懐かしく思うこと
旧友に会った。
地元を遠く離れた地方都市のそこそこの大きさの駅の改札でて少しのあたりで。
久しぶり、すごい、奇跡じゃないこれ、今暇?、ちょっとそこでお茶でもしばかない?
会わなかった10年程の時間分をギュッとお互いの手と手で握りつぶすように合わせる。
駅併設のカフェに入って注文もそこそこに話に花を咲かせる。相棒はどうやら出張でここをたまたま訪れたらしい。宿泊費が嵩むからこういうとこのビジホがありがたくって。らしい。私はシュッと夫にメッセージを送る。今日、帰り遅くなります。かくかくしかじかこの通りの理由で。分かった、楽しんできてって。
ハイタッチ、よしきた今日は呑みましょう。是非とも。
仕切り直して、居酒屋。
こういうのもずいぶん久しぶり。地元を出てからずっと疎遠だったからお酒、一緒に呑むの初めてだね。
それから色々と積もる話というものを話した。
ふと、タイムカプセルの話になった。
成人したら開けるという小学校の伝統儀式。我が母校は強制参加、地元超密着タイプ。実家から同窓会の葉書、来てるけどと連絡が確か来ていた。あれももう7年くらい前か。
さいあく、結局行かなかったんだけどほんと小学生の頃の私何考えてたんだろ。わが心の友はぐでんぐでんになりながら愚痴る。
わざわざ家まで入れてた中身を届けに来たらしくてさ、仰々しく、お元気ですか?って。
中身、その時好きだったおもちゃのカードゲーム…自作のイラスト…本当、なんで全部中身ひっくり返して渡してくるんだろ!
どんどん、と机を叩く、突っ伏す、酔っぱらいよやめたまえやめたまえ。
君はいいよねー!
ガバッと起き上がってムッとした顔で見てくる。
私がタイムカプセルに入れたのは写真だった。
なんかの遠足の時のクラス集合写真。どんなのだったか覚えてないけど。
あの時から、君はなんというか、そういう生き抜く術が巧みだったよね。
しんみりと言われる。
そうだね。
もし、誰かがあの頃を懐かしく思うことがあるならば。
写真は勝手に持ち帰っているでしょう。さもなくば捨てて。私がそこに居なくともつつがなく進む。
そういう場所だった。
10/30/2024, 11:56:38 AM