『手ぶくろ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
手ぶくろ
手ぶくろ越しに繋ぐ手と手。
君の顔は寒さなのか照れなのか、わからない赤さで。
それでも、手ぶくろをしていても伝わる君の温もり。
それが、いつもよりあたたかいことが嬉しくて。
このままずっと、歩いていたいと思うほどに。
仕事納めの日。
いつも通り、定時で仕事を終えて帰宅する途中……それはいた。
「あ、やっぱり定時だった!お疲れ様!」
女子高生のストーカーだ。何度追い払っても撒いてもめげずに来る根性だけはあると認めるが、だからと言って交際する気には到底なれない。
こんな雪の降る日にまで待ち伏せてるとは思わず油断した。
「頭がおかしいようだな、君は。どれだけこの雪の中で傘も差さずに待っていた?」
頭や肩には雪が積もり始めている。そして彼女は何を考えてるのか、俺の話をにやにやしながら聞いている。やはり警察に相談すべきか……
「心配してもらっちゃった……嬉しい」
胸はときめかない。悪寒ならする。顔を赤くして喜ぶ姿は恋する乙女なのだろうか。理解不能の生物にしか見えない。
赤い、顔──?
よく見ると、赤面しているのではなく、寒すぎて赤くなっているような。彼女は手ぶくろもしておらず、両手を擦り合わせて寒さを凌いでいるようだった。
急に、自分のせいで彼女が体調不良になったらどうするのか……そんなことが頭をよぎる。
突き放して警察に相談すればこんなことにはならなかったのではないか?ここまで彼女を自由にさせていた責任があるのではないか?
思考が落ちていく。
そして、考えとは裏腹に俺は最悪な行動に出てしまう。
「貸してやる」
ストーカーに手ぶくろを渡した。
「え?」
「どうせまた待ち伏せるんだろう?その時に返せ」
「でも……」
「いいから」
「今日が仕事納めでしょ?返すの来年になっちゃう……。また来年、会ってくれるの?」
「あ」
そうだ、忘れていた。今日で年内の仕事は終わりだった。何故彼女が仕事納めの日を知っているかは知らないが、また会うとなると一週間後くらいになってしまう。
「ありがとう!大切に使うね!」
「待て、今のはその」
「マフラーも貸してくれる?」
「断る!」
とんでもないことをしてしまったと思ってももう遅い。彼女は満面の笑みで手ぶくろをはめて走り出した。
「またね!大好きー!」
来年もまたストーカーされることが決定した瞬間だった──
【手ぶくろ】
冬になり、そろそろ手ぶくろをつけようとなった。しかし、去年の手ぶくろでは小さくきゅうくつだ。そこで今の私の手に合う手ぶくろを買いに行った。
『手ぶくろ』
こんばんは、今日は満月。
12月の満月はコールドムーンと言われている。
いかにも冷たそうな名前。
手ぶくろしてれば触れるかしら……なんちゃって。
「あれえ?手袋なんてしてどうしたの」
ポッケに突っ込んでおいた紙を取り出し、彼女の目の前に突きつける。
「……〖手袋〗?」
「お題。〖手袋〗だったから、久しぶりに付けてみたんだ」
自分の手には真っ赤な手袋が着けられている。
少し前(本当はかなり前だったかも)に彼女に貰ったものだ。
手の甲を掻きむしる癖があったものだから、心配した彼女がプレゼントしてくれた大事なもの。
「これ、ほんとありがとね。おかげで私の手の甲はツヤツヤお肌でいられてるよ」
「どういたしまして」
飽きたー!!!
リアルで手袋くれた友に感謝だー!!!!
俺の手の甲は守られてるぞー!!!!!
今年一の寒波がきた。
吐く息はとても白く、指先が赤くなっている。
雪はあまり降っていないが風が強くとても冷たい。
手が震えて止まらない。僕の持っている手袋はもう何年も使っていて生地が薄く、ところどころ穴が開いている。これを見るとどうしても思い出してしまう。もうそばにいない祖母を。とても温かい手で僕の手を包んでくれた。その温もりがまだ手袋に残っているのだろうか。自然と手の震えは止まり、心が温まっていく気がした。
サンタが手袋をしているのは、
きっと指紋を残さないためだ。
煙突から侵入するのも、
普段から民家の屋根を見ている人は少ないため、
目撃されにくいからだ。
最近は玄関にカメラを設置する家が多く、
玄関から侵入しようとすれば怪しまれる。
しかし煙突ならばどうだ?
煙突にカメラはないと言ってもいい。
怪しまれる事なく侵入出来るのではないか?
