「うーさびー。冷てー」
小雪が舞う中、俺は自転車をアパートの駐輪場へとめた。
自転車の鍵をかける手がかじかんでうまく動かない。手の甲まで真っ赤な素手の節々を擦り合わせて、はー、と息を吐きかける。
鍵をかけ終えて早々に両手をジャンパーの両ポケットに突っ込み、逃げるようにアパートの入口に向かった。
ジャンパーやマフラーは何となく用意しようと思うが、手袋は中々気が回らない。毎日出掛けに、あ、と見つけるのを忘れた事に気付く。
「そろそろ限界だよなー」
素手通勤も。
昨日も思ったことを今日もまた思いながら、今日こそは押入れの奥に眠っているであろうナイロンだったか毛糸だったかの手袋を引っ張り出そうと決意してーーーー先に風呂の準備をしようと思い立つ。その後は冷えたビールで一杯。You Tubeを見ながら飯を食べてーーーー。
なんだか明日も素手通勤な予感がひしひしとしてきた。
俺の手が赤切れるより先に手袋を引っ張り出せるかは、未知数だ。
12/27/2022, 12:32:40 PM