『懐かしく思うこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
白1色で統一された部屋
香る消毒液の匂い
パリパリとした触り心地の患者服
厚さが感じられないシーツ
秋晴れのような髪色
柔らかな手
幼い顔
2匹の黒猫
『どうしたの?』
姉の声
落ち着く音
抱き締めたくなる色
大好きな人
今はもう居ない
『サイ、仕事だ』
名前を呼ばれたから起きる
仕事と言われたから立ち上がる
手入れの行き届いたスナイパーライフルを手に取る
『サイ、コレを見ろ』
机に広げられた地図
言われた通りソレを見やる
『サイ、この位置で待機だ』
細かな位置と丸が赤く描かれている
自分の視線を誘導するように指先がそこを指した
『サイ、今回のターゲットはコイツだ』
地図に覆い被せられるように男の写真を置かれる
手入れの行き届いていない黒い髪
荒れた肌に濁った瞳
中途半端に生えた髭
『サイ、覚えたな?』
その問いかけに首を縦に振った
“じゃあ行ってこい”と言われたから
武器1つのみで移動を始める
『アイツ寝てたのか?』
『いつも寝てるようなものだろ、返事1つしない』
『“感情”を奪われたガキか…哀れなもんだな』
『あったらあったで困るだろ、敵に同情なんかされたら俺らの仕事が増える』
『それもそうだ』
後ろから聞こえる声
ちゃんと聞こえてる
悲しいも嬉しいもちゃんとある
でも人の死は複雑過ぎて分からない
まだ生命の重さを測れない
『…お姉ちゃん…』
それでも欠けた何かを想う
〜あとがき〜
成功
昔話童話のオマージュをしている身として、お題に合った話を探す際に子供の絵本を漁る事がある。
有名な話、あまり読まなかった話を読みながら懐かしさに浸る。
お題の事も忘れてはいけない。
昔話童話の場面を切り取りグネグネ捏ねて粘土細工のようにオマージュ品を作り上げる。
粘土細工も懐かしく思うなぁと書きながら思いつつ、今日も子供の絵本を読んでネタを捏ねる。
(懐かしく思うこと)
プリントゴッコが使えなくなる迄は、
11月中から年賀状作成に着手してた。
それが今では、賀状をくれた方に返信するだけ。
プリントゴッコで賀状印刷してた頃は
「組織内で生きていけるかも!?」時代?
#懐かしく思うこと
懐かしく思うこと
自分の過去を振り返ることが突出して好きではない。
何かのトラウマかと思うほどにだ。
(特にトラウマになるほどの体験はないはずなのだけれど。)
もちろん私にも人並みに家族や友人がいて、その人たちとの付き合いの中で旅行やイベントの際に写真を撮ることもある。
でも、その写真を何かの折に引っ張り出してきて眺めたり、それこそ懐かしんだりすることはほとんどない。
なぜだろう?とよくよく考えてみたところ、たぶん私にとっては過去よりも今なのだ。
過去の楽しかった思い出に浸り、懐かしく思うことよりも、いかに今を全力で楽しむか、ということに全振りしていると言ってもいい。
実際、自分でも呆れるほどに、次から次へと興味の対象が移り変っていく日々を送る中で、過去を振り返る余裕などないのが現状だ。
好きなお笑い芸人もここ数年で何組も移り変っていったし、この夏死ぬほどはまったタコスはひと月連続で食べ続けた結果、三キロ太った挙げ句にもう一生食べなくていいくらい飽きてしまった。
いつだったか、年老いた姑との何気ないやり取りの中で、◯◯は過去に戻れるならいつに戻りたい?と言うようなことを聞かれたことがあった。
私は、今が一番いいから戻りたくはないと答えたのだけれど、そんなバカな!と取り合ってはもらえなかった。
ちなみに姑は二十代前半の若く綺麗だった頃に戻りたいと言っていたっけ。
いつか、私も年老いて好奇心が枯れてしまう日が来るのだろうか。
そのときは、過去を懐かしんで昔は良かったなんて言っているのかな?
あーやだやだ。
考えるだけでゾッとする。
お題
懐かしく思うこと
懐かしいこと…
唐突だねぇ
いや…別に無い訳じゃないよ
知ってるでしょ?
たくさんあったじゃん
でも、
全部が夢物語な気がして…
全部、現実だって?
