『幸せとは』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
幸楽苑のラーメンはやっぱりうまい。澄んだ醤油スープ、麺の喉越し。これぞザ・ラーメン。
「あれ、もしかして、ラーメン研究家の」
後ろで囁き声がする。俺のことを話していると分かったが、構わない。今はこの一杯に集中する。ずぞぞぞぞ。
「こだわりの一杯を追い求めて北は稚内、南は波照間島まで駆け抜けた、あの伝説の」
薄いチャーシューは噛みしめるたびに旨みが増し、ナルトの渦巻きは一度入ったら出られないラーメンの沼を表しているといわれる。いわれてない。今思いついた。
「冷静沈着、クールな評論家だと思ってたけど。あの人、あんなに美味そうに食べるんだ」
そして何より、この寒い中ですする熱い一杯!
「ッハーーーー!」
幸せは白く熱い息となって冬の空へのぼる。
【お題:幸せとは】
「『幸せとは』……だろう?
『幸せと、はらいっぱい』とか、『幸せと、はなむけの言葉』とか、『幸せと、はるの気配』とか、書けそうだな、 とは思ったんよ」
実際13時頃に、「幸せと、はないっぱい」で1400字くらい書いてたんよ。某所在住物書きは投稿時刻が15時になった言い訳を始めた。
「登場人物の、AとBが、妙なチートアイテムで、過去の都内某所に飛ばされて、そこが本当は『さいわいの白百合畑』って呼ばれてたのに、人間によって踏み荒らされて、街に作り変えられちまうっていう。
……なんか違うなって」
結局そっから全部書き直してこの時間よ。
ため息ひとつ吐いて、物書きは呟いた。
「しあわせって難しいな」
――――――
最近最近のおはなしです。都内某所某稲荷神社の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、絶賛修行中。
いつか修行を全部終えて、稲荷の神様に神使として認められて、神様から「神使としての名前」を授かるのが子狐の幸せ……というのは建前で、
ぶっちゃけ、お母さん狐のごはんをいっぱい食べて、お父さん狐にいっぱい遊んでもらって、
それからそれから、修行の一環として売り歩いている稲荷のお餅がいっぱい売れて、お得意様におなかを撫でてもらえれば、
コンコン子狐、それで幸せいっぱいなのでした。
さて。
今日のコンコン子狐は、新しく取引先となった職場に正式に呼ばれまして、とってって、ちってって。
頼まれたお餅をどっさり仕込んで、新年最初の餅売り営業。脂肪燃焼効果が期待できる狐の薬膳をふんだんに使った惣菜お餅が飛ぶように売れます。
「キツネのおもち!いかがですか!」
ところで皆さん、去年の最後に会った時より、ちょっとぷっくり、いえなんでもありません。
「ごりやく、いっぱい!おもち、いかがですか!」
ぽっこりおなかは、幸せの証拠なのです。
幸せとは、子狐にとって、そういうものなのです。
「まいど、まいど」
さぁ、そろそろ、この取引先の一番の上客様のもとへ向かいましょう。 経理部のコタツとミカンのあるじ様、スフィンクスというビジネスネームの女性のもとへ向かいましょう。
「まいど、まいど!ミカンのおばちゃん!」
最後にコンコン子狐が、お餅の営業をかけたのは、
経理部の一角にあるコタツです。
コタツとミカンのあるじ。スフィンクスというビジネスネームのコタツムリです。
「ミカンのおもち、いかがですか!」
「おう。誰かと思えば、ゆたんぽじゃねえか」
コタツムリのスフィンクス、今年も相変わらず子狐を、モフモフ湯たんぽ呼ばわりです。
「今年も俺様に、ミカンの餅を献上しに来るとは。
感心感心。うむ、くるしゅーないぞー」
ところでスフィンクスのコタツで、いっしょにコタツムリしてるお友達さん、
ドワーフホトといいますが、色々、随分、熱心にお仕事してますね……?
