ちっちゃなはは

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2/2/2025, 4:24:28 AM

”バイバイ“

それは昔々の事
高校も決まりあとは
卒業を待つだけの
何とも微妙な気持ちの時期

ずっと仲が良かった彼
今では死語かもしれないけど
友達以上恋人未満
本当はずっと好きだったけど
関係が壊れるのが嫌で
友達としている事を選んだのに…

卒業式の日
当時、卒業アルバムに
寄せ書きを書いてもらうのが
主流で私は彼を探した
階段の途中で別のクラスの
女子から告白されてるのを
下からずって見ていた
すると私に気付いた彼がその女子に
“ごめん!”と言って笑いながら
私の所へ降りてきた
“おせーよ!来ないかと思った”
と頭をポンと叩かれた
”いろいろ忙しかったの!“
と彼のボタンを何気なくみると
腕のボタンまで全て無かった
私はわざと興味なさそうに
“寄せ書き書かせてあげる!”と
卒業アルバムとペンを渡した
彼は私に見えないように
寄せ書きを書くと
”ほれ!帰ってから見ろよ!“と
卒業アルバムを私に渡して
“楽しかったな!おまえずっとアホだし!”と
私の頭をクシャクシャしてから
”じゃあな!“と
彼は階段を降りて行った

私がほぼ全員の寄せ書きを書いてもらい
友人と校門を出ようとした時に
彼が後ろから
”お〜い!“と私を呼び止めた
振り向くと
“じゃあな〜!バイバイ〜!”と
満面の笑顔で手を降っていた
なぜだか涙があふれそうになった私は
”ば〜か!バイバイ〜!“と
前を向きながら後ろに手を降った

帰ってから私は部屋で
抑えていた何かが溢れ出し
声を出して泣いた
アルバムを開き彼の言葉を探した
それは、寄せ書きのページではなく
その年のニュースが書いてあるページ

“ずっとおまえの事見てたのわかった?バイバイ”

あの時はわからなかった
鈍感な私には
それが彼から私への最初で最後の
告白だった事

月日がたった今
彼の笑顔の”バイバイ“は
私の大切な思い出になっている

1/19/2025, 2:13:39 PM

”ただひとりの君へ“

君に伝えたい事がある

君はこの世に一人しかいない

誰も君にはなれない

君がこの世に産まれて今この時まで

君が過ごした時間は君のもの

君が感じてきた事は君だけのもの

そして君の痛みや悲しみも君のも

誰も君にはなれないし
君はこの世で貴重な存在

誰とも一緒じゃないし
誰とも比較出来ない

だから、ただひとりの君へ
恥ずかしがらないで
顔を上げて
胸張って前に進もう

きっと楽しい事が待ってるよ!

9/19/2024, 8:31:56 AM

”夜景“

私の家は高台の上にある
初めて越してきた時は
夜景が綺麗で毎日眺めていた
いつからか
毎日同じ風景に
綺麗と感じる事も
ゆっくり眺める事も無くなった

それはまるで夫婦のよう
初めて夫婦になった時は
新しい生活や二人でいれる事や
二人での共同作業に
幸せを感じていたが
月日が流れると同時に
それが当たり前になり
時には幸せさえ感じなくなる
時もある

当たり前ってある意味怖いな
そんな事を思いながら
夜景の見える高台の家に向かって
今日もゆっくりと
坂を登って行く

8/30/2024, 12:04:05 AM

”言葉はいらない、だた・・・“

今まで生きてきて
いろいろな出来事があった
楽しい事も嬉しい事も
もちろん、辛い事も悔しい事も
悲しい事もあった

でも、必ず誰かが一緒にいてくれた
家族、友達、恋人
会社の先輩や同僚…
本当にたくさんの人と関わり
たくさんの人に支えられ
今まで自分は生きて来られたと思う
“感謝”

これからも
神様が許してもらえる限り
暫くは生きていく事になる
だから今度は
私の大事な人達が辛い時や悲しい時に
言葉はいらない、ただ…
となりでずっと笑顔で寄り添える
そんな人でありたいと思う

そして、今まで”感謝“を
少しずつでも返して生きたい

8/12/2024, 1:10:28 AM

“麦わら帽子”

子供の頃にこんな事があった

皆で近くの田んぼのあぜ道で
トンボを採っている時
私のかぶっている麦わら帽子が
田んぼの真ん中まで飛んでしまった
”田んぼには絶対にはいってはダメ“と
散々大人から言われていた私達は
青々とした稲の上に
ポツンと置かれた麦わら帽子を
ただ見ていた
すると、暫くして誰かが
ぐちゃぐちゃな田んぼの中を
麦わら帽子に向かって歩き出した
そして麦わら帽子を掴むと
満面の笑顔で麦わら帽子を持って
手を振った
私は禁断の田んぼに彼が
入ってしまった驚きと
その光景があまりにも美しく見えて
ただ、目を奪われた
もちろん
その後は田んぼに入った事がバレて
彼はこっぴどくしかられた
後から聞いたが、彼は言い訳を一切
せずにいたらしい

何十年も経った今でも
その光景が昨日の事のように思い出す
青々した稲の中で
キラキラした笑顔で私に手を振る
一つ年上の“カツ兄”
その瞬間から
私の初恋は始まった

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