『愛を叫ぶ。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鏡は真実しか映し出さない。
だから嫌いだ。
昔から読書が好きだった。
いつか、小説家になって、皆んなに大絶賛される物語を書きたい。
自分はきっと短編よりも長編を好む。
だから、若いうちにたくさん経験を積んで、ストーリー構成に活かしたい。
「理系のほうが将来性がある」
先生に、親に、先輩に、友人に。
皆んなに、否定された。
ならば、才能を、結果を。
そこからは、よく思い出せない。
朝から晩まで、調べ物を続け、構成を作り、文章を書いた。
なるべく有名どころの文学部に入るべく、文系科目も必死で勉強した。
暗記は不得意だけど、大丈夫。そう言い聞かせながら、眉間に皺を寄せた。
「僕」の頬をつたうヒビ、
目の下に滲む苦労の跡。
虚栄も張りつづければ、真になる、と。
信じた僕は、「僕」に打ち砕かれた。
気付かされてしまった。
僕ではないんだと。
合格したのは、有名どころの理系学部。
何度も応募した賞には、一度も受からず。
鏡は真実を映し出してくれる。
「本当の自分を見ろ」と、促す。そして、
「愛せ」とも。
いつしか「僕」は、笑みを浮かべていた。
それを見て、僕もため息をつく。
鏡は嫌いだ。
十年もかけて目を背け続けたものを、いとも簡単に押し付けてくる。
ただ、「僕」のことが少しは好きになれそうだと思った。
これが、この有り様が、僕だった。
文系の優等生を偽り続けた、理系の天才。
いいじゃないかと、僕は愛を叫んだ。
作品No.41【2024/05/11 テーマ:愛を叫ぶ。】
かわいい とか
かっこいい とか
そういう言葉でしか表せなくて
推しへの愛を叫ぶのって
難しい
愛を叫ぶ
「私は!こうきが好き!だけどもう嫌い!」
私は屋上から見える夕日に向かってそう
叫んだ。こうきは私のとなりで驚いた顔をする。
「えぇっ?き、嫌いになったの?どゆこと?」
「私、宮水 愛はこうきに散々泣かされたのです
失恋かもって頭によぎったり、全然上手く行かなかったり、私は、私を笑顔にしてくれる人が
好き!それが例え、地獄の底にいたとしても。
きみは楽しいときしか笑顔をくれない。
泣かせる男は要らないよぉ。じゃねー!」
「あいぃぃぃぃ!」
俺はなんて駄目なやつなんだ。
俺は夕日に嘲笑われるかのように虚しくなった。
俺は愛に向かって、いつまでも。
涙を流してしまう、切ない愛を叫び続けた―
私たちの間に
愛はあるの?
隙間を
埋めるだけの関係
あなたの全てが欲しい
と言えば
終わる
心の中で
愛を叫ぶ
泣きながら……
お題:愛を叫ぶ
私は、『世界の中心で愛を叫ぶ』─小説の方を思い出す。
ヒロインのお葬式までは大号泣しながら読んでたんだけど、つぎのページくらいでいきなり10年以上経ってた。
大人になった主人公が新しい恋人連れてて、こちらとしては体感5分くらいだったので、「え…あ、ああ良かったね…?」と全く本の中の時間についていけないままページをめくってたんだけど、主人公が新しい恋人と一緒に、以前ヒロインと通ってた学校に忍び込んで、もうええねん、みたいな感じで身につけてた遺灰だか遺骨だかを校庭に撒いたのを読んで
「え!?それそこに撒いてええん!?アカンのとちゃう!?」ってなって涙引っ込んだ。
そんな複雑な思い出。
『愛を叫ぶ。』...う〜ん、悲しいかな人間に
対しては対象無し。
愛を叫ぶなら、旅立った歴代の愛犬達と現在
共に暮らす愛鳥に対してでしょうか。
「みんな大好きだよー!ありがとう〜!」と
心の中で『愛を叫ぶ。』ことにします。
〜お題『愛を叫ぶ。』〜
愛を叫ぶ。
愛を叫ぶといつもあなたがそこにいる。ふわっとした笑顔に頬がゆるむ。そんなあなたが好きだった。でもある日その笑いが消えていた。理由を聞こうとするが、何も言わなかった。4ヶ月後あの人は天に召された。よくよく考えると病気のことを隠してたんだろう。気づけなかった。そんな思いを胸にいだきながら俺は君の写真に愛を叫ぶ。
僕の愛の矛先は君しかいないんだ。
残りの余生の中できっと、君を一番愛する。
そのくらい君を愛している。
君の愛が僕に向かなくても、君が僕を知らなくても、なんだっていい。
ただ、この世に存在してくれるだけで良かったんだ。君の存在が僕を生かしたんだ。