「うぅ……みんな、私達に頼り過ぎぃ……」
なかば虚ろ目、なかば涙目のドワーフホトは、ぽんぽんぽん、ポンポンポン。
タブレット端末をスワイプしてタップして、またスワイプしてタップしてを、
ずっと、ずっと、繰り返しておりました。
「却下です、申請理由が不純、却下でぇすぅ……」
コンコン。ねぇねぇ、ミカンのおばちゃん。
おねえちゃんは、いったい、どうしたの。
「ウチの管理局に収蔵されてるダイエットアイテムの、貸出し申請の処理だとよ」
コンコン。だいえっとあいてむ、なんで?
「年末年始でみんな食い過ぎて、『どうせダイエットのチートアイテム使えば帳消しだろ』って、
収蔵課の、そっち系アイテムを片っ端から調べて、『こういう理由で今すぐ必要なんです』って。
あんまり申請が多いもんだから、俺様が開発した却下用のボットまで駆り出されてるぜ」
たべれば、おなかポッコリ。しあわせ。こやん。
「おなかポッコリで、不幸になるやつが多いの」
なんで、なんで?こやん。
「多分おめーも大人になりゃ分かる」
わかんないもん。なんで、なんで?こやこや。
「それより餅よこせ。例の脂肪燃焼効果が期待できる食材がたっぷり入ってるやつ」
餅売りコンコン子狐、疑問いっぱいで首をこっくり傾けて、だけどお餅が売れましたので、尻尾をビタビタ振り回します。
「1にち、1コをめやすにたべて、イッシューカンくらいでコーカがでます」
子狐がお父さん狐からもらった「説明書」を、一生懸命読みますと、
じゃあ俺様とホトの分とで14個、長期保存できるタイプのを寄越せとスフィンクス。
しめてガッポリ、大繁盛。
「まいど、まいど!」
コンコン子狐は幸せに、持ってきたお餅を全部空っぽにして、自分のお家に帰ってゆきましたとさ。
おしまい、おしまい。
こたつと一体になってテレビをボーッと見ていた。
外は風が吹き荒れて雪が窓に打ち付けられている。
猫が足元でぐるぐると喉を鳴らして、時計がコチコチとゆっくり時を進める。
騒がしいのは窓の外とテレビの中だけ。
家という隔絶された空間は安全だ。
心がかき乱されることも起きないし、他人が土足で上がってくることもそうそうない。
これが幸せなんだろうな…
猫がこたつからぬるりと出てきて、体をこすりつけてきた。
ふわふわの感触を頬で感じながら、うとうとと意識を手放す。
夢の中でも同じようにこたつにくるまっていた。
違うのは彼女がいたことだ。
ドラマを見ながら涙を流している。
懐かしくて見つめていると、恥ずかしくなったのか
「こっち見ないでよ」と鼻声でみかんを投げつけてきた。
僕は笑いながら近くにあったティッシュ箱を彼女に渡して、聞いた。
「家族もの?」
彼女は家族の愛情をテーマにした物語にめっぽう弱かった。
「うんまあ。」
鼻を噛みながら答える。
主人公が夢を叶えるために家出したが、悪いやつに騙されて借金をかかえ途方に暮れていたところで、家族が助けにきたシーンらしい。
「家族っていいねえ。」
彼女がこちらを見る。
僕はつい目を逸らした。
彼女の結婚願望が強いことは十分分かっていた。
年齢の問題もあるだろうし、周りも結婚する人が増えてきて焦っているのも知っている。
ただ、僕は責任を持って家族を作る自信がなかった。
もともと人との付き合いは嫌いで自由に生きたかったし、誰かの人生の責任を持つことが僕には重すぎた。
彼女のことは愛しているが、期待に応えられないのも辛かった。
「晩ごはん何がいい?」
彼女は重くなりかけた空気を取り払うように立ち上がった。
「今日は豚カツの気分かな」
僕もそれに合わせて明るい調子で声を出す。
「そういうと思って仕込んでたんだ!」
