『心の灯火』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
昔、何かの作品で出会った言葉
「幸せかどうかは自分で決める」
当時はまだ十代で
その言葉の意味がよく分からなかった
多分、幸せというのは無意識に
何かや誰かと比べて感じるものだと思っていたんだろう
そして少なくとも今よりは不幸だと感じる出来事が多かった
何をどう学んだのかは自分でもわからない
けれど二十代も後半になって
その言葉を噛み締めている
自分が幸せだと思う瞬間が人生にあるだけで
私は幸せだと思う
わたしはしあわせです
耐え難い痛みから解放された数分後
私の傍らに小さな命が現れました。
その小さな手で私の人差し指をギュッと握ってくれた。まるで「ママ 私をよろしくね」っと言われた気がした。
火花の様に心に湧いた灯火
聖火の如く消える事はない。
【心の灯火】
火はすごく弱いもの
ちょっとした事で消えてしまう
ずっと燃え続けることはできない
それでも懸命に輝いていて
太陽は眩しすぎると感じる人々を
暖かく照らしてくれる
それは人も同じ
どんなに輝いているような人でも
少しのきっかけてふと消えてしまう
努力し続ける事は簡単なことじゃない
休み休みやらなきゃすぐに燃え尽きてしまう
消えてしまうきっかけは外からの攻撃だけではない
自分自身で消してしまう事だってある
心の灯火なんて目に見えるものではない
それでも目に見えないからと
むやみやたらに風を送り続けたら消えてしまう
いつ消えるか分からないよ
そんなに強風を吹かせないで
心の灯火を守る最大の壁は自分自身
自分で自分を守ってあげることが大切
でも自分の守り方なんて教えてもらえない
守り方は人それぞれだし
周りの環境による
私はまだ正しい守り方なんて分からないし
優しい風の送り方も知らない
これから何度も失敗して学んでいくのだろう
それまでどうか心の灯火が消えることがないよう
心から祈ってる
どんなに雨が激しく打ち付けようと
どんなに激しく風が吹き荒ぼうと
どんなに闇が深かろうと
ただ熱く眩しく厳然と燃え盛るこの心の炎は、何者にも消すことは出来ない
『心の灯火』
いなくなった未来
安心するだろうな。
罵声は聞こえないし、
金切り声もない。
ヒステリックはもう勘弁。
機嫌も窺わなくていいし
自分のやりたいことできる。
ストレスもなくなるし
顔色も窺わないだろう。
消していい。
断捨離するだろうな
大量に捨てて、
大量に売って、
家も売るかも。
もしくは住まない。別の場所にうつる。
引越し
ようやくできるの
本当に助かる。
すべてうまくいくじゃん
優しい人はいつも何かしら我慢していると私は思います。優しいからって言う理由で何もかもよしにされたかのように雑用を押し付けられたり悪口を言われたりする…優しいということは素晴らしいことなのにそれをないがしろにする人々が私は憎い…とてもね。優しいという理由だけで何とかもおかしくなり奪われいじめられ心の火を消される。もうその火は二度と灯ることはない。そしてその子はもうその子じゃなくなってしまう
夕方から雨が降った。
蒸し暑い日だった。
僕はクーラーの中にいた。
つらくてあまり動けない。それに抵抗する元気もなかった。
夜中には雨は止んだ。
熱気はどこかにとけた。
僕はコンビニに出かけた。
涼しい夜風と虫の声。しかし身体はとても鈍かった。
⬛︎心の灯火
俺の名前は厚壱シオン。何処にでもいる普通の高校生! だったのは去年までの話。二年になったこの春からは、爺ちゃんが長を務める『灯火機関』に、熱血ロボ『ボンヴァリオン』のパイロットとしてスカウトされ、悪の組織『ダウ・ナーフ』と日夜戦っているんだ!
「おい、シオン! いつまで寝ておるッ!」
「げっ、爺ちゃん……zzz」
「シオン!」
「昨日の特訓がハードで疲れてるんだ……あと5分」
「ったく……すまんなリナちゃん。せっかく迎えに来てくれたのに……」
「リナっ!?」
幼馴染であり、俺が密かに想いを寄せるリナ——廣井リナが迎えに!? 俺は慌てて飛び起きた!
