えないのだ。
元々遠距離恋愛が苦手だった。
あと10分でも5分でもいいもう少し一緒にいたかった
それを言えずむしゅっとした顔で不貞腐れていると
彼は自分の片方の手ぶくろを渡してきた。
〝明日放課後俺んとこにこれ返してきて!
だから今日はこれでがまん。明日いっぱいイチャイチャ
しよ、ね! 〟
そう言って彼は僕を駅のホームまで連れて行き、
軽く接吻をして寒い風を吹かせ到着した東武線に乗っていった。ドアの閉まり際に彼がまたなと小声で言っていた
そのことに少し嬉しさを感じ自分の家へ帰った。
それが彼との最後の会話になった
夜21時母が慌てて部屋に入ってきた
京也が飲酒運転中の車に轢かれた、って
頭部を強く打ってもう起き上がらないってさ
その2日後に京也は息を引き取った。
恋人が死んだ。
この人との将来まで考えていた
もういない
何処にもいない
でも僕は大丈夫
この手ぶくろがあるから
ね、京也
ずっといっしょだよ
#1 【 手ぶくろ 】
あとがき
↓
初投稿こんなのでいいのか心配です😓
楽しんで頂けたら幸いです
次の投稿は明日か明後日に
ここまで見て下さり
有難う御座いました。
ひぐま ʕ •ᴥ•ʔ
道端に手袋が片方落ちている。
――なんでこんなところに?
ふと、考えてみる。
母に抱っこされた子供。嵌めていた手袋をもう片方の手で引っ張って脱いでしまう。
それを握ったまま手を振り上げたりしていたが、ふと手から取り落としてしまう。
母は気付かない。
そうして、手袋は道端に置き去りにされたまま。帰ってこない持ち主をここで待っているのだ。
――いや、絶対違うな。
だって、どう見てもこれは大人の男のサイズの手袋だ。
ならば、こういうことがあったとか?
年末。忘年会シーズン。
酔っ払った男は、持っていた鞄もちゃんと閉じず、そこから持ち歩いてた片方の手袋が落ちたことにも気付かず。
かわいそうに。手袋はそのまま気付かれずに置いていかれてしまった。
――めちゃくちゃありそう。むしろそれだろう。
でもそれじゃあロマンがない。
せっかくなので、もっとロマンチックな出来事を考えてみる。
年の瀬。カップルが北風吹きすさぶ道を歩く。
彼女の冷えた手を、彼がそっと自分のコートのポケットに招き入れた。
元々付けていた邪魔な手袋は反対側のポケットへ。
そのポケットから零れ落ち、道端に残していったことにも気付かない。彼には彼女しか見えていない。
手袋はそんな二人の後ろ姿を静かに見送った。
――よし、これだ。これでいこう。
これでいこうって何だ。全ては単なる想像だ。
真実は落ちているその手袋しか知らない。
『手ぶくろ』
【手ぶくろ】
貴人の所有物に触れる際には、必ず手ぶくろをつけなさい。下賤な者の肌が触れるなど決して許されることではありません。物心ついた頃から、常に厳しく言い聞かされてきた。それなのに。
「そんなもの要らないよ。良いから早くはずして」
僕の手を覆う手ぶくろを不愉快そうに見下ろして、この世で陛下の次に貴い主人は吐き捨てた。戸惑っていれば無理やりに腕を取られる。やめてください、汚れてしまいます。そう震える声で述べれば、その方は嘲るように口角を持ち上げた。
「汚れる? どうして? 君も私も同じ人間だ」
ずっと身につけていた手ぶくろがあっさりとはずされる。美しい指で、その方は僕の手を握りしめた。
「ほら、綺麗な肌だ」
そう告げたその方の柔らかな微笑みを、初めて触れた人の手の温度の優しさを、きっと僕は永遠に忘れないだろう。
『手ぶくろ』
同じクラスに好きな子がいて、彼は毎朝自転車で登校してくる。近頃めっきり寒くなったので装備がダウンジャケットとマフラーと軍手になった。
「軍手、寒くない?」