彼女はこちらを見ずに冷蔵庫を開けた。
彼女はいい奥さんになるだろう。本当に僕には勿体なさすぎる。
彼女の背中に向かって小さくごめん、と呟いた。
目が覚めると涙が流れた。
いつのまにか外は暗く、静かになっている。
猫はどこかにいってしまって、姿が見えない。
テレビはバラエティだったのがドラマに変わっている。
1時間くらい眠っていたのだろうか。
先ほど見た夢の余韻が続く。
今も十分幸せだ。
自由で不満もなくて、心かき乱されることも起きない。
彼女と結婚していたらまた違う幸せもあったのだろう。
何が正解ということはない。
幸せの形なんて人それぞれだし、その時々で変わる。
彼女とはあの後すぐに別れた。
そういえばもうすぐ結婚するって友達から連絡が来ていたな。
彼女も彼女なりの幸せを手に入れたのだろう。
こたつの上にあるみかんを手に取る。
自由である幸せを噛み締めながら、ぎゅっと握りしめた。
ペルセポネ
秋が進み木々たちは黄葉を身に着け始める。秋の葉を噛む想像をすると甘酸っぱい味が口の中に広がった。
あのザクロの味を思い出した。そしてあの美しい髪をも思い出してしまった。
ザクロ四粒分の月日、縛られたままだ。
連日同じ夢を見ている。
手を取り合いながら二人、海中に浮かんでいる。ここは薄暗く何もない。弾けて消えゆくあぶくが私たちを包んでいるだけ。
何もない、しかし全てがここにあった。
ここが私の全てだと思った。
突然あなたに強く腕を引かれ、向かい合う。とん、と軽く肩を押され体が沈む。沈んだ際に生まれた微かな風が私の黒く長い髪をふわりと押し上げ、あぶくが私たちを撫で包んだ。
光が降り注いでいる。あなたの長く美しいブロンドの髪は揺らぎ広がってゆく。降り注ぐ光と長い髪が光輪となり、微笑む様は女神の如く、ステンドグラスの前に佇む石膏と瓜二つ。あなたの瞳はどこまでも慈しみに溢れ透き通っていた。
熱心に祈りを捧げる誰かの気持ちを今しがた理解した。
瞠目する。 何に?
辺りを漂う己の髪が徐々に上昇してゆく。掴もうと手を伸ばしてみるも髪は指先をすり抜け揺れ笑う。引き千切ってしまおうと漸く掴んだ時、手の甲にそっとあなたの手が重ねられた。あなたは私の髪を手ごと掬い上げながら、光を含んだ美しいその目を細め、囁いた。私の名を。
見開く。息が苦しい。
海中ではなくベッドにいて、髪は枕に広がっていた。幸福の中を漂い、嘯くあなたを描き出し、飽きもせず底冷えするような朝をまた迎えた。
まばたきをしてぼと、と枕に涙が染みる。
彼女は、そんなことしない、彼女は、あんなこと言わない、彼女は、ちがう。
都合の悪い夢を見ている。
手洗い場の鏡に映る己の顔が酷く醜い。血の気が引いた青白い頬、震えるかさついた唇に、どこまでも黒い瞳。
――――あなたの髪、すごく綺麗。艶があって、透き通っていて、さらさら、揺れて……とても素敵ね。……そうだったの、生まれつきなのね。ああ、よく見たらあなたの瞳、綺麗なブラウン……美しいわ、とっても。
ああ、嫌だ、昔あなたに掛けた言葉を思い出してしまった。何が綺麗だ、何が美しいだ、何が。
勢い良く水を出し手のひらに溜めては顔に押し付ける。果てに溺れ死にたくなった。冷水で顔を洗っても気分は晴れない。髪を纏めることもせず水を浴びたせいで顔に、首に、纏わり付いた髪の感触が気持ち悪い。袖をまくっていなかったために布が手首に巻き付いてくる。
ぎょろりと見上げた鏡に映る重い黒髪。
――――バカみたいだ。
ハサミに手を伸ばす。切り刻んでしまいたくなった。
お揃いになりたかったのか、憧れたのか、それとも願掛けだったろうか。どちらが言い出したか始まりが何だったかは曖昧で、今更こじつける理由もない。ただ髪を伸ばしていたという事実があるだけだ。
