『平穏な日常』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの日
私は数学の追試のテストを受けていた。
私は勉強が苦手だったので
必死になって焦って解いていたので
『学校が揺れていた』事に
全く気が付かなかった。
試験が終わり、部活に戻ると
チームメイト達がざわざわとしている。
「何があったの?」と聞いたら
「すごい揺れただろ?気が付かなかったの?」
と言われた。
今でも不思議に思う。
本当に、恥ずかしいが
そこで初めて地震があった事を知ったのだ。
家に帰ってから、テレビを着けると
建物が波に流されていく映像が流れた。
地震は、私の想像を遥かに超える
大震災だったのだ。
鳥肌が立ち
足がガクガクと震えるほど
衝撃を受けたのを
今でも覚えている。
今日、出勤するときに
ラジオで、震災から12年経ったと聞いて
時の流れは早いなと思った。
高校生だった私も
もう28歳になった。
あの日の感情がふと、蘇る。
あの日、私が追試を受けていた
あのとき…あの時間………。
あの瞬間…。波、建物、人…。
平穏な日常のありがたさに
感謝をしないとだめだなと思い
書いてみました。
『ただいま』って
部屋に帰れば
つぶらなキミの瞳と目が合う
人差し指を出して
キミにもごあいさつ
“ただいま”の鼻ツン
そのまま、キミを抱っこして
もふもふ‥
もふもふ‥
また、重くなったかな?
ちんちくりんだった、キミの成長が
とっても、嬉しいんだ。
キミのお兄ちゃんは
とっても、病気がちだったんだよ
だからね
キミの健康が
わたしの願い
『夢』は
おばあちゃんになって
キミも、おじいちゃんになって
炬燵に入って
キミが膝の上にいる。
そんな『平穏な日常』
だから、
今は辛くても
頑張るよ‥。
日常の迷路に迷い込んだら
そこは間違い探しの世界だった
何もかもがほんの少しだけ
掛け違っているから
ひとつを正しいと思われる位置に直すと
連動して他のものの位置も
全部変わってしまう
だから本当に一歩ずつしか進めなくて
それすら出来ない日もあって
もう今日は休みだねって寝転んだら
水色の空だけが見えた
雲がぽっかりと浮かんでいて
その隙間を鳥が滑るように飛んでいて
なんでそっちはそんなに平穏なんだって聞いたら
笑ってくれたよ、春。
忙しい人ほど平穏を求めて、平穏な人ほど生活に刺激を求める。
そうやって人生は回っていくのだろう。
今の私は平穏な日常が、あまりにも恋しい
時が止まればいいと思っていた。
今が永遠に続けばいいと願っていた。
この一瞬を永遠に引き延ばして、その日常の中で暮らしていたいと希っていた。
時計の秒針が、重々しい静寂を際立たせるようにコチコチとなっている。月の光がほのかに暖炉の輪郭を映し出し、まるで死の世界に迷い込んだかのような妖しさを映しだす。
「あの日も、こんな夜だったかな」
夜の水面を揺らすように、静かに音が伝播する。
あの夜と少し違うのは、夜を暖かく包むランプの光がないことくらいだ。
永遠とも思えるほど長い、幾星霜を経て私は彼と出会った。彼と出会うまでは、ただ永遠とも呼べるほど長い寿命がただ終わるのを待つだけだった。初めて会ったのは、暗鬱とした雲が重苦しく広がる日のことだ。
「お姉さんはここで何をしているの?」
幼い茶色色の瞳が、私の顔を反射した。話し方を思い出すように、私は彼の目を見ながらゆっくりと話し出した。
「ここには近づかない方がいいって教わらなかった?」
「ううん」
「あなたはここに何をしにきたの?」
「探検しようと思って!」
彼は、んっ、と手に持っていたものを私の方へと突き出した。その手には子ども用の小さなナイフと、小さなポーチが握られていた。
小さなポーチは誕生日にもらったのだろうか、花の刺繍が施されている。よく手入れされた、シワのないシャツを着た彼は、満面の笑みを浮かべて私を見上げていた。
「私とはあまり話しかけない方がいいわ。あと、ここにはあまり近づかないようにね」