だから、だから嘘だと言ってくれ。
君がこの世の何処かに未だ居るのなら、僕はそこに駆け付けて
君に『愛を叫ぼう』。
彼と離れてしまってもう3年が経った。
あの日から私の日々は笑えてしまうくらいに色褪せて、彼の仕草も、声も、匂いも、全てが夢だったかのよう。
そんな私の気持ちも露知らず、先週から雲ひとつない快晴だよ。君が好きだった雲の形だけはずっと鮮明に覚えているんだ。
今日も同じ空の下、繋がっているなら。
ー 愛を叫ぶ。 ー
【26日目】愛を叫ぶ
夢への道が開けた
そのため上京した
バタバタと準備をして
彼女に会いにいったら
そこにはいなかった
時間がなかった…
いつも心の中にいた
いつも支えだった
どんどん夢が叶っていった
どんどん背負うものが大きくなった
会いたい
すごーく会いたい
今日
彼女がいた場所へ向かう
そして伝えよう
今でも君を愛してもいいですか?
14歳の俺と君のはじまりの物語〜その後
#12『愛を叫ぶ。』
好き、愛してる、ずっと一緒にいようね
溢れるばかりの想いを伝えれば
そんなに何度も言わなくても聞こえてる、なんて
耳まで赤くした君が手を握る
温かいね、と笑えば
照れくさそうに「うん」と返された
そんな君が愛しくてたまらない
”愛を叫ぶ“
有名な映画があった
“世界の中心で愛を叫ぶ”
切ない恋の物語だ
当時大学生だった私達は
よく映画のワンシーンを真似て
その役になりきってたりもした
実話を映画化したと聞いていたが
自分には縁のないストーリーだったので
そんな事が出来たのだと思う
しかし、あれから20年ぐらいたっても
このタイトルをテレビなどで見かけると
思い出す事があった
それは私が就職して
先輩と付き合うようになったある日
彼の実家がある群馬県に遊びに行った
ちょうど夏祭りが開催されていて
私達は夜になり祭りにくりだした
かなり混雑していて
手を繋がないとはぐれそうになった
彼がトイレとの事で
私は一人で松の木の下で待っていた
しかし、待てど暮らせど彼は帰って来ない
慌てた私は仮設トイレまで行くと
彼の姿はなかった
土地勘のない私はとりあえず
松の木の下で待とうと来た道を戻った
そこにあった木々は全て松の木だった
どの木かわからなくなってしまった私は
5分ずつ順番に松の木の下で待った
何番目かの松の木の下で待った時だっただろう
彼の顔が見えた瞬間
涙が込み上げてきた
”ごめんごめん“と彼は私を抱きしめて言った
そして、私にクリスタルのダルマを手渡した
それは以前に私が欲しいと
言っていた物だった
“これ、探しに行ってた。この祭にしか
売ってないって聞いたから”と
ちょっと申し訳なさそうに言った
最高に嬉しかった
私はその時に頭の中によぎったのが
この”世界の中心で愛を叫ぶ“だった
きっとこの時の気持ちがまさに
このタイトルだったからだ。
実際には“祭りの中心で愛を叫ぶ”だが。
そう、その時の彼が今の旦那様だ
だから毎年そのお祭りには行っている
来年は結婚15周年
私は彼を驚かす為に
密かに作戦をねっている
それは”祭りの中心で愛を叫ぶ“こと。
愛を叫ぶ。だけど君には届かない。
君の心は過去においてきたままだから。
いつもと変わらないいつも通りの日常。
そんなある日私は少し気になる人を見つけた。
「猫ちゃん可愛いね〜!」
「そっち行くと危ないよ〜!」
そう彼だ。見知らぬ猫にでも優しくすることができる彼。そんな彼が気になっていた。
車に轢かれて横たわっている犬を見ると
「大丈夫か〜?」
「死んじゃってはいないな。」
「届けてこようかな?」
私はそれを見たときこの人はとっても優しいんだなと思った。
私はそんな彼と話してみたくてまず彼と仲のいい人に彼がどんな人なのか聞いてみた。
「あの、あの人ってどういう人なんですか?」
そうするとみんなこう言った。
「ん〜不思議だし考えてること分からないけどすごく優しくていい人だよ。」
私は聞いた。
「どういうふうに優しいんですか?」
「見知らぬ人や動物などに優しくできる人。そして友達想いだね。」
男女問わずみんなそう言った。
やっぱりいい人なんだ。話しかけてみようかな。
「すいませ~ん」
「ん、?どうしたの?ニコッ」
「私と友達になってくれませんか?!」
え、ちょ私何言ってんの?!