これは失恋ではない。断じて違う。
ザクロを持ったあなたを迎え入れてしまったあの秋の夜。開いた窓に射し込んだ眩い月光が部屋を照らし、机に置かれたザクロを微かに照らしていた。吹き込む秋風にさらわれた髪を、あなたに捕らえられたあの時。噛み締めた四粒のザクロの味を、掬い上げられた髪を、綺麗だと囁かれたこの髪を、震える手に重ねられたあなたの手の感触を、名を呼ぶその声を、月の映ったブラウンの瞳を、瞠目する私が映ったその瞳を、愚かな私を、全て――――あれは、幻だった。
あれは、私が作り上げた虚構。
不都合な微睡みを知ってしまった。不都合な幸福を知ってしまった。その何もかもを断ち切って、あれは幻だと脳にメスを入れて、悪夢に魘される日々ともさようなら。
私に愛を囁くあなたなど。
付け焼き刃を握りしめてしまえ。
ざく、ざく。
できるならこのまま排水口に流してしまいたい。あの秋の夜のあなたの指も、目も、声も切り刻んで、零れる涙も切り刻んで。
ざく。
思い出してしまった。醒めてしまいたい。
ざく。
どうか、彼女の目が、喉が、腫れてしまいませんように。どうか彼女の身体がやつれてしまいませんように。どうか彼女の美しい髪が傷んでしまいませんように。どうか、二度とまやかしを囁くな。
ざく、ザク。
口にしてしまった。
全部、全部、悪い夢よ。
こんなにも醜い髪を褒める彼女なんて。
人々が言う「幸せ」など切り刻みたい。
幸せなんて不幸そのものよ。
――――ざく、ざく。
秋が終わる頃、髪を切った。
初出:2024/11/15
加筆修正:2025/01/05
例えば夕食をとって片付けもして本日の業務終了、後はお風呂入って寝るだけって時に、そこはかとない幸福感を感じますね。
何もない時間というのが貴重なのよ。
あと、推しが活躍すると幸せ。
段々と自主トレ情報が入ってくるようになり、供給が増えてきております。んふふ、幸せ。
幸せとは
私は今幸せだと思う
親の脛をかじって
美味しいご飯を食べている
隣にあの人がいないのは
将来別の人と一緒になる姿を見るのは
辛いけれど
きっと悲しみ、苦しみ
それらを知らなければ
幸せなんてわからない
観測できないと思うのだ
幸せとはなんだろうか。
楽しいことか、嬉しいことか、それとも笑っている時間だろうか。わからない。私には、今の私には、わからない。
ただ生きることに必死な今は。何も考えずにただ生きているだけの今は。充実しているとも言えないような今は。
時々、思うことがある。悲しい時に、辛い時に、寂しい時に、隣にいてくれる人が欲しいと。
今の自分が幸せかどうかなんて、わからない。でも、ふとした時に、
「あぁ、あの時は幸せだったな。」
なんて、思う時が来るかもしれない。
過去は変えられない。未来は変えられる。明日も、明後日も、幸せだと笑えるように、今日を生きる。幸せだと思える今日を。
幸せってなんだろう
幸せの定義は人それぞれで違う
健康といえる身体で
普通にご飯が食べられて
雨風凌げる家があって
寒さも暑さも和らげられる場所にいられる
それだけで幸せだと言えるはずなんだ
そこに欲望というものが重なると
幸せの定義が変わっていく
それは私も例外ではない
たまには美味しいものが食べたい
欲しいと思うものを手に入れたい
そんな欲が出てくるから
もっともっととキリがなく手を伸ばしてしまう
生きていける
それが本来の本当の意味での幸せのはずなのに
「幸せとは」
“しあわせ”という言葉を、おそらく人生で初めて、辞書で調べてみた。
