『忘れられない、いつまでも』
えっと…
こんなタイトルにされたら、また語ってしまいますが良いですか?
そうです!
私の永遠の推し、レスリー・チャンについてです!
その中でも、今日は彼の代表作『さらばわが愛/覇王別姫』について。
と言っても、彼の短くないキャリアでは、どれが代表作かと言うと人によって違うかもしれません。
ティ・ロン、チョウ・ユンファと共に主演を務めた『男たちの挽歌』だったり、アジアを席巻した『欲望の翼』だったり、欲望の翼のウォン・カーウァイ監督やトニー・レオンと組んだ問題作『ブエノスアイレス』だったり、先日もご紹介したラブコメ『金枝玉葉 君さえいれば』だったり…
レスリー・チャン、代表作多すぎ問題。
なんてね。
それだけ偉大な人なんですよ、いや、ホント。
で、『さらばわが愛/覇王別姫』
遊郭の女の子供に生まれた(後の)蝶衣は、京劇の一座に売られてしまう。
一座の子や親方にツラく当たられる蝶衣を庇ってくれるのは(後の)小樓。
やがて成長した二人は、京劇界きっての花形コンビになっていく。
覇王別姫は、中国の歴史の人物、1番天下統一に近かったのにも関わらず、その目前に戦に破れた項羽と、自分が居ては再起の邪魔になると自らの命を立った愛妃・虞姫。
この二人の別れは、京劇の演目になっていて、中国人の大好物なのですが、そのストーリーをなぞるように、蝶衣は何時しか小樓を自分の運命の人だと思ってしまう。
けれども小樓が選んだのは、自分の母親と同じ娼婦の菊仙で。
蝶衣、小樓、菊仙の愛憎劇なのですけど、それぞれをレスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リーと、今思えばよくもまあ、こんなスゴい三人を揃えたなというキャストだし、監督はチェン・カイコーだし。
そりゃあ、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールも取るわな、って映画でした。
日中戦争から文化大革命の時代がベースなので、街中を引摺り回され衣装も化粧もドロドロになって、自己批判を迫られるシーンは本当に思い出しても、胸が締めつけられます。
小樓を愛するあまり、自分が選ばれなかった憎しみをぶつける蝶衣は菊仙が女郎だったことを告げ、小樓は菊仙を守るではなく、自分の身を庇って菊仙に騙されて結婚したと言い訳をする。
本当に地獄です。
愛と憎しみは紙一重。
表裏一体。
私、この小樓のこと、ホント好きに慣れませんでした。
レスリー・チャン演じる蝶衣や、コン・リー演じる菊仙が惚れるほど良い男じゃ無いのです。
自惚れ屋で、傲慢で、軽薄で。
良い男と良い女に惚れられる男じゃ無い〜!
いっそ、蝶衣と菊仙が引っ付けば良いのにと思うぐらい。
余談ですが、同じくチェン・カイコー監督作品で組んだレスリー・チャンとコン・リーは、今度は思い合いながら悲劇的な作品『花の影』で共演してます。
ちなみに役名と中の人がゴッチャな書き方してますが、チャン・フォンイーさんは中国映画界を代表する名優さんです。念のため。
で、話は変わりますが、その頃の香港といえば英国領だったのが、中国に返還されるということで、何か落ち着かない。
自由が無くなる、と言うことでカナダに逃げ出す人が、多かったのです。
まあ、逃げ出すは言葉が悪いですが。
レスリー・チャンもそのひとり。
いま思えば、バイの彼としては、中国の不自由さを人一倍感じていたのかもしれません。
歌手も俳優も引退して、カナダに引っ込みました。
以前『狼たちの絆』で、引退までにもう一本映画を撮る契約が残っていたと書いたのが、この時期でした。
でも、香港&中国芸能界はレスリー・チャンに帰ってきて欲しい!
引退前に撮ったウォン・カーウァイ監督の『欲望の翼』がこれでもかとの大ヒット!
更にチェン・カイコー監督は、何が何でもレスリー・チャンで『さらばわが愛/覇王別姫』を撮りたい!
そして後にレスリー・チャン曰く。
「カナダって鹿しか居なくてスッゴいヒマだった」
と言うことで、カナダにもっと面白いものが有れば、生まれなかったかもしれない作品です。←
色々な作品が4Kで蘇っていますが、満を持して今年、この『さらばわが愛/覇王別姫』がついに4Kで蘇ります。
昨年、上映権が切れて日本では二度と観られないと言われていたのですが、更に綺麗な画像で蘇ります。
でも、これを逃せば、本当にもう日本では観られなくなるかも。
お近くで機会が有れば、是非大きなスクリーンでご覧になってくださいませ!
そしたら絶対に、あなたも「レスリー、貴方のことを忘れるなんて出来ないよ、ずっと」となること間違い無しです。
5/10/2023, 8:02:26 AM