「おお、起きたな。……やれやれ、我が孫ながら単純すぎて心配になるわい」
慌てて周りを見回すがリナの姿はない。
「爺ちゃん……騙したなっ!?」
「それだけ元気なのに学校をサボろうとするが悪い。ほれ、さっさと準備して行かんか」
くうぅ〜〜、今日こそ本当にリナが起こしに来たのかと思ったのに……! 男子高校生の純情を弄ぶ爺ちゃん許すまじ!
制服に着替えた俺は部屋を出ると、適当に冷蔵庫から食えそうなものを見繕って腹に入れると、
「父ちゃん、母ちゃん、行ってきます」
両親の仏壇に手を合わせ、玄関を出た。
そんなシオンの背中を見送った祖父は
「タギル、トウカさん……シオンは元気でやっとるよ」
そう呟くのだった。
学校に着いた俺は教室に入るや否や
「おっはよーーー!!」
元気よく挨拶をした。
「シオンうるせーぞ」
「相変わらず元気だねー」
「声でけーよ!」
「おーっす」
などと、様々な反応が返ってくる。そんなみんなの反応を受けながら席につくと
「厚壱くん、おはよう。相変わらず声大きいね」
「元気だけが取り柄ですから!」
隣の席のリナちゃんに声を掛けられ、そう返す。朝一からリナちゃんと話せるなんて、今日はいい日になりそうだぜ!
しかし、その期待は呆気無く裏切られることになる。
昼休み目前の学校に、けたたましく鳴り響く警報音。
『ダウ・ナーフ警報発令! ダウ・ナーフ警報発令! 生徒は速やかに体育館へ避難せよ。繰り返す……』
クソッ! もう少しで昼飯だってのに! しかし、そうも言っていられない。ダウ・ナーフ警報が発令されたということは、ボンヴァリオンのパイロットである俺は灯火機関に向わねばならない。
「先生! 避難前にトイレ行ってきます!」
恥も外聞もなく大声でそう言い、トイレへ……と見せかけて、屋外の駐車場へ向かう。機関の迎えの車が来ているはずなので、俺は誰にも知られぬよう、それに乗り込む。
車中で俺はパイロットスーツに着替えながら、作戦の概要を聞く。
「今回のダウナーロボは『モーエーワ』。人々の情熱を奪うべく、市内各地で破壊活動を行っているようです。シオンさん、相手のペースに巻き込まれないように注意してください」
「へっ、誰に向かって言ってやがる! この厚壱シオンがそうそうやられるかよ!」
などと言っている間に、車は灯火機関本部への直通地下通路へと入った。ここからは他の車はいない。全速力で機関本部のボンヴァリオン格納庫へと向かう。
「シオン! 行けるか!」
爺ちゃんは俺がボンヴァリオンに乗り込んだのとほぼ同時に問いかけてきた。
「当然!」
俺は即答する。
「では……」
爺ちゃんは大きく息を吸って、叫んだ。
「ボンヴァリオン、発進!!」
敵機、モーエーワは今まさにデパートを襲撃しようとしていた。
「辞めろッ!」
俺の叫びとともに、ボンヴァリオンはデパートとモーエーワの間に割って入る。
「現れたな、ボンヴァリオン!」
「これが仕事なんでな!」
軽口を叩きながら、モーエーワは一旦後退し、体制を立て直すと再びボンヴァリオンに襲いかかる!
「へっ、力比べでボンヴァリオンが負けるかよ!」
敵は何も考えていないのか、改めてボンヴァリオンに力勝負を挑んできた。
しかし、その瞬間……
「かかったな!」
「なにっ!?」
モーエーワの瞳が妖しく光った。
これは……なんだ!?
突如、俺の脳裏に流れ込んで来たのは、両親の死の瞬間の映像だった……。
両親は事故で死んだ。爺ちゃんはそう言っていたし、俺自身もそう、思っていた。
しかし、俺の脳裏に流れ込んで来た映像は、ダウ・ナーフの襲撃から俺を守って無惨に殺される両親の姿だった……。
パニクる俺の頭に、敵はさらなる映像を送り付けて来る。
「お前さえいなければ……」
「あなたさえ産まなければ……」
「「私たちは死ぬことはなかったのに……!」」
血塗れの姿でそう言い、俺の存在を否定する両親。
そう、かもな……。俺さえいなければ、父ちゃんも母ちゃんも死なずに済んだかもしれない。
「けどッ!」
今の俺はこの街のみんなを守ってるんだ! 俺がいなければ、街にもっと多くの血が流れてたかもしれないんだ! 父ちゃんと母ちゃんには悪いが、俺の存在を否定するならたとえ両親であろうと許さないッ!
