『微熱』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【微熱】
「あつい」 そう言うと彼はまたからかってくる
彼の冷たい手が私の頬に触れる 彼はまた笑ってる
「あつい」 これはきっと熱があるんだ
きっと顔が火照るのも熱のせい
だから彼なんかに照れてなんかいないんだ_
なんとなーく体がだるい。
首を触ってみるとちょいとぬくい。
……熱? これは熱なのでは?
わくわくしながら測ってみると、なんと微熱。
熱じゃないんかーい! と思いながらも熱は熱なので、お母さんに微熱があるから学校休むと伝えてお布団に戻る。
なんとなくだけど微熱が気持ち的に一番辛い気がするんだよね。
しっかり熱が出たらもう寝るだけって思えるし、開き直れる。
微熱は中途半端な元気があるから、寝てていいのかな学校休んじゃって良かったのかなって思っちゃう。
そういう罪悪感がちょっぴりストレスなんだよねえ。
……あー、なんかお腹空いてきた。
朝ごはん食べて寝よ。
本格的な熱にはしたくないからね。
数年ぶりに君に会った。
君は相変わらず天真爛漫で、よく笑い、楽しそうに話した。
会わなかった何年かの空白を全く感じさせないようなその様子に、私は随分安堵した。
会って話をしたのはほんの数分だった。
君は再会を喜び、私ののんびりとした相槌にきらきらと笑い、それじゃあね、と言ってお別れをした。
唐突に現れては風のように去っていった。
そうだ、君はそんな人だったね。
その距離感が私にとっては心地よかったことをじんわりと思い出した。
君がいなくなって私はまたポツリと一人残される。
静かに佇んで君が残していった余韻を楽しむ。
別れ際君は、またゆっくり話をしようと言った。
君は嘘をつかない。
きっと近々、必ず会いに来てくれるのだろう。
まだ、心臓がドキドキしている。
ほてった頬を冷ますように、私はゆっくりと歩き出した。
『微熱』
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」より
人より努力が報われるまでの時間が長いと思う。だから人の500倍努力しなければならない、とも思う。でもやっぱりそれは少々苦しくて、耐えきれなくなるときがある。泣いても泣いても何も変わらないから分からない。でも、やめることだけはできなかった。いや、しなかった。もう戻れなかった。進むしかなかった。いつか何かが変わるのか。いや、変えるんだ。大丈夫、まだ心は死んでいない。
微熱を孕んだ瞳で私が見据える景色は、今。
久しぶりに風邪をひいて微熱だった。
和人先輩怒ってるだろうな微熱だったら。
私と和人先輩は出会ったのは、初めて部活の時、失敗する私に優しい推してくれてゆりなちゃん大丈夫?』
私はこの時、恋をしたでも同時に微熱みたい暑さに体を襲われた。
私こう解釈をした微熱という恋の熱なんだと思った。
『大丈夫?ゆりなちゃん風邪大丈夫?』
はい微熱なので、大丈夫ですそれなんで和人先輩いるんですか?』
『ゆりなちゃんお母義さんと下で合って、
入れってもらったんだ』
『そうだったんですね部活の試合が大丈夫ですか?私が風邪なんてひいてごめんなさい』
『サッカー試合勝ったよみんなゆりなことを心配してたよ後そんなに謝らないでゆりなちゃんの作戦で勝てたんだから。』
私のこの恋の微熱は踏みとどまりません。
終えてもう二年経つのにどうしても幼い微熱を下げられなくて
夜、十一時、テレビのシリアスなドラマを見ながら、熱い珈琲を一口飲む。
シリアスドラマに見入ってしまって、熱い珈琲が冷めていた。
微熱。
それが俺の頭に、流れ、消えた。
微熱
頭も痛い。
体も重い。
全てがダルい。
けど、君が慰めてくれる。
ずっと隣に居てくれる。
大好きと言ってくれる。
こんな日も悪くないかもしれない。
目が覚めた。
しばらく寝ていたらしい。
さっきまでの夢、いや妄想?が恥ずかしくなる。
顔が一気に熱くなる。
でも、それは微熱のせい。きっとそう。
あいつが私を好きにさせてきたのが悪いんだから。
会いたい。
ことん。
「あっ……」
小さい声に反応して振り返ると、テーブルからマグカップが落ちていた。
今の床はカーペットを敷いていたから、特に割れることもなく重い音が響く。
転がったマグカップは空だったから、特に汚れなかったが反応できない彼女に少し驚いた。
俺はマグカップを拾って彼女を見つめると、どこかふわふわしているように見えた。
俺は迷わずに彼女を抱きしめると、彼女は俺に身体を預けてくる。
うーん、温かいなー。
と言うか、ちょっと熱いかな。
「今日の予定はー?」
「お仕事ですけれど……?」
彼女は責任感が強い方だから、何かあると無理してしまう。それが分かっているのに、微熱のある彼女を仕事に出すのも気が引けた。
