『微熱』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
微熱
微熱ほど人を悩ませるモノはない
周りから「まあ無理しても大丈夫」、「大したことないから」って思われることも多い。
けど変に悪化したりとか移ったりとかしても嫌だし、まだ盤石そうに見えて実はとんでもない爆弾をもう既にかかえてるのかもしれない。
けど内情を知ってるのは本人のみっていうところも複雑だ。または、爆弾を抱えていることを本人がわかっていなかった時、一体どれだけの人が犠牲になるのだろうか。
諸刃の剣という例えが最も相応しいのではないか。
微熱
微熱、微熱
どれも全部微熱で熱中しなかった
なんでもかんでも冷めてって
一つだけ熱が残って
縋れるだけの脆弱者を願っている
少しだけ身体が熱い。
ズル休みする気にもならないくらいの。
誰かに不調を訴えるほどでもないくらいの。
私の中にある、私だけの、この、微かな熱を。
私はこの僅かな時間、少しばかりもてあましている。
私以外の誰のものにもならないのに。
#微熱
【微熱】
昔のような熱量はなく
かと言って
達観した訳でもない
微熱
あなたがそんな、熱をはらんだ目で見つめてくるから、私の体温はまた、0.1℃、上がったようで。
続く微熱のように、じんわりと熱がこもったまま、逃がしきれない。
この熱は上がりきってしまえばどうなるか、予測もできない、ただわかっているのは、身を滅ぼす、ということだけ。
なのに、この微熱のもどかしさに、身体が、疼く。
どうにかしたい、どうにかしなきゃ、
どうにか、
どうにか、して、ほしい、
我に返ったときにはもう遅い。
同じ熱をはらんだ目に、あなたが気づかないはずもなく。
弧を描いたその唇から、熱を共有するまであと、1秒ー
幼い子供は、基本的に子供体温のはず。
なのにこの子は布団に入っていても脚が冷たい。使い古された言い回しをするなら、まるで氷のよう。
お医者さんいわく、この子の内臓は死んでいる。だから。
私はこの子の冷たい脚に少しでも熱を与えようとした。自分の足を絡めすり合わせる。露骨に嫌がられて、さっと避けられる。
そっぽを向いてしまった背中を見ながら、頭の中で反芻する。
内臓が死んでいる。定年間際の先生から言われた言葉が、いつまでも頭から離れなかった。
寒い日は身体全体がかじかんで痛いのです。私は、自分の指先に息をかけることに集中して前のめりです。そこで貴方は私に声をかけます。そして私は、貴方に触れて初めて自分が少し熱をだしていることに気づくのです。
赤く染る冬空
僕は君を抱き
しめる
炎の中に居る
様に
僕と君が
真っ赤に
染る
君は目を閉じて
僕の胸の中に
顔を埋める
この世界の中で
君と出逢えた事
僕は幸せだと
思う
夕日で染る
冬空は様に
僕の心も
赤く染る
生まれ変わっても
君と出逢いたい
お題『微熱』
なんだか朝から体調が悪かった。少し頭が痛かった。鼻水が出ていた。
でも、仕事、誰も代われないしな。なんて思いながら、レジに立っていた。
ズキズキ痛む頭を感じながら、決まり文句を言う。
少し、ぼーっとする。
ぼんやりしてる私に、いつものお客さんはそんなのお構い無しに話しかけてくる。必死に言葉を選びながら、会話を交わす。
あと何時間で終わる?