私は眩しいものを見たときのように彼の瞳から目を背けると、颯爽と館へと踵を返した。これが、彼との奇妙な日常の始まりだった。
それからというもの、彼は私の忠告を破って毎日この館に訪れることになった。あるときは虫を持ってきて私を驚かせ、あるときは麦わら帽子を持ってきてくれて彼と一緒に館の前にある森を探検した。彼の自作であろう宝の地図を頼りに、滝を越えて山を登った先に、本当にお宝があったのを見たときは思わず笑ってしまったものだ。彼はぐんぐんと大きくなり、木剣を持ってきて一緒に剣の練習もした。ついぞ私に彼は勝つことができなかったけど、負けることが嫌ではないかのように、いつも朗らかに笑っていた。
こんな世界が一生続けばいいと思っていた。
「ねぇ、アリス。何を読んでいるんだい?」
彼は、ランプの光で暖かく照らされた顔を月夜に向けながら、私に向かって問いかけた。
「これは、セントリア大陸の歴史っていう本だね」
「歴史の本なんて読んで面白いの?だって、その時代にも実際に生きていたのだろう?」
「私は情報屋でもなんでもないのよ。この館にずっと居たからなにも知らなかったわ」
そしてね、と彼女は続ける。
「こうやって人の営みを見るのは楽しいのよ。私がお母さんと一緒に暮らしたあの村を思い出すから」
「それは……」
彼は、苦虫を噛み潰したかのような顔をして私の方へと視線を向けた。
「それは、辛くないのかい?」
彼女は、その端正な顔を一瞬だけ歪めた。
「それでも、私はあの生活が好きだったから」
そっか、と彼は首肯した。そして、彼はアリスの元へと向かうと、突然首を垂れた。
「えっ!?えええっ!?」
「アリス、どうか聞いてほしい」
彼は、初めてあった日と同じようにアリスを見上げながら、しかしまっすぐとした目線を向けて語りだす。
「僕は明日、王都へと旅立つ」
彼は、懐から金の指輪を取り出した。
「僕は、君を守りたいと思った」
彼は、そっとアリスの手に触れると、その手を自分の方へと優しく引っ張った。月夜に照らされ、彼女の陶磁器のような白い、きめ細やかな腕が静かに照らされる。
「だから、どうかここで僕の帰りを待っていてくれないだろうか」
彼は、金の指輪を彼女の指輪へと通した。
アリスは、その様子をポカーンとした顔で眺めていた。
「えっとそれは、つまりどういうことかしら」
「アリスはやっぱり天然だな」
彼の少しこわばっていた顔がほぐれ、柔らかな笑みを浮かべた。
「僕と結婚してほしい」
あの日から、私はずっとこの家で彼を待っている。
彼を待っている時間は、これまでの何百年もの月日に比べても特別に長い時間だった。
永遠の時を生きる私に、初めての感情をくれた彼。
「時間があっという間に過ぎ去っちゃえばいいのに」
月明かりに手を伸ばし、自分の薬指できらりと光る金の指輪を静かに見つめる。
時計の秒針の音が、軽快にチクタクと音を奏でている。
平穏な日常
今日は天気のいい日曜日。
暖かくなってきて、良い季節になってきた。
これこそ、平穏な日常と言える。
でも、平穏って何だろう。
こんな日でも、なんて不幸だって思う人もいるし、
雨が降っても、槍が降っても平穏だって思う人もいるし。
結局は心の持ち方が自分を決める。
それはよく分かってる。なり難しいんだけどね。
難しいけど、それを目指していきたいな。
#平穏な日常
何気ない、いつもと何一つ変わらない日常。
でもそれは、宝物だ。
何一つ変わらないからこそ、得に何もない、平凡で平穏な日常だからこそ、宝物なのだ。
それが一番大切だと気づいた。
朝起きて、ご飯を食べて、勉強して、部活に行って、お昼ごはんを食べて、友達とLINEをして、ゲームをして、夜ご飯を食べて、お風呂に入って寝る。
そして次の日も同じこと。
それが大切で尊くて、一番の宝物。
平穏な日常。
朝 いつも通り起きて、着替えて、歯を磨いて、
朝食のトーストを頬張ること。
昼 漫画を読んで、お茶を飲みながら、明日のことをほんの少しだけイメージする。
夜 母が作ってくれた夕食と、暖かいコタツに包まれて
幸せだと感じる。
こんなのが'平穏な日常'だと私は思う。
