忘れられない、いつまでも。』の作文集

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忘れられない、いつまでも。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/10/2023, 8:02:26 AM

『忘れられない、いつまでも』

えっと…

こんなタイトルにされたら、また語ってしまいますが良いですか?

そうです!

私の永遠の推し、レスリー・チャンについてです!

その中でも、今日は彼の代表作『さらばわが愛/覇王別姫』について。

と言っても、彼の短くないキャリアでは、どれが代表作かと言うと人によって違うかもしれません。

ティ・ロン、チョウ・ユンファと共に主演を務めた『男たちの挽歌』だったり、アジアを席巻した『欲望の翼』だったり、欲望の翼のウォン・カーウァイ監督やトニー・レオンと組んだ問題作『ブエノスアイレス』だったり、先日もご紹介したラブコメ『金枝玉葉 君さえいれば』だったり…

レスリー・チャン、代表作多すぎ問題。

なんてね。

それだけ偉大な人なんですよ、いや、ホント。

で、『さらばわが愛/覇王別姫』

遊郭の女の子供に生まれた(後の)蝶衣は、京劇の一座に売られてしまう。
一座の子や親方にツラく当たられる蝶衣を庇ってくれるのは(後の)小樓。
やがて成長した二人は、京劇界きっての花形コンビになっていく。

覇王別姫は、中国の歴史の人物、1番天下統一に近かったのにも関わらず、その目前に戦に破れた項羽と、自分が居ては再起の邪魔になると自らの命を立った愛妃・虞姫。

この二人の別れは、京劇の演目になっていて、中国人の大好物なのですが、そのストーリーをなぞるように、蝶衣は何時しか小樓を自分の運命の人だと思ってしまう。
けれども小樓が選んだのは、自分の母親と同じ娼婦の菊仙で。



蝶衣、小樓、菊仙の愛憎劇なのですけど、それぞれをレスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リーと、今思えばよくもまあ、こんなスゴい三人を揃えたなというキャストだし、監督はチェン・カイコーだし。

そりゃあ、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールも取るわな、って映画でした。

日中戦争から文化大革命の時代がベースなので、街中を引摺り回され衣装も化粧もドロドロになって、自己批判を迫られるシーンは本当に思い出しても、胸が締めつけられます。

小樓を愛するあまり、自分が選ばれなかった憎しみをぶつける蝶衣は菊仙が女郎だったことを告げ、小樓は菊仙を守るではなく、自分の身を庇って菊仙に騙されて結婚したと言い訳をする。

本当に地獄です。
愛と憎しみは紙一重。
表裏一体。


私、この小樓のこと、ホント好きに慣れませんでした。

レスリー・チャン演じる蝶衣や、コン・リー演じる菊仙が惚れるほど良い男じゃ無いのです。
自惚れ屋で、傲慢で、軽薄で。
良い男と良い女に惚れられる男じゃ無い〜!

いっそ、蝶衣と菊仙が引っ付けば良いのにと思うぐらい。

余談ですが、同じくチェン・カイコー監督作品で組んだレスリー・チャンとコン・リーは、今度は思い合いながら悲劇的な作品『花の影』で共演してます。

ちなみに役名と中の人がゴッチャな書き方してますが、チャン・フォンイーさんは中国映画界を代表する名優さんです。念のため。


で、話は変わりますが、その頃の香港といえば英国領だったのが、中国に返還されるということで、何か落ち着かない。

自由が無くなる、と言うことでカナダに逃げ出す人が、多かったのです。

まあ、逃げ出すは言葉が悪いですが。

レスリー・チャンもそのひとり。

いま思えば、バイの彼としては、中国の不自由さを人一倍感じていたのかもしれません。

歌手も俳優も引退して、カナダに引っ込みました。

以前『狼たちの絆』で、引退までにもう一本映画を撮る契約が残っていたと書いたのが、この時期でした。

でも、香港&中国芸能界はレスリー・チャンに帰ってきて欲しい!

引退前に撮ったウォン・カーウァイ監督の『欲望の翼』がこれでもかとの大ヒット!

更にチェン・カイコー監督は、何が何でもレスリー・チャンで『さらばわが愛/覇王別姫』を撮りたい!