「友達?いいよ!なろーよ!」
「え、いいの?」
「え、なんで?友達になりたいんでしょ?ならなろーよ!ニコッ」
「うん!よろしくお願いします!」
「敬語はやめてよ笑」
「名前は?」
「神童 奏汰君は?」
「私は星川 愛奈だよ!」
「愛奈って可愛い名前だね!」
「奏汰も綺麗で良い名前じゃん!」
「そ~かな?」
「というか次の移動教室一緒に行こ!」
「いいよ!」
「じゃあまたね!」
「うんまたニコッ」
そして授業が終わり―
「奏汰行こ!」
「いいよ!でも愛奈いつもの人達と行かなくてもいいの?」
「いいよって言ってたから大丈夫!」
「そっか良かった!自分のせいで仲悪くなったら困るからね僕と行くのはたまにでいいよ!」
「分かった笑」
「じゃあいこ!」
そんなふうに毎日過ごしていた。
そんなある日のことだった。世界が変わったのだ。
「ええ~っ!!!?なにこれ?!なにこれ?!?!お母さ〜ん!なにこれ?!」
「あら愛奈もついてたのね。なんの数字なのかしらね?ニュース見てみる?」
「見る!!」
「新しいニュースです。頭上にある数字の正体が明らかになりました。それは嫌われた回数です。」
「なにそれ〜⁉そんなの出してもらっちゃ困るんだけど!!」
「そうよね。まあ学校早く行きなさいよ〜!」
「はーい」
「お母さん先出るからね〜!」
「いってらっしゃーい!」
さて、何食べようかな。
「パンでいっか。」
そして支度をして学校へ向かう。
「おはよう!奏、、、汰?」
「どうしたの、、、?というかみんな頭の上に数字あるよ?」
「それ嫌われた回数だって、、、」
「そうなんだ、、、」
その時ある女の子が聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。
「奏汰くん嫌われてんの?笑」
「え、、」
思わず声が出てしまうほど傷つく言葉だ。
「え~と昔のことだからニコッ気にしないで、、!」
「やばっなんか裏でもあるんじゃない?笑笑」
「え、それな〜?うち実は前から思ってたんだよね〜誰にでもいい顔して裏がありそうだな〜って笑笑」
「わかる~!」
「いやいや裏なんてないよニコッ」
「あの笑顔も嘘っぽいよね笑」
「それな!笑」
「まあ好き勝手言っていいよ!気にしないからさ!ニコッ」
「あっそ。なんかムカつく笑」
「それな!勝手に言ってろよみたいな感じで笑」
その時私の中でなにかが切れた。
「ねえ、あんたらそんな数字も気にしてんの?笑ダサいからやめな?」
「愛奈!いいって。勝手に言わせとけばいいんだよ。」
「そうだけど、、、見てられないよ。」
「愛奈ごめんってwそう怒んないで!あんたのことは何も怒ってないからさ!」
「奏汰に謝りなよ。」
「ごめん奏汰くん」
「全然いいよ!」
「でもなんで嫌われてる回数がそんなに多いの?」
その時先生が来た。
「奏汰、、、!」
「どうしたんですか?」
「お母さんが迎えに来ているぞ。」
「え、、、?行きたく、、、ありません。」
「なにを言っているんだ!早くしろ!」
「嫌です。もう俺はあの人に縛られたくない。帰ってと言ってください。」
「一度会って話してみてもいいんじゃないのか?」
「先生は分かってないですよね?親に虐待されていた俺の気持ちが。」
「は、?そんなこと聞いたことないぞ?」
「それだけじゃない。いじめられたこともある!あの人のせいで!だから俺はもうあの人に会いたくない。」
「分かった。」
そして先生が出ていく。
みんなが奏汰に近寄る。
「え、奏汰いじめられてたん?」
