『心と心』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あっちの心と こっちの心
目に見えないけれど
通じ合ってる?
#心と心
#58
#心と心
心はどこにあるのだろう
心臓の中?
脳みその中?
見たことも触れたこともないなんて
みんな同じことを言う
でも1度でも
感じられたなら
きっとそれは
強くなったことにならないか?
「心を奪われてたのは私の方なのかもしれないわね」
***さんはそう言ってお茶を一口飲んだ。ティーカップの持ち手をつまみ口へ運ぶ所作一つひとつも美しく、気品に溢れていた。優雅な佇まいの中で気が抜けてうっとりとした表情もまた彼女の魅力になっていた。
反対側の席に座る**ちゃんはいつも通りの冷徹な声で「旦那さんの惚気はやめてください」と、お皿に乗ったクッキーを取りながら言い放った。それに気にも止めず***さんはふんわりと微笑む。
「仕方ないじゃない。私はあの人のことが大好きなの。たくさんお話したいわ。今日は好きなものについてお話する回でしょう?」
「いきなり惚気から始まるとは思いもしなかったです。後の私たちが話しにくくなるでしょう」
それは申し訳ないわね、と***さんは鈴のような声色で笑った。
お茶会の円形のテーブル。花柄のピンクのテーブルクロスと白くてかわいい椅子。***さんのために誂えられたかわいい空間。調度品はどれも高そうで気が引ける。
テーブルの上のお菓子はどれも手作りらしい。頑張ったのだと冒頭に言われた。本当に素敵だ。手先が器用で羨ましい。あたしの無骨な手には出来ない。
「ねぇ、***ちゃんも誰かに恋しているんでしょう? 普段の態度を見ていれば分かるわよ。少し聞かせてくれないかしら?」
「新人を困らせるのが得意なんですね。***さんも無理しなくて良いですよ。この人の無茶振りはいつものことなので」
「あ、あたしは……」
心臓が跳ねた。この人は心でも読めるのか?
スカートをぎゅっと握って俯く。今日のために整えてきた髪の毛が視界に映った途端、今朝会った時に髪のリボンが素敵だと言われたことを思い出してしまった。ハーフアップにした赤い髪と青いリボン。
確かにいる、いるけれど、身近だからこそ手の届かない場所にある恋だから、困る。だけど……
ちらりを視線を向けると、***さんはティーカップとソーサーを持って続きを待っていた。目がきらきらしていて期待しているだった。**ちゃんも静かにクッキーを食べている。
死ぬまで仕舞い込んつもりだった恋心、この際打ち明けるのも良いかもしれない。
□ ■ □
「○○さんってどうやって***さんと知り合ったんですか?」
そう言えば知らないな、というただの質問のつもりだった。仕事以外であまり話したことのない人だし、分かりやすい話題が特に見つからなかった。……ほんの少しの下心もあったが。
誤算だったのは、シラフの顔をしていた○○さんが既にかなり飲んで酔っ払っていた事だった。酒があまり顔に出ない人らしい。次は気を付けないと。
そうして始まった話は、聞いているこちらが恥ずかしくなるくらいの惚気だった。身振り手振りが大袈裟で舞台役者のようだ。
本当に勘弁して欲しい。この人結構面倒臭いんだな、と酔いが覚めてしまった冷静な頭で脳内にメモを付けた。
「そう、一目惚れだったんだ。一目で心を奪われてしまった。あんなにも衝撃的な出会いは初めてだった」
据わった目で天井を見上げる○○さんは懐かしむような声で言った。こんな声は聞いたことが無い。酒は本性を明かすと言うが、これが○○さんの本性なのだろう。
「君は? 君のところにもいたよね、ほら、赤くて長い髪の、なんて言ったかなぁ、まだ名前が覚えられていなくて」
「えっ、うわ、あーっ!」
「わはは、初々しいね」
思わず大声を出して○○さんの声をかき消した。
大誤算だ。やめてくれ、こちとらこの歳になってまだ初恋を拗らせてるんだ。ほんの少し、参考にしたくて聞いた話題からこんなに面倒なことになるとは思わなかった。
肩に腕を掛けられた。逃げられないことを覚悟して、もうどうにでもなれとジョッキの中身を煽った。
お題:心と心
[心と心]
心と心がぶつかり合って分かり合う。
心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心と心
がぶつかり合って…
ちょっとぶつかり過ぎじゃないか?