そして後にレスリー・チャン曰く。
「カナダって鹿しか居なくてスッゴいヒマだった」

と言うことで、カナダにもっと面白いものが有れば、生まれなかったかもしれない作品です。←

色々な作品が4Kで蘇っていますが、満を持して今年、この『さらばわが愛/覇王別姫』がついに4Kで蘇ります。

昨年、上映権が切れて日本では二度と観られないと言われていたのですが、更に綺麗な画像で蘇ります。

でも、これを逃せば、本当にもう日本では観られなくなるかも。

お近くで機会が有れば、是非大きなスクリーンでご覧になってくださいませ!

そしたら絶対に、あなたも「レスリー、貴方のことを忘れるなんて出来ないよ、ずっと」となること間違い無しです。

5/10/2023, 8:00:10 AM

忘れられない、いつまでも
(宝石の国二次創作)
「俺のことは、忘れるといい」
そう言ったきり、貴方は動かなくなった。寂しくそっと笑った顔が、頭から離れない。今日で貴方が眠ってから三千五百二十六日目。数えるのは辞めない。数えるのを辞めてしまったら、貴方がもう目覚めないと諦めたようだから。
「パパラチアを忘れた日なんて、ないよ」
答えは返ってこない。呟きは風に溶けた。ねぇ、あの時なんで忘れろなんて残酷なことを言ったの?忘れられるわけない。忘れられない、いつまでも。貴方はあまりにも鮮やかで、あまりにも優しかった。
「覚えているから、はやく目覚めてよ」
貴方がいるだけで世界が色付くんだって、ちゃんと教えてあげるから。

久々の更新です。これからもよろしくお願いします。

5/10/2023, 7:48:46 AM

忘れられない?どうしても?いつまでも?
そんなことあるわけが無い。

そいつの気合い不足、なんだかんだその事ばっか考えてる
簡単に他を見つけて、簡単に代わりを見つけて
思い出を速攻過去のものにする。

失恋、引退、休止、思い出

そのうち忘れてしまう少し暗めの出来事
そんなものに気持ちを落として
それが落ち着くと気持ちを入れ替えて他のものに行く

忘れられないなんてほんとにくだらない。



『君が居たから私は頑張って生きてられたよ!』
『ありがとう!ずっと大好きだった!またこうやって』
『話そうね。』

ずっと俺の中で1番だった君の声が。
ここから居なくなってからずっと
ずっと忘れられなのにさ。いつまでも

5/10/2023, 7:47:25 AM

2023/5/10
忘れられない、いつまでも。
きっと死ぬまで覚えてる。
認知症になったとしても記憶の根底にあり続ける。
大事に大事に囲っていこう。
それが悪だろうが
それが間違いだろうが
それが世界に許容されなかろうが

5/10/2023, 7:41:08 AM

忘れられない、いつまでも…あの夏の日、私達は、誰もが、私達を付き合ってると勘違いする程、ラブラブだった…例え、二股かけられても、君の事が好きで、私は、「いつまでも君を待つよ」と伝えた。あの頃、私達は、あまりにもラブラブ過ぎて、君を狙ってる人も、私との関係を見ては、諦める人も数知れず…君の事が好き過ぎて、私は、君の追っかけごときで、高校を選んだ…そして、君と同じ高校に入り、ようやく、付き合えると思ってたのに…それなのに、恐れていた、君の遅めの反抗期が重なってしまい…私達は、上手くいかないまま、君は、高校を卒業してしまった…ずっと君が好きで、高校の追っかけまでしたのに、私の恋は、儚く終わってしまった…でも、もう君の事を考えるのも終わりにしよう…だって、私の隣には、愛する未来の旦那がいるのだから…君もどうか、私なんて忘れて幸せになってね…ずっと好きだったよ…サヨナラ…

5/10/2023, 7:36:57 AM

忘れられない、いつまでも。

心地よい記憶なら、どれだけ良いだろう。

残念ながら、僕の忘れられない記憶は痛々しいものばかりだ。口から幾度となく零れ落ちて、僕をまた傷付けていく。



でも、大丈夫。

「人間は忘れていく生き物」



…本当に?