だから、俺のせいにしてもらおう。
「今日はお仕事お休み。軽くだけれど熱があるよ」
「え。でも迷惑かけちゃう」
「悪化して身体を壊したらもっと長引くよ」
俺を見上げながら、おろおろとしているのが分かって、また可愛い。
「医者の俺が言うんだからダメです。今日はお休み! 仕事行ったら無理しちゃうでしょ」
キッパリと言い切ると、彼女視線は泳ぎまくる。
「そ、そそそ、そんなことナイデスヨ」
裏返った声は、予測を確信に変えた。絶対、そうでしょ。
「だーめ。俺が無理したら心配するし、怒るでしょ? 俺も同じだからね」
それを言うと、彼女は言葉に詰まった。
そして唇を尖らせて、涙目で見上げる。熱のせいでほんのりと頬が紅くしているから尚更可愛い。
「じゃあ……」
彼女はぎゅうっと俺を抱きしめてくる。多分、寂しいのだろうな。
「今日はお休みします」
安心を伝えるように、彼女を抱き締め返した。
「うん。俺も今日は早く帰るからね」
そう伝えて、額に唇を乗せる。
やっぱり熱いから休ませて正解!
おわり
一九四、微熱
“微熱”
彼の動く眉、彼の高く綺麗に通った鼻筋、彼の舞うような身振り手振り、彼の不揃いな髭、彼が脱ぐジャケットとダウンの擦れる音、彼の教科書ページを巡るごつごつとした指、彼のペンを持つ手、彼のあまりにも聴きやすすぎる声。少し彼のことを思い出しただけで、こんなにも好きなところが溢れ出る。
どうしてわたしは14歳も上の男性を、こんなに愛おしいと思ってしまうのだろう。
いや、しかしそうではない。
14歳だからこそ魅せられる、余裕に溢れた彼だからだろう。だとしても、彼が愛しくて仕方がないのは、変わらない事実だ。好きだということも、愛おしいと思うことも事実。では、胸の鼓動を感じるのはどうしてだろう。寝不足による、動悸だろうか。
いや、しかしそうではない。
わたしは、最初から、恋の“微熱”にやられていたのだ。
全てはこれで片付く。私から彼への、今は報われない、一方的な恋の“微熱”であるということに。
微熱
風邪の始まりから恋の始まりまで、様々な表現ができる器用な単語。勝手にそう思っている。
ヒトの体温は平均が35度後半が平均だったり子供は36度後半だっけ?とりあえず日頃から34度後半の俺が37度ちょうどくらいの熱が出る時めっちゃ辛い。36度後半平均のやつがちょっと熱出て37度よりも通常時から3度分くらいあがる俺の方がしんどい。気がする。
いやもちろん日頃から体温高い人もしんどいよなごめん調子乗りました。みんな違ってみんな辛い。風邪?しっかり休んで。
ところでこう言う日って幻覚見るよな。
体調おかしい日って意味な。
「名状し難い形のりんご持ったお嬢の幻が……」
「本人ですわよ」
「笹本さんのうさぎりんごは…?」
「可愛かったので私が全部食べました」
「あんな可愛いのに!?」
「変色して夏の野うさぎ状態だったので……」
「それはそれで見たかったかもしれん」
「いや早く食べてくださいよ勿体無い」
枕元に置かれていた皿のリンゴは全てお嬢が平らげたらしい。
ほんとだ一個もない…みかんくうか。
この家いつでも何かしら食べて良い果物あるからすげーよな。
枕元の果物カゴから取ってもきもきむき始めたらお嬢はお嬢で林檎を食べるらしく、自前の刃物で新しくむき始めた。こいつお嬢様の癖にわりとなんでもできる。皮剥きの手の動きも滑らかだ。
掃除も料理も風呂焚きもできる。
屋敷の大きさに住んでる人間の数があってないから、やることが色々あるかもしれない。
あと『花嫁修行の一環です』つって裁縫と薙刀術と剣道と弓道と馬術もやってんだっけ。
裁縫以外なんか違くね。椿財閥はどういう相手を求めてんだ。
合戦とかすんのか。
まぁ陰陽師だから。俺まだ柔軟しかしてないけど。
いつか俺も求められるのかな。
まぁ俺ある程度1人で対処できる技術を身につけたら普通の大学行って普通の企業に就職するつもりだけど。オバケ関わりたくないから。今世話になってるだけで。
いつかは独り立ちをするのだ。
そうなるとこんな風に、誰かと過ごす時間てのがないんだろうな。
それはありがたい事だ。幸いだ。
1人は落ち着く。1人が落ち着く。
みかんがうまい。寝ながら食うの行儀悪いけど調子悪いから勘弁してくれ。
「今はどうですか、体調は」
「しにそう」
「氷枕変えますね」
「ん」
「石蕗が、だいぶここに慣れたから気が抜けたんじゃないかって言ってました、それならいいかと思って」
そうなのか。わからん。慣れない所って緊張するよな。
疲れが溜まってる感はあった。また違うのか。
わからん。俺の胸中を察する事なくお嬢はちいさくはにかんだ。
「……へぇ」
「あんまり辛かったら言ってくださいね、坐薬があるので」
「それならいいかってそういうこと!?!?」
気が抜けるくらいの間柄なら坐薬もいけるだろうってこと!?