「奏汰くん大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!」
その時だった。
「奏汰!!!なにしているの!早く行くわよ!」
「いやだ!母さん離してよ!」
「奏汰!!早くして!」
「いやだ!あんたはなんにも分かってない!俺を連れて帰ってなにがしたいんだよ。」
「話がしたいの。昔あったことも全部謝るから、、、!」
「許してもらえると思ってるの?許すわけがないだろ。あんたなんて見たくもない。俺には兄ちゃんしかいなかった!なのにあんたは兄ちゃんを追い詰めた!そして殺した!あんたが殺したんだよ。」
「生意気なガキね笑昔から変わってないわ笑むかつく野郎ね笑!!」
「今すぐ帰れ。二度とツラみせんな。」
そして奏汰のお母さんが帰っていく。
「奏汰?大丈夫か?」
「え、うん大丈夫笑ムカついてるだけだからさ笑マジでなんであいつ来たわけ?笑一生顔見たくない相手なのに。許してもらえると思ってんのがなんかもう笑」
「奏汰ってめちゃ猫被ってんじゃん!」
「当たり前じゃね?笑俺もとから口も悪いし笑だけどいじめられないように猫被ってるだけ笑しかも俺おまけにめっちゃ性格悪いし笑」
「奏汰、、、!」
「愛奈?どした?」
「奏汰は性格悪くないよ!見知らぬ猫助けられるぐらい広い心を持ってるじゃん!それに私の名前を可愛いって言ってくれたよ?だから少し自分の名前好きになったんだよ!奏汰は誰がなんと言おうと性格悪くない!」
「性格悪くないか笑そう言っていたやつも離れていった。最終的に一人になった。笑そんな薄っぺらい言葉はもう信じない。」
「本当だよ!信じて!」
「無理だね笑ほら性格悪いだろ?笑」
後で書きますさよ~なら~
『愛を叫ぶ。』
どういうこと?
私にはない
愛は囁く…
くらいしかできていない
愛されずに育った私が
そもそも『愛を叫ぶ。』価値があるのか!?
そこに最終的にたどり着く
愛をもらえなかった私が
本当に愛せているのか?
それよりも…
誰かに愛されたことのない私が
愛を伝えたところで独りよがりではないか?
だから…
君には確認したんだ
君よりも恐らく私は君を想っている
真っ直ぐに君だけを想っている
でも君は違うから…
それを分かっているから聞いたの
「言ってもいい?
◯◯愛してる♡」
本当は『愛を叫ぶ。』くらい
叫びたいくらいだったけど…
これ以上は君を困らせる気がしてね…
だけど嘘じゃないよ
依存だけじゃないよ
君の全てが愛おしいと思ったんだ
こんな恋は初めてだよ
私の想いに「うん」としか言えない君でも
私は…君が愛おしくてたまらない
ごめんね…
愛を叫ぶ。
忘れられないよ
無理だよ
ずるいよ
亡くなったら
それは私の中で美化されるよ
私は心の中で
ずっとずっとずっと
叫んでるよ
愛を叫ぶ。心の中で。
決して声に出してはならない叫びが
私の身体中に鳴り響く
苦しいならなおさら
幸せならいっそう
強い気持ちを持つということは
精神を擦り減らすということ
意思を持たないということは
すべてを諦めてしまうということ
誰かを想うということは
壊れかけた橋を
何も恐れず進んでゆくようなもの
『あなたが大好きです!!』
私は突然、会ってまもない
同級生に愛を叫ばれた。
それも、同性に言われた。
『え・・・誰が?』
その場に私しかいないのに
動揺を隠しきれず、わけも分からないことを
言ってしまった。
『あなたのことです、由梨さん』
鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている
私に、手を振りながら彼女はそういった。
パンッ!!