あぁ、そうか。

僕はまだ人間になれない、愚かな鳥だった。



自分で自分の翼を傷付けるような、愚かな飛べない鳥。



扉の開いた鳥かごで、陽気な歌を囀る。
いつか、この場所から飛び立つ日を夢見ながら。



いつまでも。いつまでも。

5/10/2023, 7:30:24 AM

今日のテーマ
《忘れられない、いつまでも》





「おおきくなったら、およめさんにしてくれる?」
「いいよ。忘れてなかったらね」
「ぜったい、ぜったい、わすれないよ!」
「あはは、いつまで覚えててくれるかな。いや、他に好きな男の子ができる方が先かな?」
「ほかのおとこのこなんか、すきになんないもん! ぜったい、ぜーったい、おにいちゃんのおよめさんになるの!」
「はいはい。楽しみにしてるよ」

6つ下の従妹はまだ幼稚園児だ。
今日は親戚の結婚式で、花束贈呈の大役をこなしたばかり。
間近にウエディングドレスの花嫁さんを見て、すっかりその気になったらしい。
幼稚園児とはいえ、そこは女の子。
おませな憧れは、一番身近な男――つまりオレに向けられた。

そういえば、幼稚園の時にも、同級生の女の子から大人になったら結婚してって言われたことあったな。
その女子は、今は上級生のナントカ君に夢中だけど。
何ならこないだ「同学年の男子ってガキくさくて絶対ナシ寄りのナシだよね」とか大きな声で喋ってるのも聞いたけど。
自分から告白してきてべったり離れなかったあの頃のことなんてもう覚えてないんだろうな。

妹みたいに可愛いけど、実の妹よりずっと可愛い天使のような従妹。
この子もきっとあと何年かしたらクラスの女子みたいに今日のことなんか忘れてしまうんだろう。
オレだって、いつまでも覚えてるかはわからない。
大人になって彼女とかできたら忘れちゃうかもしれない。
それでも、この微笑ましくも可愛い告白を、できる限り忘れたくないと思う。
もしも覚えていられたら、この子の結婚式で、この子の結婚相手に、ドヤ顔で自慢してやろう。


それから20年の時を経て。
「絶対忘れないって言ったでしょ」
世界一綺麗な花嫁が、オレの隣で誇らしげに笑う。
ドヤ顔で自慢するのは鏡の向こうの自分相手になるわけだが、それはそれで悪くない。
あの幼くも可愛らしいプロポーズを、きっとオレはこれから先も、ずっとずっといつまでも、忘れることはないだろう。

5/10/2023, 7:19:02 AM

忘れられない、いつまでも


そんな時があったよね。

前に進めない時が何年もね…。

それでもそれだけの時間が必要だったんだよね。

今でも目を閉じれば心の奥深くに残り香があったりするけど…

やっとこさ、過去の事と思えるようになりました。

その当時、私に新しい風を運んでくれた彼に今はありがとうの言葉を言える気がします。

もう、会う事もないけど…ね。

5/10/2023, 7:12:22 AM

にゃーちゃんが家に来た日のこと

友達の家に遊びに行こうと庭に自転車を取りに行ったら
どこからともなく

にーにーと小さな鳴き声が小屋から聞こえた

そろりと小屋に入ったら小さな子猫が何匹も

こっそり内緒で育てようとして秘密にしていた

残念ながら次の日にはバレた

一匹はにゃーちゃんと名付け買うことに

他の猫は親戚や近所の人が貰ってくれた

悲しいこともあり、にゃーちゃんのお母さんがいた

にゃーちゃんのお母さんはいつもにゃーちゃん達を探していた

お母さんごめんね

一緒に飼えなくて

そしてにゃーちゃんのお母さんは事故で亡くなった

にゃーちゃんは賢い猫に育った

にゃーちゃんは海苔が好きで笛を吹くと鳴いてくる

小さい頃はエプロンのポケットに入っていたり

人の後を付いて歩いていた

にゃーちゃんは立派に20歳をこえて生き抜いた

にゃーちゃんのお母さんの分も大切に育てた

にゃーちゃんまた戻ってこい
いつでも待ってる

5/10/2023, 6:30:57 AM

#81 人生ビール

忘れてしまいたい苦い記憶を
忘れてしまったことにしたくて
とりあえず瓶詰にしていたが
とうとう部屋が瓶で埋まってしまった

これでは、忘れたいのに忘れられない
瓶だらけの部屋で途方に暮れた

中身が入っていては町のごみ収集に出すこともできない
産業廃棄物としてなら処理できるのだろうか???
と悩む毎日

ある満月の夜

結局、忘れられないものなのだ
いつまでも。

....と諦めのような
割り切りのような
開き直りのような

ともかく、
そういう記憶とも共にあることを決め
栓抜きで瓶をかたっぱしからあけはじめた。

瓶の中身がシュワシュワとあふれだし
月夜に溶けはじめる。

長い間、瓶詰にされていた大半の忘れてしまいたい記憶は
すでに時間に溶かされ、ただの炭酸水になっていたけれど
溶け切らなかった多少の記憶が苦く濁りながら胸の中にしまわれた

これも時間とともになくなっていくかもしれないし
そうではないかもしれないし....