まだまだ普通に恥ずかしいですけど!?!?
絶対坐薬の世話になりたくない。
死ぬ気で治した。
みんなも気をつけてな。季節の変わり目とかな。
ばいばい。
ごじつかひつします
微熱
あぁ、微熱だ
1年前からずっとずっと
下がることを知らぬ存ぜぬ
ぎゅぅっと私を苦しめる
熟れた林檎のような頬に
煮詰めた飴でおめかしを
震えて凍える小さな声に
蜂蜜れもんの大きな加護を
あぁ、わずらわしい、煩わしい
上がって上がって下りきらずに
とくとくじんわり
ひろがってゆく
もうそろそろ下がってなんて
これっぽっちも思わないから
綺麗に咲いた真紅の華に
そっと小さく口付けて
微熱出たっていったら
あの人は来てくれるかな
仮病使わなきゃ
会えないなんて
本当悲しい
窓辺から運動場に居る彼を盗み見る。木曜の三限、2年生は体育の授業である。いつの日かこの時間、彼を観察することが日課となっていた。つまらない古典の授業でクラスの大半が意識を手放しているこの空間は、暗く重い雰囲気が漂っていて、退屈以外の何物でもない。彼は陽光に照らされて、他の生徒とは違う異様な雰囲気を纏っており、自然と人の目を引く。俺はいつの間にか彼を目で追うようになっていた。彼とは実は面識があるのだ。彼は弓道部の後輩であり、何回か言葉を交わしたことがある。と言っても、15人の後輩の中の1人であり、特に仲が良いと言うことはできない。
あれ、今日は居ないな。ある週の木曜日、いつも通り運動場を眺めながら思った。どうしたのだろう、休みなのだろうか。いいや、朝の部活動で顔は見た。ならば見学だろうか。体調を崩し早退でもしたか。悶々と可能性を考えていると、退屈な授業はいつも以上に長く感じられた。時計を睨みつける目に疲れを感じるほどだった。やっと鐘が鳴り、10分間の休憩時間を迎えた。俺はほぼ無意識で廊下を歩き、向かった先は保健室だった。保健室のドアの前で意識を取り戻した。中が気になるが用がない。悩みに悩んだ末、ここまで来たのだから覗かない訳にはいかないと思い、仮病を使おうと考えた。ドアに手をかけ、力を込める。中は思った以上に静かだった。それもそのはず、保健室の先生は不在であったのだ。俺は下手な芝居を打たなくて良いことにそっと胸を撫で下ろした。辺りを見回す。1つ、カーテンが閉まったベッドが目に止まった。そっと近づいて声をかける。やはり後輩の彼だった。体調が悪いのか、ゲホゲホと咳き込みながら
「先輩?なんでここに…どうしたんですか?」と尋ねてきた。
「あー、ちょっと用があったんだけど、先生居ないんだわ」俺はハハッと乾いた笑いをしてみせた。そして、続けて問う。
「お前はどうしたんだ?体育いなかっただろ。体調悪いのか。」
「ゲホッ、見てたんですか、?ちょっと風邪ひいたっぽいです。」
「そうか…開けるぞ」俺は返事を待たずにカーテンを開けた。純粋に心配な気持ちからだった。咳き込み方からもう帰らせてもおかしくないだろう。きっと先生に見せた時から病状が悪化しているのだと思った。しかし開けた瞬間、俺は後悔した。
「先輩、移りますよ…!」紅潮した頬で蕩けた顔を俺に向ける。俺の心拍は理由も分からず上昇した。
「お前熱計ったか?」平静を装って額に手を伸ばす。掌から伝わる温度で熱があることがわかった。手を離そうとした瞬間、その手を止められた。
「先輩の手、冷たくて気持ちいいですね…」ふふっと笑うその笑顔に、心臓がぎゅううっと締まる。
わけも分からず俺の顔は熱くなった。手を無理に引いて、へなへなと椅子に座った。顔を見られたくなく、手で顔を覆った。
「微熱、移ったかもなぁ」小声でそう呟いた。
多分この時からだ。俺がこいつを意識しだしたのは。
11.26 微熱
私が君のために英明であろうとした時間は君の人生を占領するには少なすぎて、自分の愛だとか君への侵略だとか、結局のところ、私は愚かでしかなかったのだ。
美しさは人を救うだろうか?