彼女が、見かねて私も目の前で
手を叩き、廊下に響き渡るくらいの
音を出した。
私は、その音に ビクリ!っと反応し
正気に戻った。
『ごめんなさい、私の聞き間違えでなければ
告白された気がしたのですが、気のせいですよね?』
わたしは、とぼけるようにして
聞き返した。
彼女はそれを聞き、改めて私の目を見つめ言った。
『いいえ、気のせいなんかじゃありませんよ
私はあなたのことが好きだと言ったのです。
由梨さん。いいえ由梨』
そう言うと、わけも分からない私を置いて彼女は
その場を去っていった・・・。
そのことがあってから早1年。
その彼女とこうして同棲しているわけだが、
今こうして、寝ている横顔を見ると
たしかに叫びたくなる。
『大好きだよ梨亜』
心の中で、私は叫びながら
梨亜の耳元で囁いた。
「あら」
洗濯物を干していると、モンシロチョウが目の前を通り過ぎる。
お散歩かしら見ていると、チョウは干した洗濯物にふわりと止まる。
チョウを脅かさないよう静かに見つめて、自然と笑みがこぼれる
私は蝶が好きだ。
いろいろな図鑑を集め、時には飼育し、そしてチョウの動画ばかりを見ている
標本は……可哀そうなのでしたことがない。
そのくらい好きなので、友人からは蝶婦人と呼ばれている。
「キエエエエ」
家の隣にある畑から、奇声が聞こえる。
隣で家庭菜園をやっている、加藤さんだ。
友人は『超』夫人と呼んでいる
「チョウどもめ、私のキャベツから離れろ」
超婦人は、蝶を始めとした虫を『超』嫌っている。
理由は単純、自分が育てた農作物を食べてしまうから。
モンシロチョウは益虫と思われがちだが、幼虫の方は葉っぱを食べるので害虫なのだ。
農家にとって不倶戴天の敵であり、忌々しい存在なのである。
ちなみに『超』夫人と言うのは、私と性質が真反対ということで、蝶婦人にちなんで名づけられた。
本人はそう呼ばれていることを知らない。
知っても困るだけだから、言わないのが吉だろう。
そして、意外にも……かは分からないけど結構仲が良かったりする。
私とは真反対の性質だが仲良くやっている。
「今日は暑いですね」
と私が言えば、向こうも、
「暑いですねえ。
あ、そういえば――」
と話が広がるくらいには、仲がいい。
正直、超婦人が農薬でチョウを殺していることに言いたいことはある。
だが、向こうも私がチョウを飼っている事には、思うことがるだろう。
だけど『世界にはいろんな人間がいる』。
当たり前といえば、当たり前の事。
お互いいい大人なので、互いの領分を侵さない限りは、何も言わないという暗黙の了解。
不可侵条約と言うやつだ。
今日も超夫人と井戸端会議で盛り上がる。
いつもの初夏の日。
平和な一日であった。
🦋
「様子はどうだ?」
「いつも通りです、先輩」
「ならいい」
暗い密室で、モニターを見つめる人影があった。
モニターには蝶婦人と超婦人が映っている。
ここにいる人間は二人を監視しているのだ。
新人らしき若い男が、ベテランらしき男に話しかける。
「こうして見ても信じられません。 この二人が原因で世界が滅ぶなんて……」
「信じられないのも無理もない……
だが我が国のスーパーコンピューターはそう結論付けた」
ベテランは、モニターから目を離さず、説明を続ける。
「世界が滅ぶ条件は覚えているな?」
「はい。 蝶婦人が飼っているモンシロチョウが逃げて、超婦人がそのチョウを殺したら……ですよね」
「そうだ。 そしてモンシロチョウが逃げたら、即座に逃げたチョウを捕獲、無理そうなら俺たちで殺すんだ」
「分かってます。
でも、なんで野生でなく飼われたチョウが殺されることで、世界が滅ぶんでしょうか?
しかもモンシロチョウって指定があるし……」
「直接の原因ではない。
この二人の行動がきっかけとなり、幾万もの減少が連鎖的に引き起こされ、結果として世界が滅ぶ。
簡単に言えばバタフライエフェクトというやつだ
モンシロチョウである理由は…… 正直知らん。
まあ、俺たちの知らないモンシロチョウ特有の事情があるんだろう」
「なる、ほど?」
新人が分かったような分からないような顔で、うなずく。
「分からないなら分からないでいい。
だがモニターに集中しろ」
「すいません」
「いいか、世界の命運は俺たちにかかっている。
交代要員が来るまで、あと一時間だ。
それまでに何も見落とすなよ」
「了解」
それを最後に、二人は会話を終了し、目を皿にしてモニターを見つめる。
どんな異変も見逃さぬよう、穴が開くほど見つめる二人。
何があってもいいように、手に虫とりあみを握り締め、世界の危機に備えるのであった。
愛を叫ぶ。
若さの象徴だ。
愛する人の他には何も見えていないのだろう。
勝手にやる分にはいいが、隣で突然叫ばれるとびっくりするから、周囲の確認は必須だ。
しかしそんなことも気にしないからこその若さとも言える。
公園で 駅のホームで 道端で いつでも君に 言い続けるよ。
お題「愛を叫ぶ。」