サンタは夜に現れる。
その理由は彼の服にあるのだ。
あの赤い服。
赤色はプルキニエ現象によって、
暗い所では黒ずんで見えるという。
つまり、闇夜に紛れるための迷彩服なのだ。
ヒゲや帽子も、多分顔を隠すためのものだろう。
そう考えると、
サンタは身バレ防止が徹底していて凄い!
久しく手袋を着けていない。最後に着けたのは、子供の頃の小さな手袋だった気がする。
手袋をしなければ寒いが、暖を取るのは手をポケットに入れるだけで事足りてしまう。あの頃の手袋は、もう入らなくなってしまった。
やはり、冬は寒い。雪も降っている。
井田川は旅立つ準備をしていた。
旅立つ理由は『彼女の田舎町へ』。
彼女の名前は木田彩香。
木田はその町の〇〇新聞社に勤めている。
彼女が行方不明になったのは、3ヶ月前。
彼女は新聞社にはお昼までには目撃されていた。いなくなったのは、その後。
井田川はうつらうつらしていた。
電車のガタンゴトンが眠けを誘わせた。
手ぶくろを外し井田川は外を見た。
外は暗くなっている。
2、3時間かかるとか言ってたな。と井田川は思い出していた。
井田川は昔の事を考えていた。
高校の頃、木田彩香は同じクラスだった。
同じクラスだが、まあ、ちょっと話す程度。可愛いなと思っていたが、付き合いはしなかった。
しかし、大学が同じで、だんだん話しも合いそれで・・・。
彼女は新聞記者になると言っていた。
夢はかなったが、田舎の新聞社とは。
まあ、都会化し出している事にはいいんだが。
電車が駅で止まる。
そこには誰も降りない。そうとう古い駅だ。他に3、4人いるが、誰も。
井田川は駅を出、夜道を暗闇に入って行くように歩いて行く。
暗闇はやはり怖い。何かがいるような・・・。ちょっと不安感が増す。
明かりが見えた時、安心し、もうちょっとだ。
だが、安心はいきなり恐怖えと移行した。
何かが倒れている。人だ。人が倒れて、ん?何だか白い物が、白骨化?
井田川は、ブルブル震えながら警察に電話をした。
昨日見つけた白骨化した遺体は、警察の調べによると、女性である事が分かったらしい。
井田川も事情聴取で大変だった。
「ふうっ」とため息を出す。
ちょっとしたホテルの部屋である。
今日の嬉しかったこと
悲しかったこと
もったいないけど
全部ばれないよう
手ぶくろに隠して
冬空を歩く
『手ぶくろ』
手ぶくろ
塾に行く時は寒いからいつもつけている手ぶくろ
でもあなたに会う時は絶対につけない
なぜなら
あなたと手を繋いで
冷たいね
繋いでたら暖かいよ
なんて話をしたいから
走馬灯のように、過去の記憶が蘇る。
学校帰りの土手。嫌いな先輩への愚痴。
転校していった友達の笑顔や、雨上がりの校庭。
昔、家で飼っていた猫がすり寄ってくる。
この子は、家の前の道で車に轢かれて死んだ。
夕暮れの田んぼ道。怪しげな風貌の男達に囲まれる。
「お金持ってる?」みぞおちに激しい痛み。
怒鳴りながら箒を振り回す母の姿。
あの時のヒーローはエプロンを付けてた。
降りしきる雨の中、道端に落ちてたミトンの手ぶくろ。
失くした子は、凍えそうな指先で捨て猫を抱き上げる。
この子は、家の前の道で車に轢かれて死んだ。
そして道端には、雨に濡れたミトンの手ぶくろ。
あれ、これはもしかして、ホントの走馬灯?
指先が冷たくて、感覚が失せてゆく。
私のミトンの手ぶくろはどこ…?