でも 平穏な日常というものは
年齢や心の変化によってじきに形を変えていくものだ。
私が母になれば 母達との平穏な日常ではなく
自分の子供や夫との平穏な日常に変わっていく。
それが少し寂しい気がして、でも少し楽しみだったりして
曖昧な感情が私の胸に流れ込んでくるけど
私はきっと その 平穏な日常とやらが形を変えていくように
私も形を変えた平穏な日常に上手くマッチするように
形を変えていくかもしれない。
そんなの誰にも分からないんだもんね。
平穏な日常 とても 寂しく とても 愛おしい
[ お題 - 平穏な日常 ]
久しぶりに重なった休日、ソファに並んで座り、それぞれスマホでわたしはインスタチェック、彼はゲーム。ローテーブルには色違いの大きなカップで、わたしは砂糖がたっぷりのコーヒー牛乳、彼は薄めのブラックコーヒー。お互いスマホの音は出さないのでカチカチという時計の音と、時折アパートの外を通る車の走行音だけが聴こえている。
インスタ巡りに一段落し、わたしは目を閉じてぽてんと彼の肩にもたれ掛かる。
「なんか、」
ぽろりとこぼれた言葉に「ンー?」と彼が応える。
肩からぬくもりとスマホを操作する小刻みな振動が伝わってくる。
「平穏な日常って感じで、幸せ。」
肩から伝わる振動が止まる。
「たった今、平穏じゃなくなった。」
思いの外はっきりとした彼の返事に「へ?」と、
頭を起こし掛けるが、肩を押され背中からどさりとソファに倒される。
そのまま覆い被さるように、彼の顔が目の前に迫る。
「君が誘ってくれたから、穏やかな気分じゃなくなった。」
「や、さ、誘ってないし!」
「でももう誘われちゃったから。」
彼の手が、するりとわたしの腰を撫でる。
「も、もう、仕方ないなぁ!」
頬が熱を帯びるのを感じながら、わたしはできるだけ不本意に見えそうな顔をして彼の首に腕を回すのだった。
🕊️『春を待つ』
南廂(なんそう)
偶坐(ぐうざ)して
悩んで沈吟(ちんぎん)す
目送(もくそう)す
凍禽(とうきん)の
鳴いて林を出づる
唯(た)だ喜ぶ
簾前(れんぜん)
風(ふう)稍(やや)暖かに
花を待つ心は
是れ春を待つ心
『待春』
南廂偶坐惱沈吟
目送凍禽鳴出林
唯喜簾前風稍暖
待花心是待春心
森鴎外✨
🤍🌿🤍🌿🤍🌿🤍🌿🤍🌿🤍
【平穏な日常】
これさえ送れればいい
お前が平穏な日常さえ送れれば
俺と同じ道を辿らなければ
それでいい
平穏な日常がどれだけ幸せなのか。
私の周りの子でも知らないんだろうな、そんなこと考えてなさそうだな、って子がいる。
本当のことは分からないけど。
戦争のお話を知ることを通して、今の幸せさを知れる機会が増えればいいなと思う。
平穏な日常。
朝普通に起きて、
普通に朝ご飯を食べて、
普通に仕事に行き、
普通にお昼ご飯を食べて、
普通に帰宅して、
普通に夜ご飯を食べて、
夜普通に寝る。
これが常に出来れば、いいな。
出来ない方も中には居る。
出来ている方は、その事に、感謝を。
「はぁい!」
ドアチャイムを鳴らされ、大きな声で変事をした雅子。しかし……。誰が来たのか、分かっているのか。特に、急ぐ様子は見られない。
玄関のドアを開けたそこに立っていたのは、大きなバッグを肩に掛けた青年。
「あら。和也くん。こんにちは」
「こんにちは。あのぅ。また……、御願い出来ますか?」
「うん。いいわよ。どうぞ」
雅子の返事を確認してペコリとお辞儀をして、中に入った和也。
「あの……。お母さんが、これを」
そう言って、タッパーを差し出した。
「ありがとう。いつも、悪いわね」
「いえ。迷惑を掛けているのは、僕の方ですから」
受け取ったタッパーの中身を、雅子は確認する。
「わぁ! 肉じゃが。助かるわ。今夜のメニュー、何にしようか迷っていたのよ」
「そう言って貰えると、助かります」
そう返した和也が、リビングに入って支度をする。
カーテンを全開にして、テラス窓のサッシも開け放つ。途端に……。身体を震わせるほどの轟音が、室内に響き渡る。