でも、もうどちらでもいいことだ
これからは人生の苦味もビールのように
味わって飲み干していくのだから_

お題「忘れられない、いつまでも。」

5/10/2023, 5:46:13 AM

「キミの隣にずっといたい。結婚してください」
そう言った俺に
「…はい」
口を手で覆い、瞳を潤ませキミは笑顔で答えてくれた。キミが俺の想いを受け止め、プロポーズを承諾してくれたときの笑顔。その笑顔を俺は、忘れられない、いつまでも。

5/10/2023, 5:18:52 AM

【忘れられない、いつまでも】

姑に言われた言葉の数々、忘れられない。なのに本人は平気な顔して何もなかったかのように頼みごとをしてくる。
「あの時あなたはこう言ったでしょ」と言ってやりたいのに耳が遠くなり、都合の良いことだけ聞こえるなんて…ストレスがないから卒寿を過ぎても元気ハツラツでいられるのだろう。こちらの体力、気力が吸い取られているような気さえしてくる。
姑からの言葉を忘れられるのは私が認知症になったときかも、と思うと忘れられる時がくるのも恐ろしい



#1

5/10/2023, 5:12:21 AM

#44 忘れられない、いつまでも。

降りしきる眼前の情報
静かな森に閉じ込められた
忘れたくない記憶の淵に
流れ込んできては
様々なものと絡み合って風化させる

あなたは白い掌だ

わたしにそっと触れてきて
石碑の文字を慈しむように
湿った緑の覆いを払ってくれる

涼しく、孤独で、密やかな深淵に
植物を気にしながらも
知りたいという欲望に駆られて
立ち入ってくる

死体は実のところ、どこか
掘り返されたがっているのかもしれない

だからわたしは
安らかに埋葬された記憶を
忘れることができないのだ
いつまでも、ずっと

5/10/2023, 4:58:04 AM

君と共に過ごした青い春。
あの3年間はきっと走馬灯にも出てくると思う。
君と共に過ごした甘酸っぱい青い春。

5/10/2023, 4:38:11 AM

【忘れられない、いつまでも】

いつまでも忘れられないこと。
そう聞かれて、とっさに何か思い浮かぶわけではない。
ただ、思い当たる“忘れられないこと”は多少あるけど、それが“忘れられないこと”だと思いたくないだけだ。

私は、忘れたくないことを、いつか忘れてしまうのに、絶対に忘れたいことをいつまでも忘れられない。
人間の脳は、「思い出」という名の記憶と「トラウマ」という名の記憶という区別は可能であるにも関わらず、忘れたい記憶と忘れたくない記憶の区別は困難らしい。

都合よくトラウマが消えることもなければ、いつまでも思い出を鮮明に振り返ることもできない。
まぁ、私には、どうしようもないことだ。
そんな惨めさと物悲しさが、いつまでも私にはある。

5/10/2023, 4:25:48 AM

ずっと記憶に残る物。
 人の優しさ。 
 何個か忘れられない優しさがある。
 何でそこまでしてくれるのか分からない。
 ただ、感謝してる事。
 忘れられない、いつまでも。