手ぶくろ
だらしがない私が一番無くす防寒グッズ
片方の靴下と同じくらい片方の手ぶくろが転がってる
ごめんなさい手ぶくろ
手ぶくろ
あの時の君のぬくもりを残しておきたいから。
「もう今年も終わりだね。ほんと一年早かった。」
この時期になると毎年と言っても過言ではないくらいにこの言葉を聞いているだろう。
教室に入るやいなクラスメイト達が盛り上がっていた。
皆朝から元気ですごいな。なんて感心しながら窓際の一番後ろの自分の席に座った。
「最近ほんと寒くて朝布団から出られないよ」
「わかる。朝の自転車も絶対手袋つけるもん」
「私も私も」
ふと校庭を覗くと一年生らしき女の子達三人組が盛り上がっていた。
「手ぶくろ」と聞くと私は去年の冬を思い出す。
君と出会ったのはあの坂道だった。
高校二年の秋、いつもと変わらず家を出て学校に向かって坂道を歩き始める。
すると突然後ろから『あの!』と声をかけられた。これが彼との出会いだった。隣町の制服を着た彼はどうやら一年の頃、私に一目惚れしたらしく話してみたいと声をかけてきたのだった。
それからというもの毎朝坂道からお互いの学校の分かれ道まで一緒に登校するようになっていた。最初は彼に対し何の好意も抱かなかったが次第に彼の優しさに惹かれていく自分がいた。そんな日々が続き二学期最後の登校日。今日はクリスマス当日だ。いつもの彼との分かれ道の別れ際、彼から『一年の一目惚れした日からずっと好きです。もし付き合えるならこの手袋受け取ってください』とこの中に入っているのであろう紙袋を差し出してきた。私の答えは既に決まっていた。
この手袋は世界で一番のクリスマスプレゼントだ。
友達が手袋を付け始めた
なんだろう
とても可愛らしい
その友達は小柄で
あまり人前に出るような子では無いけど
品があって
いつも私に話しかけてくれる
初めて手袋をつけた時
「みてみて!花菜!!」
と、にっこり笑顔で
私に見せてくれた
なんだこいつ
天使かよ
その手袋は
もこもこしてて
落ち着いた藍色
その友達のような
手袋
、、、、、、
いただきます
300字小説
雪夜の迷子
「肩まで浸かって、しっかり暖まるのよ!」
この雪の中、雪だるまの影でびしょ濡れで
『……双子のお兄ちゃんと離れ離れになったの……』
泣いていた子どもを風呂に入れる。
着ていた白いボンボンの着いた、真っ赤なセーターを洗い、乾かす。裾が引っ掛けたのか、ほどけ掛けている。私は家にあったピンクの毛糸を出すとほつれた箇所を繕った。
翌朝、ベッドに寝かせおいたはずの子どもが消えていた。慌てて捜す私の前を、小学生の女の子が走っていく。
雪遊びか、コートに手には白いボンボンの着いた真っ赤な手ぶくろ。
「今度は無くしてはダメよ!」
お母さんの声が追い掛ける。
「はーい!」
手ぶくろの端は、ほつれたのかピンクの毛糸で繕ろわれていた。
お題「手ぶくろ」
「手ぶくろ」
どんなに寒くても手ぶくろをしないのは
あなたにあっためてほしいから
手、繋ご?
手ぶくろっていい思い出ないんだよな
恥ずかしながら小さい頃はデブだったから要らなかったしそのせいかつける習慣なくてね
あと物を 無くす事多いから手ぶくろ無くしやすくて
つけるのもなってなるけど歳を重ねると手の寒さに我慢出来なくなるから辛いな
【手ぶくろ】
深い深い森の中に、青い屋根に白い壁のお家がぽつんと立っていました。
周りにはお花が沢山の植えてあって、蜂が花粉を集めています。
その蜂達がどこに帰るのかというと、お家の隣りにある養蜂箱です。
お家に住んでいるくまさんは、お家にあるお花の花粉を蜂達に分ける代わりに、蜂達が作った蜂蜜を少し貰っています。
「んー、今日もいい天気だなぁ」
くまさんのお家の窓付きのドアがカチャ、と開きました。
中からは朝食を食べ終えたくまさんが出てきます。
朝食を食べた後に散歩をするのがくまさんのルーティーンです。
今日のくまさんはどこにお散歩をするのでしょうか。
「うーん…、今日は籠を持って行って木苺を採りに行こうかな」
どうやら、お散歩ついでに木苺を取りに行くみたいです。
木苺のぷちぷちと口の中で皮が弾ける感覚と、甘酸っぱい癖になる味を思い出して、くまさんは口の中がよだれでいっぱいになりました。
沢山成っているといいな、とくまさんは笑顔になりながら思います。
くまさんはお家から籠を持ってきて、早速散歩に出掛けました。
森の中は木漏れ日で溢れていて、暖かい空気でいっぱいです。
ふんふふーん、というくまさんの鼻歌と一緒に小鳥たちの囀りが聞こえてきて、まるで合唱をしているようでした。
合唱を楽しみながら暫く歩くと、くまさんはポツポツと赤色や朱色の果実が成っている低木の群れに辿り着きました。
これが木苺です。
昨日の夜に少しだけ雨が降ったからなのか、木苺にはぷよっとした雫が付いていて、いつもにもまして美味しそうに見えました。
思わず沢山採りたくなってしまいますが、森に住んでいる住人のために全部は採ってはいけません。
くまさんも勿論それは心得ているので、必要な分だけ木苺を籠に入れました。
(すみません、まだ書く予定でしたが間違えて出してしまいました)