くらくらする。
早く、終わらないかな。
貴女と夫婦になって暮らすことができていたら、どんな日々を過ごしたでしょうか。
XXXX、微熱があるみたいですね、とおでこをこつんとぶつけ、貴女は心配そうに俺と目を合わせます。
俺が、大丈夫です、俺はそうそう倒れたりしませんと言うと、貴女はくすりと笑い、優しく俺の頭を撫でます。倒れてからでは遅いのですよ。そんな鼻声では、もう体調を崩しているのは確実ですね、風邪引きさん。今日早く寝なさいね。
そんな妄想に耽るような、愚かな真似はしないと思っていたのに。貴女が俺の言葉を聞いてくださるようになってから、俺の欲は深まるばかりです。恥ずかしいですが、そんな俺を許してくださいますか。
熱がある気がする
なんか顔あつい
動悸が激しい
熱があると言い訳をしていた
本当は熱なんかなくて
君が横にいたからなんだ
自分勝手に生きたら嫌われて独りぼっちになってしまうかも、とか思ったけど
他人に気を遣ってばかりで自分を犠牲にしていい人演ってる時だって孤独だったじゃん。
微熱
左手がものすごく暑かった。空気はめちゃくちゃ冷たいのに。寒くて仕方なかったはずなのに、ほんとうに暑かった。どっちの熱かも分からなくて、まるで発熱してるみたいで。もしかして嫌かなって思ったけど離れたくなかったから何も言わなかった。
「今日、うち来る?」
質問を頭で理解した瞬間に耳が赤くなるのをはっきりと感じる。顔を見れなくて上手く返事も出来なくて、とりあえず伝わるように頷いた。
左手がぎゅっと掴まれて逃げ場のない熱が全身に籠る。
家までのあと少しが今日は嬉しくてでも恥ずかしい。
突然おでこに冷たさを感じて体が跳ねた。
当てられている反対の手はすごく冷たい。
どうしたらいいか分からなくて自分の手をその上に置いてみる。
「顔、真っ赤。」
そう言ってはにかんだ笑顔がほんとうに素敵でやっぱり好きだなぁって思ってたら、目の前の顔が耳が少し赤くなった。
「声に出てるよ。」
私のおでこに当てられた右手がいつの間にかものすごく暑かった。
自分でも気付かないのに
よく気が付いてくれるね
_微熱
悪いこと言わない。風邪薬飲んで寝ろ。毛布にくるまって布団かぶって。
微熱で済んでるうちが花。そのうち喉にきて鼻にきて、起き上がれなくなるんだから。
「微熱」
「微熱」
お飲みなさい。この薬を。
目が覚めた頃には
きっと…アナタが望んだ
恋の世界が待っているはずよ
それが微熱の恋か
それが高熱の恋か
それがドロドロの恋かは…
アナタの微熱度にかかっているわ…
『微熱』
疲れた。今日は何度も凡ミスをした。本当に些細なミスだ。大きなミスではなく本当に数の数え間違いだったり、誰にも迷惑はかけていないが、それでもミスはミス。金曜ともなるとストレスが溜まっているのかと思った。
「中野くん、大丈夫?」
「え?」
パートのおばさんに声をかけられて、ハッと我に返った。退勤時間を過ぎてもボーッと自分の席に座ったままだった。
パソコンの電源を落とし、広げた資料を片付け、飲みかけのコーヒーカップを給湯室に持っていく。なんだか目も疲れている。パソコンの画面を眺め過ぎたのか、頭も重い。
置いてあったスポンジに洗剤をつけようとして洗剤のボトルをシンクに落とした。本当に今日は疲れているようだ。コーヒーカップを洗い、カップを伏せると、鞄を持ってトレンチコートを腕にかけた。
朝は寒かったんだが、オフィス内は暖かい。外に出る時に着ればいいと思った。
秋は物悲しい。人恋しいとでもいうんだろうか。スマホを取り出し、こんな時にだけ連絡を取る奴にメッセージを送った。
『今から会えるか?』
彼女との関係は単純なものではない。会う度に体を重ねているが恋人ではない。昼間明るいところでデートなどしたことがない。