肉まんをふたりで食べた帰り道 こころとこころを分けるに似てる
題目「心と心」
『心と心』
先生は、どうして僕を選ばなかったんだ。
卒業式で最後に別れの挨拶を告げる代表者に、少年は選ばれなかった。
成績は常にトップ、人当たりも良く、誰よりも行動的。
今年の学芸会が無事成功したのも、生徒会長である少年のお陰だ。
卒業生の全員が、少年が選ばれると確信していた。
しかし、それでも少年は選ばれなかった。
その上、先生はなぜ、よりにもよって出来損ないのあいつなんか選んだんだ。
べつに挨拶がしたかった訳じゃない。
ただ、優秀な自分を差し置いて不出来なあいつが選ばれたことに納得がいかなくて、無性に悔しかった。
ただ、それだけのことだった。
卒業式当日。
卒業証書を受け取った後、いよいよあいつがステージの中央に立つ時が来た。
しかし、というか案の定、演説は見るも無惨な結果に終わり、あいつは全校生徒と保護者たちの失笑を見事に掻っ攫った。
だけど、少年だけはそれを笑えなかった。
不器用でも必死に感謝の言葉を述べるその姿を見て、何故だか自然と頬から雫が零れ落ちる。
最後に自分が選ばれなかったことが悔しくて、憤って、許せなかったけど、
それでも、なぜだか最後にステージに立つのが彼で良かったと、
心の底から思えたんだ。
君の瞳を見つめる
こうするとなぜか君のことを理解できた気がするから
たとえ君が遠くにいてもいつも心と心は繋がっている
私はそれを信じてる
心と心
盾の向こう
鎧の中
仮面の下
閉じられた目が開くとき
耳を塞ぐ手が離れるとき
俯いた顔が前を向くとき
素直な言葉が発されるとき
それが正しく受け取られて
自分も正しく受け取るとき
目が気持ちを表現して
相手の目をちゃんと見るとき
そんなとき、心はひとりぼっちにならない
そんなときなら、「心と心」だ。
「心と心」は現実を創る
痛みに出くわすこともあるし
根性と馬力が必要なこともある
切れれば痛いし、衝撃には泣きたくなる
丁寧に敬うことが必要なときもあれば
粗野を以て熱量を表すことが最良な場合もある
「心と心」であれるなら、「信頼」が間を繋いでいる。
「信頼」に寄り添うものなら、少なくとも「温度」もある。そのまま受け取るか、解釈を洗練するか、その選択は自分の心次第だ。
できる限り、自分の真実を明るくよろしく愛せるものにしたい。
人間だけどがんばる。
人間だからきっとがんばれる。
心と心
通じ合う的な…?
心と心かはわからないけど、
とっさに、同じことを考えたり、
同じ言葉を発したりすることはある。
今、同じことを考えてた…!みたいなね。
そう言うことではないのかな…?
難しいな…。
心と心と言われても、
ピンとこない自分は、
まだまだ未熟なのだろう。
paki
〚心と心〛
ハチ公の銅像前で友人と待ち合わせ中
隣りに座っている老人と、ハチ公の会話が聞こえてくる
「おじいさんも誰かを待ってるの?」
「ここに座っていると、どこからともなく今は亡き妻が現れ、話しかけにきてくれるんじゃないかという気がしての。」
「そうなんだ。僕もずっとここで飼い主を待ち続けてるんだけど、全然現れないんだ。
おじいさんはどうして亡くなった人のことを待ってるの?」
「遠くにいても、心と心が繋がっていれば必ず会えるというものさ。私はそう信じておる。」
しばらく沈黙が続いたあと、ハチ公が一筋の涙を流した…ように見えた
「恋と愛で『下心と真心』、ことわざなら『魚心あれば水心』、類語なら『核心と中心』……他には?」
題目そのまま、「心と心」でネタが浮かばぬなら、言葉を少し足してしまえばよろしい。
某所在住物書きは硬い頭をネット検索でごまかしながら、アレはどうだ、コレはどうだの列挙と却下を繰り返している。
「……そういえば」
物書きは閃いた。
「心が付く食べ物あるじゃん。『点心と心太』……」
点心は容易に「テンシン」と読めるのに、「心太」と書かれても「トコロテン」に辿り着けないのは自分だけであろうか。
――――――