和也がバッグを開けて取り出したのは、大きなカメラ。かなり仰々しく、プロのカメラマンか……と思うほどである。ドでかい望遠レンズを取り付け、立てた三脚にそれをセットした。
ここは、アメリカ空軍基地を見下ろせる高い場所にある住宅街。雅子の住むマンションも、そこに建っている。
しかも……。雅子の住まいからは、米空軍の滑走路を真っ正面に眺めることが出来るのである。
マンションの窓は防音サッシになっており、閉め切っていれば音もそれほど苦にならない。
和也は、隣の住人で、かなりのミリタリーオタク。大学に通うか、自宅で過ごすか、雅子のところで米軍機にカメラを向けているか。生活パターンは、この三つのうちの繰り返しである。
「わぁ! すっげぇ!」
「うわっ! いいアングル、逃した」
「やった! バッチリ!」
一喜一憂しながら、尚も米軍機をカメラで撮っていく和也。雅子がコーヒーを出しても、返事すらしない、そんな彼を見て、クスクス笑う雅子。
しばらくして……。ドアチャイムが、鳴らされた。相手は、かなり慌てているのか、ドアを乱暴にドンドンと叩く。
「はぁい!」
「サブさんですよ。きっと……」
和也の言葉に、雅子は……。
「仕様がないわね。まったく」
呆れた笑みを浮かべながら、玄関へと移動する。
ドアを開けたそこに立っていたのは、いかにもその筋と分かる背広姿の男である。
「あら。どうしたの? サブちゃん」
「雅子さん。済まない。これ、ちょっと預かってくれないか? ガサ入れ、入りそうなんだ」
そう言ったサブが、雅子に差し出した……いや、突き付けたもの。それは、小さな四角い紙包みである。
可愛らしい紙と綺麗なリボンで、丁寧にラッピングされている。しかし……。受け取った雅子が重さを調べる仕種を見せたことから、中身が安易に想像出来る。
「また、危ないことに、足を突っ込んで……。駄目よ。京子を困らせちゃ」
雅子の呆れた言葉に、サブは……。
「申し訳ございません。このお礼は、キッチリさせて頂きます」
それだけ言って頭を下げ、足早に走り去っていった。
歩いて数分のところに、その筋の事務所がある。京子は、雅子の同級生で親友。その筋の組の姐さん……と言う、オマケまで付いている。
そんな訳で……。面倒ごとがあると、雅子のところに駆け込んでくる。
ただ……。そのせいか、雅子は夫にブランド物ねだったことがない。
夕方……。和也も母親が呼びにきて居なくなり、入れ替わりに夫が帰ってきた。
「どうだった? 今日は」
背広の上着を脱ぎ、ネクタイをゆるめて、そう訊いた夫。そんな彼に、雅子はビールとグラスを出して返す。
「いつもどおりよ」
平穏な日常
平凡だけれど、いつもの穏やかな日常。
それが、いかに大事なことか。
そう、わかる今は、私は、少し成長したということでしょうか。
平穏な日々は良いものだ。
昔に比べて、ココは、平穏な暮らしが出来る。
今、僕の眼の前にいるのは、サーシャと名乗る女の子。金色の輪っかを頭上に浮かべて、にこりと笑っているサーシャは可愛らしい10代の身体。
僕も、今は、10代の身体を持っている。
僕は、昔いじめられていて、虐待を受けていて、もう消えたかった。けど、今は楽で平穏な暮らしをしている。
「ねぇ、愛くん。」
愛くんとは、僕のこの身体の名前。
「どうしたの。サーシャ。」
サーシャというのも、彼女の身体の名前なのだろう。ココに来たら、心の名前なんて忘れて、身体の名前を授かるから。
「愛くんは、どうしてココに来たのか覚えてる?」
と、サーシャが言う。
「ううん。サーシャは覚えてるの?」
僕がたずねる。
「うん。縄で首を吊ったの。」
【平穏な日常】
いつも 同じようで同じじゃない
平穏な日々を過ごしている
うるさい教室で友達と話して
部活で先輩に指導してもらって
偶然会った親友と帰ったり
部活友達と帰る
そんなような日常が続く。
でもふとした時に…
壊れてしまうんじゃないかって
不安になって、今日を振り返る
あの言葉嫌じゃなかったか。
あの言葉は他の誰かだったらどうだっただろうか。
友達だから許してくれたんじゃないだろうか。
優しいから背負ってしまわせてしまうのでは?