「めっちゃくちゃ寒い」
「なんで手ぶくろ買わないの」
「彼女がさぁ、手ぶくろ編んでるんだって」
だから買わないんだと彼は緩んだ顔で言った。編み物なんてめっちゃくちゃ時間のかかる作業をなぜ今になってやっているのだろう。ばかじゃないのか。と、言いかけたのを飲み込んでそれは楽しみだねなんて思ってもないことを言った次の週、とても落ち込んだ様子で彼が登校してきた。彼女に振られたとのことだった。
「ご愁傷さまです」
「めっちゃくちゃヘコむわ……」
冷たい空気に鼻先や耳を赤くさせながら軍手を外す彼。
「手ぶくろ、買ってあげようか」
「え、なんで」
「おまえのこと好きだから」
「えっ。……えっ?」
自分の顔が熱い。傍から見れば彼と同じぐらい顔が赤いのかもしれない。
手袋。今年は室内用に手袋を買ったけどあまり出番はなかったな。まぁ来年も使えるからいいけど。
今年は冬に備えて色々買ったけど全体的に見ると買ってよかったと思える物が多い。スノーブーツは出番なかったけどこれも来年以降の備えだからいい。
だけど電気あんかは買わなきゃよかったな。まさか電源スイッチがないとは思わなかった。スイッチがあれば使ってたと思うけど毎回コンセントを抜くのはだるすぎ。
唯一の救いはそこまで高い物ではなかったということか。でも正に安物買いの銭失いになっちゃったな電気あんかは。
手袋とスマホ、どっちを取るのよ!?
仕事が私かの話じゃないが、冬場はその葛藤に苛まれることがままある。
対応手袋もあるのだが、常日頃スマホを打つデジタルネイティブ世代にとっては物足りないのだ。
なので手はよく冷えるし、カバンの中の手袋の出番がない時が多い。
少し寂しい。
手ぶくろを買おうと思っていても
結局買わない手ぶくろ
君と手を繋いでいたら温かいから
手ぶくろいらないね
洗濯した後、寒空の下で凍ってしまった手袋に仕方なく手を突っ込む。
早朝4時30分。
クリスマスにプレゼントでもらった手袋
派手じゃないけど、とてもおしゃれな柄。
嬉しくて登下校の時につけた。
「使ってくれてるんだね、嬉しいな」
「うん、嬉しくて、、宝物だよ」
「来年はもっといいものあげるから、」
来年も一緒にいてください
手ぶくろ
「ハァ~」と熱い吐息を掛けて
赤く 霜焼けになった手を温める。
まだかなぁ まだかなぁ 手を擦り合わせて じっと待つ
途端にひょいと 手の中に温かい
甘酒が渡される。
「待った ごめんね!」
彼氏がにこにこと私の前に来る。
「ううん 大丈夫!」
私は、笑って 手の中の甘酒で両手を
暖める。
彼氏も笑って 同じように 両手に
甘酒を持って 手を暖める。
お互い 甘酒で暖まった手の片方を繋ぎ
自分達の体温でお互いの手を包む
もう片方の手にそれぞれ甘酒を持って
家路を急ぐ
外出先で それぞれ手ぶくろを
嵌めて来なかった。
間抜けなカップルの暖の取り方....
子狐はもう子狐ではなくなったのであの日買った手ぶくろをそっとそっと引き出しの奥にしまいました。ほつれや空いた穴を、母狐もしくは自分でずっとずっと繕ってきましたが、子狐はもう子狐ではなくなったので、大きくなってしまったので、その手にはもっともっと大きな手ぶくろが必要になったのです。子狐はあの日買った手ぶくろが大好きでした。日を追うごとに自分の手に入れたその手ぶくろがどれほどの宝か知っていきました。でももう手ぶくろはその手に見合いません。母狐はもういません。あのお店の場所ももうわかりません。大きな手ぶくろが必要なのに、冬が来ます。どうする?どうする?子狐は困っています。この手の冷たさと、どうやって生きていく?
一目惚れってどうしてしてしまうんだろう
もう苦しいし辛いししんどいです
また会わせて下さい。