『手ぶくろ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
平日の冬の朝、毎日のようにつける灰色の手袋。
何年か前、外にいる私におばあちゃんが貸してくれた手袋。
雪遊びをして濡れてしまった手袋
手袋にもいろいろな思い出があったな。
今年の冬もまだまだ続く。今年はどんな思い出で終わるのかな。
手ぶくろ
寒い日に手ぶくろ。
温かいよ。お母さん。
ありがとう。
いつまでもこの温かさを。
いつか私が返すからね。
「ワタナベ、それ一年生の頃から使ってない?」
高校三年生の冬、私はクラスの一部からいわゆる『いじめ』を受けていた。
ボスである女からなにかと、からかわれたり、突っかかってこられる毎日。
「一年生の頃からじゃないよ、中3から」
にっこり笑顔で私はそう切り返す。
「はぁ!? 中3!?」
「ワタナベ家はそんなに貧乏なのかよ!」
どっと爆笑の渦である。
「大切な彼氏からもらったものなの♪ 使えるうちは大人になっても使うよ?」笑顔のまま使える「それとも、みんなはコロコロ彼氏が変わるから、その都度プレゼント捨ててるの? あ、それとも、プレゼントもらったことない、とか? かわいそ……」
私が全部言いきる前に、ボスの女が持っていた水筒の飲み物を私にかける。
「あ、ごめん、水筒の蓋しまってなかったみたい~」
あはは、と笑ってそのグループは撤退していった。
冬の下校時間は、陽が昇っているのにもう寒い。更に飲み物を頭からかぶっているので尚更だ。
「ごめんごめん、待った?」
短く刈った茶髪の私の彼氏が、駅のホームから駆けてきた。
「ううん、大丈夫!」
「あ! 今年もその手袋使ってくれてるんだね!」
「うん! だから温かかったよ~」
彼氏は、へへへ、と笑ってくれた。
どんなに嫌がらせを受けても、私は大丈夫だからね。
私は手袋越しに彼氏と手を繋いだ。
【手ぶくろ】
追記、ゆずの香り、の数年後
はぁっ
温かい息
私の手はいつも氷のように冷たい
手袋をしていても
真っ白い月が何かを言っている
冷たいのは手ではなくて
あなたの心なのよ
手ぶくろを外して、恋人と手をつないでいると、カバンの中の手ぶくろが文句を言ってきた。
俺も手をつなぎたいんだけど、彼女の手ぶくろと。
仕方がないので、ぼくと彼女は手ぶくろをはめて、手をつないだ。
いつもより温かくなっているのが、わかった。
寒い日に つけよう手袋 忘れずに 草原信乃
手袋を拾った。
誰の手袋だろう?
そんなことを思って私は手袋を拾った。
裏を見ると、
「さえ」
可愛い文字でそう書いてある。
あぁそうか、これは昔私が落とした手袋だった。
今はもういないお母さんが一生懸命縫ってくれた手袋。どうして今まで気づかなかったのかな。
私は手袋を自分の胸に押し当てながら静かに泣いた。
ある日の朝、汚い手ぶくろを拾った。
片方しかないし、そこらじゅう穴だらけで使い物にならないのに、なんとなく拾ってしまった。
手ぶくろはあまり好きではない。
ないよりはマシだけど、そんなにあったかくもならないし、付ける手ぶくろでセンスがバレてしまうから。
だけど私は、この汚い手ぶくろを手にはめた。
とても冷たかったけど、目の当たりがなんとなくあったかくて、不思議と心まであったかくなった気がした。
だから私は手ぶくろを元あった場所に戻した。
手ぶくろ
1時間以上悩んで浮かんできたのは
手袋の片方を裏返しにして、もう片方の手袋の、中指と人差し指で結んで頭を作り、手袋の人形を作っていた頃のこと
それは小学生
寒さなど感じず、雪が降って雪だるまを作る時だけ、手袋したなー
私はなんと!編み物ができる
やれは出来る子なのである
そんな事はどうでもいいが、
マフラーと手袋 お揃いで編んで
長すぎるマフラーが何かにひっかかり、
危険な目に遭う
それは中学生、
手袋と言っても、ミトンしか編めなかったなー
大人になって、ちょっとおしゃれな皮の手袋なんてしてみたかったが、
私の手は関節が太くて大きくて、
そんなの入らなかった‥‥
なー
手袋
わたしは
氷のように冷たい…
あなたの手袋の中に
入りたいの…
おねがい…
氷のように冷たい
わたしの手を
温めて…
おねがい…
あなたの魔法の手袋で…
#9 暖かい布に冷たい手が包まれる。
心も温かくなった気がした。
___手ぶくろ
無くした片方の手袋に抱える気持ちって、愛だと思うの
「うーさびー。冷てー」
小雪が舞う中、俺は自転車をアパートの駐輪場へとめた。
自転車の鍵をかける手がかじかんでうまく動かない。手の甲まで真っ赤な素手の節々を擦り合わせて、はー、と息を吐きかける。
鍵をかけ終えて早々に両手をジャンパーの両ポケットに突っ込み、逃げるようにアパートの入口に向かった。