そうだけど…
相変わらずの現実主義だよね
私、悲しくなっちゃう…
シクシクゥ
わざとらしいって…
文句ばっかり!
…分かったよ
話すってば!
そうだねぇ
話すことは色々だけど
まずは
『あの人』の話だよね
…うん、うん
大丈夫
苦しくない程度に話すよ
だから、ね?
懐かしく思うこと
ハッチポッチステーション。
これ以外にあるだろうか。
『懐かしく思うこと』
思うこと 言うこと 伝えること
話すこと 聞くこと 分かること
暗い部屋で聞こえる明るい喉と
投げられて散った後のダンボールと
絶対的な了承に散らかる教科書たちと
痛くて泣いても治まらない鼻血と
次は折られると思った右腕と
ご都合主義で叫び出す気分屋と
言うだけなのに怖かっただけの手のひらと
近頃減量キャンペーンのガラスの傷と
多分救えたはずの気持ちたちと
多分言えたはずの気持ちたちと
多分あったはずの気持ちたちと
何かあったはずなんだけどね。
明日はハロウィンだ。
と、言うことで恋人との思い出が脳裏に浮かぶ。
恋人の職場は割とコスプレを容認していて、今みたいな季節だとノリノリになる。去年、そのコスプレ期間内に彼女の職場で要救助者が出て、俺が助けに行ったことがあり、そこでのやり取りを思い出していた。
今思うと、彼女を守りたいと思ったのはあの頃かもしれないなー。
「なんだか懐かしいねぇ……」
「なんの話しですか?」
ソファでのんびりお茶を飲んでいた恋人に、俺はぼんやりと声をかける。首を傾げた彼女が俺を見つめた。
思い出してよかったのかな……と思わなくもないけれど、あれから関係が進んで、今は一緒に暮らしている仲だからいいよね?
「あのすんごい格好した君の姿。俺びっくりし……」
「忘れてくださいっ!!!」
言葉が最後まで出る前に、持っていたクッションが押し付けられ、顔が埋まる。いや、息、息!!
あの頃の彼女の会社の社員は、一人以外が全員女性。人数がいたからか、統一してかなり過激な格好をしており、救助に行った時にびっくりして「そんな格好するの!?」と裏側から声が出た記憶がある。
「思い出さないで!」
「いや、無理でしょ」
俺は恋人を腰から抱きしめた。
「今更何を隠す必要がある。てか、今の時期ならあの格好してるんでしょ?」
「ま、まあ、制服だから着てますけど……」
「他人が良くて、恋人の俺だけ忘れろなのお?」
少しだけ不満気な声を出すと、返す言葉が見つけられないのか、耳まで赤くしながら俺の視線から逃れようとする。
「てか、あの頃からでしよ、セクハラ受けるようになったの」
「うう……。あ、でもちゃんと成敗したから!」
むん! とガッツポーズをするもんだから、またため息をついてしまう。俺が言いたいのはそこじゃないんだけれどな。
「それで俺が救助に呼ばれてどうするのさ」
俺は彼女を横抱きにして自分の膝に乗せ、抱き寄せた。
「俺は君のナイトで呼ばれたいの」
おわり
一六七、懐かしく思うこと
懐かしく思うこと
旧友に会った。
地元を遠く離れた地方都市のそこそこの大きさの駅の改札でて少しのあたりで。
久しぶり、すごい、奇跡じゃないこれ、今暇?、ちょっとそこでお茶でもしばかない?
会わなかった10年程の時間分をギュッとお互いの手と手で握りつぶすように合わせる。
駅併設のカフェに入って注文もそこそこに話に花を咲かせる。相棒はどうやら出張でここをたまたま訪れたらしい。宿泊費が嵩むからこういうとこのビジホがありがたくって。らしい。私はシュッと夫にメッセージを送る。今日、帰り遅くなります。かくかくしかじかこの通りの理由で。分かった、楽しんできてって。
ハイタッチ、よしきた今日は呑みましょう。是非とも。
仕切り直して、居酒屋。
こういうのもずいぶん久しぶり。地元を出てからずっと疎遠だったからお酒、一緒に呑むの初めてだね。
それから色々と積もる話というものを話した。
ふと、タイムカプセルの話になった。
成人したら開けるという小学校の伝統儀式。我が母校は強制参加、地元超密着タイプ。実家から同窓会の葉書、来てるけどと連絡が確か来ていた。あれももう7年くらい前か。
さいあく、結局行かなかったんだけどほんと小学生の頃の私何考えてたんだろ。わが心の友はぐでんぐでんになりながら愚痴る。
わざわざ家まで入れてた中身を届けに来たらしくてさ、仰々しく、お元気ですか?って。
中身、その時好きだったおもちゃのカードゲーム…自作のイラスト…本当、なんで全部中身ひっくり返して渡してくるんだろ!