彼女とは大学のサークルの飲み会で会った。その頃はお互いに恋人がいたから、恋人にはならなかった。だが社会に出て、お互いに恋人と別れても、恋人にはならなかった。
恋や愛なんて感情はない。好きで仕方ないなんて思ったことはないし、彼女も恋人になってくれとは言ってこない。
恋人になったら末路は結婚か別れの二択しかない。だが名前のない関係であれば結末など気にすることはない。
いつ終わってもいいとも思うし、永遠に続けたいとも思う。
『今仕事終わったとこ。渋谷でいい?』
彼女からの返信がきてホッとする。人肌が恋しかったのか、それともこんな時だからこそ気を遣わなくていい彼女に会いたかったのか。今日に限って回転の悪い頭は、その二択ですら答えを出せない。
「お待たせ」
「いや、今来たところだから。飯食う?」
「だね。お腹すいた」
適当な居酒屋に入って、生を二つ、続けて焼き鳥やサラダを頼む。
「ここの焼き鳥、ちゃんと炭で焼いてるみたい」「そんなこと分かんの?」
「分かるよ。炭の香りがして美味しい」
「そんなもんか」
どうも今日は感覚が鈍い。味も香りもぼんやりとしている。
「いくか」
「だね」
腹が膨れると、いつものホテル街へ向かう。どこのホテルがいいと決めているわけではなく、空いているところに適当に入る感じだ。
長居はしない。終われば少し休んで帰るんだから、こだわりもない。
「風呂、一緒に入る?」
「いいよ。アキくん今日は甘えたい感じ?」
「ん、そうかもな」
そんな曖昧な回答にも、ふふふと笑って流してくれるのが心地いい。
彼女の胸に顔を埋めると、なんだがとても安心した。なめらかな肌と、彼女の吐息、柔らかい感触。
「ねえ、アキくん体熱くない? お風呂に入ったからかなって思ってたんだけど、終わってもずっと熱い気がする」
「そうか?」
「熱測ってみる? 体温計あるよ」
「そんなの持ち歩いてんの?」
ピピピピピ
「うん。微熱だね。37.2度」
「そうか」
今日の頭が働かない感じも、ミスも目の疲れも、感覚が鈍いのも、全部熱のせいだったのか。
「送っていこうか? 近くだったよね」
「ああ、うち泊まってけよ」
「え? いいの?」
彼女を部屋に連れて行くのは初めてだ。彼女どころか誰もこの部屋に入れたことはない。
彼女は帰り道、コンビニでスポーツドリンクやゼリー、カップ麺のうどんを買った。
彼女には俺の部屋着を貸して、風邪がうつるかもしれないが、狭いシングルのベッドに一緒に入った。
夜中に熱は上がった。彼女は洗面器に氷と水を用意して、額に冷たいタオルを乗せてくれたり、上体を起こしてスポーツドリンクを飲ませてくれた。
朝になる頃には熱は引いていたけど、一人きりじゃないことが嬉しかったし、救いになった。
「なあユカ、俺と結婚しない?」
「うん。いいよ。それっておはようより先に言うこと?」
「まだ寝るからな。次起きた時に言う。それとユカ、ありがとう。夜中起きてたから眠いだろ? 一緒に寝よ」
「うん」
微熱で気付く恋があってもいい。
(完)
微熱
ふわふわ、ふわふわ、うかされる。
ふわふわ、うかうか、かんがえごと。
ふわふわ、ぐうぐう、おなかのむし。
ふわふわ、うとうと、うたたねを。
ふわふわ、とんとん、おやすみなさい。
俺は今日すごいだるい。とにかくだるい
とにかくサボりたい一進で保健室にむかった。
そこには思い寄せる先輩が隙間からさす光を背に
座っていた。
ぐんとそばによる先輩。。
「大丈夫?顔赤くして…。熱図ろっか!」
ピピー
「…微熱っすねw」
顔の赤みよはやくひけ
朝、いつものように君を起こしに行くと
君は熱をだしていた
「37.3℃」
微熱という熱をだした君はいつにもなくぐずり、可愛い
君の頭を撫でながら、君が眠るのを待つ
眠ったのを確認して、眠った君の額にキスを落とし、
「俺は君のこと愛してんだから、早く元気になれよ」
そう言った
「微熱」
_黒川羅希