俺は、俺が窮地に陥るたびに爺ちゃんが言っていた言葉を無意識に叫んでいた!
「燃えろッ! 厚壱シオン!! その身に流れる熱い血潮を滾らせ、心の灯火に火を灯せ!!!」
「うおおおぉぉぉっ! ボンヴァリオンボンバーッ!!!!」
俺の心の灯火が激しく燃え上がるほど威力の上がるボンヴァリオンの必殺技、ボンヴァリオンボンバーをモーエーワにぶちかます!
直後、爆発四散する敵機、モーエーワ。俺の勝ちだ! 俺はコックピット内でガッツポーズを決めた。
ボンヴァリオンを降りた俺は、爺ちゃんに戦闘の報告も兼ねてモーエーワに見せられた映像のことを尋ねた。爺ちゃんは
「そうか……とうとうバレてしまったか」
そう言って、観念したように両親の死の真相を俺に教えてくれた。その内容は概ね、俺の見た映像と同じだった。
「じゃがな、お前の両親は一度たりとてお前のことを悪く言ったことはないぞ。ましてや、お前さえいなければ、などとは間違っても言うものか! それだけは勘違いするでないぞ」
「分かってるよ」
ボンヴァリオンの地下格納庫を後にして地上に上がると、俺は普通の高校生、厚壱シオンに戻った。そして、夕日に染まる街を歩きながら、打倒ダウ・ナーフを改めて心に誓うのだった。
「太陽に手を伸ばす」
「君のお母さんは、いつも君を見守っている」
俺の生い立ちを知った人は、大抵そう言う。
その言葉に反発したこともあった。
だが、今はもう、その言葉に同意するフリが出来るようになっている。
余計なことを言って、面倒なことになるのは避けたいし、言う側には悪気はないだろうから。
心のどこかで思っていたことを、やっと認めることが出来たのは、母の足跡を辿るようになってからだ。
真っ青な空。
太陽に向かって真っ直ぐに伸びる向日葵がどこまでもつづく。
あと数ヶ月すれば、ここは雪に埋もれる。
母の生まれ育った町に、節目節目で訪れるのは、墓参りするよりも母を身近に感じられるからかもしれない。
もしも、見守ってくれているとしたら、俺のこの選択を応援してくれるだろうか。
青空に手を伸ばす。
太陽の熱を、体中に、心の奥底まで、取り込むように。
────心の灯火
駆け引き
婚活を止めて、思えば駆け引きばかりの
日々だったと感じている。
なぜ駆け引きなどするのか?
やはり誰しも、自分が優位に立ちたいからだと思う。
駆け引きするということは、手の内を
見せないということでもある。手の内を見せない相手と
これから生涯を共にできるだろうか?
マウントを取りたいなら、他でやって欲しい。
わかり合うためのデートなのに、根本的におかしい。
そして、まともな人間は耐えられずに退会する。
とりあえず、婚活に対する愚痴は今回で一旦終わりにします。
今後は結婚を諦めた僕が、世の中に対して想うことなど
色々書いていきたいです。
よろしくお願いします。
心の打火
幼馴染のあいつとは似てるところが多くて、競うとどっちが勝つかわからないから、それが楽しくて自分は事あるごとに勝負を仕掛けた。
「テストの点数高いほうが勝ちゲームしようぜ、今日テスト返しの日だし」
「いいよ。いいけど、俺今回のテスト勉強してないよ」
「うわ、絶対うそ!自信あるだろ!どうせ勉強してないやつに負けたって煽るつもりだろ!」
結果は言ってた通り、あいつに負けた。帰り道。
「手応えあったのになあ」
「お前、勉強してないやつに負けてやんの。」
「うるせー。あ、道路の白線しか歩いちゃいけないゲームしようぜ」
「いいよ。押して白線から出すのありね。オレ、いい点数とって運たまってるから、負ける気しないわ。」
なんだかんだ言うけど、あいつはいつも勝負を受けてくれる、ライバルみたいなやつ。今日も自分は勝負を仕掛ける。勝ちたい、心の中でいつもそう思う、心の打火が鳴る。
〔小さいけど、燃えるような勝負を友達とよくしていました。罰ゲームがあるとよりいい勝負ができるんですよね。懐かし〜。この独特なネーミングセンス、小学生特有だと思ってます。私だけかな。匿名いやほんの自我失礼しました。あの頃に戻りたくなります。〕
「心の灯火」
何回も消え掛かって燻り続けている
心の灯火