写真の中にいる彼女は私が覚えているよりも幾分か若く、そして引き攣った笑みを浮かべていた。隣にはおそらく祖父だと思われる若い男が同じように口の端を力ませて立っているものだから、なんだか可笑しくて鼻で笑う。きっとこれは彼女の成人式だろう。他の写真は家族全員で撮ったものもあった。あの女にもまさかこんなにも純粋な時期があっただなんて笑えてしょうがなかった。そうだ。彼女も、私も、果てはその他でさえ実際ただの人間でしかなかったのだ。何を恐れていたんだろう。あの時の私にもし会えるなら、この写真を見せてやりたかった。一皮剥けばおなじ肉塊だと。
彼女が私のものでは無い時、私も私のものではなかった。たとえ偽りでもよかった。私はただ一言、嘘でも愛してると彼女に言って欲しかった。でも彼女はある時私に告げた。「君のそばにいると楽だ」と。楽なだけだ。彼女は私を愛してはいない。同じ方向を向いていないことがこんなにも辛いとは思わなかった。この写真の一枚にでも共に写れたらどんなに嬉しいことか。
美しさは羨まれはすれども決して味方にはなってくれない。
いつか翳る光なら手が届くのだろうか。
永遠のあなたを夢の中でさえ焼き付けていたい。
燃え上がるように愛させてなどくれなかったから、あなたへの感情が私の体躯へ染み込んでしまった。
微熱に侵されている。
愛に。
虹蔵不見ともひとつだけ確かな色を捉る
微熱
微熱
いつもより高い体温。
人の温かさを感じられるこの熱が好き。
微熱は何度
小さい頃は平熱が低い子供でした。平均体温は36度以下でした。なので37度台はきついだけど、「それくらいの微熱できつそうにして」とよく言われていました。
それがコロナ禍になると、体温で行動を制限するのが当たり前になってきました。こうなると私とは逆の人、平熱が高い人にとっては、生活しづらい社会になってきました。
平熱も微熱も、状況によって変わっていくようです。記憶は変わっていませんが、意味は変わってきました。
もしかしたら、思い出す度に記憶の意味変わっていくのかもと、最近は思ったりします。
微熱…
数字で熱を直視したら一気に迫り来るダルさよ…
【ハッピーブルー】
9月1日、始業式の日。
誰もが憂鬱を纏い、去った夏を想いながら校長先生の話に耳を傾けようとしても、話が長すぎて退屈する日のこと。
案外、なんてこと無いのかもしれない。
みんなにとっては。
中には「やっとあの先生に会える」と喜んでいる人もいたりするかもしれない。
何だかんだ、みんな楽しみにしていたりするのだ。
けれど、私は違った。
もう憂鬱で憂鬱で仕方ない。
不安過ぎて消え去りたい。
とか考えながら、仕方なくポロシャツを頭から被る。
―――――――――――――――――――――
私の不登校は、去年(高校一年生)の12月から始まった。
あの時は勉強についていけなくなったり、人間関係が上手くいかなくなって、精神が崩壊しかけていた。
ボロボロになりながら、なんとか糸一本だけ残っているみたいな状況だった。
何もかも上手くいかない、そんな時に私は聞いてしまったのだ。
ある日の放課後、教室に忘れ物をしたので取りに行こうとした時だった。
「なんか、橋本さんってさ」
私の苗字が聞こえて、びっくりした。
「なんか、橋本さんってさ、
人と喋るの下手だよね」
「あ、分かる。
なんか、友達少ないんだな〜って。」
「なんか、あのちょっとノリ悪い感じ?
気まずいときあるよね」
「いや、別に嫌いじゃないし、
別に悪口じゃないんだけどさ?