広辞苑第三版 (昭和五十八年編纂 )では“しあわせ”の見出しには、“仕合”としか表記されていない。語義の説明の②として括弧書きで、“「幸」とも書く”という形で初めて出てくる。
入力時に変換候補にいつも挙がってはくるが、いまや“しあわせ”を“仕合(せ)”と表記する人は殆どいない。言葉は時代で変わっていくのだと改めて感じた。
広辞苑第三版
しあわせ[仕合]
①めぐりあわせ。機会。天運。
②(「幸」とも書く)幸福。好運。さいわい。また、運が向くこと。
ちなみに2008年編纂の第六版では、“幸せ”が“仕合せ”の次に独立して掲げられ、現状が反映されていた。
君を想いながらビスコッティを焼き
食べる音を聴いてるしあわせ
#120 幸せとは
なんなんでしょうね、
幸せって。
人によって違うのでしょうか、
幸せって。
私は全世界の誰もに共通する幸せが存在しないような気がします。
何が本当なのか分かりません。
命の数だけ増えるんでしょうか、
幸せって。
幸せとは
私は分からないよ。分からない
でも、親は私が生まれて、
『幸せ』と思ったのかな?
Q今はどうですか?
A,__________...
幸せとは
何も起きないことかな。辛いことがあれば良いこともあるとかいうけど、上げて落とされたり、落ちたところから上がったり、人生にジェットコースターはいらない。遊園地だけで十分。衣食住足りてたまに旅行とか映画とか遊びに行けたら幸せだけど、今はそれが1番難しいね。世知辛い。
幸せとは、私が決めること
みんなが自分自身で決めること
「はやく幸せになりたいなあ」
カフェで私の正面の席に座る友人は、そう言ってため息を吐いた。彼女は、最近彼氏にフラレたらしく、この台詞が口癖になりつつある。
「別に彼氏なんか居なくても、結婚なんかしなくても、幸せにはなれるじゃん」
どうも、この友人の中では『結婚=幸せ』であるらしい。それだけじゃないと、私は思うのだけど。
「でも、私にとって“幸せになる”ってことは“愛されて結婚する”ことなんだもん」
彼女は口をとがらせて抗議してくる。
この辺の考え方は永遠に相容れないかもしれない。
例えば、私にとって、彼女と喋っているこの時間も幸せの1つなのだけれど、彼女は私とのお喋りをそういうカテゴリに入れてくれてはいないだろう。少し寂しい気がするけれど、しょうがない。人それぞれ、幸せに対する価値観は違って当然なのだから。
どうか、彼女と同じように、結婚することを幸せになることだと捉えられて、一緒に幸せを追い求められる人が彼女の前に現れますように。
私は彼女の愚痴を聞きながら、密かにそう願った。
幸せとは
幸せとは、理屈や定義が通じない、分からないもの。十人十色、百人百様の幸せがある。
貧困に苦しんで、泥水を飲み、ドロドロしたお芋の粉で作った主食を、いや、主食のみの食事を毎日摂っていても、ニコニコ楽しそうに暮らすアフリカの奥地の民族。何万坪の敷地に、ゲストルームだけで20もあるような豪邸を構えていても、浮かない顔をしているアメリカ人。日本人でも、他の国に比べたら貧困者が少ないはずなのに、幸せを感じている人と感じない人が居る。むしろ感じない人が多いと言われている。
要は心の持ちようなのだ。私は幸せを感じていたい。マイナスの感情は、運気をもマイナスにするらしい。だったらプラスの感情でいればいいと思う。それこそ、根拠もない考えだが、暗い気持ちよりも明るい気持ちでいたい。
あの、コップの飲み物の話の通りだ。
コップにおいしい飲み物が半分入っていたら「もう半分しかない」と思うか「まだ半分ある」と思うかで、心の持ちようが変わる。