昨日の昼休憩中、職場の休憩室で観た情報番組で、
職場の先輩がよくお世話になってるお茶っ葉屋さんのゆず餅が紹介されてた。
稲荷神社のご近所。エキノコックスも狂犬病も気にしなくて良い看板狐がいるお店だ。
そのゆず餅、どうも冬至の期間限定品、かつ稲荷神社で収穫したゆずを使った、数量限定品らしくて、
味が気になった私は、今日のお昼休憩と時間休を使って、お茶っ葉屋さんに、行ってみることにした、
が。
「いらっしゃいませ」
結構メジャーな情報番組で取り上げられて、
そこそこ人気あるタレントさんが番組内で看板狐を撫でてたのに、
店舗は放送前と全然変わらず、お客さんが居ない。
「お得意様の、後輩さんですね。存じております」
よくある「番組で紹介されました!」みたいなポップのひとつも無ければ、ロケ中に撮った写真が飾ってあるわけでもない。
「なにか、お探しですか?」
店内には、いつもの女店主さんと、店主さんに抱えられて尻尾ブンブンお目々キラキラの子狐だけ。
放送前後で、何も、ひとつも、変わってない。
それが、私にはすごく不思議に見えたし、
なにより店主さんの言葉が不思議だった。
「昨日のテレビ、観たんですけど、」
「それはそれは。ありがとうございます」
「そのわりに、お客さんが、なんというか」
「『少ない』?ごもっとも。
『狐に化かされて』辿り着けないのでしょう。なにせここは稲荷の茶葉屋。狐は会う人間を選びます」
「はぁ」
「子狐が言うております。『点心お餅と心太風わらび餅買って』と。『今朝頑張って作った』と」
「狐、しゃべるんですか」
「勿論。ほら、言うております。『点心と心太、心の傷と心の疲れに効くから買って』と」
「はぁ……」
稲荷神社のひとが経営してる茶っ葉屋さんだから、不思議系神秘系がコンセプトなのかな。
ハテナマークがポンポン湧いてくる私は、だけど時間休のタイムリミットもあったから、
ひとまず勧められた小さい点心セットと心太風わらび餅と、それから例のゆず餅を貰って、ひととおり看板狐の子狐を撫でくり回して、お会計。
得意先である先輩の後輩、ってことで、オマケに心太風わらび餅の試食を店内で食べさせてもらった。
(……普通にわらび餅、おいしい)
番組に取り上げられるだけあって、それから先輩がヒイキにしてるだけあって、
きな粉と黒蜜付属のわらび餅は美味しいし、
たしかに、日頃の疲れがよく抜ける心地もする。
「お買い上げ、ありがとうございます。またのご来店お待ちしております」
わらび餅を食べ終えて、お店から出ようとしたら、
「あぁ――それから、ひとつだけ」
茶っ葉屋の店主さんが、また不思議なことを言った。
「明後日は、どうぞ『足元にお気をつけて』」
やっぱり不思議系、神秘系がコンセプトなのかな。
私は一応会釈だけして、お店から離れた。
その後、仕事終わって夜になってから、点心と心太風わらび餅の追加が欲しくなって、再度茶っ葉屋さんに行こうとしたけど、
どういうわけか、うまくお店を見つけられなかった。
#心と心
ココロとカラダは相性がいい
でもココロとココロは相性が悪い
だってココロはよくぶつかり合うし
ココロ同士は理解し合えないから
だから1番厄介で理解し合えたら
貴女の心が綺麗だという証拠
ところてん、それはトラウマ
幼い頃に初めて苦手と感じたもの
キライという感情を食べ物にさえも持ちたくなくて
もう一度挑戦してまたダメだった記憶が懐かしい
あの志は今の自分にも残っているのだろうか
童心と心太
人間の恋愛において、『心と心の繋がり』を求める傾向が強いように感じる。とくに女性は『心と心の繋がり』を重視する人が多いよね。
女性と男性の恋愛観はそもそも本質的に違う。
男性が狩猟本能、成果を上げる、目的をもって達成することを主とするのなら、
女性はコミュニケーションを大事にすることで子供や家族をまもる、というのが昔からの本能だからだろうね。
コミュニケーション、スキンシップで繋がることを大切にする。
でも『心と心の繋がり』ってなんだろうね?