どんどん、と机を叩く、突っ伏す、酔っぱらいよやめたまえやめたまえ。
君はいいよねー!
ガバッと起き上がってムッとした顔で見てくる。
私がタイムカプセルに入れたのは写真だった。
なんかの遠足の時のクラス集合写真。どんなのだったか覚えてないけど。
あの時から、君はなんというか、そういう生き抜く術が巧みだったよね。
しんみりと言われる。
そうだね。
もし、誰かがあの頃を懐かしく思うことがあるならば。
写真は勝手に持ち帰っているでしょう。さもなくば捨てて。私がそこに居なくともつつがなく進む。
そういう場所だった。
懐かしく思うこと
懐かしみはない
懐かしくはある
この違いがあるんだけど
記憶とは曖昧で
その曖昧さがハッキリとする
そんな瞬間がある
気にも、とめてない変化
ただ繰り返す日々に
思い出された綻びを繋ぎ止めるように
(「若いから」で私の感性片付ける大人はバカだ) そう、バカだったよ
題-懐かしく思うこと
幼稚園のころ、まだアレルギーで卵が食べられなかったころ、風邪をひいてもプリンやアイスクリームという選択肢はなかった。幸い、小学校に上がるころには卵が食べられるようになり、今は熱が出ると、嬉々としてとっておきのアイスクリームを解禁するのだが、一口味わうごとに、初めて卵を食べたときの感動が蘇り、食事の選択肢が多いことの有り難みを噛み締めるのである。
/お題「懐かしく思うこと」より
ふと写真フォルダを見返す。
何年も前の高校時代の写真だ。男しかいないクラスで3年間過ごしたんだよなぁ。
授業中に騒いで怒られたり、部活抜け出してコンビニで買い食いしたり、お小遣いほしさに始めたバイト。
他校の女の子と恋愛してみたり。
楽しくて毎日キラキラしてたっけな。
今なんかどうだ、会社と家の往復ですよ。
あの時なりたくないと思っていた社畜の成れ果て。これが現実なんですよね。
懐かしいなぁ。いやほんとに懐かしい。
「懐かしいなぁ なつかしぃなぁ」
昔の私が少しでも背伸びして大人っぽく見せるため
父の真似をして言っていた言葉
今ではもう「なつかしい」と言う言葉ですら
ひどく懐かしく感じる
小説
迅嵐※過去捏造
「ほら、大人しく寝てろって」
「うぅ…不覚……」
ピピ、と脇に差した体温計が軽快な音を奏でる。
数値を見ると38.6度。紛れもなく風邪をひいていた。
「…数字見たらもっと具合悪くなってきた…」
「あー見るな見るな」
自覚した途端頭が重くなった、気がした。いや絶対悪化した。
「もうだめだ…迅、俺のことは忘れて進むんだ…!」
「はいはいリンゴ切ってあげるからな」
百パーセント死ぬゲームのキャラクターのようなセリフを吐くと、迅は上手く躱しながらリンゴを剥きに下へ向かう。冗談はさておき、本当に具合が悪くなってきた。迅が戻ってくるまで少し寝よう…。そう思い、俺は目を瞑った。
時偶、懐かしく思うことがある。
俺は風邪なんて滅多にひかない、元気を体現したような子供だった。だから、たまに引く風邪は本当につらくて、怖くて、嫌だった。そんなときに、母はよくリンゴをうさぎ型に切ってくれた。そのリンゴは、ただのリンゴよりもずっとずっと美味しかった。
今は風邪をひくことも少なくなり、あのうさぎ型のリンゴも食べることが無くなった。
だから日常の中でリンゴを見ると時偶に、懐かしく思ってしまうのだ。
「……嵐山」
「…ん……?あ……寝てた……?」
「ごめんね起こして。ほら、リンゴ。食べな」
俺の目の前に置かれたリンゴは、うさぎの形をしていた。
「……」
「あれ、食べれない?やっぱ具合悪い?」
「…いや、食べれる。ありがとう」
リンゴを口に含むと昔食べたリンゴと同じ味がした。いつも食べるリンゴよりも、ずっとずっと美味しかった。
「んむ、うまい」
「そりゃ良かった……早く治せよ」
「うん」
素直に頷くと、迅は俺の頭を優しく撫でた。
……たまには、熱を出すのもいいもんだな。
#懐かしく思うこと
パンデミックも終息を迎え、
落ち着きを取り戻した。
久方ぶりに開催された〖蚤の市〗
その賑わいたるや、
あの時を思い出す。
教科書ではなんと書いてあったか···??