私は「まだ半分も残ってる。この半分じっくり楽しもう」と思える人間だ。お金も健康も、あんまり無いけどね。
幸せとは、いつか必ず失い、
幸せとは、慣れれば何でも無いものになり、
幸せとは、一個人ですら一定ではないもの。
不幸も、また。
おぎゃあ、おぎゃあ。
とある城の一室。十月十日を経て、待ち望んだ産声が響き渡った。
その数日後の話。
ロランスはその腕の中に我が子を抱いていた。
自分と同じ黒織の髪、夫とよく似た青紫の瞳。均等に取り込まれた特徴に、不思議な気分になる。
母に会わせてあげられなかったのが残念で仕方がない。若くして夫を失い、王家に翻弄され、後ろ盾が無い中で奮闘していた姿が目に浮かぶ。
祖国の戦乱が収まる頃には、母はもう長くなかった。それでも、私が嫁ぐまでは気丈に振る舞っていた。
「貴女たちに降り注ぐ厄災は、全て持っていくわ……母として、それくらいしかできないけれど」
急激な体の変化、思うように動けない苛立ちと痛み。母が腹を撫でてくれたその日からそれらは和らぎ始めた、けれど。
「ありがとう……そして、幸せになるのよ」
きゃっきゃと無邪気に笑っている。
この子は私と同じ道を辿るのだろうか?
それとも……違う道を歩むのだろうか?
「陛下」
「調子はどうかな?ロジェは随分とご機嫌のようだが」
為政者とは違う、父としての家庭の顔をしている。ロジェも父に会えたことで、より嬉しそうに声を上げる。
「無理する必要はない。やるべきことはあるだろうが、この子と触れ合う時間を何よりも大切にしてくれ」
「……もちろん」
「そうだ、昼御飯を持ってきた。私がロジェをあやすから、ゆっくり食べるといい」
裾野に広がる街。市井の人々は新年を祝う催し物で賑わいを見せている。その根底にあるのは変わりない平和な日常。
「ん、おいしい……」
しかし、いつもと味付けが違う。先程、厨房が騒がしたがったが……陛下の仕業だろう。
「陛下!見つけましたぞ!まだお話は終わっていませんよ!」
家族が一人増え、城内もひときわ賑やかになった。大陸にはまだ燻る戦火があり、いつか再び燃え上がるだろう。
「待って、その、ほら、ロランスの穏やかな顔に免じて許して」
「何を仰って……申し訳ありません。食べ終わり次第向かわせます」
「そんな!」
今はただ、勝ち得た平穏を享受するだけだ。
『穏やかな昼下がり』
お題
幸せとは
幸せとは浅いところで心で汲み取ることのできるものと生きてきたが今年は一喜一憂することなく
深いところにあるものを探してみる
余り野菜をたっぷり煮込んだスープ
まぁるくてスベスベのボタン
友達からの年賀状(今年も息災のよう)
トリッキーな色の段染め毛糸
チョコの包み紙
一段ぬかしで駆け上がる階段
小枝の落ちてる冬の公園を通ること
焼きたてのパンを抱えて帰る道
タンポポ色のカーディガン
あなたと並んでテレビを見ること
シナモンたっぷりのマサラチャイ
帽子をかぶって鏡を覗くこと
etc.
(テーマ 幸せとは)
パッと思いついたまま書いてみました。
幸せとは
眩しいくらいに光り輝く視線の先には
僕の大切な人達が居る。
息を目一杯はく。
__ふぅ
「お〜い!!」
目の前の大切な人達が呼ぶ声がした。
僕は、その声を頼りに大切な人達のもとへ駆け寄る。
僕の大切な人達は、僕の事を大事そうな目で見てくる。
だから、僕はお返しにそれよりも大事に君たちを見つめる。
「あはは!」
1人の笑い声を中心に皆も笑い出す
僕は思わずきょとんとするが、同じように笑い出す。くだらないことかもしれないが、僕はこの時間がとても好きだ。大切な人達と笑い合うこの時間が!
今なら分かる。
幸せとは、いくつあっても足らないものだ!