”バイバイ“
それは昔々の事
高校も決まりあとは
卒業を待つだけの
何とも微妙な気持ちの時期
ずっと仲が良かった彼
今では死語かもしれないけど
友達以上恋人未満
本当はずっと好きだったけど
関係が壊れるのが嫌で
友達としている事を選んだのに…
卒業式の日
当時、卒業アルバムに
寄せ書きを書いてもらうのが
主流で私は彼を探した
階段の途中で別のクラスの
女子から告白されてるのを
下からずって見ていた
すると私に気付いた彼がその女子に
“ごめん!”と言って笑いながら
私の所へ降りてきた
“おせーよ!来ないかと思った”
と頭をポンと叩かれた
”いろいろ忙しかったの!“
と彼のボタンを何気なくみると
腕のボタンまで全て無かった
私はわざと興味なさそうに
“寄せ書き書かせてあげる!”と
卒業アルバムとペンを渡した
彼は私に見えないように
寄せ書きを書くと
”ほれ!帰ってから見ろよ!“と
卒業アルバムを私に渡して
“楽しかったな!おまえずっとアホだし!”と
私の頭をクシャクシャしてから
”じゃあな!“と
彼は階段を降りて行った
私がほぼ全員の寄せ書きを書いてもらい
友人と校門を出ようとした時に
彼が後ろから
”お〜い!“と私を呼び止めた
振り向くと
“じゃあな〜!バイバイ〜!”と
満面の笑顔で手を降っていた
なぜだか涙があふれそうになった私は
”ば〜か!バイバイ〜!“と
前を向きながら後ろに手を降った
帰ってから私は部屋で
抑えていた何かが溢れ出し
声を出して泣いた
アルバムを開き彼の言葉を探した
それは、寄せ書きのページではなく
その年のニュースが書いてあるページ
“ずっとおまえの事見てたのわかった?バイバイ”
あの時はわからなかった
鈍感な私には
それが彼から私への最初で最後の
告白だった事
月日がたった今
彼の笑顔の”バイバイ“は
私の大切な思い出になっている
2/2/2025, 4:24:28 AM