まだ自分に心の灯火なんてあったんだ、と
しぶとく燻りながらも灯火を続けてるのは
古本とプラモデルなどの存在があるからだ
友達は必要最低限の付き合いしかないから、
支えには入ってないかもしれない
端からみれば、一人ぼっちで、
寂しい、可哀想だと思われがちだが、
趣味が灯火の力になる場合もあるんだと
俺は知った
精神的にまだ余裕があるんだ
余裕があるなら、古本もプラモデルなど
趣味に没頭していれば灯火は消えないだろう
心の灯火
今でも必死に消えないように心の灯火を守っている。
ひとりで抱えて守っている。
日々家
心の灯火
2367年ー。日本は世界で3つの指に入るほど安全な国を認定された。ここまで大きく成長が見られたのは紛れもなくAIや人間の代わりになる人型ロボットを創る技術が進歩したからだろう。どこぞの強盗犯を捕まえるにも今では優秀なAIでの防犯カメラによる自動追跡、命の擦り減りのない人型ロボットが例え相手が拳銃を持っても虚しく、彼らは弾など避けずに即座に目標を殺す。さらに、犯罪は初めからないものとしてAIに情報を隠蔽され続けていたのだ。何も知らない人々は日本は「平和の代名詞」という愛称まで付けるようになった。それをいいことに、ロボットを創る様々な大企業は次のステップとして人間と見分けのつかない人型ロボットを美として研究を重ねていたのだ。
ロボットと人を判断できなくなるようになり、初期に起きていた差別も今ではなくなっていた。
「おはようございます。」
僕はなんとなく挨拶をする。返してくれる人型ロボットはいないが気にせず作業に取り掛かる。
僕は正真正銘の人間だ。今は子どもたちの遊ぶ公園に散らばるゴミを拾うため、ここに居る。いわば、ボランティアだ。なぜ、周りの人(?)がロボットとわかるか、それはこういう雑用とまで言われたら僕は悲しくなってしまうが、ロボットの管轄にあるからだ。僕は、単なる人助けとして行っている。小さなことから人の役に立ちたいというのが僕の座右の銘とでも言っておこうか。
この日は夕立がきた。僕も傘は持っていたものの、足早に家に帰えることにした。その時、路地裏に人が倒れているのを発見した。これは僕の性分に関わると思いながら駆け寄る。傘をその人に差し出しだ、これが僕達の出会いだった。その人は傷だらけで腕を押さえ野垂れていた。
「大丈夫ですか?」
明らかに大丈夫ではないのにそう言ってしまうのは人間の特性だななんて思いながら返答を待っていると、顔を上げてくれた。
「あっ、」
彼の顔は美し過ぎた。そして、電線が見え隠れし確信に至る。彼は、ロボットだったのだ。
とりあえず、僕の家へ招待(?)し少しでも冷えが癒えるように励んだ。一晩で彼は本調子に戻り、ロボットってすげーなんて感嘆しながら事情を聞いた。何でも、彼は戦闘用として創られ、日本で一体しかいなくて危険な存在でありながら狭い鳥籠から逃げ出したんだとか。そういえば、ニュースでもやっていた気が、、。とりあえず、周囲にバレるとまずいとこは確かなので、僕の服を貸しこの地に馴染んてしまえばいいのではという結果に至った。
それからというもの、僕のボランティア活動の手伝いをしてくれるようになった。最初のうちは青い空や空を飛ぶ車を見てはしゃいでいるところをみて本当に鳥籠の中だったのだと虚しく思いながらも、楽しませてあげたいという気持ちが込み上げたのだ。
「人間をなぜ助ける?」
唐突な質問だったが即答してやった。
「人間でもロボットでも関係ないよ。いつか自分にその行いが返ってくると信じているからさ。」
彼は淡白にそうか。とだけ言った。
しかし、そんな幸せな時間も長くは続かないのが物語の掟だ。ドアをノックされた。
「すみません、少しいいですか?」
こんな時間に来客なんて珍しいなと思いながらも、
「はーい。」
ウィーン、ドアが開き僕は凄まじい勢いで腕を掴まれた。
「あなた、戦闘用ロボ001を隠し持っていますね。今すぐ返しなさい。後ろ盾には複数の拳銃を構えたロボットがいて、これまでとは比にならないくらいの恐怖を覚えた。すると、彼が僕を抱き抱え、窓から脱出した。それから僕達は追われる身として逃げ惑う。何日も何日も彼に言われるがまま走り回ってついたところは小さな研究所だった。