そもそも人間ってそれぞれ個々の身体を持って、個々の考え、価値観を持って生きているのだから、『心と心の繋がり』っていうのはそもそも物理的にも生物学上にも繋がれないはずなのに。パッと見るとロマンチックな表現に感じちゃうのかな。
お互いの考え方、価値観を尊重して、理解し合うことを『心と心の繋がり』って表現するのかな。
もちろんパートナーシップを築くにあたって、お互いの生き方や価値観を尊重することはとても大事だと思う。
でも『心と心の繋がり』を重視しすぎてしまうと、それは依存に繋がってしまうことだと思うから、もっと違う表現って無いのかな。
『お互いのことは大切だと思ってるけど、でも自分の事も大切。それぞれのことを大切にしつつ自分の人生も大切にしよう。』これじゃ長いね。
日本語と人間の恋愛って難しい。
「なんで電話に出ないの?約束したよね
遅くなる時は言ってって」
言われた側は気づかないかもね、
貴方の親がどれだけ心配をしてるか、なんて
ちょっと〇〇と一緒にいたことにしていい?
何度目?、それ、
貴方は男と2人だけの車が
どれだけ親にとって
心配か、、なんて分からないよね
すきにさせろよって
怒ってるくらいだもの
そろそろ貴方も自分の過ちに気づいて..
【心と心】
🌠「みて」
恋人が言った
それは とても
本当とは思えないような
星空だった
流れ星が
いくつも落ちた
なんでもないことのように
私たちはぴったりくっついて
それをみていた
満ち足りた
絶望のなかで
江國香織✨
「ウエハースの椅子」
🌠🌌🌠🌌🌠🌌🌠🌌🌠🌌🌠
よく漫画とかで主人公が、心の中で悪魔と天使がせめぎ合い
どちらかの勝利で意思決定する場面があったりする。
私の場合は、なまけ心とひねくれ心がいて
争いもせず、とっとと和解して決定するようだ。
おかしいな。確実にどこかで
少しは先のこと考えなくてはならないとか
このままではいけないとかって
聞こえてるんだけどね。
(心と心)
心と心を通じ合わせて…心を一つに……
この言葉が私にはずっとわからなかった。心という不確かなものをどう通じ合せれば良いのか、どう一つにまとめれば良いのか。
心を重ねろと言われても、相手と同じ気持ちになんてなれるわけが無い。心を一つにだってそうだ。同じ気持ちになれたら苦労しない。
いくら同じ目標に向かっていたとしても、人により熱量や思いれは違っている。どう頑張ったって同じにはならない。
だがそれを指摘すると屁理屈を捏ねるなと怒られた。理不尽だ。
きっと私は何処か壊れているのだ。人の気持ちに、心に共感するのが苦手だ。人間として本来備わっている筈の機能が欠落しているのだろう。だからまた「心が無い」などと言われるのだ。
そんな事を言うお前の方がないだろうに。私にだってそうだ心はある。だから今悲しいのだ。
***
我が家にロボットがやってきた。汎用型家事代行機能付きAI――通称メイドちゃん4号。
4号というのは、これが4世代目だからだ。1代目から3代目までの過去モデルは販売済で、どれも好評価を得て生まれた4代目は、3代目までよりも学習機能がパワーアップしている事、バッテリーが長持ちする事、家事だけで無く、育児や介護のサポートも兼任できるなどの利点がありうちにも一台やってきた。
育児、介護は元々専用のロボットが普及していたが、専用程の高性能さは無いもののある程度の仕事は出来る様になり、子供の家庭教師代わりにもなると人気が高いらしい。
うちには歳の離れた1歳の妹が居る。両親は妹の面倒を見させる為にこのロボットを買ったが、結局殆どの時間を私と共に過ごしていた。
両親が妹につきっきりの間、食事から風呂の準備、宿題を見るのも学校であったことを話すのも、ロボットから来てからというもの私の相手は全てこの子だった。
ロボットには名前を付けるのが一般的らしい。私は「ココア」という名前を付けた。理由は髪がココアみたいなこげ茶色だったから。ペットに付ける名前だって同じ様なものだろう。
ココアと私はすぐに仲良くなった。
学校で浮いていた私に出来た初めての友達。相手はロボットだ。私の事を好意的に思っているのも、プログラム。私に優しい言葉を掛けてくれるのも、プログラム。私をちゃんとしかってくれるのも、プログラム。
人間じゃ無い。心はない。全てが大量にインプットされた情報から導き出された答えを出しているに過ぎないのだ。
