小砂音

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#44 忘れられない、いつまでも。

降りしきる眼前の情報
静かな森に閉じ込められた
忘れたくない記憶の淵に
流れ込んできては
様々なものと絡み合って風化させる

あなたは白い掌だ

わたしにそっと触れてきて
石碑の文字を慈しむように
湿った緑の覆いを払ってくれる

涼しく、孤独で、密やかな深淵に
植物を気にしながらも
知りたいという欲望に駆られて
立ち入ってくる

死体は実のところ、どこか
掘り返されたがっているのかもしれない

だからわたしは
安らかに埋葬された記憶を
忘れることができないのだ
いつまでも、ずっと

5/10/2023, 5:12:21 AM