ジャンパーやマフラーは何となく用意しようと思うが、手袋は中々気が回らない。毎日出掛けに、あ、と見つけるのを忘れた事に気付く。
「そろそろ限界だよなー」
素手通勤も。
昨日も思ったことを今日もまた思いながら、今日こそは押入れの奥に眠っているであろうナイロンだったか毛糸だったかの手袋を引っ張り出そうと決意してーーーー先に風呂の準備をしようと思い立つ。その後は冷えたビールで一杯。You Tubeを見ながら飯を食べてーーーー。
なんだか明日も素手通勤な予感がひしひしとしてきた。
俺の手が赤切れるより先に手袋を引っ張り出せるかは、未知数だ。
何の装飾もない、グレーの細い毛糸で丁寧に織られた手ぶくろ。
きっと大切なものなのだろう。テーブルの上に丁寧に重ねて置いてあるから。まあ、忘れていったわけだけど。
店の外に目をやるが、それらしき人はいない。この寒空の下、大事な手ぶくろが無くなっていたら、すぐに気づいて戻ってくるだろう。そう思い、テーブルを片づけ始める。
ケーキが1皿に、コーヒー1杯。砂糖もミルクも手をつけていない。お皿は綺麗に保たれていて、食べカスも殆どない。美味しく頂いてくれたみたいだ。
食器を洗い場に流し込み、テーブルのセッティングが済もうかという頃、寒い風が入り込み、チリンチリンとベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
顔をあげながら反射的に接客モードに入る。
入ってきたのは、背の高い、シュッとしたお爺さんだった。綺麗に整えられた白髪、コートに身を包むその様は英国紳士のような印象を抱かせる。
「すみません、先程こちらで食事したのですが……」
「あ、手ぶくろですか?」
老人の顔が、パッと明るくなった。
「そうです! こちらに忘れていないかと思って!」
「すぐお持ちしますね」
レジの裏に回り、手ぶくろを手に取る。
「こちらでしょうか?」
「ああ、それです。妻がもう何年も前に編んでくれたもので……失くしたらなんと言われるか……」
口ではそう言いながらも、奥さんのことを話す彼はどことなく嬉しそうだった。
「見つかってよかったです。寒いのでお気をつけて」
手ぶくろを渡しながら、そう告げる。老人は頭を下げ、「ご親切にどうも」と言って街の中に消えていった。
「いい人だったなぁ」
彼が出ていった後、なんの気なしに呟いた。物腰柔らかく、丁寧で、愛情深い。あんな人間になりたい。そう思わせる、不思議な魅力があった。
『手ぶくろ』
手ぶくろ
片方がなくなった手ぶくろみたいに
心が離ればなれになって
遠くに行ってしまうのはやだな。
ひも付き手ぶくろみたいに
ふたり離れないでつながっていようよ。
1台、また1台
いつになったら迎えが来るのか
排気ガスとタイヤの痕で身体は真っ黒
段々と全身が擦り切れてきたようだ
以前の自分とは似ても似つかない
片割れは俺の事に気付いてくれるだろうか
もしかして新しい相棒でも見つけてしまったか
身体の上を幾度も車が通り過ぎていく感覚に息を殺し
来世ではマフラーにと心に誓う
少しでもあたためようと
はぁ…っとふいては手をこする。
「手ぶくろする?」
不意に聞こえる声に
驚きながらも内心嬉しくて。
渡された左の手ぶくろ。
もう片方は…?
と思っていると
ぎゅっと彼の手で包み込まれた。
ドキドキする私をよそに
彼は平然としてて。
繋がれた手は
ゆっくりと熱をもつ。
『手ぶくろ』
手ぶくろは、冬にはマフラーと共に防寒具の王道として重宝されている。
手ぶくろをつけている人の手は、手ぶくろの上からでも暖かい。
小学生の冬、俺の小学校で『伝統』と称されていたその『あいさつ』は、毎日校舎の前で人が並び、ハイタッチしながらあいさつするというものだった。
人は横に並んでいくので、人の手をドミノ倒しのようにハイタッチする人もいたり、逆に一人一人丁寧にやっていく者もいた。
すごく大人数の学校で、1000人を超えていたから、横にいる人がすごい人数になったりしていた。
冬場、そこには手ぶくろをした人がハイタッチする側にいたり、逆にされる側に回っていたりしている。
そして、時々ほんわかとした暖かさをする側、される側は感じるのである。
手ぶくろをその当時持っていなかった俺にとっては、手ぶくろをした、その人たちは天使かと思っていた。
なぜ小学生はネットの人に子供扱いされなければいけないのかと嘆いていたあの頃。
あいさつを元気にしていたあの頃。
あの頃を思い出しながら、僕は今日も眠ることになる。
手ぶくろ
寒くなると 恋しくなって
探し出すのに
それまでは 興味なし
それでも
冷たい手を
暖かく包んで 幸せにしてくれる
必要とされた時
当たり前に 役割を果たす
貴方は
とても素敵です
いつも
心まで 暖かくしてくれて
ありがとう
手ぶくろが
あってよかった
あなたと繋ぐと
じっと汗ばむ
私の手