あッ!!そう、〖ペスト〗黒死病だ!!
あの時も大変だったが、乗り越えた後の活気は
今も昔も変わらない。
いやぁ、懐かしい
懐かしく思う事かぁ。ないなぁ。通ってた幼稚園の園内とか小学校の校舎とか懐かしいと思うんだろうけど、大人になって、中学生の頃苦しいしかったし、大変だったけど大丈夫だったなって、そこでやっと懐かしいと思って欲しいけどね。
私、不登校で一年以上学校に行けてないんですけど、明日行こうと思ってます。行事があるからその前に挨拶だけ。教室に行くかはわからないけど、別室に。
考えるだけで手足が震えます。みんなは行けて当然だから私と皆んなとの差は歴然なんだなと感じます。
そのせいか全く心が落ち着きません。本を読んでも集中できないです。一度集中してみれば大丈夫だと思うんですが、まず集中できない。昨夜からです。読むのに時間がかかるし、偶に読み直さないとちゃんとした状況が掴めない事もしばしば。
友達とも、お互い遊べたら来週遊ぼうなんて言って、無理だったっていったら未読無視。ただ用事があるだけかもしれないですが、落ち着かない。こんな事で怒るような子じゃないって分かってるのに。
フリースクールを休んで学校に行っていたと言えばスクールの子は劣等感や裏切り感を感じそうだから言わないです。スレもまだ返信が来ないし。
とにかく、頑張ろう。お風呂で本でも読もうかな。
喉の奥で遠慮して、出てこなかった言葉たち。
“プライド”という汚れた壁が邪魔をして、
馬鹿みたいな嘘を作った。
体の片隅にあった重いもの
いつのまにか、はっきり見えるようになってさ。
どれだけ布を貼ったって、いくつの針で縫ったって
ボロが出る。
本当の自分はどこにいるのだろう?
その答えを見つけ出すのは、骨が折れて
『解なし』と書きたくなるくらいだった。
あの日の幸せも、この夜の涙も、
全部まとめて、笑って、話せる未来。
人々が渇望してやまない世界。
私の理想郷。
#懐かしく思うこと
3人とも夏生まれだったから
合同のお誕生日会をしてた
12月はクリスマス会も開いた
ちょっと奮発した料理を作り
ケーキやデザートも用意して
プレゼント交換もした
そのうち娘たちは巣立って母ひとり
迎えるお誕生日やクリスマスに
少し申しわけなく思いつつ
あの頃の私たちの笑顔が
いつまでも続けばよかったのに
#懐かしく思うこと
ふらりと立ち寄った本屋の児童書コーナー。
人気アニメ・映画のノベライズ、子供向けに易しい文になった人気小説、多分超ピュアで甘々な内容なのであろう恋愛小説などなど、私が子供の時やバイトをしていた頃には見なかった本がたくさんある。
そんな本を物珍しく見ていると、
一冊の絵本に目が止まった。
これ、めっちゃ好きだったやつ。
親にも保育所の先生にも読んでもらったな。
途中、かなり怖いシーンがあるってわかってて読んでもビビって……。
なんて思い出しながらページをめくると
その怖いシーンはなくなっていた。
私がもう怖いと思わなくなったのか、
時代の変化に合わせてなくなったのか、
そのあたりはわからない。
でもまあ、いっか。
そうつぶやき、幼少期の温かくて優しい思い出がたくさん詰まったこの本を持って、私はレジへ向かった。
#暖かい世界