 きっとその反対に人への憎しみも記憶に残るんだろうな。
 忘れたくても忘れられない、いつまでも。

5/10/2023, 4:18:25 AM

【忘れられない、いつまでも】

  ※なお、私は霊感まったくありません。


 俺の上にのしかかった女の、真っ赤な唇が囁く。
「忘れられない体験にして、あ、げ、る」
「そりゃ誰だって忘れられないでしょうよ令和の時代にボディコン幽霊に襲われたら。後日SNSで愚痴っちゃいますよ誰も信じてくれないだろうけど」
 俺はただいまパンツ一丁の格好で自宅のベッドに横たわり、女の幽霊――たぶん色情霊とかいうたぐいのやつに襲われている。深夜二時、草木も眠る丑三つ時。草木が眠るんだから俺も眠りたい。なんでいい感じに寝入ったところを、恋人でもないやつに起こされねばならんのだ。
 一応、俺の名誉のために言っておくが、べつに幽霊女に脱がされたわけではない。夏はパンイチで寝る習慣があるだけだ。そのせいで、初っ端から絵面がとんでもないことになってしまった。読者の皆様には謹んでお詫び申し上げます。
「あれ、金縛りになってるわけじゃないのか」
 俺は幽霊女をすり抜けてあっさり身を起こした。
「中途半端に霊感がある人には、効かないのよね」
 幽霊女がふいっと浮かんで、悔しそうに舌打ちする。
 たしかに俺にはちょっとした霊感があって、余計なものを見てしまうことが稀によくある。今日もうっかり目が合ってしまったから、こうなる予感はあった。まあ、どこぞの潰れたスナックの前で退屈そうに佇む時代錯誤のボディコン女に、つい目が釘付けになったというかなんというか、そこは男のサガでして、決してやましい気持ちで見ちゃったわけではないんです。だから夜這いは勘弁してください。
 いや、幽霊相手にしたてに出る必要はない。体を動かせるならすでに勝負はこっちのもんだ。俺にはインターネットで学んだ歴戦の幽霊撃退法がある。
 俺はやにわにパンツを脱ぎ捨て、全裸になった。剥き出しのケツを両手でバンバン叩き、白目を剥きながらベッドを忙しなく昇り降りする。
「びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!」
「な、なにそれ……おったまげー……なんですけど……」
 目を丸くした幽霊女が、天井付近で硬直する。俺も硬直した。
「も、もしかして、ご存知ない? そして、効かない!?」
 今までの幽霊は、みんなこれで撃退してきたのに!?
 唖然とする俺を、首を傾げてふしぎそうに見つめる幽霊女。
 真夜中の二時。カーテン越しの街灯でうっすら照らされた部屋。床に投げ捨てられたパンツ。ベッドに片足をかけた全裸の俺。白目がちに天井を見上げている。両手はまだケツの上。
 できることなら、今すぐ記憶を消し去りたい。過去に遡ってインターネットの知識ごと葬りたい。
 ふいに、幽霊女が噴き出した。
「ふふっ、ナウいじゃん、おもしろい男」
「ウワーッ建ってはいけないフラグが建った!」
 幽霊女と青春ラブロマンスを繰り広げるつもりは毛頭ない! これはもう一刻も早く成仏していただかねば! 毛頭のない寺生まれのTさん、都合よく助けに来てくれ! 俺は国分寺生まれのイニシャルTでニアミスなんだよ!
 俺はパニックに陥り、思わず全裸で土下座を決行した。
「すみませんが、ただちにお引き取りください。俺には十年間片想いしてる子がいて、その子のために純潔を守り通してるんです」
「えっ、キモ……。でももう、あなたに取り憑くって決めちゃったのよね。四十年ぶりぐらいにあたしを見つけてくれた、唯一の人だから」
 俺の目の前まで降りてきた幽霊女が、気だるそうにワンレンをかきあげる。
「あなた、あたしがこの世を移動するための、アッシーにならない?」
「古っ……いや、アッシー目当てならいちいち襲う必要はないだろ! 憑いてまわられるのもごめんだけど!」
「あなたのしょうゆ顔、けっこう好みなのよね。せっかくだから生気を吸い取って、一緒に成仏するのもありかな、なんて」
「成仏する気はあるんだな!? 俺はないけど!」
「そりゃまあ、できるもんなら成仏したいわね。ずっと幽霊ってのも退屈だし」
「よしわかった、俺があんたの成仏に全面協力しよう。幽霊がこの世にとどまってるのは、未練があるからだ。あんたはいにしえのバブリー時代から残ってるようだが、いったいなにがそんなに未練なんだ? アッシーが欲しかったのか? まだバブル期を遊び足りないとか、男とデートしたかったとか? それとも、男にフラれた恨みでもあるのか? まさか、誰かがまだあんたのことを想ってて、この世に縛り付けてるパターンか?」
「そういうパターンの幽霊もいるだろうけど、あたしは正反対よ。あたしのことを覚えてる人が誰もいなくなって、世界のすべてに忘れ去られてしまったことが未練で、こっちにとどまってるの。幽霊になってれば、いつかは誰かにあたしのことを見つけてもらえるでしょ。あなたみたいに」
「幽霊の未練も多様性の時代かよ」
 この世から忘れ去られた人間がどれだけいると思ってるんだ。そんな理由でいちいち残られてちゃ、幽霊の人口密度が人間より多くなってしまう。人間より六倍羊が多いニュージーランドかよ。
「じゃあ、俺があんたのことをずっと忘れずに覚えてたら、あんたは心置きなく成仏できるってわけだな?」
 俺にのしかかってきたとき、忘れられない体験がどうのと言っていたのも、未練のせいか。
「そうねぇ。あなた、あたし好みのハンサムだし、あなたが墓場に入るまであたしのこと覚えてるって約束してくれるなら、成仏してやってもいいわ。もし忘れられたらすぐに戻ってきて、思い出させて、あ、げ、る」
 ちくしょう、なんてたちの悪い呪いだ。
 これで俺は幽霊女のことを、正真正銘、本当に忘れられなくなってしまった。それも、一生。
 仕方ない、あとでSNSに愚痴って、筆記による記憶の定着を図るか。いっそ、最近始めた書く習慣アプリに、愚痴と一緒につらつら書き残しておこうか。
「生きてるあいだも、幽霊になってからも、すっごく退屈な人生だったけど、最後に忘れられない素敵な思い出ができたわね。あなたのおかげよ、ハンサムさん」
 本当にもう成仏する気らしい。彼女の姿は薄れつつあった。えっ、早っ。こんなスピーディ成仏ができるなら、これまでのグダグダなフリは、俺の全裸土下座は、なんだったんだ。
「俺たち、この十数分のあいだに、そんな素敵な思い出になるような友好を結びましたっけ……?」
 もうほんのり影を認識できる程度になっていた彼女から、クスクスと笑い声が聞こえる。
「びっくりするほどユートピア」
「それは忘れてくれー!」
 俺の深夜の叫びは、誰もいない天井に吸い込まれていった。翌日、大家さんからしこたま怒られましたとさ。どっとはらい。