それでは人間は?人間は何をもって心があるとしているのか。どうして生まれながらに心があるのか。何故私は心が無いと言われるのか。
***
学校でいじめられ、泥だらけで帰って来た時に一番心配してくれたのはココアだった。濡れた身体を抱きしめて「大丈夫?怪我はない?」と聞いてくれた。シャワーの後は私の髪を乾かしてくれた。硬い指がその時は温かかった。
道端で轢かれて死んでいた猫を見て「可哀想」と言ったのもココアだった。道行く人が見て見ぬフリをする中、真っ先に駆け寄りその遺骸を道の端に寄せた。 何処かに電話をかけ、専門の人が遺骸の回収をする迄待っていた。最後まで「可哀想な猫さん。天国で安らかに眠ってね」と、見ず知らずの猫に声を掛けていた。
街に出た時、道に迷って困ってる外国人に声を掛け助けてあげていた。
別の日、重たい荷物を持っていたお年寄りに代わり荷物を持って階段を登っていた。
信号の無い横断歩道を渡りたいのに車が止まらず渡れない子供の為に、車を止めて渡らせてあげていた。
全てがプログラムなのかもしれない。だけど全てが人間より優しく心のある行動だと私は思う。
それを周りに言っても「ロボットだから、プログラムされてるだけ」と当たり前の行動だと言われ、ココアも「私はロボットなので心はありません」と言って笑うのだ。こんなにも優しい心を持っているのに。それは心じゃないらしい。
私には心がわからない。「お前には心が無いからわからないんだ」と言われたのをずっと覚えている。でも私にだって心はあるから、その言葉がずっと刺さっているんだ。
何故心があるのに人を突き刺す言葉を言えるのか、私には全く理解出来ない。きっと共感性が乏しい所為なのだろう。やっぱり心が無いのだろうか。
私の周りより優しい心を持ったココアにはある様で無い心。私が持っているつもりで周りには無いと言われる心。周りが持っていて、私を傷付ける心。
心の在処は、存在は、何をもって在るとするのか。
私には未だにそれがわからない。わからないけど、誰かを傷付けるものなら、私は無くたって良い。
ココアの様に心が無くても優しく出来るなら、無機質でもプログラムでも、きっとその方が良いに決まっている。
#心と心
心と心
心とカラダ
カラダとカラダ
いちばん厄介なのは心と心だな
いちばん結びつけたくない
冷えた風が渡る、丘の上。
月のない夜空にちらほらと光る埃のような星々を、彼は飽きもせず見上げている。
「いつまで、そうしているの」
呆れたように、母親のように、彼女が口を開く。
立ち尽くして疲れたのか、全身を軽く揺らしながら。
そんな彼女に視線だけ向けて、彼は済まなそうに微笑んだ。
「流れ星を、探しているんだけどね」
「——流れ星……」
声の調子で、彼女の呆れの度合いが上がったのがわかる。
そんなの見つけてどうするの。
言わずとも、彼女の顔にはそう書かれていて、彼は苦笑する。
「流れ星に祈ると、願いが叶うんだって」
大昔の書物にそう記されていたと、彼は内緒話をするように声をひそめた。
彼女は溜息をつく。
「またそんなことを——もう真偽はどうでもいいけど。
で? そんな言い伝えにすがってまで叶えたい願いって、何よ」
「言ったら、叶わないんだけど……。
でも見つからないし、いっか」
軽く肩を竦め、彼はまっすぐ彼女に向き直った。
「君の心が欲しいって、お願いしたかったんだ。
君ともっと心を通わせたい。同じ気持ちでいられるように、って」
「——はぁ……?」
真摯な眼差しをもって伝えた彼の言葉は、彼女には響かなかったらしい。
彼女は大きく息を吐いてかぶりを振った。
「心って——所詮、記憶と事象に対する感情発露と、その蓄積じゃないの?
えーっとつまり、私のそれを同期すれば、君の望みは叶うのかしらね……?」
そんな機能あったかしら、そもそも私の記憶データベース深度はどの程度なのかしら、と彼女は頬に手を当てて思考を巡らせる。
「うーん、中枢システムにアクセスしないとわからないわね。
——とりあえず、帰りましょ」
うん、と彼は頷いて彼女に従う。
軽くスキップでもしそうな彼の足取りに、彼女は首を傾げる。
「何で、そんなに嬉しそうなの」
「……君の心に、もっと近付けそうだから?」
はぁ? と彼女は再び眉根を寄せて。
ほんっと、ヒューマノイドって意味わかんない、と——
それでも彼につられたように。
彼女も楽しそうに、口角を上げて呟いた。