ちっちゃなはは

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”愛を叫ぶ“

有名な映画があった
“世界の中心で愛を叫ぶ”
切ない恋の物語だ

当時大学生だった私達は
よく映画のワンシーンを真似て
その役になりきってたりもした

実話を映画化したと聞いていたが
自分には縁のないストーリーだったので
そんな事が出来たのだと思う

しかし、あれから20年ぐらいたっても
このタイトルをテレビなどで見かけると
思い出す事があった

それは私が就職して
先輩と付き合うようになったある日
彼の実家がある群馬県に遊びに行った
ちょうど夏祭りが開催されていて
私達は夜になり祭りにくりだした

かなり混雑していて
手を繋がないとはぐれそうになった
彼がトイレとの事で
私は一人で松の木の下で待っていた
しかし、待てど暮らせど彼は帰って来ない
慌てた私は仮設トイレまで行くと
彼の姿はなかった

土地勘のない私はとりあえず
松の木の下で待とうと来た道を戻った
そこにあった木々は全て松の木だった
どの木かわからなくなってしまった私は
5分ずつ順番に松の木の下で待った
何番目かの松の木の下で待った時だっただろう
彼の顔が見えた瞬間
涙が込み上げてきた
”ごめんごめん“と彼は私を抱きしめて言った
そして、私にクリスタルのダルマを手渡した
それは以前に私が欲しいと
言っていた物だった
“これ、探しに行ってた。この祭にしか
売ってないって聞いたから”と
ちょっと申し訳なさそうに言った
最高に嬉しかった

私はその時に頭の中によぎったのが
この”世界の中心で愛を叫ぶ“だった
きっとこの時の気持ちがまさに
このタイトルだったからだ。
実際には“祭りの中心で愛を叫ぶ”だが。

そう、その時の彼が今の旦那様だ
だから毎年そのお祭りには行っている
来年は結婚15周年
私は彼を驚かす為に
密かに作戦をねっている
それは”祭りの中心で愛を叫ぶ“こと。



5/11/2024, 1:44:51 PM