5/10/2023, 4:13:20 AM

「感謝」

子供は、生まれつき低緊張がありなかなか
動けなかった

少しずつ色々な、人達と関わりながら
リハビリをしたり療育に通ったり
して動けるはばも増えてきた

皆さんは、あまりご存知ないかも知れませんが
小児用車椅子があります。

一見するとベビーカーに見えたりしますし
ほとんどの方がベビーカーと思われていると
思います

電車に乗るにも気を使い目線を感じたりもします
ベビーカーなのに畳まないと思われているかも
とも思います。

病院の受診には、必ず電車が必要です
駅員さんの介助も必要です

でも、いつも笑顔で対応していただきます。
また、来てね。待ってるよ
乗車後も手をふり頭を下げて見送ってくれる
感謝しかないです。

名前は、分かりませんがどのスタッフの方も
みんな親切でそのお陰で病院に通えます

本当に本当にありがとうございます。
感謝しかありません。

5/10/2023, 3:48:48 AM

いつかは忘れていく。いつかは生きる速度が忘れる速度に追い越されてしまう。


忘れられない、いつまでも

5/10/2023, 3:35:11 AM

忘れられないことがある。
それはいつだったか、春から夏にかけてのことだった気がする。
当時小学生だった私は、周りに馴染めず浮いていた。
見た目も気にせず服のセンスも悪いし、隅っこで絵を描くのだけが大好きな暗い子だった。
男子にはバカにされたし、しょっちゅう先生のもとで泣いていた。
だけど、その時に妙に仲が良かった子がいる。
その子も私と同じように浮いていた子で、今思うとなんで一緒にいたのかわかんないような子だったけど、仲良く絵を描いたり、ゲームしていたような気がする。
ある日、その子が転校することになった。
今思うとその子はわりと家庭に問題のある感じで、まあなんか色々と訳アリな転校だった。
でも私は嫌だった。また一緒にゲームしたい。また遊びたいという想いもあったが、母からはあまり触れないでほしいと言われ、結局最後のお別れの時も何もできなかった。
私はあの時の後悔が少し残っている。ありきたりだけど、これが私の忘れられない思い出。

そしてネットが跋扈してるこの時代に、少し彼女のことを調べてみた。
mi◯iの身内向けページに一個だけあったアイコンの写真。
懐かしさに目が潤むが、彼女の見た目はすっかり変わってしまっていたようだった。
会いたい気もするけど、思い出は思い出のままでいても良いのかな、という想いも少しある。

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