気を使わせないように生活しないといけない。
あと――――
でも振り返ったことは次の日には忘れてる。
忘れてなかったとしても必要な時に覚えてない。
せっかく手に入れた平穏な日常。
もう失いたくない。
いや、失う時が迫っているかもしれない。
もう失いたくないのに。。
―――――――積もる不安 迫る崩壊
平穏な日常ね。この前書いたけど最近ブルーアーカイブを始めた。ブルアカってソシャゲだ。
これが面白いのだが二年以上運営されているソシャゲで始めたのがついこの間だからいろいろと面白くないことが多い。
面白くないと感じる原因はブルアカではなく俺のほうに問題がある。それはわかってるけどこれは感情の話だからな。
なにが面白くないかというとこのソシャゲは今最高に盛り上がっている。メインストーリーが更新されてTwitterや掲示板では大盛り上がりだ。
だけどこのソシャゲはいわゆる盆栽ゲーというやつで強くなるのに時間がかかる。そしてメインストーリーを読むには結構な強さが必要となる。
当然最近始めた俺は全然ストーリーを読めない。同じゲームをしているのに強い疎外感を覚えている。これが面白くないと感じている原因だ。
先も書いたがこれはブルアカが悪いわけではない。二年もたってしかも二周年を過ぎてから始めた俺に問題がある。
おそらく二周年に始めたプレイヤーなら問題なく今のストーリーを読めているはずだ。
だからこれは俺の問題なんだ。だけど理屈ではそうだとわかっても心がささくれている。腹が立ってしかたがない。
二周年ではプレイヤーレベルを上げやすくするキャンペーンをしたりして早く強くなれるサービスを行っていた。
それをスタートダッシュキャンペーンで恒常としてやってくれていれば俺だって今の熱についていけていたのに。そんなことばかり考える。
ブルアカはいいゲームでいい運営だと思う。頭ではそう思っているけど心では面白くないと思ってしまうんだ。
つまらないではなく面白くない。そう、ないがしろにされているような面白くなさがある。気分が悪い。
ならやめりゃいいだけの話なんだけどブルアカは絵も話もいいし、運営も日本のくそ運営とは比べ物にならない。これは俺が始めたばっかりだからわかってないだけかもしれないけど。
だから続けたいんだよね。でも面白くないないんだ。ゲームではなくネットの熱についていけない俺自身が。
「僕はなんで呼ばれたんですか?」
昼下がりの職員室、窓からは温かい光が漏れ、外からは子どもたちの遊ぶ声が聞こえる。
学校を包む独特の緊張感がつかの間緩む、そんなときに、少年ははっきりとそういった。
「僕は何も、悪いことをした覚えはないのですが。」
そう言われた先生は、少し困ったような、怒りづらいといったふうになって、答える。
「いや、別に悪いというほどのことじゃないんだけどね。ほら、これだよ…」
そう言って彼が見せたのは、小さな一枚の紙だった。紙には四角い枠線があり、その上側に「みんなのゆめを書いてね。」と、そう書いてあった。
「これを書き直してほしいんだ。」
「なんでですか。僕はしっかり書きましたが。」
「いやあ…だって君、もう3年間ずっとこれじゃないか。」
先生はまた別の紙を取り出す。今度は四角の真ん中に、大きく勢いのある字で、「平穏な日常」と書かれていた。彼は続ける。
「これは君たちの将来につながる、とても大切な紙なんだ。先生は、もうちょっとしっかり考えて書いてくれると嬉しいな。」
「考えて書いてます。」
「じゃあ、どうしてこの夢にしたんだい?」
少年は言葉を探すように少し間をおいて、返した。
「大人になって、年を取って、色々あったあとに、人間が一番最後に求めるものだからです。だから、人間は結局それがほしのかなって…だからそれがあれば幸せになれるのかなって、そう思うんです。」
先生の顔は、目の前の3年生が、途端に難しいことを言い出したことについていけず、当惑の色を示した。
「それは…君の意見なのかな?」
「はい。僕の意見です。」
「そうか…いや、まあしっかり考えているんならいいんだが。とはいえ、もうちょっと具体的にできないかな?平穏な日常っていうのは、例えば『けいさつ官になりたい』とかと比べて、ふわっとしているというか…」
間髪入れずに少年は言う。
「具体的ですよ。どんな夢よりも具体的です。僕の平穏な日常は、まず朝6時ぐらいに起きて、散歩をして、本を読んだりする。8時半ぐらいに仕事に行って、思う存分仕事をして、夕方の6時に家に帰る。家に帰ったら、テレビを見たり、趣味に打ち込んだり、風呂に入ったりしてゆっくりする。それから、10時半までにはフカフカの布団で寝るんです。犬が猫を一匹飼って、大きな庭のある家に住むんです。こっちのほうが『けいさつ官になりたい』とかより、ずっと具体的だと思います。」
先生はすっかり困り果てて、けれども確かに、そんな生活ができたらどんなにいいだろうかともおもって、何も言い返せなくなってしまった。
平穏な日常
喉から手が出るほど欲しくて
得た瞬間に手放してしまう
味気ないのかもしれない
今の混沌が自分に色をつけていて
もし揺れ動かない安寧に身を置いたら
きっと私は無色な抜け殻になってしまう。