なんかねー、って思ってさ」
私は拳を握りしめた。
ああ、私ってそんなイメージだったんだ。
悔しい、悲しい。
教室で会話をしている4人組は実に楽しそうに会話していた。
……許せなかった。
「別に嫌いじゃないし」って、
嫌いなんでしょ?
私は分かっていた。
こういう空気感のときに出てくる「嫌いじゃない」も、「悪口じゃない」も、
全部嘘だ。
しかし、
友達少ないのも、人と喋るのが苦手なのも、集団行動が苦手なのも、
全部本当だ。
仕方ないじゃん、
友達との接し方なんてわかんないよ。
本当はここで面白いことを言えたら、
私の好感度は上がるのかもしれない。
気にしなければいいのに。
けれど、私にそんなことができる筈もなく、
忘れ物を置きっぱなしにして、逃げるように家に帰った。
家に帰ってから、自室に籠もって泣いた。
私、やっぱり無理だ。
もう辛い。
小学生の時にもっと友達を作っていれば。
私がもっと面白い人間なら。
もっとポジティブなら。
もっと有能なら。
あんなこと、言われなかったんだろうなあ。
高校生になって初めて宿題をサボって、
ひたすら泣いた。
翌日から、私は不登校になった。
もう限界だった。
中々リビングに来ない私を心配して、お母さんが自室の前まで来てくれた。
「大丈夫?どこか具合悪いの?」
「……もう、学校行きたくない。」
私は布団の中から言った。
その時のお母さんの「え……」という声を、未だに忘れられない。
ショックを受けたような、哀しい声。
その声を聴いて、私もショックを受けてしまった。
「上出来な娘じゃなくてごめんなさい」と思ってしまった。
―――――――――――――――――――――
夏休みに担任から「もうそろそろ、教室入ってみてもいいんじゃない?」と声を掛けられた。
正直、「はやく不登校脱却しろや」という脅迫としか感じられなかったけど、
確かにもう生温いことを言ってられないと思い、
2学期の始業式から普通登校を始めることに決めた。
とはいえ、まだまだハードルが高い。
保健室登校までは頑張れる。
でも教室には入れない。
入った瞬間「え、誰こいつ」という空気感になりそうで怖いのだ。
「あと10分したら車乗るよ―」
リビングからお母さんの声が聞こえる。
「……はーい」
憂鬱すぎる、今から取り消せないだろうか。
「なんだか微熱があるような……」と誤魔化せば、今日も休めるかもしれない。
いやいや、と私の中の私が首を振る。
ふと、東京での思い出が蘇った。
あ、そういえばおばあちゃんからお守り貰ったんだ。
こんなこと思い出してる暇なんて無いのに。
―――――――――――――――――――――
「海愛ちゃん、お守りあげるわ」
「え、お守り?」
「そう、これからも海愛ちゃんが楽しく暮らせるように」
そう言って、おばあちゃんは私に勾玉をくれた。
聡明な青い勾玉。
蛍光灯に照らされて、キラキラと光っていた。
「太陽の下なら、もっと綺麗に輝くんだよ」
―――――――――――――――――――――
あのお守りは机の引き出しにしまってある。
今日は、頼ってみてもいいかな。
私はお守りを机の中から探し出し、通学鞄に急いでつけた。
黒い鞄に青が輝いている。
同時に、私の心がすっと軽くなるのを感じた。
「太陽の下なら、もっと綺麗に輝くんだよ」
私はその言葉に惹かれ、やっと学校に行く決心をすることが出来た。
「まだ〜?」
いけない、時間が迫っている。
私は鞄を持って階段を降りた。
「おまたせ!」
外に出ると、太陽が嫌と言う程眩しく感じられた。
鞄につけた勾玉は太陽光が反射して、
それはまるで海のようにキラキラしていた。
私をちゃんと照らしていた。
(微熱。)🦜
あのね
僕達 すずめ、の
体温は普通で
42℃位なんだね。🦜
・人間、しゃん。
だったら
微熱、処では無いよね。🦜
(理由はね。)
「体温を、高く保つ事で
病原菌やウイルスから
身を守もれるし
冬でも、寄生虫を取る為に
雪浴び、が出来きるんだよ。」🦜
《ならば》
✢すずめ、は風邪を引か無いか
と言うと
やはり引くんだね。🦜
✢鼻水も出るし
クシャミもする。
✢雀が風邪を引くとね
肺炎になって
生命に関わるんだよ。🦜
【雀には、病院が無いから
危険なんだね。】
❞でも、僕が風邪を引いたら
優しい、叔父さんに。動物病院へ
連れて行ってもらうから安心なんだ。❝