「ここで隠れていてくれ。」
「君はどうするの?まさかお別れなんて言わないでしょ?」
「それは肯定できかねる。」
「なんで肯定して!?じゃないと行かせられない!」
別れは突然すぎて何も考えられない。
「これ以上俺といると傷ついてほしくない人まで巻き添えになる。これは、人助けだ。利用されるだけの俺にこんなにも沢山の自由を見せてくれてありがとう。」
「やめて!!聞きたくない!」
「俺はずっとお前になりたかったのかもしれない。お前の植えた苗はいつも笑っているように見えて、お前の拾ったゴミはいつだってお前の流した汗と比例していた。だから、次は俺の番だ。」
そう言い放って彼は研究所を後にしてしまった。するとすぐに、銃声や金属音叫び声、炎の音と共に避難要請のアラームが鳴り響く。外の状況のカオスさを想像するだけで吐き気が止まらない。そのまま僕は気を失ってしまった。
どれくらい気を失っていたのだろう。音は静まり、雨の音だけが聞こえてきた。外にでてみると辺りはあっけらかんとしていた。少し歩くとロボットやら人間やらが山積みになっているなんともグロテスクな現場が垣間見えた。その頂上にはあの見覚えのある姿が倒れていた。彼は半壊の状態だった。もう手遅れとわかっていながらも、僕はすぐに駆け寄り、
「おい!!大丈夫なのか!?早く、はやく返事を…」
前がなぜか霞んでよく彼の顔が見れない。すると彼はかろうじて目を開け
「あの時と同じだな…また助けられたな。ありがとう。」
と、僕の頭を撫でそのまままた目をつむる。
「あっ…あぁぁあ…ああああぁぁ」
僕の泣き叫ぶ声がこだました。
心の灯火
「暗いと不平を言うよりもすすんであかりをつけましょう。」
大分昔にそんなCMがテレビから流れていた時期がある。
今からざっと40年以上前のことだろうか。
どうやらこれは某宗教団体の標語のようなものらしいのだが。
(私個人は無神論者である。)
そんなこととは露知らず、私は子供心に素敵な言葉だなと思い、何となくその頃からそれを勝手に自分の教えとしてきたところがある。
そうして数十年、歳を重ねてきて思うことは、
暗いと不平を言って誰かがつけてくれたあかりの下で難を逃れることも、生きる上では一つの術なのではないかということだ。
実際、世の中を見回すとすすんであかりをつけるタイプの人はとても少ないと感じている。
つけてもつけなくても評価が変わらないのであれば、つけない方が楽だと捉えることだって出来る。
(近頃はむしろこの考え方が主流になりつつあるのかも。)
また、事情によってはすすんであかりをつけたくてもつけられない人もいるだろう。
以前はつけていたのに今はつけられなくなってしまった、と悔しい思いをしている人も中にはいるかもしれない。
そもそも、すすんであかりをつけることに大して価値を見い出していない人だって少なからずいると思うし。
そして、不平を言わないまでも、誰かがあかりをつけてくれるまで暗闇でじっと待っていなければならない存在の人たちがいることも知っておいた方がいい。
すすんであかりをつけることが出来る人はそれだけで恵まれているとも感じる。
理解し難いことではあるが、すすんであかりをつけていると時々妬みや嫉妬、嫌がらせなどマイナスの感情を向けられることがある。
それをきっかけにして、今の今まで仲間だと思っていた人が、まるで手のひらを返したように離れていくようなことも経験した。
それでもやっぱり、私はこれからもすすんであかりをつけるだろう。
それは誰かのためと言うよりも、自分の心の灯火を灯すことに大いに役に立っているのだと実感することが出来るからである。
お題
心の灯火
心身ともに疲れた時に、彼女のいる修理屋にバイクの修理をお願いしに行った。
たまたま彼女がワンオペになっていて、俺一人が客だった。
「疲れたー!!!」
俺は床にダイブしながら悲鳴をあげると、彼女はくすくす笑いながら、工具を持って修理をしてくれる。
出会った頃の彼女は、やることなすこと全ての行動が不安になる動きをするから、心配で仕方がなかった。
でも、仕事で先輩をしている姿は頼りがいがあって驚いた。
その姿を見て感慨深くもなったし、ほんの少し心が温かくなった気がしたんだ。その時は、それがどういうものかは分かっていなかったけれど。
そして―――――
「大丈夫ですか?」
当たり前のように俺を心配する彼女。
「私に何かできること、ありますか?」
手を差しのべてくれる彼女。
「疲れているんですよね!? クリームソーダ持っているので、用意しますね!」
俺の好きなもので労りつつ、気遣ってくれる彼女。
俺の周りには、そんな人は居なかったんだ。
嫌いじゃないけれど、自分の気持ちだけを押し付けて、押し付けて、押し付けて。
俺を振り回すだけ振り回す人達ばかりの中で、俺を気遣って……大切にしてくれる人。
そんな彼女と交流して行くうちに、俺の心に火が灯っていたんだ。
「……好きだよ……」
彼女の耳には届かない程の小さい声で、自然と言葉を紡いでいた。
紡いだ言葉の意味に気がついて、俺の耳は一気に熱くなる。だから咄嗟に顔を腕で隠した。だって絶対に顔も赤くなってる。
「わあっ、顔が真っ赤!! 熱ですか!? 病院まで送りましょうか!?」
そんな俺の様子を見た彼女は驚いて、俺にクリームソーダ手渡す。そしてお店を閉じる準備をし始める。
ヤバい、心配された。
そして救急隊員の俺としては、自分の病院に放り込まれるのも嫌だったし、こんな顔を先輩や隊長に見せたくない。
「し、心配しないで。大したことないから! 俺、医者だし大丈夫だよ!」
手際よくお店の片付けをしていた彼女の後ろから、つい大きな声で叫んでしまった。
「ほんとう……ですか?」
振り向いて眉を八の字にして不安そうな表情で俺を見上げる。その瞳の奥には心配という文字が見えた。
嬉しい。
心臓は確かに高鳴っている。それでも俺は彼女を安心させるように笑った。自分で驚くくらい自然に笑えたと思う。
「本当に大丈夫。ありがとう。でも、少し休ませて欲しいな。ついでに俺の話し相手になってよ」
「はい!!」
元気よく返事をする彼女を見て、安心と同時に灯った心の火が、また強く熱くなった気がした。
おわり
百九、心の灯火
色々な事にイライラして、体のあちこちが重くて、何もやる気が起こらなくて、明日が来ることが憂鬱で、でもずっと寝てるわけにもいかなくて、自分の顔から表情が無くなっていくのが分かって、火が消えそう、というのはこういう事なんだろうと思う。
人の寿命が蝋燭の火で表現されてるのは落語の「死神」だったか。
蝋燭の火というのは目に見えて現れる老いや病や傷だけじゃなく、心がすり減っていくことも表現してるんじゃないかと思う。
消えそうな蝋燭に何を継ぎ足せばいいのだろう?
美味しい食事、充実した余暇、寄り添ってくれる友。
そういったものを少しずつ継ぎ足して、もう一度火を強くすることが出来れば、また一歩踏み出せる。
とりあえず夜中にスイーツでも食べて、切り替えますか。
END
「心の灯火」
The Doorsの「Light My Fire」がかかった頃
夏の終わり頃、冷房の効いてない店内で興味のない話を聞き流している
しょうもなく、やたら長いと思っていた自慢話が終わっても間奏が続いていた
間奏長いなぁ
今でもこの曲を聴くとなんとなくぬるい空気を思い出す
自慢話がなんだったのかは全く思い出せない。
そもそも自慢話じゃなかったかもしれない
そして今日も間奏が長い。
【心の灯火】
小さな火
今にも消えそうで心もとない
そっと両手で包み込む
ゆらり、ゆらり、ゆれる度に小さくなる
ああ、消える
これが消えたら僕はどうなるのだろう
僕も消えてしまうのだろうか
いっそ消えてしまってもいいかもしれない
きっとこの苦しみから楽にもなるだろう
涙が一筋
火が…
消える
心の灯火
あなたの為に、ずっと一緒にいて、心を照らしていたい…あなたの心を暗くする全てから、守りたい…
あなたのその、淋しげな瞳が、悲しくて、心配で…
あなたには、笑顔しか似合わないから…私も、あなたの笑顔で、ずっと支えてくれたから、今度は、私があなたを、支えたいから…